カロンの車が入っていったのは、この地下空間の中でも一番立派なビルだった。
ここ……ニュータイプ研究所の所長なのだから、そういう意味ではおかしくないのかもしれないが。
そうして車を止めると、待機していた職員達によって俺達はとある部屋に案内される。
既にそこにはカロンが待っていた。
「こう言うのもなんですが……改めて、ようこそニュータイプ研究所へ。どうかしら? ジャミル代表にしてみれば、少し驚くところもあるのでは?」
「そうだな。私が知ってるニュータイプ研究所は相応の大きさを持っていたが、それでもこれ程ではなかった。15年前の戦争が終わって縮小するのならまだしも、こうして発展してるのは驚いたな」
これについては、俺もジャミルの意見に素直に同意する。
俺が今まで見てきたX世界の中で、一番発展していたのはエスタルドとかだった。
セインズアイランドも相応に発展はしていたものの、エスタルドとかは曲がりなりにも国として活動していたのだから。
しかし、それでも高層ビルの類はなかった。
それと比べると、この地下空間の中には高層ビルと呼んでも間違いではない建造物がある。
それも1つや2つではなく、複数。
小国とはいえ、国として首都があり、他にも村や街があるエスタルドと、面積という点では決してそこまで広い訳でもないこのニュータイプ研究所。
どちらが発展してるのかと言えば……やっぱりこちらを選ぶだろう。
個人的にはアルカディアの地下はこういう形態の方がよかったとすら思える。
もっとも、こういう形態だと陸上戦艦はそう簡単に中に入るような事が出来なくなってしまうのだが。
「そう言って貰えると嬉しいわ。もっとも、既に予想はしてるでしょうけど、この地下空間そのものは旧連邦軍が用意していたものよ」
「やはりか」
「あら、やっぱり予想していたのね」
特に驚いた様子もなく頷くジャミルに、カロンは少しだけ残念そうな様子を見せる。
自分の言葉でジャミルが驚くのを見たかったといったところか。
「ゾンダーエプタや、それこそアルカディアを知っていたからな」
そう言うジャミルに納得した様子を見せるカロンだったが。ちょうどいいタイミングではあるか。
「ゾンダーエプタで思い出したんだけど、あの辺りの海に沈んでいた軍艦の中からLシステムというのを見つけたんだが、それについて何か知ってるか?」
その言葉に、カロンは一瞬きょとんとした表情を浮かべ……
「Lシステム? ちょっと待ってちょうだい。確か以前何かで聞いた覚えがあるけど……」
そう言い、何かを思い出すような仕草をする。
これはちょっと驚きだった。
カロンの今の様子は、演技には思えない。
本当に聞き覚えのある言葉を思い出そうとしているようだった。
Lシステムはニュータイプのルチルを使ったシステムだ。
そうである以上、ニュータイプ研究所の所長をしているカロンが知っていてもおかしくはないと思うんだが。
だというのに、この様子を見ると……
もしかしたら、Lシステムはそこまで大きな計画ではなかったのか?
