シーマの乗っているヴァサーゴから聞こえてきた声は、かなり切羽詰まっていた。
いや、真剣な様子だというのも間違いない。
一体何があったのかは分からないが、それでも何か洒落にならない出来事なのは間違いないだろう。
「何かあったみたいだ。カトック達は急いでフリーデンに戻れ。何かあったらすぐに動くから、急げよ」
「おう」
俺の言葉にカトックは先程、魔法について話していた時とは全く違う、真剣な表情で頷くと部下は捕虜を引き連れてフリーデンのある方に向かう。
「お前達も念の為にカトックと一緒に行け」
「了解しました」
カトック達と行動を共にしていた量産型Wが俺の言葉に頷くと、すぐにコバッタと共にカトックを追う。
急いでいる混乱に紛れてこの場から逃げ出そうした場合、量産型Wやコバッタが対処してくれるだろう。
もっとも、カトック達も一流の歩兵だ。
捕虜になった連中をあっさりと逃がすような真似はしないだろうが。
ともあれそうして面倒が片付いた後、俺のヴァサーゴまで戻る。
「何があった?」
『エスタルドの首都に新連邦が攻撃を仕掛けて来たらしいわ』
映像モニタに表示されたマリューの言葉に、驚くと同時に納得する。
もしかしたら反乱軍は陽動ではないかという疑念は最初からあった。
それにヴァサーゴやアシュタロンといった精鋭も反乱軍に協力をしていなかった。
その辺の状況を考えれば、可能性は十分にあったのだ。
「なるほど。……けど、よくその知らせがこっちに届いたな」
このX世界において、遠距離の通信技術は基本的に失われている。
現状、その手の技術を持っているのは、新連邦と北米連邦だけの筈だ。
エスタルドは北米連邦の同盟国……いや、まだ正式に同盟は結ばれてないので、友好国といった扱いだが、それでも長距離の通信技術は持っていない。
『通信機よ。ガイアから連絡があったの』
「ああ、なるほど」
どうやらマリューは向こうにガイア達を残してきた時、通信機も置いてきたらしい。
この場合の通信機というのは、X世界で使われているような通信機ではなく、シャドウミラーが使っている、ゲートを経由して使うものだ。
その通信機があれば、それこそこの世界だろうと、ミノフスキー粒子のあるUC世界だろうと、Nジャマーが大量にあるSEED世界だろうと、フォールド断層のあるマクロス世界だろうと、全く問題なく通信が出来るという優れ物だ。
『それでどうする?』
一応聞いてはいるものの、マリューは俺がどう答えるのかは既に分かっている筈だ。
「援軍に向かうぞ」
普通なら、ガスタールの……それもかなり端の方にある場所から、エスタルドの首都まで移動するには結構な時間が必要となる。
しかし、それはあくまでも普通ならだ。
俺ならそんな普通を打ち破ることが出来る。
「ジャミルに連絡は?」
『したわ。すぐにMS隊を帰還させるそうよ』
そうマリューが言ったのと同時に、DXとGX、エアマスターバーストがフリーデンに戻っていく。
「分かった。じゃあ、こっちも戻してくれ。影のゲートを使った転移で一気にエスタルドまで戻る」
本来なら、反乱軍を倒したという報告をしたり、捕虜にした人員を引き渡したりといった真似をする必要がある。
だが、エスタルドの首都が襲撃を受けているとなれば、そのような事を放っておく訳にもいかない。
そして恐らく……いや、ほぼ間違いなく、ガスタールの政府には反乱軍や新連邦と繋がっている者がいるだろう。
そのような者にしてみれば、俺達をそのままエスタルドに行かせるという訳にはいかない。
純粋な戦闘力という点では、俺達は5倍……いや、10倍、20倍といった数の相手とでも互角に戦えるだけのものを持っているのだから。
新連邦にしてみれば、俺達と正面から戦えば勝つのは不可能。
なら、戦わなければいいという考えなのだろう。
実際、その判断は正しい。
しかしこの場合問題なのは、転移魔法という存在を知らなかったという事だろう。
建国宣言の時も転移魔法は見せなかったしな。
もしかしたらフロスト兄弟が俺達の移動速度を疑問に思っておかしいといった報告を上げている可能性も否定は出来ないが、それでも新連邦はどう思ったか。
いや、その辺を信じていないからこそ、今回のように反乱軍を陽動にしてエスタルドを攻めるといった手段に出たのだろう。
以前はエスタルド、ノーザンベル、ガスタールの3ヶ国連合の中で中心的な位置にいるのはノーザンベルだった。
だが、今は違う。
北米連邦と友好的な関係を築いているのは、あくまでもエスタルドなのだから。
