北米連邦の建国宣言やそのパーティが終わった日の翌日、俺達の姿はエスタルドにあった。
こうして気軽に北米から南アジアまで移動出来るのは、当然ながら俺が影のゲートを使えるからというのが大きい。
「ジャミル代表……と呼ぶべきでしょうか?」
「いや、今まで通りで構わない。私がフリーデンに乗っている間は、北米連邦の代表ジャミル・ニートではなく、バルチャーのジャミル・ニートなのだから。それに、私が国の代表であるのなら、そちらもそれは変わらないだろう」
ジャミルの言葉に、ウイリスはなるほどと納得した様子を見せる。
そんなウイリスの横では、ルクスがいつものように無表情で……だが、どこか少しだけ嬉しそうな様子で立っていた。
ルクスはウイリスの教育役というか、副官というか、参謀というか……とにかくそんな人物だ。
それだけに、ウイリスと同格の人物が出て来たのが嬉しい……のか?
もっとも、南アジアの小国であるエスタルトと、北米の大半を国土とした北米連邦では、国力に大きな差があるが。
ちなみにリーもまた、北米連邦とエスタルドの件が公になった為か、あるいはガスタールとの交渉が有利に進んでいる為か、かなり上機嫌だった。
そんな中で和平派のグラントは面白くなさそうな表情を浮かべている。
グラントにしてみれば、エスタルドの国力が強くなると新連邦に狙われると思っているのだろう。
実際、それは決して間違いではない。
新連邦にしてみれば、南アジア攻略の為に結構な労力を注いでいる。
それだけに、新連邦がそう簡単に南アジアから手を引く事は出来ないだろう。
損切りってのは重要なんだが。
「ノーザンベルやガスタールの反応はどうだった?」
ウィッツが面白そうに尋ねる。
意地が悪いと思うのは、俺だけではないだろう。
「随分と必死になって北米連邦の情報を集めている。こちらにも、北米連邦とどのような関係なのか、自分達も繋ぎを取れるのかといった事を秘密裏に尋ねてきている」
リーが嬉しそうな様子でそう言う。
リーはあくまでも軍の司令官で、外国とのやり取りはどちらかといえばグラントの仕事だと思うんだが。
とはいえ、グラントの場合は力関係のバランスを取る為に、いらない情報を言ってしまいそうな気がするのは、きっと俺だけではないと思う。
ただ、この手のタイプにありそうな。自分が助かりたいが為に国を売るといった訳ではなく、普通に国に忠誠を誓ってるらしいというのが安易に責められない理由なんだよな。
実際に心の底で何を考えているのかは分からないが。
周囲にそのような自分の考えを隠し、あくまでも自分は国の為を思ってそのような事をしているといった感じかもしれないし。
今はそういうのを考えるよりも、新連邦の件か。
グラントが何を考えていても、結局のところこっちで主導権を握っていればグラントも妙な真似は出来ないし。
「それで、俺達が大々的にエスタルドを支援するという話をしたし、ノーザンベルやガスタールとの関係も良好……とはいかないまでも、取りあえず裏切るといった事はない。そうなると、そろそろ防衛に集中するんじゃなくて、こっちから攻撃に出てもいいんじゃないか?」
「うむ。異論はない。……ウイリス様、構いませぬか?」
「いや、それは……」
リーがウイリスに尋ねるが、ウイリスはすぐそれに答えられない。
この前はそれなりにすぐどうするべきか判断出来ると思っていたのだが、どうやら必ずしもそういう訳ではないらしい。
とはいえ、ウイリスにしてみれば自分の考えでエスタルドという国がどのように動くのかが決まるのだ。
そうである以上、しっかりと考えた上で決断を下したいという思いも分からなくはない。
「しっかりなさいませ。お父上はこのような事、すぐにどうするか自分で決められていましたぞ」
ウイリスの様子にリーがそう言う。
リーにしてみれば、今のウイリスの姿が前のエスタルドの代表だったウイリスの父親と比べて、どうしても駄目なように思えるのだろう。
とはいえ、ウイリスの父親とウイリスは違う人物だ。
どうしても必要な時に優柔不断なのはともかく、今のような状況ですぐに判断出来ず、少し考えて行動する……というのも、正直なところ分からないでもなかった。
「以前とは状況が違うんだから、少し考えてから行動してもいいと思うが?」
ジャミルも俺と同じ考えだったのか、リーに向かってそう告げる。
