影のゲートから出た場所は、エスタルドの首都……から少し離れた場所だ。
エスタルドがどうなっているのか分からなかったし、首都に突然テンザン級とフリーデンが現れたら、場合によっては混乱するだろう。
もしそんな事になったら、それはそれで面倒な気がするし。
いっそ俺だけで一度こっちに転移をして様子を見るといったような事も考えたのが、魔力の消費を考えると、それはそれで止めておいた方がいいという思いもあった。
そんな訳で転移してきたのだが……予想通り、魔力がぐっと消費したのを感じる。
「ふぅ」
それでも目眩がするとか、身動きが出来ないとか、そこまでではない。
外からすぐにテンザン級の格納庫に戻り、ヴァサーゴのコックピットに乗り込む。
「マリュー、至急エスタルド政府と連絡をとって詳細な情報を頼む。それとガイア達との連絡もな」
ガイア達がどこにいるのか、今の状況では分からない。
あるいはもう新連邦と戦っているのかもしれないが、それならそれで合流した方がいい。
幸い、エスタルドの首都では戦いが起きている様子がなかった。
だとすれば、恐らく首都で待ち構えるのではなく、迎撃に出たのだろう。
『分かったわ。アクセルは魔力の回復に集中してちょうだい。事情が分かったらすぐに出発するから』
「頼む」
『おっと待った。その前にオクト・エイプ隊を出してやってくれないかい? 今は少しでも早く自分達の原隊に戻りたいって言ってきてるんだけどね』
俺とマリューの通信に割り込んだシーマがそう言ってくる。
ああ、そっちの件もあったな。
面倒なと思うと同時に納得もする。
オクト・エイプ隊にしてみれば、自分達の国の首都が狙われているのだ。
そしてテンザン級とフリーデンがこうして戻ってきた以上、いつまでも俺達と一緒にいるよりも、早く自分達の原隊に戻りたいと思ってもおかしくはない。
それに、オクト・エイプ隊のこの要望は、俺達にとっても悪い話ではなかった。
オクト・エイプ隊のパイロット達は、エスタルドの中では精鋭だ。
しかし、それはあくまでもエスタルドの中だけでの話で、テンザン級やフリーデンにいる面々を基準として考えた場合、平均以下でしかない。
それこそ俺達の中で一番MSの操縦技術が低いガロードだが、それでもオクト・エイプ隊のパイロット達よりは上だ。
そんな面々がいつまでも俺達と一緒に行動していると、場合によっては妙な暴走をしたりといった可能性も否定は出来なかった。
不確定要素が向こうから出ていってくれるのだから、わざわざそれを止めるつもりはない。
『分かったわ。オクト・エイプ隊の出撃を許可します。……フリーデンの方にも連絡をしておくわね』
「頼む。……さて、後はどこで戦闘になってるかだが……」
『アクセル、ガイアと連絡が取れたわ。向こうでは既に戦闘中。待ち伏せをして、敵に結構なダメージを与えたみたいよ』
マリューが忙しいので、代わりにミナトが連絡をしていたのだろう。
そう言ってくる。
「場所は?」
待ち伏せをするというのは、分からないでもない。
新連邦にしてみれば、今回の作戦はかなりの戦力を投入している筈だ。
そうである以上、数の少ないガイア達としては待ち伏せによる奇襲で少しでも数を減らしたかったのだろう。
ましてや、こっちの戦力は精鋭揃いだ。
待ち伏せをして相手にダメージを与えるというのには、これ以上ない程に向いているだろう。
『ここから南西に20km程度の位置よ』
『アクセル、他のMS隊と先行してちょうだい。テンザン級とフリーデンはどうしても足が遅いから、後から追い掛けるわ』
「分かった。なら出撃する。……エニル!」
『何? また私の上に乗りたいの?』
エニルに通信を送ると、マリューやミナト、シーマとの通信を聞いていたのだろう。
即座にそう返してくる。
それは助かるんだが、その表現は色々と危ないので止めて欲しい。
ほら、映像モニタに表示されているシーマが、ジト目でこっちを見てきている。
