オープンチャンネルではなく、接触回線で響いた叫び。……いや、絶叫と呼ぶべきか?
それによって、俺を追ってきていたビットMSは何故かビームライフルやビームサーベルを使った同士討ちを始めてそのまま撃破されていった。
自分の攻撃を命中させる事だけを考えて、敵の攻撃は回避するつもりはない。
そんな風に戦った以上、ビットMSが生き残るのは不可能だった。
『ああああああああああああああああああああ!』
接触回線で聞こえてくる絶叫は未だに続いている。
そうして絶叫しながら、何故ビットMS同士で攻撃をする?
全く理解出来ない状態だったが、俺に対する嫌がらせという意味では、それなりに有効だったのは間違いない。
個人的には、俺はビットMSを入手したかった。
だというのに、ビットMSは全てが撃破されてしまったのだ。
それを考えれば、アベルが俺にどのような思いを抱いているのかは分からないが、嫌がらせという事だけを考えればこれ以上ない一撃だったのは間違いない。
「おい、どういうつもりだ?」
『ああああああああああああああああああああ!』
尋ねるも、接触回線で返ってくるのはそんな絶叫だけだ。
これは一体、何がどうなってこうなったんだ?
やっぱり、ニュータイプに覚醒したからか?
『こ……』
と、不意に聞こえてきたアベルの声。
絶叫ではなく、何か意味のある言葉を口にするらしいと期待して、言葉の続きを待つ。
『殺して下さい……生まれてきてごめんなさい……死なせて下さい……』
おい。
思わずそう突っ込もうとした俺は悪くないだろう。
最初に戦った時と比べると、随分と態度が……というか、言葉遣い? いや、そもそも人格すら変わっているように思える。
元々は自分がニュータイプの素質があるとニュータイプ研究所に保証されていたというのもあるのかもしれないが、自分は選ばれた存在と認識しており、他人を見下すような言動があった。
実際に俺がアベルと言葉を交わしたのはそんなに長い時間ではないので、これはあくまでも俺の印象でしかないが……そんなに間違っていないように思える。
だというのに、何故こんな風に……そう、半ば精神崩壊に近い状態になっている?
これだと、捕虜として捕らえてもろくに話が出来ないんじゃ?
そう思ったが、だからといって折角ニュータイプに覚醒したアベルを殺すのはどうかと思ってしまう。
取りあえず、捕虜にしておいてジャミルにでも渡せばいいか。
X世界のニュータイプはジャミルの担当だろう。
もしくは、UC世界のルナ・ジオンにあるニュータイプ研究所のアルテミスに渡してもいいんだが、UC世界のニュータイプとX世界のニュータイプは、ニュータイプという名称こそ同じだし、能力も傍から見ている分には同じように思えるのだが、厳密には違うらしい。
それが具体的にどのような違いなのかは、生憎と俺には分からない。
だが、ニュータイプ達が揃って違うと口にしている以上、やはり違うのだろう。
そうである以上、アルテミスにアベルを連れていっても意味はないような気がする。
もっとも、異世界のニュータイプという事でかなり興味深いと思われ、X世界のニュータイプを解析したりするかもしれないが。
ジャミルにこの件を話して、どうしようもないと言われたらそうするか。
アベルの扱いをどうするのか決めてから、改めて基地の周辺を見る。
すると、ちょうど新連邦のMS隊が投降しているのが見えた。
『アクセル、ご苦労様。アクセルのお陰で、敵が降伏したわ』
マリューからの通信に首を傾げる。
一体何がどうなってそうなった?
「何でそうなったんだ?」
『アクセルが倒したその相手が、敵にとっては奥の手だったみたいね。その奥の手がとんでもない事になったから、もうどうしようもないと判断したんじゃない?』
その説明に納得する。
実際にアベルが姿を現したのは、向こうがそれなりに被害を受けた後、切り札感たっぷりといった様子でだ。
そんなアベルが俺に勝利出来ずに蹂躙されたのだから、MS隊も基地も降伏してもおかしくはない、のか?
