テンザン級に運び込まれたアベルは、そのまま医務室に運ばれた。
ちなみに医務室にいるのも量産型Wだ。
疑似経験と疑似記憶によって、外科や内科それ以外にも多数の医者として一流の技術を持っている。
もっとも、いわゆる神の手とかそういう一流以上の天才と呼ばれる存在と比べると、どうしても劣ってしまうのだが。
とはいえ、そういう天才の技術が必要になるような事は滅多にないし、もし本当にそういうのが必要なら影のゲートを使ってアルカディアに転移し、そこからゲートを使ってホワイトスターに行ってレモンに任せるなり、木乃香に任せるなりすればいい。
医者というのは激務で人が足りないと言われる事もあるし、そういう世界に量産型Wを医者として派遣しても……いや、駄目だな。
すぐに自分の意見を却下する。
医者としての技量は一流だが、この場合も少し前に介護士として派遣するのを却下したように、外見が問題になる。
実際に患者と顔を合わせるのではなく、手術だけに専念するとかならありかもしれないが。
もしかしたら、そろそろ本格的に量産型Wのヘルメットを取ったバージョンを開発して貰った方がいいのかもしれない。
ただ、それはそれで問題なんだよな。
量産型Wの数が一体どれだけいるのかは、正直なところ俺にも分からない。
分からないが、それでも数千単位では足りず、万単位どころか億単位であってもおかしくはない。
そんな数の量産型Wの顔を全部考える?
しかも今なら顔を考える必要はないが、顔を個々に変えるとなるとその手間も必要となる。
何より、顔を毎回考えるのは不味い。
かといって、まさか全員同じ顔にするのは……うわ、それを想像したらあまり気分がいいものじゃないな。
今の量産型Wなら、ヘルメットを被っているのでそこまで気にならないんだが、全員が同じ顔となると、やっぱりそれはちょっと……と思ってしまう。
あるいは全員じゃなくても数百人、数千人単位で変えてもいいのかもしれないが、それでもやっぱり違和感はあるし、手間も掛かる。
やっぱりヘルメットのままの方がいいのかもしれないな。
Wナンバーズのような特殊な場合はきちんと細部まで考えた方がいいんだろうが。
そんな風に考えつつ、ブリッジに到着する。
「お帰りなさい、アクセル。朗報よ。黒い三連星達の方も、フリーデンの方も無事に基地を攻略したらしいわ」
ブリッジに入るなり、マリューがそう言ってくる。
とはいえ、その表情は嬉しさ満面といった訳ではない。
勿論嬉しくない訳ではないし、不満そうな様子でもない。
ただ、ガイア達やフリーデンならそのくらいは出来て当然といった感じだ。
「そして朗報だけじゃなくて、悪い話もあるわ。エスタルドやノーザンベル、ガスタールに任せた小規模な基地の攻略だけど、失敗したところも幾つかあるみたいね」
「……は? それは本当か?」
マリューの口から出た言葉は、俺にそんな言葉を口にさせるだけの効果があった。
小規模な基地には基本的にMSが配備されていない。
それに対して、エスタルド、ノーザンベル、ガスタールには普通にMSが配備されている。
勿論最新式という訳ではないが、それでもMSというのは戦力として圧倒的な強さを持つ。
MSを配備していない相手が守っている基地、それも小規模で新連邦の戦力が殆どないような基地を攻略するのにMSを使って失敗する?
