魔法についての調査は、結局何も分からないという事が分かったという結果になった。
考えてみれば当然の話だが。
このニュータイプ研究所にある検査機器は、あくまでもニュータイプについて調べる為のものだ。
もっと言えば、科学的なものを調べる為のものと言ってもいい。
だが、魔法で必要になるのは魔力だ。
あるいは魔力ではなく気を操る者もいるが、そんな気や魔力はこのニュータイプ研究所にある調査機器の類では把握出来ない。
結果として、実際に魔法が行われているという記録は残せたものの、具体的にその魔法がどのようにして行われているのかというのは、分からなかった。
……それ以外にも、映像モニタ越しに見た刈り取る者が持つ不気味な、そして圧倒的な迫力によって、これ以上調査をするのが難しくなったというのもあるのかもしれないが。
ともあれ、そんな訳で最初の会談については終わったのだが……
「本当にいいのですか? 私達の研究所では快適な生活を保証しますけど」
カロンが残念そうな様子でそう言ってくるが、ジャミルがその言葉に頷くような真似はしない。
「いや、色々と指示を出したりする必要もあるし、このニュータイプ研究所において知った事を他の者達にも説明しておきたいのだ」
ジャミルのその言葉に、カロンは反論出来ない。
実際に色々と話す事があるのは事実なのだから、当然だろう。
……また、ニュータイプに対する警戒が完全になくなった訳でもないというのもあると思う。
もしニュータイプ研究所に泊まった場合、食事の中に毒が入るとか、そういう風になるかもしれないという思いがあるのだろう。
劣化キシリアと言われたカロンの性格を考えれば、そんな風に警戒してもおかしくはない。
俺の場合は毒とかそういうのは効かないが、ジャミルやサラの場合は普通にそういう奴の効果があるし。
ジャミルやサラに毒を盛り、抵抗出来ないようにして人質にする……そんな事をしてきても、全くおかしくはない。
勿論、そういう真似をすれば俺を敵に回すという事になるのは向こうも分かっている筈だ。
魔法という、カロン達にとって全く理解出来ないものを使う俺を敵に回す危険性は十分に理解している以上、そんなリスクを負うとは限らない。
そう考えるとジャミルの考えは慎重すぎると思ってもおかしくはないのだが……ジャミルにしてみれば、そこまでニュータイプ研究所にいる者達を信じられないという事なのだろう。
「分かりました。では、これ以上は言いません。……その代わりと言ってはなんですが、ウィル・ウィプスでしたか。その見学をこれから行っても構いませんか?」
「……これから? それは今すぐこれからと、そういう意味だろうか?」
まさかジャミルもカロンがこんな風に言ってくるとは思っていなかったのか、驚いた様子で尋ねる。
だが、そんなジャミルにカロンは特に何かを感じた様子もなく、素直に頷く。
「ええ、これから。異世界の技術は、少しでも見たいので」
カロンのその言葉に、ジャミルは俺の方を見てくる。
どうする? と、そう聞いているのだろう。
さて、どうするか。
少し考えたが、カロン達もこのような状況で妙な真似はしないだろうと判断して頷く。
俺の頷きを見たジャミルが、少しだけ意外そうな様子を見せつつも、やがて頷く。
「分かった。では、これからウィル・ウィプスを案内しよう。それで、どのくらいの人数を連れていくのか聞いてもいいか? まさか、ニュータイプ研究所にいる全員といった訳にはいかないだろう」
「そうね。……10人くらいでどうでしょう?」
「分かった。では、すぐに準備を」
ジャミルも10人くらいなら問題ないと判断したのか、あっさりと許可を出す。
……実際、ウィル・ウィプスの中には量産型Wやコバッタが大量にいる。
そうである以上、カロン達が何か妙な事を考えていても、成功する可能性はかなり低いだろう。
恐らくは問題ないだろうと思っていると話が決まり、ニュータイプ研究所からウィル・ウィプスに向かうのだった。
「これが、ウィル・ウィプス……外から見た時もそうでしたが、巨大ですね」
ウィル・ウィプスの格納庫に入った車から降りたカロンは、周囲を見回してそう言う。
実際、そのカロンの言葉は間違っていない。
フリーデンは勿論、陸上戦艦の中でも最大の大きさを持つテンザン級と比べても、ウィル・ウィプスの格納庫は巨大なのだから。
