『わああああああああああああ!』
周囲に響き渡る歓声。
当然だろう。歓声を上げている者達にしてみれば、自分達では勝つのが難しいと思っていた新連邦のMS部隊を壊滅させたという報告なのだから。
しかも、ただMS部隊を壊滅させた訳ではない。
ノーザンベルを……エスタルドの同盟国を狙っていたMS部隊を壊滅させたのだ。
エスタルドの国民として、それを喜ぶなという方が無理だろう。
……これで、実は新連邦が狙っていたのがノーザンベルではなくガスタールだったりした場合は、ここまで喜んだりはしなかっただろうが。
「ねぇ、アクセル。本当によかったの?」
街中にある喫茶店。
その店の中で、エスタルドの行政府からの報告に喜んでいる国民達を眺めていると、クスコがそう尋ねてくる。
喫茶店にいるのは、俺、モニク、クスコの2人。
数日前にあったノーザンベルを狙った新連邦のMS部隊を壊滅させてから、現状では特に何か動くこともないので休日となり、こうして2人とデートとなっていた。
なお、新連邦のMS部隊の残骸については、既に使える物はアルカディアに、それ以外の物はホワイトスターのキブツに放り込んで、処分は終わっていた。
「何がだ?」
「何がって……あれよ。実際に新連邦のMS部隊を倒したのは私達……いえ、正確には私達じゃなくて無人機だけど、それだって結局はシャドウミラーの戦力でしょう? けど、その成果を譲っても」
「ああ、その件か。それについては別に構わない。寧ろそっちの方がエスタルドを始めとした3ヶ国の士気が高まっていいだろうし」
名より実をとったといった感じだ。
実際、俺達にしてみれば別にここで名誉を欲している訳ではない。
いやまぁ、北米連邦にしてみれば、建国をしてすぐに新連邦に勝利をしたといった名誉は欲しいかもしれないが……今は北米連邦よりもエスタルドを始めとした3ヶ国同盟の結束とかを重視した方がいいらしい。
俺としてはどっちでもよかったんだが、ジャミルと……
「それにモニクの意見なんだし、聞いておいた方がいいと思わないか?」
「それは……」
俺の言葉にクスコは少し困ったような視線をモニクに向ける。
そんな視線を向けられたモニクは、笑みを浮かべて飲んでいた紅茶をテーブルの上に置くと、口を開く。
「アクセルの言う通りよ、今の状況を思えば、そうした方がいいのは間違いないわ」
モニクのその言葉に、クスコは完全に納得した様子ではなかったが、それ以上この件について深く聞くのは止めたらしい。
実際、モニクはルナ・ジオンにおいても役人としてこういう経験をしている。
それだけに、今回の一件もこれでいいという確信があるのだろう。
モニクがそう言うのなら、俺も別に反対はしない。
これでジャミルが反対をするような事でもあったら、もう少し別の方法を選んだかもしれないが。
だが、ジャミルはモニクの意見を取り入れても文句がなかった……いや、寧ろかなりその気になっていたし。
サラはジャミルの様子に微妙な表情を浮かべていたが。
サラにしてみれば、国家の代表としてそれでいいのかという思いもあるのだろう。
もっとも、これも惚れた弱みだ。
ジャミルが明確に間違っているのならまだしも、今回の件は別にそういう訳でもない。
そうである以上、ここでしっかり何かを言ったりといった真似をしなくても、そうおかしな話でもないのだろう。……多分。
「アクセルとモニクがそう言うなら、これ以上はこの件で何も言わないけど……今日のデート少し残念ね」
不意にクスコが話題を変える。
だが、その言葉は俺にも十分に理解が出来るものだった。
こうして国民が新連邦に勝利をしたと喜ぶ……いや、熱狂している中では、とてもではないがゆっくりとデートとかは出来ないだろう。
「こうして皆が喜んでいるということは、セールとかそういうのをやったりするかもしれないけど、確かにデート向きじゃないと言われればそうかもしれないな。……一緒に熱狂出来れば、話は別なんだろうけど」
話の裏側を知っている……どころか、実際にその件に関わっている以上、熱狂している者達と一緒に騒ぐといった真似はちょっと出来ない。
「じゃあ、今日は大人しくこの喫茶店でデートにする?」
「それだとテンザン級の食堂と変わらないじゃない」
モニクにクスコが呆れと共に言う。
完全にではないにしろ、俺もその意見には同意するのだが……モニクはそんなクスコに首を横に振る。
「違うわよ。いつも食事をしている食堂と、こうして初めて来る喫茶店。それだけで、雰囲気は違うでしょう?」
「……なるほど」
あっさりとクスコはモニクの意見に納得する。
俺としては、そういうものかといったように納得するしか出来なかったのだが……まぁ、そういう風に思っているのなら、それはそれで構わない。
この喫茶店でのデートを楽しんで貰えるのなら、それは俺にとって決して悪い話ではないのだから。
「なら、今日はゆっくりと……するのはちょっと難しいかもしれないな」
喋っている途中で、何人かの客が喫茶店に入ってきたのを見て言葉を変える。
興奮し、喜んでいる数人の客。
何故そんな状況で喫茶店に入ろうと思ったのか、俺には分からなかった。
そこまでテンションが高いのなら、それこそ酒場とかそういう場所で酒を飲めばいいだろう。
なのに、何故喫茶店?
