ニーズヘッグの尻尾の機能の1つ、電撃によって動けなくなったドートレス・ネオを連れて、俺はウィル・ウィプスに戻る。
もしかしたらニュータイプ研究所の中にはまだ生きている者がいるのかもしれないが、それを俺が見つけるのは難しい。
いや、やろうと思えば出来るだろうが、俺がやるよりもウィル・ウィプスに搭載されているコバッタやバッタ、メギロートにやらせた方がいいだろう。
量産型Wもか。
何だかんだと結構広いので、俺が1人でやるよりはそっちの方がいい筈だ。
……もっとも、出撃の準備をさせていた連中に対しては、俺がドートレス・ネオを全て撃破してしまったのを悪いと思っているが。
とはいえ、俺が出撃するのが一番手っ取り早かったのも事実だし。
「マリュー、敵の捕虜を確保した、そっちに戻るぞ」
『お疲れさま。……そう言いたいところなんだけど……』
そう言うマリューは、何かを言いたげな様子だった。
「マリュー? 何かあったのか?」
『ええ、そうね。何かあったかと言われればそうなるわ。アクセルが出撃するのと同時に、ウィル・ウィプスに車で避難してきた人達がいるでしょう?』
「ああ、いたな」
俺と入れ違いだったので、その相手から話を聞いてから出撃すればよかったかも? と思っていたのは間違いない。
そっちの関係で何かあったのか。
『実は……その車に乗っていた中の1人がティファを連れ去ろうとしたの』
「……は?」
マリューの口から出たのは、俺にとっても予想外の言葉。
だが同時に、ニュータイプ研究所の者達がティファの事を知ればそんな真似をしてもおかしくないのか? という風にも思う。
「もしかして、ニュータイプ研究所から逃げてきたという風に見せ掛けて、新連邦の兵士だったとか?」
『いえ、見た感じだけどそこまで鍛えているようにも見えないし、白衣を着てる姿もそれなりに慣れた様子だったから、恐らく違うと思うわ。……それより、ニュータイプ研究所を襲ったのはやっぱり新連邦だったの?』
「ああ、ドートレス・ネオが結構いた。1機だけ鹵獲というか、ニーズヘッグの尾の電撃を使って気絶させたから、パイロットも多分無事だと思う」
MSのパイロットをしている以上、身体が頑丈なのは間違いないだろう。
電撃のショックで心臓麻痺を起こしたとか、そういう事は多分ない筈だ。
万が一という事は考えられるものの、それでも取りあえず今のところはその辺りについては考える必要もないだろう。
『そう。なら、色々と事情が聞けそうね。……もっとも、一番知りたかったのはもう判明している以上、聞き出すような情報の類はあまりないかもしれないけど』
「元々がMSパイロットだしな」
これが例えば指揮官とかそういう相手なら、色々とこっちが聞きたい情報を持っていてもおかしくはないし、尋問をする方も重要な情報を持ってるかもしれないという事で、やる気が出るだろう。
しかし、MSパイロットは……一応エリート的な存在であるのは間違いないものの、それでも結局のところ俺達が知りたい情報を持っているとは限らない。
だとすれば、やはりここは何かこっちが知らない情報があればラッキー程度の認識でいた方がいいだろう。
寧ろ問題なのは……
「車で避難してきたニュータイプ研究所の研究者の方は? もう捕まえたんだろう? そもそも、何でティファを狙おうとしたと分かったんだ?」
『それが、アベルと一緒にウィル・ウィプスの中を移動していたら、偶然遭遇したそうよ。それでその研究者がティファを連れて行こうとしたところでアベルや護衛の炎獣が邪魔をして、そこにカトック達が到着したみたい』
「炎獣はともかく、アベルも対抗したのか。……向こうにしてみれば、完全に誤算だっただろうな」
炎獣については、一応研究所の中で見せた。
まさかその炎獣がティファの護衛についているとは、その研究者の男も想わなかっただろう。
ましてや、アベルがいたというのは完全に誤算だった筈。
ニュータイプ研究所の研究者なら、当然だがアベルの存在については知っていた筈。
そのアベルが……俺達との戦いで死んだと思っていたアベルがいて、しかもそれが姉と慕っているティファを守ろうとしたのだ。
一体何があったのか混乱し、しかもそこにカトック達……生粋の歩兵がやって来てしまえば、それに対処が出来る筈もない。