ジャミルに……北米連邦の代表にこのように言われると、リーとしてもすぐに反論は出来なかったのだろう。
不承不承といった様子ながら、黙り込む。
「とにかく、どのように行動するにしろ、まずは計画を立てる必要がある。爆撃機のあった基地は破壊したが、他の基地がある場所は調べてあるのか? こっちの方で手を回してもいいが」
リーは何もしない状況では面白くないだろうと判断して、そう告げる。
基地を発見するのなら、それこそメギロートやバッタを飛ばして空から偵察をすればいい。
以前ティファが竜の形をした岩を描いた時と同じ手段だな。
何だかんだと、この手段が一番手っ取り早い。
問題なのは、メギロートやバッタが撃破されて新連邦にその技術を奪われないかという事か。
メギロートは無人機としてはかなり性能が高い。
それこそUC世界においては、恐らく性能という点ではどんなMSよりも上だ。
……もっとも、そこにパイロットの性能が加わると現在のUC世界のMSであってもメギロートを倒せるだろうが。
あるいは1対1ではなく、連邦軍お得意の物量でくればメギロートを撃破する事も可能だろう。
とはいえ、純粋な物量という点では連邦軍よりも俺達シャドウミラーの方が得意だったりするのだが。
いや、ここはX世界なんだし、UC世界よりもそっちの話題を重視するべきか。
とにかく、メギロートはそれこそかなり高性能だが、X世界のMS……それもガンダムとかを相手にした場合、撃破される可能性もある。
ましてや、バッタはそれこそメギロートと比べてもかなり性能の低い機体だ。
旧連邦軍のMSであっても、撃破するのは難しくはないだろう。
もっとも、バッタの残骸を新連邦に奪われたからといって、その技術を活かせるかと言われれば……正直微妙だというのが俺の素直な感想だ。
だからといって、わざわざ敵に新技術の足がかりとなるような物を渡すのはどうかと思わないでもないが。
「うーむ。そうした真似をすれば、新連邦を警戒させてしまうような気がするのだが……その辺りは大丈夫なのであろうか?」
「リーが心配してるのは分かるが、そうなったらそうなったで別に構わないだろ。例えばこっちを警戒して新連邦が南アジアから撤退するといったような真似をした場合、エスタルドとしては悪くない流れだと思う。こっちも、それを放送で流せるし」
北米連邦が協力した南アジアの小国エスタルドは、新連邦を撃退する事に成功した。
これが全世界に流れれば、新連邦側にしてみればダメージになるし、新連邦と戦っている者達にしてみれば、新連邦は無敵ではないと考える。
そして何より、北米連邦の強さを世界中に知らせられるのは大きい。
「ですが……そこまで大々的に放送するような真似をすれば、それこそ新連邦も退くに退けなくなるのでは? 撤退をしても、それはあくまでも一時的なものだとして、再び攻めてくるような事にもなりかねません」
リーと俺達の会話を聞いていたルクスが、冷静な様子でそう告げる。
ルクスにしてみれば、北米連邦の利益の為にエスタルドがいいように利用されるのを避けたいのだろう。
「その可能性はあるかもしれないが、一度新連邦が撤退したとなればノーザンベルやガスタールとの連携も今まで以上に上手くいくんじゃないか?」
もっとも、この場合主導権を握るのは北米連邦と手を組んだエスタルドで、仲裁役だったノーザンベルはともかく、ガスタールは居心地が悪くなるだろうが。
とはいえ、それでエスタルドがガスタールを下に見て捨て駒として扱うとか、搾取するといった真似をした場合、最悪ガスタールは新連邦と正式に手を組むといったような真似をする可能性は否定出来ないだろうが。
「ふむ、なるほど。そう考えると新連邦の撤退を大々的に公表するのは悪くないのかもしれませんね。ウイリス様、私はそのように判断しますが、ウイリス様はどうでしょう?」
「え? そうだな、悪くないと思う。北米連邦の力がどれだけのものなのかは、これまでの経験で十分に理解している」
ウイリスから見ても、北米連邦の力は圧倒的だと思えるのだろう。
そこにシャドウミラーの存在だったり、他にもテンザン級とフリーデンの使っているMSは全機がガンダムであったりと、色々な理由はあるのだろうが。
「とにかく北米連邦の建国宣言を行った今の状況は、新連邦を叩くという意味では決して悪くない。そういう意味では出来るだけ早いうちに行動をおこした方がいいというのが、俺の意見だ。……エスタルド側としてはどう思う?」