「マスター、何か酒はあるかい?」
「あるよ」
訂正。
どうやらこの喫茶店では普通に酒も扱っているらしい。
純粋な喫茶店という訳ではないのは、何となく理解していたが。
というか、この世界で純粋な喫茶店というのは難しいのだろう。
元々人口の99%が死んだ世界だ。
ましてや、エスタルドの人口は数万人。
そんな世界で喫茶店だけでやっていけという方が無理なのだろう。
「どうする?」
ここで宴会が起きるのなら、店にいるとデートという雰囲気ではなくなる。
なら、店を出るか。
そう尋ねるが、モニクとクスコの2人は意外なことに首を横に振る。
「ここでいいわよ。こういう突発的なイベントも、ある意味でデートらしいでしょう?」「クスコの意見に賛成するわ。それに……アクセルとのデートなのよ? それこそ、全く理解出来ないようなトラブルが起きるよりは、まだこの喫茶店の中にいた方がいい思うし」
おい。
そう突っ込みたくなったが、俺は実際にトラブルに巻き込まれる事が多いのは間違いない。
そういう意味では、俺がここで何を言っても説得力がないのだろう。
ともあれ、このまま喫茶店デートを続ける事になる。
幸いと言うべきか、マスターに酒を頼んでいた客達は、身内で盛り上がってはいるものの、こっちに絡んでくるような事はしない。
その辺りはしっかりとしているのだろう。
なら、別にこのままでもいいかと俺も思う。
絡んで来たら、それはそれで対処するのは難しくないし。
あるいはそう思ったのがフラグだったのか。
喫茶店で酒を飲んでいた客のうちの1人が、俺達の存在に気が付いたらしく近寄ってくる。
「よう、兄ちゃん。美人を2人連れて羨ましいな」
その言葉から、悪意から絡んで来たのか、ただ話し掛けてきたのか、その辺りは生憎と分からない。
今までの経験からすると、美人を連れていて羨ましいから絡んでやるといったような事になってもおかしくはないのだが……こうして見た感じだと、そういう風に思っている様子はない。
だとすれば、やっぱりただ話し掛けてきただけか?
「いいだろう。言っておくが、2人共俺の恋人だから手を出すなよ」
そう言うと、モニクは見るからに、そしてクスコは薄らと赤くなる。
現在はまだ正式な恋人という訳ではないのだが、それでも俺が恋人と断言したのが、嬉しかったのだろう。
俺なんかのどこがいいのやらと思わないでもないが、実際に恋人が10人以上いるのを思えば、ここでそういう事を聞くのは野暮ってものだろう。
「へぇ、こんな美人が2人もいるのか。それは凄い」
絡んできた……いや、声を掛けてきた男は、俺の言葉を聞いても驚きはするし、それなりに嫉妬の視線を向けてはくるが、それだけだ。
喧嘩をふっかけたりとか、そういうことはしない。
うん、どうやらこの様子を見る限りだと、俺が心配したような事にはならないみたいだな。
それなら特に気にする必要はないか。
「そうだろう? 俺の自慢の恋人達だ。……それよりも、随分とご機嫌だな。やっぱり新連邦のMS部隊を倒したからか?」
「おう、そうだよ。偉そうな御託を並べておきながら、結局やってる事は侵略戦争だ。そんな新連邦の連中をこうして倒す事が出来たんだ。これで嬉しく思うなって方が嘘だろう?」
その言葉には、自分達がエスタルドの国民であるということの誇りが込められている。
この様子を見ると、その辺については言わない方がいいか。
「新連邦にとっては、間違いなく今回のダメージは大きかっただろうな」
「そうだろう、そうだろう。はっ、新連邦め、俺達エスタルドを甘く見たからだ!」
そう言い、嬉しそうに笑う男。
その気持ちは分かるが、新連邦がエスタルドとかをそこまで重要視していなかったというのは、やっぱり人口数万人程度の小国だからというのがあるんだろうな。
「この調子で新連邦を完全に南アジアから追い出す事が出来ればいいんだけどな」
「はっはっは。兄ちゃん、話が分かるじゃねえか! そうなんだよな、俺達ならそれが出来るって。何しろ空を飛ぶMSを導入したんだぜ? ノーザンベルやガスタールでもまだのMSだ。これはエスタルドがそれだけの実力があるってことだろうよ」
そう言い、笑う男。
空を飛ぶMSってのは、多分だが以前ウイリス達エスタルドの首脳陣をアルカディアに連れて行った時に、リーとの交渉によって売ったオクト・エイプだと思う。
もしくは、メギロートやバッタが飛び立った時の様子を見ていたとかか?
