中央アジアに入って少しの間、ウィル・ウィプスは我が物顔で空を飛んでいた。
最初に新連邦のMS部隊が攻撃をしてきてからは特に襲撃されるような事はない。
……ただ、地上を車で走ってウィル・ウィプスを追ってくるような連中が何人か見えたが。
それらがどのような連中なのか、俺とフリーデン組……X世界でバルチャーとして活動していた者達は理解していた。
情報屋だ。
バルチャーやフリーのMS乗りに対して情報を売る者達。
それこそ北米で行動している時も、それ相応に使った覚えがある。
情報屋にしてみれば、ウィル・ウィプスについての情報は何であろうとも欲しいのだろう。
それこそ中央アジアで活動しているバルチャーにその情報を売ってもよし、新連邦にその情報を売ってもよし。
どのように行動するにしても、ウィル・ウィプスの情報が金になるのは間違いなかった。
だからこそ、情報屋達は必死にウィル・ウィプスを追うのだが……ウィル・ウィプスは最高時速400kmもの速度が出る。
普通に車を使って追い掛けても、とてもではないがついてくる事は出来ない。
……中には一体どういう改造をしてるのか、普通にウィル・ウィプスを追ってくるだけの速度を出している車もあったが。
一体どういう改造をしてるのやら。
とはいえ、そういう改造をしている車であってもずっと動き続けているウィル・ウィプスを追い続けるのは難しい。
ウィル・ウィプスの場合は操舵士がメインのミナトとサブのシンゴがいる。
艦長も普段はマリューがやっているが、いざとなればジャミルやサラに任せる事も出来るのだ。
そういう訳で、ウィル・ウィプスを追うのは難しく……結局のところ、そういうとんでもない車を持っている連中も途中で諦めることになる。
「あれは、諦めたのは間違いないけど、それでも十分に情報が集まったと判断したから離れたというのも大きいわね」
「うわぁ……私が言うのも何だけど、根性あるわね」
ブリッジにおいて、エニルの言葉にトニヤがそう告げる。
普通に考えて、ウィル・ウィプスのような完全に未知の存在についての情報を少しでも入手したら、それを金に換える為に動くというのはおかしな話ではない。
ましてや、少しでも早く他のバルチャーに情報を伝えるという事になれば、その分だけ情報料は高くなるだろうし。
「まぁ、連中も稼ぐ必要があるから必死なんだろう。それに……」
「あ、ちょっと待って。艦長、通信です」
エニルや俺と話していたトニヤは、マリューに向けてそう言う。
通信? この状況で? 一体誰から?
そう思ったものの、まずは通信を受ける必要があると判断したのだろう。
マリューはすぐに口を開く。
「いいわ、映してちょうだい」
その言葉と同時に、映像モニタに1人の女の姿が映し出された。
眼鏡を掛けている中年の女。
『初めまして、北米連邦の方ですね?』
「ええ、そうなるわ。そちらは?」
『私はニュータイプ研究所の所長を務めているカロン・ラットといいます』
ざわり、と。
ブリッジにいる者達がざわめく。
まさかこの状況でニュータイプ研究所の方から接触してくるとは、予想外だったのだろう。
「トニヤ、ジャミルを」
「っ!? そうね」
すぐにトニヤはジャミルを呼ぶ。
マリューがブリッジにいない時にはジャミルがマリューの代わりに艦長を行う。
だがそれは、別にジャミルの地位が低い訳ではない。
何しろジャミルは、北米連邦の代表なのだから。
そうである以上、純粋にこの世界での地位だけで考えれば、ジャミルはウィル・ウィプスで一番偉い事になる。
シャドウミラーはこの世界の組織じゃないし、支店というか出張所というか、支部と表現するのが適切か。
そういう場所であるアルカディアが北米連邦に所属してるので、一応そういう意味でもこの世界ではジャミルは俺よりも地位は上なんだよな。
もっとも、アルカディアそのものは北米連邦の中でも非常に強い影響力を持っているのだが。
何しろ、MSの生産設備があり、新品のMSを……それもドートレス・ネオやバリエントのような、戦後に開発されたMSとか、更には高機動型GXのようにガンダムすら売っているのだから、戦力供給源として強い影響力を持つのは当然だろう。
ましてや、アルカディアはシャドウミラーと繋がるゲートもあり、UC世界のジャブローには及ばないが、結構な規模の地下施設がある。