勿論、シーマも俺とエニルがそういう関係になったとは思っていない。
それでも自分が好意を寄せている俺とそういう関係になったといったように匂わせるエニルの態度に面白くないものを感じてもおかしくはなかった。
『あら、ごめんなさい。でも、釣った魚に餌を与えないと……どうなるか分かるわよね?』
「肝に銘じておくよ。で、アシュタロンは大丈夫なんだな?」
『ええ、思う存分私の上に乗ってちょうだい』
「だから……いやまぁ、その辺は後だ。なら、出るぞ。アクセル・アルマー、ヴァサーゴ、出る!」
これ以上エニルと危ないやり取りをしていると、それこそシーマがどのように反応するか分からないので、急いで出撃する。
ただでさえ、シーマは俺がモニクとクスコを先に抱いた事に色々と思うところがあるらしかったし。
実際には、俺が意図的にそうした訳じゃなくて、酔っ払った結果なのだが。
とはいえ、俺も酔っ払っていても、好意を抱いている訳でもない相手を抱いたりはしない。
もしあの時、喫茶店にいたのがモニクやクスコではなくシーマだったら、俺はシーマを抱いていただろう。
そのくらいに、俺はシーマにも好意を持っている。
そんな風に考えつつテンザン級の格納庫から出ると、ヴァサーゴよりも前にフリーデンから出撃したエアマスターバーストが先行するように先を進むのが見えた。
相変わらず高い機動性だな。
ウィッツも自分のやるべき事を理解しているので、まずは一番高い機動力を持つ自分が先行して、ガイア達の助力をしようと考えているのだろう。
そしてエアマスターバーストは実際、そういう役割に向いているのは間違いなかった。
『アクセル、ほら私に乗りなさい』
聞こえてくるエニルの通信。
映像モニタを確認すると、そこにはMA形態になったアシュタロンの姿があった。
そんなアシュタロンの上に乗りつつ、口を開く。
「あのなぁ、あまりシーマをからかうと、後で怖いぞ? とばっちりはごめんだぞ」
シーマは、まさに女傑と表現するのが相応しい人物だ。
そんな女を怒らせるような真似をしたら、どうなるか。
それは考えるまでもなく明らかだろう。
『あら、そう? じゃあこれからは気を付けるわね』
そう言うエニルだったが、それは政治家……いや、政治屋の『前向きに対処するよう検討する方向で善処する』といったような言葉と同じくらいの説得力しかない。
つまり、言葉だけは立派でも実質的にはNoと言ってるって感じか。
そうして呆れている間もアシュタロンは目的地に向かって真っ直ぐ飛んでいく。
高機動型GXを始めとする他の機体も、当然ながらこっちに向かって来ていた。
そうして進み続け……
「見えた」
映像モニタにビームライフルと思しき光や爆発が映し出されたのを確認し、呟く。
この距離からでは、まだどちらが有利な状況なのかというのは分からない。
分からないが、それでも黒い三連星を始めとした面々がいるのを思えば、こちらが不利ということはないだろう。
『アクセル、急ぐわよ』
「頼む」
エニルもまた戦闘光を見たのだろう。
アシュタロンの速度が一層上がる。
そうして進んでいると、やがてレーダーに反応がある。
数機のMSがこちらに向かってくるのだ。
いや、こちらというか、正確にはエスタルドの首都のある方という表現が相応しいのだが。
ガイア達が逃がしたのか? 珍しいな。
一瞬そう思ったが、考えてみればこっちの数はそう多くはない。
それと比べると、新連邦の方が数は多い。
そうだとすれば、ガイア達の足止めとしてそれなりの数を置いて、残りでエスタルドの首都を攻撃するというのは悪い話ではなかった。
勿論、それは新連邦の戦術としてはの話で、やられる方にしてみれば決して嬉しい訳ではないのだが。
こっちにとって、それでも今までこうして抜けてくる敵がいなかったのは、ガイア達が必死に頑張っていた成果か、あるいは新連邦側が今になってそういう戦術を選んだのか。
普通に考えれば後者か?
