『北米連邦という組織について、新連邦として……この地球の唯一にして正統なる新連邦は、決して認める事は出来ない!』
映像モニタに表示されたブラッドマンは、大きく声を張り上げて叫ぶ。
北米連邦の建国式典に対する新連邦からの返事がこれだった。
個人的には遅いと思う。
ただ、新連邦側としては恐らくこれでもかなり急いだのだろう。
『ましてや、異世界? 並行世界? 魔法? そのような戯れ言を信じろという方が馬鹿らしい。あのような手品とも呼べないような、下らない仕掛けに惑わされてはならない! 詐欺師とでも呼ぶべき存在は、私から見ても鼻で笑うしかないような存在だ!』
そう叫ぶブラッドマンだったが、お前の鼻って微妙に潰れてるよな。
そんな風に突っ込むのは酷か。
「やっぱり手品扱いしてきたか」
「それは仕方ないと思うわよ? 新連邦の立場としては、まさかアクセルの魔法を認める訳にはいかないだろうし」
テンザン級の食堂で、俺の向かいに座っているクリスが紅茶を一口飲んでから、そう告げる。
食堂にある映像モニタでは、ブラッドマンがひたすらに北米連邦やシャドウミラーについて貶していた。
そこまで必死になって貶すという事は、それだけ北米連邦やシャドウミラーが気になっているのだろう。
俗に言う、『効いてる、効いてる』って奴か。
「けど、ここであそこまで否定したとなると、実は俺の魔法とかが本物だったと明確になった時、向こうのダメージが大きすぎると思うんだが」
「そうなったらそうなったで、またどうにか誤魔化そうとするんでしょうね。……もしかしたら、意地でも認めないといった風に思ってるのかもしれないけど」
「グリとかを目の前で見せてもか?」
「それでも表向きは認めるような真似はしないでしょうね」
「いっそ、連中の前に出て刈り取る者でも召喚するか?」
俺が召喚出来る相手で、刈り取る者というのは一番迫力がある。
いやまぁ、グリはその物理的な大きさで迫力があるし、狛治は人なのに角や翼があるという事で迫力があるので、他の連中も迫力がない訳ではないんだが。
ただ、刈り取る者の場合は、圧倒的なまでの迫力を持っていた。
それこそ刈り取る者を敵にした場合、殺されてもおかしくはないと思うような。
そんな刈り取る者をブラッドマンの前に出したらどうなるか。
「ちょっと、アクセル。何か妙な事を考えてない?」
クリスが呆れの視線をこちらに向けてくる。
今の考え、顔に出ていたか?
「どうだろうな。ただ、新連邦がこっちと手を組むといった真似をしないと立場を明確にしたのは、俺にとっても悪い話じゃない」
こうして明確に敵対する態度をした以上、新連邦には俺達と友好的にやるつもりはないのだろう。
新連邦……正確にはその上層部にいる、既得権益を求めている者達にしてみれば、北米連邦は邪魔者でしかないだろう。
「でも、向こうもしっかりと国なんでしょう? なら、表向きはこういう態度をしていても、実は裏から接触をしてくるといった可能性もあるじゃない?」
「あそこまで公にこっちと敵対してか? ……いや、友好を求めて接触してくるんじゃなくて、何かを企んで接触するというのはあるかもしれないな」
そんな風に話している間に、どうやらブラッドマンの演説はクライマックスに入ったらしい。
『異世界などという、怪しげな存在に惑わされてはいけない。この世界に住む者達よ、君達は平和を求めている筈だ。我々新連邦は、その平和を地球にもたらす事が出来る、唯一の組織なのだ。今も自分達の既得権益の為に平和に協力しないテロリスト達がいる。我々は、正義の戦いとしてテロリストを倒してみせる!』
「うわ、今度は侵略しているんじゃなくて、テロリストと戦ってるって事にしたぞ」
自分達が既得権益を求めて新連邦という組織を作ったのに、そんな自分達と戦っている相手こそが既得権益を手放したくないテロリストか。
それはそれで面白いとは思うが、だからといってそれを受け入れる訳にいかないのも、また事実。
恐らくこの演説を聞いてブラッドマンが……いや、新連邦が危険だと判断すれば、北米連邦に接触してくる者が増えるだろう。
新連邦は国を認めない。
北米連邦は国を認める。
この違いは大きい。
「ああいうのを見てると、少し面白くないわね」
クリスが不愉快そうに言う。
クリスにしてみれば、ブラッドマンの演説は許容出来ないものなのだろう。
