ウィル・ウィプスがエスタルドの首都の上を通る。
「いいのかね、これ」
食堂でロアビィが呆れたように言う。
いや、呆れたようにじゃなくて、実際に呆れているのだろう。
「構わんだろう。寧ろエスタルドとしては、ウィル・ウィプスを首都に入れる事によって北米連邦を強く信頼していると周囲に示し、同時に自分達はそれだけ北米連邦と親しいのだと周囲に知らしめることが出来るのだからな」
少し離れた場所で酒を飲まずに干し貝柱を食べていたガイアがそう告げる。
エスタルドの狙いは、ガイアの予想通りだろう。
「いいように使われてる……という風に思えるのは気のせいかしら?」
クリスがそう疑問を口にして、隣に座る俺に視線を向けてくる。
ちなみに食堂のテーブルで、俺の右隣にはクリスが、左隣にはシーマが座っていた。
向かいにはモニクとクスコの姿がある。
何だかんだと俺の状況は変わってないんだよな。
いや、モニクとクスコを抱いたし、それで告白してフラれた……というか、保留にされはしたし、それが影響してるのかシーマやクリスの行動が以前と比べて大胆になってきてるのは間違いない。
そういう意味では状況が変わっていない訳ではなく、きちんと変わっている……もしくは進んでいるのだ。
「どうだろうな。ただ、こっちがやるのはあくまでもウィル・ウィプスで空を飛ぶだけだ。通信機を使って軽くジャミルが会談はするだろうけど、それくらいなら特に問題はないんじゃないか?」
これで一旦ウィル・ウィプスを首都の上空で停止させ、直接会って会談をするといったようなことになれば、面倒なのは間違いない。
だが、通信機を使っての会談であれば、面倒は面倒だが、それを面倒に感じるのはジャミルくらいだろう。
あるいはガロードはウイリスと友達になったので、少し話したいとか思ってもおかしくはないと思うけど……そういう時間は今のところないしな。
「そう? まぁ……実際に上空を飛ぶだけだし、それなら本当に問題はないのかしら」
「寧ろ、エスタルドの首都の住人がどう感じてるのか、少し可哀想になるけどね」
「クスコは一体何が言いたいの? 別に上空にウィル・ウィプスがあっても、驚きはするけど可哀想とかにはならないと思うけど」
クスコの言葉にクリスが不思議そうに尋ねる。
そんなクリスに、クスコは少しだけ呆れを込めて口を開く。
「クリスはどうやらアクセルに……いえ、この場合はシャドウミラーにかしら? とにかく染まってしまったみたいね。X世界の住人がウィル・ウィプスを見たら、圧倒されてしまうと思うわよ。X世界では空を飛ぶ戦艦の類はあまりないみたいだし」
「そういうものかしら。それでもウィル・ウィプスが味方なのは間違いないし、好意的な意見の方が多いと思うけど」
この2人の会話は、正直どっちもどっちだと思う。
頼もしく思う者もいれば、怖いと思う者もいるだろうし。
「ほらほら、その辺にしておきな。……とにかく、エスタルドの件はもうすぐ終わるんだ。今は中央アジアでニュータイプ研究所と接触する事を考えた方がいいだろう?」
その言葉で取りあえずクスコとクリスも言い争いを止める。
「ニュータイプ研究所か。……俺にはあまりいい思い出がないんだがな」
マッシュがポツリと呟く。
マッシュが思い浮かべているのは、UC世界での事だろう。
具体的には、フラナガン機関。
あそこを襲撃したのは俺達だ。
その時、研究所の中で見た光景の中には、胸糞悪いものも多かった。
「マッシュの言いたい事は分かるが、X世界のニュータイプ研究所も同じとは限らないだろう?」
アベルが幼児退行をしていなければ、色々と事情を聞く事も出来たのかもしれない。
だが、そのニュータイプ研究所から来たアベルは、今ではティファを姉だと思い込んでいる。
そんなアベルから情報を引き出す事は出来ないだろう。
あるいは、ティファなら上手い具合に情報を引き出せる可能性もあるが。
自分より背の大きい、明らかに年上のアベルであっても、その心が子供に戻っているからだろう。
ティファは世話を焼いている。
ティファにとっては、自分よりも年下――精神年齢的な意味で――の世話を焼くというのは、恐らく初めての経験だろう。
初めての経験だけに、ティファがそちらに熱中し、結果としてガロードが不満に思っているらしい。