ニュータイプ研究所から関わっている者も少なかったとか。
けど、Lシステムの効果は強力無比だ。
敵味方問わずという点が問題だが、機械を動けなく出来るというのは非常に大きい。
敵味方問わずということなら、こっちの戦力は少ない状況で、そして敵の戦力は多い状況でLシステムを使えばいいだけだ。
そうなると、場合によっては敵に致命的な被害を与える事も出来るだろう。
もしくは、敵の首都までLシステムを運び込む事が出来れば、もっと直接的に敵の首都を行動不能にしたりも出来る。
そんな強力無比なLシステムの開発に、ニュータイプ研究所から人がほとんど出ていなかったというのは、ちょっと考えにくい。
だが、カロンの様子を見ると俺の予想はそう間違っていない可能性があった。
「ああ、思い出した。Lシステムね。……戦前に開発していたという話を聞いた事があるわ。ただ……詳細はまだ分からないわね。それを開発した研究者は、戦争で死んでしまったし」
「……死んだのか?」
ルチルから、Lシステムの開発者を出来れば見つけてきて欲しいと言われていた。
しかし、カロンの言葉を信じるのなら、もう既に研究者は殺されているという。
「ええ、その……」
そこで一旦言葉を切ったカロンは、一瞬ジャミルに視線を向けてから口を開く。
「コロニー落としの時の混乱で」
「その話を聞く限りだと、Lシステムの開発者は1人なのか?」
「どうかしら。そこまで詳しい事情は分からないけど、生き残ってないのは間違いないでしょうね」
そう言うカロンだが、その言葉を信じてもいいのかどうか。
この様子からすると、まさかカロンがLシステムの開発者という事はないと思うんだが。
「そうか。Lシステムについては少し話を聞きたかったんだが、残念だ。もし後で実はニュータイプ研究所の中にLシステムの開発者が生き残っていると判明したら教えてくれ」
「それは……構わないけど、さっきも言ったように開発者は死んでるのよ? 実は開発者が生きてましたという事はないと思うけど」
「あくまでも可能性だよ。それに表向きはLシステムに関わっていなかったが、実は裏で協力していたとか、そういう奴がいる可能性は十分にあるだろう?」
これは一応カロンに対する配慮だ。
カロンが本当にLシステムの開発者を知らないのかどうかは分からないが、もしかしたら知っていながら隠しており、それを表情に出さないようにしてるという可能性もある。
また、本当に俺が口にしたように、表には出てなかったものの、Lシステムに関わっていた者がいる可能性は十分にある。
Lシステムは、それだけ大きな効果を持つシステムだったのだから。
「その可能性は皆無とは言わないけど」
ともあれ、Lシステムの件はこれで取りあえず終わった。
そうなると別の話題になり……
「カロン所長、現在このニュータイプ研究所において、ニュータイプ候補はどのくらいいるのか教えて貰えるだろうか?」
尋ねるジャミルだったが、カロンは即座に首を横に振る。
「申し訳ありませんが、その件については機密です」
「……新連邦には協力をしているのに、こちらには協力しないと?」
そう言うジャミルの言葉は相手を威圧するような色がある。
無理もないか。
ジャミルにしてみれば、このニュータイプ研究所にいるのは自分が保護すべき相手という風に認識しているのかもしれないのだから。
元々ジャミルは、ニュータイプを保護するのが目的だった。
それが何だかんだとあって北米連邦の代表をする事になったが、それでも当初の目的は忘れていない。
これがただのバルチャーなら、良くも悪くもそこまで強い影響力はなかっただろう。
いや、バルチャーをやっていた時のジャミルの影響力は十分にあったが、それはあくまでもバルチャーとしてのものだ。
今のジャミルは北米連邦の代表である以上、その影響力は強い。
それが知らず知らずのうちに、ジャミルの言葉に強い力を与えているのかもしれないな。
「そ……そのように言われても、こちらはあくまでも民間企業ですから」
そんなジャミルの迫力に押されたのか、一瞬言葉に詰まったものの、それでもカロンは必死になって言う。
「最悪の場合、北米連邦と敵対する事になるかもしれない。それでもこちらに協力をしないと?」
「脅し、ですか?」
「いや、脅しではない。十分に有り得る未来だ。……カロン所長。率直に言わせて貰おう。私はこのニュータイプ研究所において、ニュータイプ候補達が非人道的な扱いを受けているのではないかと思っているのだ」
そう言った瞬間、カロンが僅かに反応した。
これは……どうやら当たりか?
もしジャミルの言葉に心当たりがないのなら、即座にそんな事はないと言えばいい。
そのような真似をしなかったというのは、ジャミルの言葉に思い当たるものがあったのだろう。
「知っての通り、私は戦前ニュータイプとして旧連邦に利用されてきた。だが、それによって起きた被害の大きさも知っているし、それによって私が受けた衝撃も大きい。だからこそ、私と同じような経験をさせたくはない。未来ある子供達には特にな」
それって、アベルのように子供じゃない相手はいいのか?