もし今この状況でエスタルドが滅ぼされたり、あるいは新連邦に降伏するといった事になったら、ノーザンベルやガスタールは北米連邦との繋がりが切れる。
あるいは切れはしないかもしれないが、エスタルドのようにしっかりと手を組むといった真似は難しいだろう。
その辺りを狙っての今回の攻撃だったのかもしれないが。
ただ、そこまでの心配もしていないのは事実。
転移魔法があるというのもそうだし、ガイア達を念の為にエスタルドに残してきたのも大きい。
新連邦がかなりの戦力を投入しても、エスタルドがそう簡単に落ちる事はないだろう。
そしてガイア達が耐えている間に、俺達が転移魔法で戻ればいいだけだ。
とはいえ、これは言う程に簡単なものではない。
このX世界は、15年前の戦争を終えたコロニー落としの影響によって自然が結構なダメージを受けている。
その影響によって、魔法を使う際の魔力の消費が大きい。
少しでも魔力の消耗を抑えたいのなら、それこそテンザン級とフリーデンから人員を下ろし、そちらは俺が空間倉庫に収納して人員だけを影のゲートで転移する……といった真似をした方がいい。
だが、そのような真似をすれば魔力の消耗は抑えられるものの、無駄に時間を費やす事になる。
寧ろ今はその時間が最重要なのだから……俺の魔力でどうにかなるなら、そちらを犠牲にすればいい。
幸いなことに、俺の魔力は時間が経てば回復するのだから。
「アクセル!」
テンザン級の格納庫に戻ってくると、クスコが真っ先に近付いてくる。
無理もない。
エスタルドには現在、マリオンがいるのだから。
マリオンは、クスコにとってモニク達とは別の意味で重要な仲間だ。
ニュータイプという意味で。
それだけに、クスコはマリオンを妹分として可愛がっていた。
……そのマリオンがオルテガと付き合った時は、色々と混乱したらしいけど。
ただ、最終的にマリオンが幸せそうなので、クスコもそれ以上は何も言わなくなったらしいが。
これでオルテガが強引にマリオンに言い寄ったというのなら、それこそクスコはどんな手を使ってでも阻止しただろう。
だが、実際には強引に迫ったのはマリオンで、オルテガの方はマリオンにこれでもかと攻められてしまい、最終的には陥落してしまったしい。
そんな状況だけに、クスコとしてもオルテガに対しては微妙に同情心すら持っていたとか。
もっとも、今となっては馬鹿ップルという表現が相応しい様子なので、最終的に落ち着くところに落ち着いたといった感じらしいが。
そんな訳で、クスコとしてはマリオンの事が心配で堪らないのだろう。
「分かってる。すぐに影のゲートを使って一気にエスタルドまで戻る。ガスタールも、これなら何も言えないだろうし」
ガスタールの中で新連邦と繋がっている者がいれば、どうにかしてこちらの行動を遅らせようといった真似をするだろう。
だが、影のゲートを使えば一瞬でエスタルドまで移動出来るのだ。
であれば、幾ら向こうがこっちを止めようとしてもどうしようもない。
「そう。……ありがとう」
「クスコの為ってのもあるけど、それ以前に北米連邦としてはエスタルドを見捨てるなんて真似は出来る筈がないだろう」
エスタルドがこのまま陥落するような事があれば、それは北米連邦にとっても非常に大きなマイナスとなるだろう。
それを防ぐ為に、多少なりとも無理をするのはそうおかしな話ではなかった。
「それでもアクセルのおかげで、マリオンや……それに他の人達を助けにいけるんだもの。それに感謝の言葉を口にするのは当然でしょう?」
そう言い、嬉しそうな笑みを浮かべるクスコ。
そんなクスコの肩を軽く叩いてから、格納庫の通信機を使ってブリッジに連絡を送る。
「マリュー、影のゲートで一気にエスタルドに戻る」
『それしかないと思ってたけど……本当にいいのね?』
マリューが言いたいのは、俺の魔力が大丈夫かと聞きたいのだろう。
マリューはこの世界で俺が魔法を使う際に魔法の消費量が他の世界よりも多いのは知っている。
マブラヴ世界に比べれば大分マシだが、それでも消耗が大きいのは事実。
それでも俺だけが影のゲートで転移をするのなら、そこまで問題ではないのだが。
「心配するな。転移するくらいの魔力の消耗はそんなに問題じゃない。それより、転移したらすぐに戦闘になると思うから、その辺の準備を頼む」
こうなると、反乱軍が大した戦力ではない……つまり、こっちの消耗がそこまで激しくないのを感謝すべきだな。
誰に感謝すればいいのか分からないが。
この場合、影のゲートという移動手段を持っている俺が感謝されればいいのか?
