X世界の南アジアでの一件が終わり、久しぶりにホワイトスターに戻ってきた。
生憎とまだ日中なので、家の中にはレモンを始めとした何人もの姿はない。
『我々北米連邦は、新連邦を自称する侵略者達を南アジアから撃退する事に成功した。新連邦は、負けたのだ! だからこそ、この放送を見ている者達には諦めないで欲しい。新連邦という名の侵略者達は、手強いかもしれない。だが、私達が勝てない相手ではないのだ! 事実、現在幾つかの地域から北米連邦に協力を求める使者が来ている』
映像モニタの中で、ジャミルがそう言う。
フリーデンにいる時のバルチャーらしい格好ではなく、北米連邦の代表という立場に相応しい、見る者が見ればとんでもない高級品だと分かるような、そんなスーツを着て。
ちなみにブラッドマンもTVに出る時は高級なスーツを着ているものの、スーツの質で言えばジャミルの方が上だ。
当然だろう。
ブラッドマンのスーツは高級品だが、それはあくまでも現在のX世界で作ったものだ。
人口の99%が死に、経済とかも滅茶苦茶になったX世界だ。
オーダーメイドのスーツを作れるだけの職人が生き残っているのかどうかも怪しい。
それに比べると、ジャミルのスーツはホワイトスター経由でマクロス世界だったと思うが、そこでオーダーメイドして作って貰ったスーツだ。
値段も相応だったが、その辺は北米連邦という国の国力があれば支払うには十分だった。
もっとも、まだX世界は正式に異世界間貿易の契約は結んでないんだが。
また、X世界は紙幣とかそういうのを使われていないし、電子マネーとかそういうのもない。
結果としてマクロス世界に支払ったのは、宝石とかそういうのだったらしい。
ともあれ、スーツの差で大きくジャミルが勝っており、外見という点でも恰幅はいいものの、見るからに悪役顔であるブラッドマンと、凜々しい顔立ちのジャミル。
こんな2人のどちらが人気があるのかは、考えるまでもないだろう。
もっとも、中にはジャミルがまだ若すぎるという理由で頼りにならないと思っている者もいるらしいのだが。
『我々も国である以上、無条件で助けを求めて来た者達に助力するという訳にはいかない。だが、条件が合えば戦力を派遣する事も出来るだろう』
まぁ、これは当然か。
今回の南アジアでの一件で、北米連邦が本当に実力があるというのを世界中が知るだろう。
そして新連邦を倒せる戦力を持つと知った以上、自分達も助けて欲しいと接触してくる者は多くなる筈だ。
だからこそ、中には自分達が弱者だからこそ無料で助けろといった主張をする者が出て来てもおかしくはない。
ジャミルの今の言葉は、それに対する牽制だろう。
自分が弱者だというのを武器にする者は、どこにでもいるのだから。
「あら、アクセル。戻ってきてたの?」
居間でジャミルの演説を見ていると、不意にそんな声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声に視線を向けると、そこにいたのはシェリル。
「ああ。取りあえずX世界の方では一段落したしな」
「ふーん。じゃあ、また路上ライブでもする?」
笑みを浮かべてそう言うシェリル。
以前、セインズアイランドで行った路上ライブがシェリルにとっては面白かったのだろう。
シェリル程の人気歌手になれば、路上ライブとかはそうそう出来ないし。
マクロス世界においては、シェリルがいなくなってからも色々と人気の歌手やバンドは出て来ているらしいが、それでもシェリルの存在はかなり大きい。
リン・ミンメイやファイアーボンバーに並ぶくらいのビッグネームだ。
そんなシェリルがマクロス世界で路上ライブなんて出来る訳もない。
……あるいは、そんなまさかという事もあるので、路上ライブをやってもそれがシェリルだとは思われない可能性もあるが。
いや、その圧倒的な歌唱力ですぐに誰か分かるか。
他の世界でもシェリルはCDを出している事が多いが、そちらでは基本的にメディアに露出をしていないが……そちらもまた、歌唱力や声ですぐにシェリルと分かってしまうだろう。
そういう意味では、CDとかがあってもそれを聞くプレーヤーの類が殆どないX世界においては、シェリルはまだデビューしていない。
だからこそ、X世界で路上ライブをしても、その凄さに集まってくる者はいるが、それがシェリルだからという理由で集まってくる者はいない。
もっとも、そういう意味ではホワイトスターでも路上ライブとかは出来るのだが。