テンザン級とフリーデンのMS部隊が全て入り、その上で更にメギロートやバッタも結構な数を収納出来るのだから。
しかも格納庫にはカタパルトデッキまである。
他の者達……カロン以外に15人もいる研究者達も、ウィル・ウィプスの中を見て驚いていた。
最初はカロンを入れて10人だった筈が、研究者達は絶対に自分もウィル・ウィプスを、異世界の技術の塊を見たいという者が続出し、結果としてカロンはジャミルに借りを作る形で人数を増やして貰ったのだ。
勿論、車もその分増えている。
「ジャミル、悪いが後はカロンの相手を頼む。俺がこのままムウと名乗っているのは、少し不味いし」
「分かった。……そもそも、何故そのような真似をしたのか疑問だが」
呆れたように言うジャミルをその場に残し、俺は格納庫から消えるのった。
「ふーん。そうなると、ニュータイプ研究所はそんなに悪くない場所だったのね。もっとも、アクセル達に見せたのが表向きのものでしかないという可能性もあるけど」
マリューが納得したような、微妙に納得出来ていないような、そんな様子で言う。
マリューにしてみれば、UC世界のフラナガン機関での件についても知ってるので、余計にそう思うのだろう。
クスコやマリオンにこの件を聞かせたらどう思うか、少し気になるが……まぁ、その件については今は考えない方がいいか。
「俺達が来たのは、それなりに突然だった筈だ。幾ら何でも、そこまで完全に自分達の裏を隠し通すといった真似が出来るとは思えないんだが」
「そう? 最初に通信を入れた時から考えると、それなりに時間的な余裕はあった筈よ?」
言われてみるとそうか。
とはいえ、それでも完全に全てを隠せるようになるとは思っていない。
あるいはフラナガン機関のように、ニュータイプの候補者達が研究者に日常的に暴力を振るわれているといったようなことになったりした場合、その痕跡を消すのは難しい。
そういうのはなかったと思う。
……あるいは、単純に怪我をした者を表に出しておらず、無傷の者だけを出していたといった可能性もあるが。
「いっそ、俺がもう一度ニュータイプ研究所に侵入して調べてみるか?」
影のゲートについては、カロン達にも見せていない。
また、魔法ではないが気配遮断のスキルについても見せてはいない。
もっとも、気配遮断は人の目では見つけられないが、カメラとかそういうのを通すと普通に見えてしまう。
そしてニュータイプ研究所は、普通に防犯カメラとかそういうのが設置されていた。
だとすれば、見つからない場所に転移してからスライムで調査するとか?
防犯カメラの類では、目に見えない程に細くなったスライムについては発見する事は出来ないし。
「そうね。けど、向こうを調べるのなら今日これからじゃなくて、明日か明後日か。とにかく少し時間を置いた方がいいと思うわ。今日だと、向こうもまだこちらを警戒しているでしょうし」
「……そう言われるとそうかもしれないな。なら、俺はちょっとムウじゃなくてアクセルの姿でカロンに会って来るよ。シャドウミラーの代表の俺がカロンに会わないってのは、問題だろうし」
「そうした方がいいわね。……けど、また彼の名前を使ったの? それが知られたら、彼に怒られるわよ? もしくは、ナタルに不満を言われるかもしれないけど」
マリューとナタルは、出会った当初とかは色々と問題があったものの、今となってはかなり仲が良い。
親友……と言ってもいいのかどうかは分からないが。
同じSEED世界出身、同じ大西洋連邦出身というのも影響してるのかもしれないが。
「ムウの名前は何だかんだと使いやすいんだよな。イザークの名前もいいんだが、エンデュミオンの鷹とかそういうのがないし。……あ、でも今回エンデュミオンの鷹は使ってないな」
「あのねぇ……いえ、これ以上は言わないけど。とにかく、程々にしなさいよ」
別にムウの名前じゃなくて、イザークの名前を使ってエンデュミオンの鷹とか名乗ってもいいのか。
もっとも、それをイザークに知られたらどうなるか、予想するのは難しくないが。
そんな風に思いつつ、俺はブリッジを出るのだった。
「貴方が……アクセル・アルマー? 映像モニタで見るのと印象が少し違うけど」