『そう、アクセルがそう言うのなら、任せるわ。この件が上手くいったら、今夜はたっぷりとサービスしてあげるから頑張ってね』
ミナトっぽい感じの事を口にするマリュー。
薄らと頬が赤くなってるのを見ると……うん、多分だけどミナトに唆されたのだろう。
とはいえ、今の言葉を聞いて張り切るなという方が無理だった。
マリューのような美人からこんな事を言って貰える辺り、俺って恵まれてるよな。
しかも、言葉だけではなく実際に夜にはサービスをして貰えるのだから。
「じゃあ、それを楽しみに頑張るとするか。……フリーデンの方からの連絡は?」
『ちょっと待ってちょうだい。……問題ないそうよ。ただ、オクト・エイプ隊の人達が事情を知って騒いでいるみたい』
「それは……まぁ、そうなるか」
オクト・エイプ隊は、エスタルドから派遣されてきた精鋭だ。
そんな精鋭が、自国を新連邦に襲われていると知って、それで焦るなという方が無理だろう。
とはいえ、当然だがオクト・エイプでここから飛んで行ってもエスタルドに到着する頃には戦いが終わっていてもおかしくはない。
それどころか、ガスタールに新連邦と繋がっている者がいれば、ここぞとばかりに邪魔してくるだろう。
こうなると、ガスタールの中でも端の方にあるこの基地に反乱軍が籠城したのすら怪しく思えてしまうな。
まぁ、今更その辺を心配しても仕方がないか。
「取りあえずすぐにエスタルドに魔法で向かうから、戦いに間に合わないという事だけはないと言っておいてくれ」
そう言いながら、こちらの様子を見ているエルフに視線を向ける。
するとそのエルフは、少し離れた場所で何かを言い争っている数人……フリーデンに乗っているのと同じく、テンザン級に乗っているオクト・エイプのパイロット達に近付いていく。
ここで騒いでいるのは、フリーデンにいる面々と同じ理由で騒いでいるのだろう。
だからこそ、エルフが落ち着かせに行ったのだ。
このような状況で騒動を起こしても、正直なところ意味は全くない。
それどころか、ここからエスタルドにオクト・エイプで飛んでいくなんて事になったら、それこそ面倒なだけだ。
場合によってはガスタール軍との戦いになって、それによって後々面倒な事になってもおかしくはない。
その為、魔法によって即座にエスタルドに到着するといったように言っておく必要があった。
『そっちも大変そうね』
映像モニタの向こう側から、俺が何をしているのかを理解しているのだろう。
同情するような表情でそう告げるマリュー。
「気にするな。大変さという意味では、俺達よりもフリーデンの方が上だろうし」
魔法を使えたり、量産型Wやコバッタがいたりといったテンザン級とは違い、フリーデンは全員生身だ。
あ、でもカトック達がいるから、妙に暴走をしたりしてもそこまで問題ではないのか?
どのみち俺達がやるべき事は決まっている。
ここで意味もなく時間を潰したりといったような真似をしても意味はない。
なら、今はとにかく敵のいる場所……エスタルドに向かうのが重要だった。
「それよりも、フリーデンの方で問題がないのなら、さっさと影のゲートを使うぞ。このままここにいたら、ガスタールの軍人がやって来るかもしれないし」
新連邦と繋がっているガスタールの政治家がいた場合、少しでも時間を使わせる為に色々と何かを言ってくる可能性がある。
それなら、最初から監視役を案内人とか見届け役で俺達と一緒にここに来させればよかったと思うんだが。
それとも、ここに来た時点で移動に時間が掛かりすぎるから人を派遣する必要がなかったとか?
勿論、政府の中にいるのは新連邦と繋がっている者ばかりだけではない筈だ。
寧ろそっちの方が少数派だと思いたい。
そんな風に考えながら、俺はマリューとの会話を終えて影のゲートを使う準備をするのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2035
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1774