本来なら、新連邦はガスタールにいた反乱軍を使って陽動をしていたのだから。
……いやまぁ、これはあくまでも俺の予想であって、状況証拠はともかく、物的証拠の類はないのだが。
カトック達が基地で捕虜にした相手を尋問したり、色々と重要書類の類を回収していたので、その辺で明らかになる可能性もあるけど、結局のところ今は不明なままだ。
「エニル、あの連中を通す訳にはいかない。それは分かってるな?」
『あら、私達が通しても後ろの方で対処してくれると思うけど……でも、そうすると、それはそれで不味いわね』
この場合の不味いというのは、敵を見逃す程度の技量しかないとか、そんな風に言われるのが関係してるんだろうな。
それで頑張ってくれるのなら、俺としては構わないのだが。
「じゃあ、こっちにやって来た敵を倒す。……行くぞ!」
そう言い、丁度ドートレス・ネオが見えてきたところで俺はヴァサーゴをアシュタロンから離脱させる。
そうして、こっちに近付いてくるMSの方に向かう。
ドートレス・ネオを操縦しているパイロットが動揺したように見えたのは、決して俺の気のせいではないだろう。
向こうにしてみれば、まさか敵を追い抜いた状態で俺と遭遇するとは思ってもいなかったのだろうし。
それに……向こうのパイロットがこっちの状況をどのくらい理解していたのかは分からないが、もし俺達がガスタールの反乱軍を討伐に行ってると判断した場合、まさかこうしてテンザン級やフリーデンの戦力が出てくるとは思わなかっただろうし。
「戦場で動揺を露わにするのは、未熟すぎる」
そう言い、間合いを詰めてビームサーベルでドートレス・ネオの胴体を上下に切断する。
まずは1機。
だが、新連邦にしてみれば、こうして仲間が1機やられた事で覚悟が決まったのか、戦場を抜けてきた者達は一斉に突っ込んでくる。
「逃がすなよ。ここで逃がせば、エスタルドの首都に被害が出るぞ」
一応そう通信をしておくが、実際にはわざわざ通信を送る必要もないだろう。
こちらのパイロットは、全員がエース級だ。
MSの操縦技術という点では一番低いガロードも、一般的に見れば十分にエース級と呼ぶに相応しい実力の持ち主なのだから。
また、もし何らかの偶然や幸運が重なってこちらのMS隊を抜けたとしても、最後にはテンザン級とフリーデンがいる。
いや、フリーデンは機動力や運動性はともかく、純粋な攻撃力となると頼りない。
だが……テンザン級は違う。
連装式のメガソニック砲が装備されており、その攻撃力はMAP兵器と言っても過言ではない。……いや、やっぱり過言か?
幾ら連装メガソニック砲であっても、MAP兵器と呼べる程の攻撃範囲かと言われると、微妙なところだろう。
GXのサテライトキャノンとか、DXのツインサテライトキャノンとかはMAP兵器と呼んでもおかしくはないだろうが。
ともあれ、そんな強力な武器を持つテンザン級が最終防衛ラインにいる。
勿論テンザン級の場合、連装メガソニック砲を除外してもフリーデンを上回る武装は装備しているので、十分な攻撃力を持っている。
そしてテンザン級の操舵はミナトが行っているのだ。
そこを抜くのは、それこそ新連邦のパイロットの技量では難しいだろう。
とはいえ、新連邦側にしてみれば正面から俺達と戦っても勝利する事は出来ない。
何とか俺達の防衛線を抜けて、エスタルドの首都に向かうしかないという判断なのだろう。
間違ってはいない。それが現状で新連邦にとって最善の手段なのだから。
だが……それが最善の手段だからといって、その目論見が達成出来るかどうかというのは、また別の話となる。
「逃がすと思うか?」
真っ直ぐ飛んできたバリエントが、その進行方向に俺がいるのを確認すると、半ば無理矢理スラスターを動かして俺を抜こうとする。
だが、そんな相手の様子をわざわざ見逃すような真似をする筈もなく……近くを通ったところで、ストライククローを伸ばしてクロービーム砲を撃つ。
ビームは的確にコックピットを貫き、そのままバリエントは地上に向かって落ちていく。
他の面々は? と映像モニタで確認すると、何とか通り抜けようとする敵を撃破していく。
中には俺達の側を通り抜ける事は出来ないと判断してか、俺達のいる場所を迂回しようとした者達もいたが、高機動型GXによってあっさり撃破されていく。
「っと」
中にはここを通るには俺達を倒すしかないと判断したのか、ビームサーベルを手に突っ込んでくる敵もいたが、その攻撃を回避して手首のヒートワイヤーを使って機体を切断する。
これで撃破は3機。
他の者達も結構な数を撃破しており、今のところ俺達を抜けた敵はいない。
そして新連邦の敵の数は少なくなっているのは間違いなかった。
さて、そうなると俺達もそろそろガイア達と合流すべきか。
そんな風に判断するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2050
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1777