ジャミルはニュータイプ研究所の所長のカロンからの招待に頷く。
ジャミルにしてみれば元々ニュータイプ研究所に行く予定だったのだから、ここで招待を受けないという選択肢はないのだろう。
そんな訳で、現在ウィル・ウィプスはカロンから聞いた座標に向かって進んでいた。
「けど、新連邦と手を組んでいる以上、本当にこっちと友好的に接するとは限らないだろ?」
会議室で一連の事態の説明が行われ、それを聞いたウィッツがそう主張する。
実際、その主張は決して間違っている訳ではない。
カロンにしてみれば、俺達……というか、ウィル・ウィプスがかなり興味深いのは間違いないだろう。
だが、だからといって本気でこっちと手を組むかと言われると、俺も素直に頷く事は出来なかった。
何らかの確信があってそう判断する訳ではない。
あくまでも、あのカロンという相手を見ての感想だ。
もしかしたら、俺の勘が外れて実はカロンは本当に北米連邦と手を組もうと考えている可能性もある。
この辺は新連邦と北米連邦では、北米連邦の方が戦いを有利に進めているからというのが大きい。
勿論、地球全体で見た場合は違うのかもしれないが、それでも南アジアでの一件はどこからどう見ても、間違いなく北米連邦の勝利だ。
そうである以上、今まで新連邦と組んでいたニュータイプ研究所が北米連邦に乗り換えるという選択をする可能性は否定出来ない。
それならそれで構わないが、あまりいい気分がしないのも事実。
「けどさぁ、もしニュータイプ研究所がこっちを騙してウィル・ウィプスを入手しようとするとして……どうやるのさ?」
「ぐ……」
ロアビィの言葉にウィッツが何も言えなくなる。
実際、ウィル・ウィプスの中には量産型Wやコバッタがいる。
また、エルフ達もいるし、カトック達歩兵もいる。
……ニュータイプ研究所がウィル・ウィプスを制圧しようとしても、生身でどうこうするのは難しい。
なら、MS戦か?
そうも思うが、ウィル・ウィプスが有しているMSはどれもがガンダムで高性能機だ。……ニーズヘッグはガンダムではないが。
ウィル・ウィプスを制圧するのは、まず無理だろう。
GX……いや、DXを新たに製造してツインサテライトキャノンとかで狙ってくるとかされれば分からないが。
もっとも、ウィル・ウィプスは強力なバリアであるオーラバリアを持つ。
ツインサテライトキャノンは……どうだろうな。
防げるかどうか、微妙なところだが。
「ともあれ、向こうが招待してくれたんだ。ニュータイプ研究所に行ってみれば向こうがどう動くのかも分かりやすいだろ」
ラスヴェートのデータにニュータイプ研究所の座標はあったので、別に招待されなくても行く事は出来ただろう。
だがその場合、ニュータイプ研究所が大人しく俺達を受け入れてくれるかどうかは分からなかった。
場合によっては戦いになっていた可能性もあるだろう。
勿論戦いになっても俺達が負けるといった事はないだろうが、それでも戦いが起こらずに接触出来るのならそっちの方がいいのは事実。
「向こうがどう動くにしても、騒動になるのは間違いないと思うけどね」
そう言い、笑うエニル。
何らかの確信を持ってるかのような発言に、話を聞いていた何人かが不思議そうな視線を向ける。
「なぁ、エニル。何でそう思えるんだ?」
「ガロードみたいに人生経験が足りないと……いえ、他の人でも分からないと思うけど、あのカロンという女は内心と表に出る態度では、明らかに違うのよ」
「だから、何でそう思えるのかって聞いてるんだよ」
「女の勘……かしら?」
そう言った時、話を聞いていた者の多くが当てにならないといったような表情を浮かべる。
だが、そんな中で俺は違う。
千鶴を筆頭に、俺の恋人の中には女の勘で俺が何を考えているのか悟る奴が多いのだから。
寧ろそれは女の勘ではなく、俺の内心を読む能力を持ってるのではないかと思える程に。
もしかしたら単純に顔に出やすいだけかとも思ったが、戦いの中で今までそのような事はなかったので、多分違うと思う。
「何かと思えば、勘かよ」