「そうだな。北米連邦の開催したイベントでシェリルがライブをやって、それをX世界に流すというのはありかもしれないな」
普通なら、歌だけで世界を動かすといった真似は……無理とは言わないが、そう出来るものではない。
だが、シェリルの歌は不可能を可能にする。
それにシェリルの歌というのは、新連邦にはどうやっても対抗出来る手段はない。
もし新連邦の方で15年前の戦争の時に有名だった歌手とかを確保していても、どうしても歌というのは年齢によって変わってくる。
シェリルの場合は時の指輪をしているし、体力もエヴァとの訓練でその辺の精鋭の兵士よりも高い。
だが、それはシェリルだからだ。
新連邦の方でそのような真似は無理だろう。
だとすれば、この15年の間にそういう才能を持つ者を見つけて育てていた? これもまた難しいだろう。
新連邦はX世界でも最大級の組織ではあるが、だからといって出来る事には限りがある。
「ふーん。それはちょっと面白そうね。……円と美砂を借りてもいい?」
「あの2人も引き込むのか?」
「ええ。最近は腕が上がってきてるのよ?」
元々円と美砂は麻帆良に通っていた頃、でこぴんロケットというバンドを組んでいた。
勿論円と美砂の2人だけではなく、他の同級生を引っ張り込んでだが。
そして麻帆良という場所において、結構な人気を誇ったのも事実。
だが……それはあくまでも日本の一地方にある学園都市の中だけでの話だ。
それこそ文字通りの意味で幾つもの銀河においてトップアーティストとなり、銀河の妖精と呼ばれたシェリルとは格が違う。
それは円や美砂達も理解しているのだが……以前から、シェリルは円と美砂を自分のバンドのメンバーとして引っ張り込もうとしていた節があるんだよな。
とはいえ、その気持ちは分かる。
幾つもの世界で歌手として活動しているシェリルだが、そのバンドはその世界の者達を使う事も多い。
シェリルのバンドとして招集されたメンバーである以上、当然その世界でも一流の技術を持った者達なんだろうが、世界ごとに違うバンドとなると、どうしても実力差とかが多少なりとも出てくる。
だからこそシェリルとしては、世界が変わっても自分と一緒に行動出来る円と美砂を引っ張り込もうとしているのだろう。
とはいえ、バンドというのは俺が知ってる限りでもギター、ベース、ドラム、キーボード、ボーカルという役割がある。
中にはこれ以外の楽器を使ったり、ギターやベースが2人だったりするバンドもあるが、取りあえずこれは基本的なものだ。
そんな中で円と美砂を引き込んでも、まだ数人が足りなくなる。
……そのうち、シャドウミラーのメンバーを集めて楽器の実力を見るとかしそうな気がする。
「円と美砂がやると言ったら構わない。……そもそも北米連邦のバックアップでライブをやるというのは、あくまでも思いつきでしかないし、本当に出来るかどうかは分からないぞ」
北米連邦におけるアルカディアの存在感の大きさを考えると、やろうと強引に主張すればやれない事もないとは思うが。
成功すれば北米連邦にとってもかなり大きな利益になるし、断る奴はあまりいないと思う。
考えられる可能性となると、そこまで北米連邦の中でアルカディアに……シャドウミラーに強い影響力を持たせてもいいのかと、そんな風に思う奴がいるかもしれないという事か。
そういう連中にしてみれば、これ以上北米連邦の中でシャドウミラーの発言力が大きくなるのは困るだろう。
北米連邦という形をとっているものの、多数の勢力が集まった連邦国家だ。
有象無象という表現が合っている。
今のところは、ジャミルのカリスマ性だったり、北米連邦に所属してる者達の中でも大きな影響力を持つ者達が友好的な関係なので、特に問題は起きていないのだが。
「アクセルなら大丈夫でしょう?」
そう言って笑うシェリルと、俺は暫くイチャつくのだった。
「おわっ、これがウィル・ウィプスかよ!? すげえな!」
ジャミルの演説があった翌日、アルカディアの広場には、ウィル・ウィプスの姿があった。
それを見てガロードが驚きの声を上げる。
無理もない。
X世界においては基本的に陸上戦艦が普通に使われている。
そんな陸上戦艦に対して、ウィル・ウィプスは明らかに違う文明の戦艦……オーラバトルシップなのだから。
なお、ウィル・ウィプスを見て驚いているのはガロードを始めとしたフリーデンの面々や、テンザン級の面々……だけではない。