一体何がどうなればそんな風になるのか、正直なところ全く分からない。
「いや、待て。もしかして新連邦と繋がっていて、それで相手を見逃したとか?」
「それはないと思うわよ? ……いえ、ガスタールだけなら以前の件があるから断言は出来ないけど、エスタルドやノーザンベルもとなると……」
俺とマリューの会話を聞いてたミナトがそう言うが、確かにその言葉に説得力はある。
エスタルドは首都を爆撃されそうになったし、ガスタールの反乱軍を陽動として首都がMS部隊に襲撃されそうになった。
ノーザンベルも同様に首都をMS部隊に襲われそうになったのだ。
この時はメギロートやバッタによって殲滅されたが。
そんなエスタルドやノーザンベルが、新連邦の部隊を意図的に見逃すとは思えない。
だとすれば、その基地にそれなりの人材がいたという事か。
「理由はともあれ、逃がしたとなると……ちょっと厄介だな。このまま大人しく南アジアから撤退するなり、もしくは降伏するなりしてくれればいいんだが」
最悪ゲリラや盗賊になったりして、治安を悪化させる要因になるかもしれない。
まぁ、その辺については俺達が考える事じゃないか。
それこそ、エスタルドを始めとした南アジアの者達が考えればいい。
MSを持っていないのなら、ゲリラや盗賊として行動して厄介な事になるかもしれないが、厄介であってもそこまで脅威ではないだろうし。
「そうね。それでこの基地はどうするの?」
「エスタルドとかと相談だな。もしエスタルドが……もしくはノーザンベルやガスタールでもいいけど、この基地を自分達が使いたいというのなら、相応の対価があれば譲ってもいい。エスタルドとかがいらないと言うのなら、北米連邦が駐留する基地として使ってもいい」
「……一応言っておくけど、まだ北米連邦の部隊が駐留するという話は決まってないのよ?」
「ん? ああ、そう言えばそうか」
マリューの言葉に、そうだったかと思い出す。
南アジアと北米連邦は協力関係にあるものの、正式に同盟の調印とかはまだしていない。
もっとも、同盟を結んでも自国に他国の軍隊が駐留するというのは、その地に住む者にしてみればあまり好ましくないのかもしれないが。
「そうなると、やっぱりエスタルドとかに売るという形になるな。……金じゃなくて、資源とか、そういう形の方がいいかもしれないけど」
北米連邦にとっても、金より資源の方が助かると思う。
それにエスタルドは海底資源が豊富だって話だし。
「その辺は北米連邦に任せればいいでしょ。この基地を北米連邦がどう使おうと、それは私達には……」
「いえ、私達が確保した基地である以上は、きちんとするべきね」
俺とマリュー、ミナトの会話に入ってきたのは、モニク。
役人としての経験もあるモニクにしてみれば、この基地を特に対価もなく北米連邦に渡すのは、あまり好ましくないといったところか?
「なら、その辺の交渉はモニクに任せるけど、それでいいか?」
「ええ、頑張るわ」
そう言い、やる気に満ちた笑みを浮かべるモニク。
こう……俺との一夜があってから、どことなくモニクの雰囲気が柔らかくなったような気がするな。
実際にそれをモニクに言えば、間違いなく顔を赤くして怒るだろうが。
「ふーん。……ねぇ、モニク。いい顔をするようになったわね」
しかし、俺は何もいわないと決めたものの、自分から向かってその地雷に突っ込む者もいる。
当然ながら、そういうのが好きなミナトだ。
モニクはそんなミナトの言葉に怒るのかと思いきや……
「え? そう?」
最初自分が何を言われているのか分からないといった様子だったが、やがて戸惑うようにそう告げる。
この様子だと、多分本人は自分が以前よりも柔らかい表情を浮かべるようになっていたという自覚はなかったんだろうな。
他の者達も当然モニクの様子には気が付いてはいたのだろう。
だが、もしモニクにその辺の事を指摘すると、モニクがどういう反応をするのか分からなかったといったところか。
場合によっては、照れ隠しに八つ当たりされる可能性すらあったのだから。
あるいはモニクはそういう風になった理由を理解しているからこそ、何も言えなかったのかもしれない。
「ええ、いい恋をしてる女の顔よ。……まぁ、私が言うのも何だけど、男の趣味が悪いとは思うけど」
そう言い、悪戯っぽく笑いながら俺を見てくるミナト。
いや、それは思い切りブーメランだと、理解してるのか?