呆れた様子のガロードだったが、そんなガロードに向かってエニルは笑みを浮かべてから口を開く。
「ガロードはこう思ってるようだけど……シーマはどう思う?」
「何でそこで私に振るんだい?」
「この中で人生経験が豊富だと思ったからだけど?」
「……それ、もしかして年を食ってるって言いたいんじゃないだろうね?」
シーマの視線が厳しくなる。
まぁ、実際シーマは年齢としてはかなり上だ。
外見からはそうは見えないし、今となっては時の指輪の受信機によって不老になっている。
だが、それでもシーマにとって年齢というのは気になるところなんだろう。
もっとも、シャドウミラーに所属している者はよっぽどの変わり者でもない限り、時の指輪の受信機を身に付けており、不老となっている。
そして魔法球とかを使う事も多いので、年齢という点では外見年齢とかも当てにならなくなるんだが。
「そんなつもりはないわよ。ただ、シーマは色々と苦労をしてきたと言っていたでしょう? そういう意味での人生経験よ」
どうやらシーマはエニルに自分の事を話していたらしい。
もっとも、シーマの件については別に隠されている訳ではないのだが。
それどころか、UC世界の月に行けば、かなり詳細な部分まで知る事が出来る。
何しろシーマは、女王のセイラとは別の意味でルナ・ジオンの象徴とも言うべき存在なのだから。
また、UC世界からの情報はホワイトスターにも入ってきている。
ルナ・ジオンがシャドウミラーの下部組織的な存在であるのもそうだが、それ以上に今までシャドウミラーが接触してきた世界とは比べものにならないくらい、シャドウミラーからの持ち出しの多い世界だから、というのも影響してるのだろう。
その辺りの関係もあって、ホワイトスターに行けばUC世界の情報を入手するのは難しくない。
そしてエニルは以前何度かホワイトスターに行っているのだから、その時にシーマについての情報を知ってもおかしくはなかった。
「ふんっ、まぁ、いいけどね。……あのカロンという女についてだったね。それについては私もエニルの意見に賛成するよ。表面上と内心ではかなり違うだろうね。……劣化版キシリアといったところか」
その言葉に納得してしまう。
なるほど、キシリアか。
もっとも劣化版とついてるように、カロンにそこまでの能力はないのだろうが。
いや、それも当然か。
キシリアは野心が強い女だが、能力という点では普通に高いのだから。
それは1年戦争での行動を思えば明らかだろう。
ましてや、デギンもギレンもドズルも死んだのに、キシリアは生き残っている。
……ザビ家という事であれば、ガルマも生き残っているのだが。
それにドズルを殺したのは、結局俺だしな。
ザビ家とはそれなりに因縁があったりする。
とにかくキシリアは1年戦争で生き延びており、現在は恐らく火星にいると思われる。
この辺はまだしっかりと確認している訳ではないが、火星のテラフォーミングを行っているのが突撃機動軍に所属していた連中だというし、多分間違いはないだろう。
そんなキシリアと比べると、カロンはやはり小物になるか。
「小物のキシリア。……そう考えると、ニュータイプに強い拘りを持ってるところもキシリアに似てるのかもしれないな」
フラナガン機関は、キシリアの指示で作られたものだ。
そしてカロンはニュータイプ研究所の所長。
そういう意味では、2人が似てるというのは決して間違ってはいないと思う。
「そのキシリアというのがどういう人なのかは分からないけど、カロンが素直に信じてもいい相手じゃないと理解出来て貰えたのなら、それでいいわ」
シーマの事情を知っているエニルも、どうやらキシリアについては知らなかったらしい。
UC世界において、キシリア・ザビというのはかなり有名なんだが。
具体的には、指名手配犯的な意味で。
連邦軍にしてみれば、ジオン公国が起こした戦争の罪はザビ家の者に押し付けたい。
だが、デギン、ギレン、ドズルは既に死んでいる。
現状で残っているのはガルマとキシリア、ミネバの3人だけだ。
いや、ミネバの母親はドズルの妻という事は、一応ザビ家の一員になるのか?