特に新連邦にとって、ニュータイプというのは非常に大きな意味を持つ。
……実際には15年前の戦争においては、宇宙革命軍の方がニュータイプを旗頭にしていたのだが、ジャミルしかり、ルチルしかり、旧連邦もニュータイプを旗頭ではないにしろ大きな戦力として使っていた。
その旧連邦を引き継ぐ新連邦もまた、それは変わらない。
ティファを狙ったり、フォートセバーンで人工ニュータイプのデータを奪ったり、ビットMSを欲してサルベージしようとしたり……その辺りの動きを見れば、新連邦がニュータイプを欲しているのは明らかだ。
そんなニュータイプに覚醒したアベルが、俺に手も足も出ずに倒されたのだ。
あの絶叫や精神崩壊したかのような言葉がオープンチャンネルで流されていたのかどうかまでは分からない。
だが、基地にいた連中やMS隊にしてみれば、最強の筈の……覚醒したら俺達を倒せると思っていたのに、それがこの状況なのだ。
もうどうやっても勝ち目がないと判断してもおかしくはないし、寧ろ下手に粘って犠牲者を増やすのに比べると、降伏するというのは最善に近い選択肢だと思う。
本当の意味で最善の選択肢は、最初から俺達と戦わないで真っ先に降伏することだったんだろうが。
しかし、最初はこんな結果になるとは思わなかったんだろうし、仕方がないか。
「ドートレス・ネオやバリエントを入手出来るのは助かるし、この基地も色々と使い道はある。そういう意味では、降伏してくれて助かったな」
MSはアルカディアで売りに出せばいいし、この基地は……エスタルド、ノーザンベル、ガスタールが協力して使うか、もしくは北米連邦の基地として使うか。
難しいところだが、今はそこまで考えなくてもいいか。
それこそジャミルとかに任せればいいんだし。
「それで、これからどうするんだ?」
『まずは武装解除して、基地の軍人達は一時的に捕虜にする必要があるでしょうね』
「捕虜か。エスタルドを含めた他の国に食料を用意して貰う必要があるな」
多分だが、この捕虜の為の食料もガスタールが多く用意する事になるんだろう。
どのようなやり取りの結果、そういう事になるのかは俺にも分からないが。
ただ、今はガスタールの立場が弱いのは間違いない。
その後、この捕虜をどうするのかは……うん。そっちもジャミルに任せておけばいいか。
何しろ北米連邦の代表なんだし。
『そうなるわね。もっとも、他の場所に行った人達がどういう風になってるのかは分からないけど、それによってはもっと捕虜が増えるでしょうね』
「フリーデン組の方は、下手をすれば基地諸共に消滅してるかもしれないが」
『あら、でもジャミルやガロードの性格を考えると、サテライトキャノンでどかん……とはいかないんじゃない?」
「そうか? ……そうかもしれないな」
これがガロードなら、あるいはそういう手段を使った可能性もある。
実際、爆撃機を運用していた基地はそうやって潰したのだから。
だが、ジャミルは違う。
正確には、ジャミルの立場が違うという表現の方が相応しい。
現在のジャミルは北米連邦の代表である以上、色々と考えて動かなければならない立場にあるのは間違いない。
そうである以上、サテライトキャノンを使うというのは色々と不味いのは事実だ。
何しろジャミルは、サテライトキャノンを使った事によってコロニー落としを引き起こしたという前科がある。
……個人的には、あくまでも話で聞いただけだが、宇宙革命軍も既に退くに退けない状況だった以上、もしジャミルがサテライトキャノンを撃たなくても、何だかんだと理由を付けてコロニー落としをしていたと思うし。
ただ、それはあくまでも俺がそう思っているだけなのも間違いない。
もしかしたら、サテライトキャノンを撃たなければコロニー落としが行われなかった。
そんな風に思う者はそれなりにいる。
それは当然だが、北米連邦の中にもいるのだ。
そのような者達にしてみれば、ジャミルがサテライトキャノンで基地を破壊するというのは許容出来ないだろう。
ジャミルのイメージ的にも決してよくない。
ましてや、普通に攻めて倒せるだけの戦力も揃っている。
とにかく、アベルが一体何をどうなった結果こんな感じになったのか。
それについては、まだ確定ではないものの、俺という存在とMS越しであるとはいえ、接触したというのが大きいのだろう。
カリスと接触した時は、ここまでじゃなかったと思うんだが。
この辺はカリスとアベルの能力差によるものなのか、それとも人工ニュータイプと天然のニュータイプの違いなのか。
あ、でも天然のニュータイプという事なら、ルチルは……いや、ルチルがLシステムに組み込まれていた状態から覚醒したのは、俺がLシステムの搭載されていた軍艦に触れたからというのがあったか?