現在のアルカディアは、それこそ文字通りの意味で世界中からMSを購入したいという者が来ている。
面白い事に、新連邦の手の者まで。
いや、分からないではない。
北米連邦やその友好勢力にMSを提供しているアルカディアだ。
新連邦にしても、どういうMSを扱っているのか、どういう施設なのか、どういう者達がいるのか。
そういうのを調べるのは当然の事だろう。
だからこそ、新連邦から何人もの人を送り込んできてはいるのだろうが、だからといってそれをそのままにするという訳にはいかない。
既に何人ものスパイが量産型Wやコバッタによって捕らえられている。
X世界は現在進行形で戦争中で、しかも元々そんなに治安のいい世界ではない。
多少乱暴であっても、スパイを捕らえるというのは許容される。
そんな訳で、何気にアルカディアはスパイ戦争的な感じになっている場所でもあった。
現在離れた場所からウィル・ウィプスを見ている者達の中にも、恐らくスパイであったり……もしくはスパイではなくても、新連邦に自分の見た情報を売るといったような真似をする者もいるのだろう。
明確なスパイではない以上、そういう連中は基本的に野放しだ。
一定以上の行動をすればスパイとして捕らえるのだが。
ただ、今回のウィル・ウィプスは寧ろ意図してその存在を見せつけているという一面もある。
ウィル・ウィプスがX世界の技術で作られている訳ではないのは明らかなのだから。
それに……ウィル・ウィプス以外にもお楽しみはあるし。
これにはついては、後でもいいか。
「ほら、いつまでも見ていないで必要な物資を運び込んでくれ。特にそこの家出したら恋人を連れて帰ってきた、やっちゃった感のあるMSパイロットはしっかり働けよ。フリーデンにある遊戯室もそのまま移すんだろう?」
「うげ、そこで俺を名指しするのかよ」
ロアビィが俺の言葉に困った様子でそう言う。
とはいえ、南アジアでの戦いに殆ど加わらず、ユリナという恋人とイチャついていたロアビィだ。
当たりが強くなるのは当然だろう。
また、ロアビィの遊戯室はフリーデンでは結構な人気だったのは間違いない。
幸いにも、ウィル・ウィプスは中身が綺麗に掃除されていて、部屋も空き部屋が多数となっている。
……ウィル・ウィプスを調査したり改修した時は、部屋が個人用に色々と用意されていたんだが、その辺りは全て綺麗に掃除してある。
コバッタ万歳といったところだな。
そんな訳で、部屋とかはリフォームされたかのように綺麗になっている。
ロアビィの遊戯室も、フリーデンの時と同様に……いや、それ以上に豪華に出来るだろう。
「言っておくが……」
「なぁ、アクセル。ちょっといいか?」
ロアビィに何かを言おうとしたところで、不意に声を掛けられる。
声のした方に視線を向けると、そこにいたのはキッド。
いつもの部下2人を引き連れ、好奇心に目を輝かせながら俺の方を見ている。
そう言えばキッドは天才と呼ぶに相応しい技術者だったが、同時に機械オタクでもあったな。
そんなキッドにしてみれば、異世界の技術で出来たオーラマシンというのは非常に興味深いのだろう。
オーラバトラーとか見せたら、一体どうなるんだろうな。
あるいはそんなに気にするものでもないとか?
あくまでもキッドが好むのは機械だとすれば、恐獣の部品を使って半生態兵器とも呼べるオーラバトラーとかには興味を持たない可能性も十分にあった。
もっとも、実際にその辺は見せてみないと何とも言えないが。
「どうした? フリーデンの機材とかはもう運び込んでもいいぞ」
「ああ、うん。それはやるつもりだけど……テンザン級の整備用の機材とかはどうするんだ?」
「ん? そっちは基本的にそのままだな。私物とかは持ってくるが」
俺達はウィル・ウィプスに乗り換えるが、だからといってテンザン級を使わなくなるという訳ではない。
連装メガソニック砲やブラックホールエンジンの件を見れば分かるように、テンザン級はかなり強化されている。
それでいてシャドウミラーの技術を使っている以上、シャドウミラー以外で使う訳にはいかないので、アルカディアでバルチャーとして働いているエルフ達が使う予定だ。
「そうなのか? まぁ、それはいいんだけど。それで、ウィル・ウィプスの機材とかに慣れる為に、レオパルドを改修したいんだけど、いいか?」
キッドは笑顔でそう尋ねるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788