軍事基地に立て籠もった反乱軍との戦いは、俺が予想していたよりもかなり順調に進んでいた。
……いや、高機動型GXが多数に、GX、DX、ヴァサーゴが2機、アシュタロン。
これだけの戦力が揃っている状況で苦戦するというのはそもそもの間違いなのだろうが。
そんな俺の予想を示すように、既に反乱軍のMS部隊はその大半が撃破され、現在残っているのは数機だけだ。
その数機も、こっちの攻撃によっていつ撃破されてもおかしくはない状態となっていた。
また、マリューとサラが相談して決めたのか、量産型Wやコバッタがカトック達と軍事基地の中に突入していくのも先程確認出来た。
取りあえず、これで動力炉が破壊……それこそ自爆するといった心配はいらないだろう。
実は反乱軍の中にはMSのパイロットよりも生身の戦闘の方が得意だという奴がいたりしたら、洒落にならないが。
ただ、そうなる可能性はかなり少ないと思う。
そもそも、そのような戦力があったら、エスタルドに送って破壊工作をするとか、軍を指揮するリーを殺すとか、そのような行動をしてもおかしくはない。
エスタルドとガスタールの間にある感情的な対立は、今でこそ新連邦という、ノーザンベルも入れた3ヶ国が同盟しなければ対処出来ない相手がいるので何とか表に出ていないが、それでも隙あらば……と、そんな風に考える者がいてもおかしくはないのだから。
理性よりも憎悪を優先する。
ガスタールとエスタルドの間にあるのは、そんな感じのものなのだから。
「ジャミル、戦いはもう終わりそうだけど、どうする?」
周囲の様子を確認しているジャミルに通信を送る。
一応、基地の周辺……もっと具体的には、後方にはオクト・エイプ隊が空中から偵察をしているのだが、それを完全に信じることは出来ないといったところなのだろう。
実際問題、オクト・エイプ隊のパイロット達の技量はテンザン級やフリーデンのパイロットに比べると明らかに劣る。
そうである以上、何があっても対処出来るように準備をしておく必要は絶対にあった。
『戦いはもうすぐ終わる。カトック達が戻ってきたら、捕虜にした者達やそれ以外にも何らかの重要な証拠の類を持って、出来るだけ早くここを脱出する』
ジャミルの言葉を聞く限り、どうやらカトックとはそれなりに上手くいってるらしい。
ジャミルとカトックの間には、15年前の戦争の一件で色々とある。
それでもティファだったり、あるいはガロードだったりが協力する事によって、お互いにそれなりに和解はしているらしい。
本当に、それこそ心の底から分かり合うといったような事は、まだ先だろう。
それでもお互いにそうするべきだと考えている辺り、悪くない話だな。
『それよりも、私は出来るだけ捕虜を取るようにと言っておいた筈なのだが?』
「あー……悪い」
俺が倒した3機のMSは、全てコックピットを攻撃されている。
この状態で実は生きていたというのは、それこそ混沌精霊の俺のように、実は物理攻撃が効かないんですとか、そういう特殊な能力を持っていなければ無理だろう。
「けど、MSは取りあえず出来るだけ早く潰した方がいいだろう? 腕はともかく、乗っているMSの性能は高いんだし」
バリエントやドートレス・ネオといった、新連邦のMSを使っているのだ。
それこそ自分に勝ち目がないと判断すれば、降伏を選ぶよりも動力炉に向かって攻撃をするといったような手に出ないとも限らない。
……まぁ、それなら手足とかを真っ先に切断するなり、撃って破壊するなりすればいいのかもしれないが。
ただ、この状況で反乱を起こすような連中だ。
生きていても、また騒動を起こすとしか思えない。
捕虜にして事情を聞くにも、結局のところMSパイロットである以上は今回の反乱についての詳細を知ってるとは思えない。
いやまぁ、俺やジャミルの例を見れば分かるように、国を率いる立場でいながらも戦場に出て来るといった者はいるのだが。
反乱軍のような小さな組織の場合、そういう風になっていてもおかしくはない。
もっとも、カトック達が捕虜にした奴がいれば、それで問題はないだろうけど。
……あるいはガスタールの政府で反乱軍や新連邦と繋がっている者達にしてみれば、詳しい事情を知ってる奴が殺されて喜ぶかもしれないな。
ただ、そういう奴がいたら、別の捕虜からの情報という事で対処してもいいんだが。
『はぁ……戦いの中だから、無理にとは言わない。だが、アクセルの場合はそのような真似が出来るだろう』
「出来るかどうかと言われれば、出来るけどな。……どうやら戦いも終わったみたいだぞ」
ジャミルと通信をしながら、少し離れた場所で行われていた、クリスの高機動型GXとドートレス・ネオの戦いが決着したのを見て、そう告げる。
当然ながら、勝者はクリスだ。
パイロットの実力差がありすぎたので、最後の戦いだというのに援護するような事もないままに見ていたのだ。
もっとも、ドートレス・ネオに乗っていた敵のパイロットも、既に残っているのが自分だけとなっていたこともあり、半ば自棄になっていたような動きだったが。
無理もないか。
もし万が一にもクリスに勝ったとして、それからどうなる?