俺が言うのもなんだが。
あ、でもそうか。
ミナトの視線の中に微妙に同情の色があるのは、ミナトが俺と結ばれた経緯がモニクと似ているというのもあるんだろうな。
しかもミナトとエリナ、クスコとモニク……片方が男に抱かれた経験があり、もう片方は初めてだったという意味でも、かなり同じ感じなのは間違いない。
ここでそういう事を言えば、デリカシーがないと言われるのくらいは俺にも予想出来るので、それを口にするつもりはないが。
俺が言わなくても、女同士で色々と話しているらしいから、その辺で実際に話している可能性も……いやまぁ、その辺に無駄に突っ込むのは止めておいた方がいいな。
「あら、それだとミナトも男の趣味が悪いという事になるんじゃないかしら?」
「そうかもしれないわね。でも、そういうのも面白いものでしょう?」
笑みを浮かべてそう告げるミナト。
どことなく余裕があるのは、ミナトが恋愛経験豊富だからというのもあるが、元々の性格というのも大きいのだろう。
……ああ、ミナトとエリナ、モニクとクスコだと、片方が奔放な性格をしていて、片方が生真面目という意味でも同じような感じなのか。
「ほら、その辺にしておきなさい。それよりこれからの事よ。……この基地を巡る戦いは終わったのだから、そろそろエスタルドの首都に戻るわよ。他の部隊とも合流する必要があるし」
ミナトとモニクの間で微妙な雰囲気になりそうだと判断したのか、マリューがそう口を挟む。
「そうだな。いつまでもこの基地にいても意味はないし。一応降伏した連中は量産型Wやコバッタが面倒を見てるんだよな? 全員連れて行くのか?」
新連邦の……というか、この基地の切り札であったアベルが負けた事によって戦意が喪失し、結局基地は降伏を選んだ。
降伏をしたということは、この基地にいた面々は捕虜になるという事を意味している。
俺達との戦いで基地に所属していたMS隊はかなりの被害を受けたものの、それでもまだ大規模な基地だけに生き残りは結構な数がいた。
そのような者達をどうするのかといった問題もある。
まさか、降伏してきた相手を全員殺すなどといった真似をする訳にもいかないし。
ただでさえ、X世界の住人は15年前の戦争によって99%が死んでいるのだ。
そうである以上、ここで更に人数を減らすような真似はしたくない。
……とはいえ、これまでの戦いで何だかんだとそれなりに殺してきてはいる以上、説得力はないのだが。
あ、でも別に敵を面白半分に殺してきた訳ではない。殺すのはあくまでもこっちに害意を持っていたり、MSで戦いを挑んで来たりするような連中となる。
そんな者達に比べると、捕虜となった者達の扱いはかなり面倒だろう。
まさか餓死させる訳にもいかない以上、食料は渡す必要があるし。
これで新連邦に捕らえられた南アジアの兵士とかがいれば、捕虜交換とかそういう手段もあったんだろうが……今のところ、そういう話は聞いてないしな。
勿論、俺が聞いてないからといって捕虜がいないとは限らない。
だが、恐らくこの場合は捕虜がいてもそんなに人数は多くないだろう。
そうなると……ここが門世界のようなファンタジー世界なら、身代金と引き換えに捕虜を渡すといった事もありなのかもしれないが。
「捕虜については、取りあえず量産型Wやコバッタで監視をしておくけど、具体的にどうするのかは基地と同じよ」
マリューの言葉からすると、北米連邦と南アジアとの間で話し合って決めるのだろう。
話し合うとはいえ、この場合有利なのは圧倒的にこっちだ。
何しろこの基地を占領したのは俺達なんだし、それでいながら南アジア側では小規模な基地の占領を失敗しているらしいし。
いや、基地の攻略には成功してるので、完全に失敗という訳ではないのだろう。
新連邦の兵士を逃がしてしまったというだけで。
そんな南アジア側が、どういう風に対応してくるのかを思えば……
「ちょっと待った。俺達は量産型Wやコバッタが捕虜を見張ってるからいいし、フリーデン側もカトック達がいるからある程度はいい。けど、ガイア達の場合ってどうなるんだ?」
ガイア、オルテガ、マッシュ、マリオン、ルチル。
中規模な基地を攻略に向かったのは、その5人だ。
当然だが、量産型Wやコバッタといったような者達を連れていってはいない。
つまり、ガイア達が直接捕虜を見張るしかない。
まさか敵を皆殺しにして、捕虜にしないといった選択をするとも思えないし。
「あら、そう言えばそうね。……そうなると、エスタルドに戻る前にガイア達の向かった基地に寄っていきましょうか。そこで量産型Wやコバッタを置いていって捕虜の監視をさせればいいでしょうし」
そのマリューの言葉に、俺も頷く。
他に何か手段があるのならともかく、今はそれが手っ取り早い。
エスタルドとかに人を派遣するように頼めば人を出してくれるかもしれないが、わざわざ今の状況でそんな真似をする必要もないだろうし。
こっちでどうとでも出来るのだから。
「じゃあ、そういう事で……まずはガイア達に連絡を取ってくれ」
そう言うと、全員が行動に移るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788