「基本的にはアクセル代表の意見に賛成するが……」
リーはそこで言葉を切ると、ウイリスに視線を向ける。
この辺はリーだけでは判断出来ないということなのだろう。
現在の状況を思えば、そのようになるのは無理もないか。
リーは将軍でしかない。
ウイリスは国の代表だ。
この辺りの違いを考えれば、リーとしてはウイリスの意見を聞く必要があるのは間違いなかった。
「それは……私もそうした方がいいと思う。まず何をするにしても、新連邦がどこに基地を作っているのか、知っておく必要があるだろう。そして基地がどこにあるのか、それを十分に理解してから、どのような行動をするのか決めた方がいいだろう」
ここで攻撃をすると言い切れないところが、ウイリスの欠点だよな。
ただ、これはあくまでも俺が欠点だと思っているだけだ。
この国の在り方としては、あるいはこのウイリスの判断の方が正しいのかもしれないな。
「ウイリス様の意見、北米連邦としてはどうでしょう?」
ルクスの問いに、ジャミルが少し考えてから頷く。
「私としては構わない。アクセルの方はどうだ?」
ここでジャミルが俺に聞いてきたのは、本来なら悪手だろう。
ルクスが聞いたのは、あくまでも北米連邦の代表としてのジャミルにだ。
なのに、そのジャミルは俺に対して今のように言ってきた。
これは普通に考えた場合、北米連邦の代表のジャミルよりも、俺の方が実際には影響力が大きいと示すようなものだ。
ただ、今回の件は決して間違っている訳でもないのか。
南アジアにある新連邦の基地を探すのは、メギロートやバッタだ。
それらを有しているのは、あくまでも俺なのだ。
そうである以上、ジャミルとしても自分の判断だけで勝手に決めるような真似は出来ないと判断したのだろう。
「そうだな。俺の方は問題ない。ただ、こっちで動きを見せれば新連邦もそれに対処するように動きを見せてくるかもしれないが、それは構わないのか?」
現状において、南アジアは新連邦もエスタルド、ノーザンベル、ガスタールの連合も動きを見せていない。
この原因はガロードによって爆撃機を運用している基地を破壊したというのもあるだろうし、それ以外にも北米連邦の建国宣言も影響しているだろう。
だが、そんな一種の膠着状態もこっちが動けば新連邦もそれに対応するように動く必要が出てくる。
そうなると、南アジアでの戦いが激しくなるのはほぼ間違いなかった。
「それは……向こうがどう動くのかを待つよりは、主導権はこちらで握りたい」
ウイリスらしからぬ言葉だったが、これはウイリスが自分で考えた言葉なのか、前もってこういう展開の時はこういう風に言うと決めていたのか。
生憎と、俺にはその辺は分からなかった。
「なら、許可も出た事だし、明日にでも偵察を開始しよう」
俺の言葉にウイリスは素直に頷くのだった。
「は? ロアビィが?」
ウイリス達との会談が終わって、テンザン級に戻ったところ、マリューから知らされたのは、フリーデンからロアビィが消えたという事だった。
消えた……というのは正確じゃないか。
別に誰かに誘拐されたとかそういう事じゃなく、普通に車に乗ってフリーデンから出ていったらしい。
それだけなら、特に問題はないだろう。
だが、マリューが言うには……正確にはフリーデンからの連絡によると、国同士のどうこうってのが嫌だとか、そんな風に言っていたらしい。
その時のやり取りを不審に思って、もしかしたらテンザン級にいるのかもしれないと考え、サラが連絡をしてきたらしい。
「国としてのどうこうが嫌か。……まぁ、X世界の住人としてはそういう風に思う奴もいるかもしれないけどな」
ロアビィの年齢だと、物心ついた時には既に国というのはなかった筈だ。
それこそ知識だけでしか国というものを知らないのに、そこで自分が国と関係するのが面白くないと思っても……まぁ、おかしくはないのだろう。
そんな風に思いつつ、俺は明日の偵察の準備を始めるが……結局その日、ロアビィが帰ってくる事はなかった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2005
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1768