まだここには俺を始めとして、複数のMSがいる。
勝利するのが無理だというのは、既に理解しているだろう。
そうなると、降伏か逃げるか。
降伏するのなら、クリスと戦っている最中でも出来た筈だが、それをした様子はない。
つまり、逃げるしかないが……エアマスターバーストがいる以上、逃げ切れる筈もなかった。
あるいはガディールだったら、もしかしたらという可能性もあったかもしれないが。
「ま、クリスならああするだろうけど」
容赦なくコックピットを攻撃した俺と違って、クリスが行ったのは四肢切断。
ドートレス・ネオは、頭部や胴体にバルカンの類を持たない。
そういう意味では、四肢を切断してしまえばもう向こうに出来る事はなかった。
にしても、クリスがMSとはいえ四肢切断している光景というのは……いや、止めておこう。
そんな風に思ったら、クリスに一体どんな目に遭わされるやら。
向こうの抵抗力を奪う為にはそうするしかないというのは、十分に分かるんだが。
それに、クリスはいざとなればきちんと相手を殺せる。
今回の場合は、無理にそのような真似をする必要がない……というか、出来れば捕虜が欲しいとジャミルに言われていたからこそ、こういう真似をしたのだろうし。
「取りあえず、カトックが戻ってきたらとっととここを離れた方がいいな。いつ動力炉が爆発するのか分からないし」
『そのつもりだ。だが、アクセルの方で動力炉を落ち着かせるような事は出来ないか?』
「出来るか出来ないかで言われれば、多分出来る。けど、それで量産型Wやコバッタを危険に晒すつもりはない」
勿論、その必要があれば捨て駒にするだろう。
だからといって、意味もなく捨て駒にするといった真似は避けたかった。
量産型Wやコバッタも、製造するのには相応のコストが掛かっている。
特に量産型Wは、コバッタとかよりも製造コストは高い。
キブツとかがある以上、コストとかの心配はあまりしなくてもいいが、それでも無駄に消費するというのは避けたい。
『そうか。……では、やはり撤退した方がいいか』
「俺もそれに賛成だ。もしガスタールがこの基地を欲しているのなら、俺達がいなくなった後でこの基地に来て動力炉の暴走とかを止めるだろうし」
止められるかどうかは、分からないが。
戦後15年、今のこの世界に動力炉の暴走を止めることが出来るだけの技術の持ち主がいるかは……ああ、でもガスタールも15年前の戦争で生き残った者が結構多いんだし、場合によってはそういう技術者がいる可能性もある。
もっとも、そういう技術者がいるのなら、何故今までこの基地にちょっかいを掛けなかったのかという問題があった。
別にこの基地の存在は今まで誰にも知られていなかったとか、そういう訳ではないだろう。
なら、ガスタールでこの基地を正式に探索し、旧連邦軍の技術を入手するといった真似を……あ、実はその辺の技術の成果がエスタルドスとか、そういう感じなのか?