ウィル・ウィプスの中を案内していた、バスガイドならぬウィル・ウィプスガイド? のサラの前に姿を現し、カロンと軽い自己紹介をすると、そんな風に言われる。
別に映像モニタと今でそこまで印象が違うとは思えないんだが。
あるいはムウになっていた時の俺を見ていただけに、その印象を引きずってるのかもしれないな。
「そうか? まぁ、そういう事もあるだろうな。それで、ウィル・ウィプスを見た感想はどうだ? 異世界のオーラバトルシップだ。そっちにしてみれば珍しいと思うが」
そう言った瞬間。カロンはピクリと反応する。
いや、カロンだけではない。一緒に行動している他の研究者達も同様に反応していた。
何人か驚きや動揺といったものを表情に出さない者もいたが。
「オーラバトルシップ……? それがこの艦の名前かしら?」
「艦種だな。X世界の陸上戦艦とかそういう感じだ」
「オーラバトルシップ……バトルというのは、戦闘向け? シップは船や艦でしょうし。だとすれば、オーラというのは一体……?」
戸惑うように呟くカロン。
他の研究者達も、オーラという言葉に迷った様子を見せていた。
X世界においても、オーラという言葉は普通にあってもおかしくはない。
いわゆる、オーラが違うとか、そういうニュアンスで。
俺にしてみれば、オーラというのは気の一種という認識だし、実際にその判断は間違っていない。
だが、その手の知識が何もないカロンにオーラという言葉を理解しろという方が無理だろう。
「人が持つ力の一種だと思ってくれ」
「それは……ニュータイプと何か関係があるのかしら?」
「全くない。とは言い切れないかもしれないが、俺はないと思う」
ニュータイプというのは、感覚的な力というか、俺にしてみれば念動力の下位互換という認識だ。
それが気に関係あるのかと言われれば、ないだろう。
ニュータイプ研究所の所長をしているカロンにしてみれば、オーラと聞いてそこに繋げてしまったのかもしれないが。
「取りあえず、ウィル・ウィプスは自分の常識だけでは理解出来ないと思っておいた方がいいだろうな。……さて、顔見せも終わったし、俺はそろそろ失礼させて貰う。色々とやるべき事もあるし」
「ええ、分かったわ。……あ、ちょっと待って。ムウという子はシャドウミラーのメンバーなのよね? いつの間にかいなくなってたんだけど」
ここでムウの名前を出してくるのか。
カロンにしてみれば、その言葉通りいきなりいなくなったのが気になったといったところか。
あるいは俺と似ていると判断し、だからこそ、どこに行ったのか知りたいとか、そういう感じか?
そんな風に思うも、俺が出来る返事は決まっている。
「仕事とかあるんだろうから、そっちをやってるんだろ。気にするな」
そうカロンに言うのだった。
「それで、ニュータイプ研究所は問題なかったの?」
夜、カロン達がウィル・ウィプスの見学を終えて帰った後、俺は食堂でクスコと食事をしていた。
いつもならここに、シーマやモニク、クリスといった面々がいるのだが、今日はいない。
その理由は、考えるまでもなく明らかだった。
クスコに俺が見てきたニュータイプ研究所についてゆっくりと話させようと思ったのだろう。
UC世界のニュータイプと似て非なる存在であっても、それでもやはりクスコにしてみればこの世界のニュータイプ候補がどのように扱われているのか気になってもおかしくはない。
そんなクスコを落ち着かせるように頷く。
「ああ、俺達が見た限りではあるが、特にこれといって虐待をされているようには見えなかった」
「でも、それはアクセルが見た限りなんでしょう? もし……」
クスコが何を言いたいのかは俺にも分かる。
実際には、カロンが虐待している部分とかを隠していたのでは?
そんな風に思っているのだろう。
フラナガン機関というのを知ってる分、クスコが……そしてここにはいないが、マリオンが心配しているのは十分に理解出来た。
「その可能性もない訳ではない。けど……」
そう言う俺の言葉を遮るように、不意に食堂に量産型Wの通信が響く。
夜なので、トニヤと代わったのだろう量産型Wの通信が。
『ニュータイプ研究所に多数の爆発を確認。攻撃を受けていると思われます』
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1788