その上で、何もない場所からフォートセバーンを作り上げたノモアが運営しているのだから、そんな場所が強い影響力を持たない筈がない。
「あら、驚いたわね。まさかそっちから連絡をしてくるとは思わなかったわ」
『何故でしょう? 私達はニュータイプを研究している民間の組織です。未知の技術を……異世界の技術を持つという北米連邦と接触したいと思うのは当然かと』
「その割には、私達が中央アジアに入ってからすぐ、新連邦のMS隊に攻撃されたわよ?」
そう言い、意味ありげな視線をカロンに向けるマリュー。
だが、カロンもニュータイプ研究所の所長をしてるだけあって、それを聞いても動揺したりといった事はない。
『そう言われましても。先程も言いましたが、このニュータイプ研究所はあくまでも民間の企業です。新連邦が動いたと言われましても……困ります』
「その割には、南アジアでの戦いにおいて、ニュータイプ研究所から派遣されてきた人達と戦う事になったのだけれど?」
『それは……何度も言うようですが、私達は民間の企業です。そうである以上、新連邦に力で脅されれば、逆らうといった真似は出来ませんので』
なるほど。さっきから妙に民間という言葉を使ってるかと思えば、これが狙いか。
あるいはカロンの言ってる話が真実という可能性もあるが……何となく、本当に何となくだが、恐らく違うと思う。
これは念動力でも何でもない、単純な俺の勘なのだが。
「そう。……まぁ、その件については分かったわ。それで? 私達に接触してきた理由は何かしら? さっき言っていたように、未知の技術に興味があったというのは本当なのかしら?」
『はい。勿論です。貴方達が乗っているのは……このX世界においては、信じられない存在です。航空力学を完全に無視しているようなその空中戦艦……と呼んでもいいのかどうか分かりませんが、それは一体何なのでしょう?』
「これはオーラバトルシップ、ウィル・ウィプスよ」
あっさりと……本当にあっさりとウィル・ウィプスの名前や種別を教えるマリュー。
もっとも、カロンがそれを聞いたところで、オーラバトルシップというのが何を意味してるのかは分からないだろう。
あるいはオーラバトルシップのオーラという単語から何かを連想するかもしれないが。
『オーラバトルシップ……ですか? それはやはり異世界の技術で作られた軍艦という認識でいいのでしょうか?』
「そうね。それは間違いないわ。とはいえ、これ以上の情報はそう簡単に渡せないけどね。例えば、オーラ力で動くオーラコンバータとか……あら、ごめんなさい。少し情報を漏らしてしまいましたね」
そう言い、笑うマリュー。
ミスとかではなく、明らかに今のはわざとだろう。
未知の技術について少し匂わせる事によって、相手の興味を引こうとしたのだろう。
実際、それは間違いではない。
それを示すように、今のマリューの言葉を聞いたカロンは真剣な……というか、映像の向こうから掴みかかってきそうなくらいの表情を浮かべているのだから。
『オーラ力? オーラコンバータ? それは一体何なのですか?』
「あのねぇ、色々と知りたいのは分かるけど、だからといってこちらの情報をただ一方的に貰うだけでいいの? 残念ながら、私はそのような相手と取引をしたいとは思わないわね」
『……何を知りたいのですか?』
マリューの言葉でカロンも我に返ったのか、数秒の沈黙で自分を落ち着かせてからそう尋ねてくる。
「そうね。色々と話をしたいところではあるけど、生憎とそれについては私じゃなくて……来たみたいね」
マリューのその言葉と同時に、ブリッジの中にジャミルが姿を現す。
「遅れたか?」
「いいえ、ちょうどいい時間よ。……カロン所長、彼がジャミル・ニート。北米連邦の代表よ。何か交渉があるのなら、彼と交渉するといいわ」
『ジャミル・ニート……』
ジャミルの顔を見たカロンが、その名前を呼んで沈黙する。
無理もない。
ジャミルは旧連邦軍においてはプロパガンダに使われていた。
恐らくは旧連邦軍の中で一番有名だったニュータイプなのだから。
ニュータイプ研究所の所長をしてるカロンが、そんなジャミルの事を知らない訳がない。
あるいはカロンの年齢的に、戦争中にジャミルと直接会った事がある……という可能性もあるのか。
ジャミルの様子を見る限り、カロンの事は知らないようだったが。