一瞬そう思ったが、揚げ足取りでしかないと判断し、それについて突っ込むのは止めておく。
大人なら大人で、子供と違って自分から望んで……という可能性もあるし。
あるいはニュータイプ研究所で被検者となれば、取りあえず餓死するといった事はない。
それを目当てに被検体となるような者もいるかもしれない。
もっとも、自分が被検体になりたいからといって被検体になれるとは限らないが。
人工ニュータイプなら、オールドタイプ――この表現がX世界でも通じるのかは微妙だが――を人工的にニュータイプにするので、需要はあるだろうが。
あ、そうだ。この件も聞いておかないとな。
ジャミルとニュータイプについて話しているカロンに向け、口を開く。
「フォートセバーンでフロスト兄弟という新連邦の連中に人工ニュータイプのデータを奪われたんだが、このニュータイプ研究所では人工ニュータイプの研究はしてるのか?」
「フロスト兄弟……カテゴリーFのシャギア君とオルバ君かしら? それにしても、人工ニュータイプ? いえ、そういうのは全く知らないけど」
今の一言で結構な情報が入っていたな。
まず、カロンがフロスト兄弟を知っている事。
フロスト兄弟がカテゴリーFと呼称される何らかのグループに入っている事。
ニュータイプ研究所であるにも関わらず、どうやら人工ニュータイプのデータはここに持ち込まれていない事。
特に最後のは疑問だ。
もし人工ニュータイプを作るにしても、それを行うにはニュータイプについて詳しい者が行った方が成功率はいい筈だ。
元々人工ニュータイプにする為の手術や投薬の類は、そう簡単に出来る物ではないのだから。
だからこそ、それを行う者は誰でもいいという訳ではないのだ。
「新連邦と協力している割には、向こうから人工ニュータイプについてのデータを貰ってないのか?」
その言葉に、少し面白くなさそうな表情を浮かべるカロン。
こうしてすぐに自分の感情を表情に出す辺り、やっぱりキシリアには及ばないよな。
「そもそも私達が行っているのは本物のニュータイプの研究よ。人工ニュータイプなどという、人の手で作るような存在ではないわ」
本当にそう思っているのか、それとも意地になってそう言ってるだけなのか。
それは俺にも分からなかったが、何となく……本当に何となく後者のような気がするな。
そう思うのは、UC世界での件を知ってるからか。
フラナガン機関においても、基本的にはカロンが言うように天然のニュータイプについて研究をしていたが、そのデータの中には手術や投薬によって人工的にニュータイプを作ろうしていたようなものもあったし、連邦軍の中で俺が鹵獲したペイルライダーに乗っていたクロエも、手術や投薬を行われていたらしい。
もっとも後者は別に人工ニュータイプを作ろうとした訳ではなく、ペイルライダーを使いこなせるようにする為のものだったらしいが。
「話は分かった。ニュータイプ研究所では人工ニュータイプに興味がないというのもな。……それで、カテゴリーFというのは?」
「ニュータイプのような能力を持っているけど、ニュータイプではない……フラッシュシステムに対応していない存在よ。出来損ないやニュータイプもどきと言ってもいいわ」
あっさりとそう言うカロン。
どうやらカテゴリーFという単語について、特に何か思うところはないらしい。
あるいは以前はそうだったのかもしれないが、今はカテゴリーFという単語を使いすぎて、特にどうとも思わなくなってしまったのか。
その辺りは俺にも分からないが、被検者にとってそれが面白くないのは間違いないだろう。
恐らく、フラナガン機関にいた被検者達が研究者を憎んでいたように、このニュータイプ研究所の被検者も自分達をカテゴリーFという枠に当て嵌めたカロンを始めとする研究者を憎んでるんだろう。
あくまでもこれは俺の予想で、実際には違うかもしれないが。
「このX世界では、フラッシュシステムに対応するのが旧連邦や新連邦のニュータイプの定義だったな」
「ええ。……ちょっと待ってくれる? 今の言い方だとニュータイプは他の世界にもいると、そのように聞こえたのだけど」
鋭いな。
今の俺の言葉で、そういう風に認識出来るところがあったか?
そう思うも、研究者独特の勘でそのように思ってもおかしくはない、か。
ジャミルに視線を向けると、微かに頷く。
どうやらジャミルも、もう少し餌を与えた方がいいと考えたらしいな。
「そうなる。他の世界にもニュータイプと呼ばれる存在がいるのは事実だ」
あっさりとそう告げる俺の言葉に、カロンは息を呑むのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788