いや、メギロートとかを見ても、MSだとは認識しないだろう。
だとすれば、それはやっぱりオクト・エイプで間違いないだろう。
「空を飛ぶMSか。それを入手出来たのは大きいだろうな」
そう言うが、実際には新連邦のMSは基本的に空を飛べるのが標準となっている。
これ、多分15年前の戦争で旧連邦がオクト・エイプとかを相手にして、不利な状況だったとか……多分だけど、そういうのが影響してるんだろうな。
新連邦のMS事情を考えると、オクト・エイプが数機あったところでそこまで意味はないと思う。
とはいえ、実際に空を飛べるMSがあるのとないのとでは、大きく違う。
新連邦に対してはそこまで強気に出来ずとも、ノーザンベルやガスタールを相手にした場合はかなり有利な状況になるのは間違いない。
勿論そういう事になればノーザンベルやガスタールもオクト・エイプを、あるいはもっと高性能な高機動型GXとかを購入しようとしてもおかしくはないのだが。
問題なのは、そう簡単に購入出来るかどうかだろう。
それは単純にアルカディアで売ってるMSの中でも性能が最高峰の高機動型GXだが、同時に値段もまた最高峰なのだ。
その辺は具体的にどうなるのかは分からないが。
「だろう? さすがエスタルドだよな。ほら、これは奢りだ、飲んでくれ」
そう言い、酒を渡してくる男。
だが、俺がそれを飲むと、一体どうなるのか自分でも分からない。
今までの経験から、それは止めておいた方がいいのは間違いないので、首を横に振る。
「折角の酒だ。あまり酒を好まない俺よりも、美味く飲んでくれる奴が飲んだ方がいいだろ」
「あー? 俺の酒が飲めないってのかよ」
うわ、これ面倒臭い酔っ払いだ。
そんな男だったが、俺が何かを言うよりも前に男と一緒に喫茶店に来た者達の1人がやって来る。
「おい、いつまでも絡んでるな! こいつは連れていくから。折角のデートを邪魔して悪かったな」
「あ、おい、ちょ、俺はこいつと喜びをだな!」
「ほら、いいからこっちに来い! いつまでも他人の邪魔をするな!」
「うーるーせーえー! 俺はこいつと酒を飲むんだ、邪魔をするなって。こいつはいい奴なんだ。家族の為にエスタルド軍に入って、それで新連邦と戦ったんだぞ?」
……誰だよ、それ。
酔っ払いの口から出た言葉に、そう突っ込みたくなるのを我慢する。
どうやら酔っ払った結果、勝手に俺がどういう人物なのかというのを思い込みで決めてしまったらしい。
最初に話している時はそこまで酔っ払ってはいなかったのだが。
どうやら俺と話しているうちに興奮したのか、テンションが高くなったのか、急速に酔っ払ってしまったらしい。
悪酔いというか、絡み酔い? 俺に酒を飲ませるような真似をしなければともかく、そういうのはちょっとな。
「ほら、いいからこっちに来いって……言ってる、だろ!」
「いーやーだー! 俺は……俺はぁああああぁああぁぁっ!」
『あ』
呆れた様子で連れて行かれる男から視線を逸らした次の瞬間、不意にそんな声が漏れる。
同時に、バシャリと何かの液体が俺に掛かり……次の瞬間、俺の意識は闇に沈むのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2005
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1768