「そうだ。私がジャミル・ニートだ。貴方は?」
『私はニュータイプ研究所の所長、カロン・ラットよ。まさか貴方に会えるとは思わなかったわ』
そう言うカロンだったが、曲がりなりにも新連邦と協力をしていたのなら、ジャミルが俺達と行動を共にしてるのは分かっている筈だ。
勿論、組織を率いる者が最前線で戦うというのはナンセンスだ。
新連邦で言えば、ブラッドマンが最前線で戦っているようなものだ。
それも最前線で指揮を執っているのではなく、ブラッドマンがMSに乗って敵と戦っているという、本当の意味での最前線。
「今は北米連邦の代表という地位にいるが、元々私はニュータイプを保護する為にバルチャーを行っていたのだ。ニュータイプ研究所に行くという以上、私がそれに同行するのはおかしな話ではないと思うが?」
『そうですね。言われてみればそうかもしれませんが、普通なら誰か人をやるか、あるいは自分達のいる場所に来るように言うのでは?』
そう言うカロンの様子に、新連邦とニュータイプ研究所との関係が何となく予想出来る。
とはいえ、別にそれはそうおかしな話ではない。
寧ろカロンが口にするように、普通に考えればそれが一般的なのだ。
だとすれば、俺達はかなり向こうに配慮をしている形となっている。
向こうがそれを許容するかどうかまでは分からないが。
「新連邦とは違うかもしれんが、これが私のやり方だ。……それで、ニュータイプについて色々と話を聞かせて欲しいのだが、構わないか?」
『ええ、勿論。ただ……それとは別に、出来ればその異世界の技術で作られたという軍艦を見せて貰う訳にはいかないでしょうか?』
「ふむ」
ジャミルは悩んだ様子を見て、俺に視線を向けてくる。
このウィル・ウィプスはシャドウミラーの……もっと言えば、俺個人の物と言ってもいい。
だからこそ、ウィル・ウィプスの技術を知りたいというカロンの言葉に、ジャミルの一存で返事を出来なかったのだろう。
「構わない。詳しい情報を教える事が出来るかどうかは分からないが、見学をするくらいなら問題はない」
『今のは……?』
向こうの映像モニタからでは、俺のいる場所は見えないのだろう。
カロンの戸惑った様子の声が聞こえてくるものの、ジャミルはそれに構わずに口を開く。
「見学だけなら構わないそうだ。……ただし、これは念の為に言うのだが、このウィル・ウィプスには無人機が多数使われている。もし何らかの怪しい行動をした場合、最悪の結果となる可能性もある。それでも構わないのなら、だが」
『無人機ですか。そう言えば新連邦のMS部隊がそのような相手によって大きな被害を受けたとか』
既に新連邦との関係を隠すつもりはないらしい。
ちなみにカロンが言ってるのは、恐らくノーザンベルの首都を攻撃しようとしてメギロートやバッタに遭遇し、全滅した部隊の事だろう。
何機かはメギロートやバッタも落とされていたので、もしかしたらそれらの残骸はニュータイプ研究所に持ち込まれたのかもしれないな。
もっとも、メギロートもバッタもX世界とは技術系統が全く違う。
もしニュータイプ研究所で必死になって解析しようとしても、そう簡単にどうにかなったりはしないだろう。
ましてや、メギロートとバッタは共に無人機だが、同時にそれぞれ違う世界の機種でもある。
メギロートはOGs世界の、バッタはナデシコ世界の無人機となる。
そうである以上、無人機の2つもまた技術系統が違うという事になる。
それを同じ系統の技術であると考えると、余計に混乱する事になるのは間違いないだろう。
「無人機は北米連邦を構成するシャドウミラーにとって、大きな力となる。新連邦にとっては、厄介な敵だっただろうな」
ジャミルの言葉は正解だが間違ってもいる。
バッタはともかく、メギロートはかなりの高性能機だ。
だが、それでもバリアの類がある訳でもないので、倒せない訳でもない。
ましてや、このX世界ではビームライフルが普通に使われているのだ。
命中すればダメージを与えられる以上、厄介な敵ではあるが、倒せない訳でないのは明らかだった。
『詳しい話も聞きたいですし……ニュータイプ研究所に来て貰えないかしら?』
カロンのその言葉に、ジャミルは頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788