どのみちミネバと共に姿を消してるので、連邦軍には見つけられないが。
それに子供……いや、赤ん坊やドズルの妻でもザビ家に嫁いできた女で、血筋的に別であるのを考えれば、そういう人物に罪を償わせるといった真似は色々と難しいだろう。
秘密裏に処刑をするといった事は出来るかもしれないが、それでは意味がない。
明確にザビ家の者を裁いたというのを公にする必要があるのだから。
そしてガルマは、俺に助けられた事もあってシャドウミラーと関係が深く、俺達と敵対したくない連邦としては手が出せない。
ただでさえ連邦は1年戦争の影響で復興をしないといけないのに、そんな中で異世界のからの存在である俺達と争いたいとは思わないだろう。
そんな訳で、UC世界の連邦にとってキシリアは可能なら捕らえて裁判をし、公の場で裁きたいと思う相手だった。
「とにかく、カロンが何を考えてるにせよ、こっちが油断しなければいい。向こうがフラッシュシステムを使ってビットMSを運用してくると厄介かもしれないが……現在のニュータイプ研究所にビットMSを使用出来るだけのニュータイプがいるとは思えないしな」
そんな風に、カロンを相手に……そしてニュータイプ研究所を相手に、油断をしないようにするという事で意見は一致するのだった。
「これは、また……本当にここか?」
「ええ。アベルのMSにあった座標や、カロンからの通信で教えて貰った座標は間違いなくここよ」
「いや、だが……ここって……」
マリューの言葉に、改めてウィル・ウィプスのブリッジにある映像モニタに表示されている光景を見る。
そこにあるのは、岩山とでも呼ぶような巨大な岩だ。
自分でも戸惑うような声を上げるのが分かるが、そんな俺に対してマリューは少し驚いているものの、口を開く。
「アルカディアの事を思えば、そう不思議じゃないでしょう? ……新連邦とは関係ない、民間でこれだけの地下施設を用意したのは凄いと思うけど。あるいは私達がアルカディアを使ってるように、旧連邦の施設を再利用してるのかもしれないわね」
「ああ、なるほど。そういう流れか」
確かにアルカディアの件を考えると、旧連邦はその手の技術が発達していたのはおかしな話ではない。
それにゾンダーエプタも人工島だというし。
ちなみにこのゾンダーエプタ、少し前に新連邦に襲撃をされたらしい。
いやまぁ、新連邦にしてみれば自分達が使っていた基地を取り戻そうとしたんだから、当然だろうが。
それに北米に攻撃をするにも、拠点となるような場所は必要だ。
改めてどこかに新しい基地を建設するよりも、今あるゾンダーエプタを取り戻して再度自分達で使った方がいいと考えるのはおかしな話ではない。
結局メギロートやバッタによってあっさりと撃退されたらしいのだが。
ただ、ゾンダーエプタに攻撃を仕掛けて来たという事は、もしかしたらセインズアイランドにも攻撃をしてくる可能性があるという事で、マイルズ達はかなり神経質になってるらしい。
何かあったら北米連邦から援軍が向かうので、そこまで問題はないと思うが。
「艦長、ニュータイプ研究所から連絡です」
トニヤもマリューを艦長と呼ぶのに、今はそこまで抵抗がなくなったらしい。
最初はトニヤにとってはマリューではなくジャミルが艦長だったのだが。
そういう意味では、ウィル・ウィプスでの行動に慣れてきているという事だろう。
「出してちょうだい」
マリューの指示により、カロンの姿が映像モニタに表示される。
キシリアの劣化版か。なるほど、言われてみれば納得出来そうだな。
離れた場所から見ながらが、エニルの言葉を思い出す。
『お待ちしておりました。ようこそ、ニュータイプ研究所へ』
「そう言って貰えると嬉しいけど、岩山があるようにしか思えないのだけど? どうやって中に入ればいいのかしら?」
『その件ですが、ニュータイプ研究所は機密を守る為に入り口はMSが入れるような場所しかありません。なので、ウィル・ウィプスがそのまま入るのは難しいかと』
嘘だな。
何かの確証がある訳ではないが、カロンのその言葉にそう思う。
ニュータイプ研究所が新連邦と繋がっているとすれば、MSだけではなく陸上戦艦や輸送機とかを研究所の敷地内に入れるといった事も必要になるだろう。
特にあの防御力に特化したMSの巨大さを考えれば。
……とはいえ、別にMSはニュータイプ研究所で開発する必要もないのかもしれないが。
「アクセル、どうするの?」
「向こうが何を考えてるのか分からないが、こっちから罠に嵌まってやろう。罠は噛み千切ってやればいい」
そういう俺の言葉にマリューは頷き、カロンに了承の返事をするのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788