「だと、いいがな。ニュータイプ研究所というだけで何があるのかと思ってしまう。……もっとも、フラナガン機関の件は決して悪い事だけじゃなかったが」
悪い事だけじゃない、か。
それはマリオンの一件だろう。
オルテガにマリオンという恋人が出来たのだ。
もしフラナガン機関を襲撃していなければ、オルテガとマリオンが出会うという事そのものがなかっただろう。
そういう意味では、オルテガとマリオンの出会いはある意味で運命だった訳だ。
そう思っていると、俺の向かいに座っているクスコが潤んだ瞳をこちらに向けてくる。
クスコもまた、マッシュが何について言ってるのかは十分に理解しているのだろう。
「そういう意味では、私にとってもフラナガン機関の存在は悪くないものだったんでしょうね。アクセルに出会えたんだし。研究所では不愉快な思い出の方が多いけど」
「そう言って貰えると、俺としても助かるよ。……それに研究者の中でも人権を無視していたような連中は、同じく人権を無視して農場で強制的に働かされているし」
農奴という表現はどうかと思うが、ある意味で間違ってはいない。
とはいえ、その表現とは裏腹に鞭で叩いて強制的に労働をさせているとか、そういう訳ではないのだが。
きちんと休憩の時間もあれば、食事の時間もあるし、睡眠時間もたっぷりとある。
言ってみれば刑務所的な存在として使っているのだから、当然だが。
……ただ、中にはそうやって農業をしているうちに、本当に農業に興味を持つような者も出て来て、そういう連中は農作業を嬉しそうに行っているらしい。
家庭菜園とかを趣味でやる者も多いし、研究者気質……一度気になればそれに夢中になるというのを考えると、そういう風になるのはそんなに不思議ではないのかもしれないが。
「そうらしいわね。しかもそういう農場から出荷された野菜は、結構な高値で売られているのを見た事があるわ」
クスコが潤んだ瞳を一変させ、複雑な表情を浮かべる。
クスコにしてみれば、自分達を研究していた者達の作った野菜が高級品として売られているのが面白くないのだろう。
とはいえ、買う方にしてみれば機械が……無人機が作った野菜よりも、人が直接作った野菜の方がいいと思ってもおかしくはない。
普通の野菜よりも無農薬野菜の方が高額で人気が高いのと同じようなものなのだろう。
「けど、その研究者達を庇う訳じゃないけど、実際に犯罪者達の農場で作られた野菜は美味しいのよね」
クリスはクスコに悪いと思いながらも、そう言う。
すると食堂にいた何人かも、同じように頷く。
「俺の実家でも農業をやってるけどよ。そういうのを聞くと少し複雑な気分になるな」
ウィッツがその言葉通り、複雑な表情で告げる。
ウィッツにしてみれば、自分の実家がやっている農業という仕事を犯罪者の仕事としている事に、色々と思うところがあるのだろう。
とはいえ、X世界とUC世界では事情が違う。
共にコロニー落としが行われた世界という意味では同じだが、UC世界の場合はコロニーは1基しか落ちていない。
それに比べると、X世界では多数のコロニーが落ちた。
そういう意味で自然環境や生き残った者の食糧事情とか、そういうのが大きく違うのは当然だろう。
もっとも、ウィッツから聞いた話によるとウィッツの地元では周囲一帯が小麦畑となっているらしいが。
つまり、小麦に関しては足りなくなるという事はないんだろう。
……もっとも、そういう場所なので盗賊のバルチャーが食料を求めて襲ってきたりとかもするらしいが。
実際、以前ウィッツとロアビィが休暇を貰った時、そういう盗賊のバルチャーが襲ってきたらしい。
「この世界は15年前の戦争で大勢死んだ。結果として土地は余ってる訳だ。人がいれば、それこそ大規模農園とか普通に作れるんじゃないか?」
何しろ人口の99%が死んだのだ。
土地も……コロニー落としとかで環境的に問題のある場所もあるだろうが、それを抜きにしても大規模農園をやれるだけの場所は多数ある。
だからこそ、ネギま世界の火星と比べてX世界の地球に移住を希望する者を連れてきてもいいかもと思ってるのだから。
「人がいれば、か。……今以上に人が増えたら、一体どうなるんだろうな。ちょっと気になる。色々と面倒がないといいんだが」
ウィッツが面倒そうに呟く。