そんな風に思うが、これはあくまでも俺の予想であって、確証がある訳ではない。
ガスタールの者達がこの基地をどんな風に思っているのかは、俺が考える事じゃないだろうし。
『とにかく、今はカトック達が出てくるのを待つとしよう。アクセルはどうする?』
「特にやる事がないのなら、俺はMSの回収をさせて貰う」
反乱軍が使っていたMSは、大抵が大破……もしくは中破といったところだ。
そんなMSだが、アルカディアでは部品取り用に使えるし、俺が倒したMSのようにコックピットだけがないのなら、それこそコックピットブロックだけを入れ替えて売るといった真似も出来る。
とはいえ、アルカディアの目玉は新品のMSだ。
そこに幾ら最新鋭のMSとはいえ、中古を持っていくのは……まぁ、ある程度の安さで売れば、資金的にそこまで余裕がなくても購入してくれる相手はいるかもしれないけど。
その辺については、ノモアに聞いてみればいいか。
もしノモアが使えないと言うのなら、最悪キブツに突っ込むといった使い道もあるし。
『全く。……あまり時間を掛けすぎるなよ』
ジャミルの言葉に頷き、通信を切る。
ヴァサーゴから出ると、俺はすぐに近くにあったバリエントの残骸に向かう。
そうして次々にMSやその部品を収納していくと……
「何をやってるんだ?」
基地から出て来たカトックが、俺の方に呆れの視線を向けてくる。
カトックの部下達が何人かを引き連れているのは、基地の中にいた反乱軍……つまり、捕虜だろう。
そんな捕虜を捕らえて基地から出来たカトックにしてみれば、MSパイロットの俺がMSから出て戦場にいるのを疑問に思ったのだろう。
もっとも、カトックは……いや、カトックの部下達も、場合によっては捕虜になっている者達も、俺が魔法使いだというのは知っていてもおかしくない。
何しろジャミルの建国宣言の時、魔法を使えるというのを堂々と見せたのだから。
新連邦では、内心はどうあれ表向きは今でもトリックだCGだといったように主張しているらしいが、ガスタールの人間ならそこまで無理に話を通したりといったような真似は出来ないだろう。
「反乱軍のMSを回収してるところだ。基本的には新連邦のMSだから、色々と使い道はあるし」
ちなみに一応エスタルドスと同型のMSも確保してあるが、見た感じやっぱりエスタルドスと変わらないように思える。
勿論、俺は本職のメカニックではないので、表に出ないところでエスタルドスと違うところがあるのかもしれないが……戦っているのを見た感じでも、エスタルドスと違いはないように思えたし。
そうなると、やっぱりエスタルドスと違うのは名前くらいってのが俺の予想だった。
「MSを? まぁ、いいけどよ。動力炉の件はいいのか?」
カトックの言葉は、この基地の事情を知っている者にしてみれば当然のものだろう。
まだその前兆はないが、いつ動力炉が暴走してもおかしくはないのだ。
そうである以上、俺がこうして暢気にMSを集めているのを疑問に思ってもおかしくはない。とはいえ……
「安心しろ。俺ならもし動力の暴走が起きた時に生身でいても、死んだりは勿論、怪我をしたりもしないから」
「はぁ?」
カトックが理解出来ないといった様子でこっちを見てくる。
無理もない。
普通に考えれば、そんな状況で生きていられるなんて事はまず有り得ないのだから。
だが……俺の場合は色々と特殊な存在だ。
混沌精霊の俺に、物理攻撃は通じない。
もっとも、反乱軍がいる場所でその辺について言うつもりはないが。
「俺は魔法使いだ。忘れたのか?」
なので、取りあえず俺は自分が魔法使いだからという理由にしておく。
……実際、エヴァやフェイトといったような最高峰の魔法使いなら、動力炉が爆発した時に間近にいても、魔法でどうにかなりそうな気がするし。
だからといって、それをやれと言ってもやったりはしないだろうが。
「魔法でそんな事が出来るのか?」
「ある程度の実力があればな。それに俺程じゃないにしろ、ある程度の魔法使いなら風花風障壁という、一瞬だけだが10tトラックがぶつかった時と同じぐらいの衝撃を防ぐ防御魔法とかもあるぞ」
風花風障壁は、ネギが麻帆良に来た時には既に使えていた魔法だ。
魔法使いならそれなりに簡単に身に付ける事が出来る魔法なのは間違いない。
もっとも、10tトラックと正面からぶつかる程度の防御力だと、MSとかには通用しないだろうが。
「魔法って奴ぁ、すげえな」
感心した様子のカトック。
……だが、そんなカトックよりも、捕らえられた反乱軍の方が余程大きな衝撃だったのは間違いない。
「なら……」
お前も習ってみるか?
そう言おうとした次の瞬間……
『アクセル!』
離れた場所に立っていたシーマのヴァサーゴの外部スピーカーから、切羽詰まった声が発せられるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2035
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1774