そう考えれば、MS越しに接触したというのはそんなにおかしくないのかもしれないな。
ティファは……まぁ、ティファの場合は元々かなり強力なニュータイプだし、そもそもニュータイプではあってもMSパイロットじゃないしな。
「取りあえずここでの戦闘は終わったんだし、一応アベル……俺が捕らえているMSのパイロットだが、それをテンザン級に連れていく。ニュータイプとして覚醒したみたいだし、治療はしておいた方がいいと思う。もっとも、精神的な方の治療だが」
肉体的な怪我という意味では、アベルは無傷だ。
……もっとも、それはあくまでも今だけなのだが。
こうしている今も絶叫したり、意味不明な言葉を口にしていたりと、かなり不安定な様子なのは間違いない。
そのうち、コックピットに自分の身体をぶつけたりといった真似をして、怪我をしたりする可能性は十分にあった。
だからこそ、今のうちにパイロットのアベルは確保して、医務室に置いておく必要があった。
こういう時、量産型Wって便利なんだよな。
普通なら錯乱してるかのような人物の相手をするというのは、なかなかにきついのだから。
だが、量産型Wは人造人間である以上、そのような感情の類は持たない。
命令されたことを粛々と行うのだ。
それでいて、高い知性を持ってるので受け答えも普通に出来るし、多種多様な能力も持っている。
あれ? もしかして量産型Wって介護とかそういうのに凄い向いてるのでは?
介護士とかのなり手の少ない世界で、そういう仕事をやったら……いや、無理か。
量産型Wの能力そのものには全く問題がないが、外見がちょっとな。
それこそ介護される方が怖がってしまっては意味がない。
『そうね。いつまでもアクセルと接触してると、そのニュータイプ……アベルだっけ? その人も可哀想だし。出来るだけ早くどうにかした方がいいのは間違いないと思うわ』
マリューのその言葉に、俺は頷く。
いつまでもアベルをこのままにしておくと、色々な意味で危険なのは間違いない。
そうなった場合、ニュータイプとしての研究は勿論、情報収集すら出来なくなってしまう。
特にアベルの口から出た、ニュータイプ研究所。
これについては、是非とも詳しい情報を入手したいところだ。
あ、でもニュータイプ研究所という事なら、もしかしたらジャミルやルチルが知ってる可能性もあるのか。
とはいえ、恐らくコロニー落としの標的の中にはニュータイプ研究所が入っていた可能性が高いのだが。
宇宙革命軍は自分達こそがニュータイプであると主張している。
そんな中で、地球にあるニュータイプ研究所などというのを放っておく訳にもいかないだろうし。
旧連邦がニュータイプを自分達のいいように利用していると主張したりしても、おかしくはない。
……もっとも、旧連邦にはジャミルやルチルのように自然発生した天然のニュータイプがいるのに対し、宇宙革命軍の方はカリスのような人工ニュータイプがいるというのは……ある意味で皮肉でしかない。
ただし、これはあくまでも俺が知ってる限りでの話で、宇宙革命軍にも天然のニュータイプがいた可能性は十分にあったのだが。
ともあれ、宇宙革命軍にとって旧連邦のニュータイプ研究所は決して許せる存在ではない。
だからこそ、コロニー落としの標的になってもおかしくはない……というか、寧ろ当然ですらあった。
もしその予想が当たっていた場合、旧連邦軍が使っていたニュータイプ研究所は既に崩壊し、新しく建設されている可能性も十分にある。
そうなると、やっぱりどうにかしてニュータイプ研究所の情報を入手する必要があるんだが……アベルの様子を見ると、それはかなり難しそうなんだよな。
だとすれば、一体どうするか。
少し考え、取りあえず捕虜にした者達から集めるか、あるいは北米連邦としてニュータイプ研究所に接触する方法を考えるといったところか。
そんな風に考えながら、俺はアベルの乗った大破したMSを手に、テンザン級に戻るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788