ウィッツにしてみれば、戦前の世界についての記憶は殆どないのだろう。
つまり、今のこのX世界の状況がウィッツの知っている世界となる。
そんな中で今以上に人口が増え……それこそ今の100倍近い人口になったらどうなるのかといったことが分からないのかもしれない。
「その辺については俺からも何とも言えないな。ただ、俺達が接触した事によってこのX世界は大きく動き始めた。それだけじゃなくて、新連邦という組織が表に出てきたのが大きいだろうし」
このX世界が原作通りだった場合、どのような世界になったのか。
それは分からない。
だが、この世界に俺達が介入した事によって、本来の歴史と違う流れになったのは間違いないだろう。
出来ればX世界の住人にとって、俺達の介入がプラスになればいいんだが。
もっとも、新連邦の者達にとってはシャドウミラーの介入によって間違いなく大きなマイナスとなるだろう。
この世界の原作が具体的にどのようなものだったのかは、生憎と俺は覚えていない。
だが、それでも今までの経験から何となくその流れは予想出来る。
具体的には、フリーデンが新連邦と戦うといった流れになっていた筈だ。
しかし、この世界においてはフリーデンとテンザン級が……そして今となってはオーラバトルシップのウィル・ウィプスが新連邦と戦う事になっている。
それだけではなく、北米連邦という国が出来てそれが世界中で新連邦と戦っているのだ。
しかもアルカディアでは新品のMSを作り、それを新連邦と戦っている国や組織に売っている。
勿論相応の値段となってはいるが、そのアルカディアから購入したMSは新連邦と戦う為の大きな力となっているのは間違いなかった。
今の状況でアルカディアからMSを購入してる国は、南米や南アジアくらいだが。
もう少し時間が経てば、他の勢力も接触してくるだろう。
それが具体的にいつになるのかまでは、生憎と分からないが。
『ウィル・ウィプスの乗員に連絡します。当艦は中央アジアに入りました。いつ新連邦からの攻撃があるか分からない以上、いつ何が起きても対処出来るように準備をしておいて下さい。MS隊は格納庫で待機となります』
トニヤの声が食堂に響く。
いや、食堂だけではなくウィル・ウィプス全体に聞こえているのは間違いないだろう。
「そんな訳で、いよいよ出番だな。何が起きるのか分からない以上、準備をしておいた方がいい」
そんな俺の言葉に、食堂にいた者達が頷く。
とはいえ、何が起きるのかというのを予想するのは難しくはない。
ニュータイプ研究所に所属していたアベルが新連邦のMS隊として南アジアに派遣されていたのだ。
つまり、既にニュータイプ研究所は新連邦に取り込まれている可能性が高い。
ウィル・ウィプスがニュータイプ研究所に近付くと、場合によっては攻撃してくるかもしれないのだ。
もっとも、ウィル・ウィプスの能力……具体的にはオーラバリアを思えば、ちょっとやそっとの攻撃ではダメージを与えることは出来ないが。
もしそうなった場合は、こっちも相応の対処をする必要があるだろう。
具体的にはニュータイプ研究所を占拠するとか、そんな感じで。
そんな風に考えながら、格納庫に向かう。
するとそこには多くのメカニック達が出撃の準備をしている。
中でも目立つのは、改修が終わったばかりのレオパルドデストロイだろう。
見るからに多数の火器を装備しているその外見は、相手を威圧するのに向いている。
ニュータイプ研究所の者達がどういう対応に出るのかは分からないものの、敵対しようと考え、その結果躊躇してもおかしくはなかった。
アベルの件もあるし、出来れば穏便に行きたいところなんだが。
そんな風に考えつつ、俺は空間倉庫からニーズヘッグを取り出す。
格納庫に出しておいてもよかったのだが、そのような事をした場合、キッドが暴走する可能性があった。
それだけならいいんだが、暴走した結果としてエルフや量産型Wに攻撃されるといったことを考えると、キッドの安全の為にもニーズヘッグは空間倉庫の中に収納しておいた方がいいのは間違いない。
ニーズヘッグが現れた事で格納庫にいた多くの者達がざわめくも、俺はそれを無視してコックピットに乗り込むのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788