もっとも、自分達こそが正しい。それ以外は間違っているといったブラッドマンの演説は、クリスのような反応をする者の方が多いだろうけど。
「落ち着け。どのみち、新連邦はそう長くない。北米連邦と……いや、俺達シャドウミラーと敵対した時点で、その運命は決まっている」
これはクリスを安心させる為に言ってるとかそういうことではなく、純粋な事実だ。
新連邦が生き残る道があるとすれば、それは北米連邦の存在を認め、各地の侵略戦争を止める事だ。
こっちに友好的に接してくれば、こちらとしても無理に攻撃をするといったような真似は出来ず、内心はどうあれ手を結ぶ事になっただろう。
新連邦……というか、フロスト兄弟が今までやって来た諸々を考えれば、ジャミルとかは内心思うところがあるのは間違いない。
俺もまた、フロスト兄弟の行動には思うところがあるし。
……もっとも、それを言うのなら新連邦側にしても俺達に思うところはあるだろうが。
ゾンダーエプタの件とかは特に顕著だろう。
特に新連邦の象徴として作られたというDXを奪われたのは……うん。
他にもゾンダーエプタをそのまま俺達の基地として使ってるし。
場合によっては、アイムザットも俺達が殺したという扱いになっていてもおかしくはないんだよな。
そういう意味では、結局北米連邦と新連邦がお互いに手を取り合うという流れは絶対になかったのだろう。
「あ、ここにいたのね。アクセル、そろそろ時間でしょう?」
クリスと話をしていると、不意に食堂にモニクの声が響く。
ん? 時間? ああ、ブラッドマンの演説で忘れていたが、確かに時間だな。
「悪いな、迎えに来てくれたのか」
「いいのよ。クリスと話をしていて時間が経つのを忘れていたんでしょうし」
「私としては、もう少しアクセルと話していてもよかったんだけど」
モニクに向かってクリスがそう言うが、それを聞いたモニクは呆れた様子で口を開く。
「あのね、クリスがアクセルを独り占めした結果、偵察が遅れたらどうするのよ? 身内や、私達と友好的な関係のエスタルドだけならともかく、今回はノーザンベルやガスタールの人達もいるのよ? なのに遅れるという事になったら、色々と問題でしょう」
「そうね。ちょっと言いすぎたわ。ただ、最近私もアクセルと2人きりでいるという事がなかったから」
「それはクリスだけじゃないでしょ。私も同じよ。……まぁ、エスタルドの件が終われば少しゆっくり出来るでしょうから、それまで待ちましょう」
モニクの言葉にクリスが頷く。
うーん、あのお堅い性格のモニクからこういう言葉が出て来るとは。
こういうのが……何だったか。そう、美砂が言っていたギャップ萌えって奴か。
あるいはツンデレも入ってると思っていいのか。
ともあれ、それがこう……なにかクルものがあるのは間違いない。
他人には見せず、俺達だけに見せるモニクの顔。
そう思えば、嬉しくなるのは間違いなかった。
「アクセル、どうしたの? 行くわよ」
「ん? ああ、そうだな。じゃあ、行くか」
何を考えていたのかは表に出さないようにして、モニクの言葉に頷く。
少しだけモニクは俺に疑惑の視線を向けていたものの、今はまず俺を連れていくのが最優先だと判断したのだろう。
それ以上は特に何も言わず、食堂を出るのだった。
「これが……北米連邦の……シャドウミラーの力だと?」
「正直なところ、この全てが無人機だと言われても、素直に納得は出来ませんね」
「うむ。だが、異世界の技術と考えれば、そんなにおかしなことでもないのではないか?」
モニクと共にその場に到着すると、そこにはノーザンベルやガスタールの面々……いや、それだけではなく、エスタルドの者達も結構な数が集まっている。
どうやらシャドウミラーが所有する無人機に興味津々といった様子らしい。
もっとも、異世界の無人機という事である以上、それに興味を持つなという方が無理な話だったのだろうが。
やがて、そんな中でジャミルが俺を見つけると話していた相手に一言二言声を掛けてから近付いてくる。
どうやら俺が来るまでの間、ジャミルが色々と話を聞かされていたらしい。
「遅いぞ」
近付いて来たジャミルが最初に口にしたのは、その言葉。
ジャミルにしてみれば、シャドウミラーの無人機について自分に聞かれても困るといったところか。
とはいえ、別にジャミルも無人機を見るのはこれが初めてという訳ではない。
ティファの描いた竜の形をした岩を見つけるのに、無人機を使ったのだから。
そういう意味では、何も知らない者達と比べても無人機について相応に知識があるのは間違いなかった。
もっとも、その知識が具体的にどのくらいなのかというのは……うん、考えないでおこう。
「悪いな。ブラッドマンの演説が放映されていたから、遅くなった」
「……何?」
俺の言葉にジャミルが反応する。
考えてみれば当然か。
ブラッドマンの演説が放映されたのは、つい先程だ。
その時、ジャミルは既にここにいてエスタルド、ノーザンベル、ガスタールといった国の者達の相手をしていたのだから。
「簡単に言えば、北米連邦に対して徹底抗戦するといった感じだったな。……他にも俺達が使った魔法を手品だと言ったりもしてたし」
「馬鹿な。あのような真似を手品で出来るものか」
ジャミルが吐き捨てるようにそう言う。
ジャミルはグリの存在とかを間近で見た分だけ、それが本物であると認識するには十分な実感があったのだろう。
それはジャミルに限った話ではなく、俺が魔法を使ったのを間近で見た建国式典に参加していた者達に共通する意見なのは間違いない。
間違いないものの、ブラッドマンの立場を考えれば、そのように言うしかないのも無理はなかった。
「ブラッドマンがもし魔法を認めるような発言をすれば、それによって北米連邦に所属しようとする者はかなり多くなる筈だ。ブラッドマンとしても、それは避けたいんだと思う」
ブラッドマン……いや、新連邦にしてみれば、北米連邦という存在や異世界のシャドウミラーという存在は完全に予定外だった筈だ。
そうである以上、少しでも北米連邦に味方をする勢力が少なくなるように行動するのは当然だった。
フロスト兄弟辺りから、俺達の事について報告があってもおかしくはないと思うんだが。
あ、でもフロスト兄弟は俺達が関わってからは失敗ばかりしてるしな。
ましてや、自分達のガンダムも奪われるといったような事になっているのを考えると、上層部から疎まれてもおかしくはない。
カトックから聞いたり、セインズアイランドで尋問をした時の情報からすると、フロスト兄弟は新連邦の中でもトップクラスのエースらしい。
だが、ここ最近の失態を考えると……もしかしたら、フロスト兄弟は新連邦の中で居場所がないのかもしれないな。
個人的にはフロスト兄弟のような向こうのエース級が、新連邦の内輪揉めで勝手に潰れてくれるのなら、それこそ願ったり叶ったりだ。
とはいえ、それで素直に潰れてくれるような相手ではないと思うんだが。
「新連邦か。……ニュータイプの件で一度は接触したいと思っているのだが」
「ジャミルならそう言うとは思ったが、だからといってこっちからそれを言えば、新連邦がニュータイプというのが有効なカードだと認識してしまう可能性が高い。そうなれば……それこそ、一体どういう手段に出て来るか分からないぞ」
ジャミルには言わなかったが、新連邦はフォートセバーンから人工ニュータイプの研究データを奪っている。
ノモアという研究者がいない以上、その人工ニュータイプのデータがあっても、カリスと同レベルの人工ニュータイプが作れるとは限らない。
それでもある程度の能力を有する人工ニュータイプなら作れるかもしれず、それによってニュータイプとして次々に出してきて、ジャミルに譲歩を迫るといった可能性は十分にあった。
そうなると、ジャミルは一体どのように反応するのか。
純粋にジャミルだけで考えれば、もしかしたら相手の要望を聞くという可能性もあるだろう。
しかし、今のジャミルは北米連邦という大国の代表なのだ。
大国……そう、間違いなく今の北米連邦は大国という表現が相応しいだろう。
勿論、新連邦と比べると劣るかもしれないが、それでも現在X世界において、唯一新連邦とやり合えるだけの国が北米連邦なのだ。
そうである以上、大国という表現は決して間違っていない筈だった。
「とにかく、今は南アジアの件を優先するとしよう。そうすれば、新連邦も色々とこっちに譲歩する可能性もある」
そう告げる俺の言葉に、ジャミルは頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2005
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1768