『そうね。一応暴れようとしたみたいだけど、あっさりと取り押さえられたそうよ』
「カトック達を相手に、特に鍛えていないだろう研究者がどうにか出来る筈もないか」
あるいは研究者として行動していても実はそれなりに鍛えていたという可能性は否定出来ないものの、それでも本物の歩兵を相手にどうにか出来る筈もない。
寧ろ、問題なのは……
「その研究者は1人だけ他の者達から離れていて行動していたのに、何故誰も気が付かなかったんだ?」
ウィル・ウィプスの中にはコバッタや量産型Wがそれなりにいる。
そのような者達に見つからないように移動した……という可能性もあるかもしれないが、それはそれで疑問が残るのも事実。
具体的には一体どうやってそのような真似が出来たのか、それを気にするなというのは無理だろう。
『その辺は私も少し気になっていて軽く調べてみたんだけど……どうやら何らかの特殊な方法を使った訳じゃなくて、偶然に偶然が重なったのが原因みたいよ』
「……マジか」
信じられないといった様子で尋ねる俺に、マリューは真剣な表情で頷く。
偶然に偶然が重なったって……コバッタや量産型Wに見つからないように移動して、しかもそれが成功したとなると、それは偶然に偶然を重ねるというのを何度も重ねるくらいは必要になってくるだろうに。
偶然が3回続けばそれは必然となるとか何とか、何かで見た覚えがある。
今回の件はまさにそれなのか?
「取りあえず冗談みたいな話だが、事情は分かった。……ティファも無事なら問題はない。あ、ちなみにアベルの記憶が戻ったという事はあるか?」
ティファを守る為に大立ち回りをしたのだろうアベルだ。
もしかしたら、その騒動で記憶を取り戻していても不思議ではない。
そうなったらそうなったで、色々と面倒な事になりそうだが。
個人的には、ずっと今のままの方がアベルにとっても幸せだと思うんだよな。
俺が戦った時のアベルは、何と言うか自分は選ばれた存在だといったような、エリート意識を持っていた。
それは決して間違っている訳ではない。
実際にニュータイプに覚醒したのだから。
だが……その結果が今の状況だと考えれば、やはり今のままの方がいいだろうというのは決して俺の間違いではない筈だった。
『その辺は……それこそ、運を天に任せるしかないんじゃない? 今この状況で私達がどうこう言っても、結局はアベル次第なんだし』
マリューの言うことは事実だ。
ティファが襲われた一件でアベルがどうなったのか。そしてどうなるのか。
それを決めるのは、結局アベルなのだから。
場合によっては……というか、最善の結果として、記憶を取り戻してもティファを姉と思う、もしくは姉とは思わないが親しい相手と認識するといったようになってくれるといいんだが。
記憶を取り戻せば、ニュータイプとしてMSパイロットも出来るだろうし。
……まぁ、俺との一件がトラウマになっている可能性も否定は出来ないんだが。
「取りあえずアベルの件は後回しにするとして、捕らえた奴の尋問は?」
『カトックが喜んでやってるわ』
「うわぁ……」
歩兵、それも古参の歩兵だけに、その手の事もカトックは苦手ではないのだろう。
ただでさえ、恩人とも呼ぶべきティファに危害を加えようとした相手だ。
やりすぎないといいんだが。
カトックにとって、ティファは恩人とでも呼ぶべき存在だ。
それだけに、尋問は厳しいものになるだろう。
……拷問の類にはならないと思うが。
「っと、ウィル・ウィプスが見えてきた。カトックが無理なら、カトックの部下でもいいからこっちに寄越してくれ。それとキッドを含めてメカニック達も頼む。ドートレス・ネオの電子機器は使い物にならなくなってると思うから、コックピットを開くのもメカニック達に任せる必要がある」
『わかったわ。じゃあ、頑張ってね』
そう言い、通信が切れる。
いや、頑張ってって、何を頑張るんだ?
頑張るのはもうとっくに終わったと思うんだが。
そんな疑問を抱きつつも、俺はウィル・ウィプスの格納庫に入る。
いつ攻撃されるか分からないからか、ウィル・ウィプスは空を飛んでいた。
普通なら空を飛べば地上から好き放題に攻撃をされたりしてもおかしくはないし、新連邦のMSは空を飛ぶのが普通となっている。
しかし、ウィル・ウィプスはオーラバリアを持っているので、ドートレス・ネオの攻撃程度ではどうしようもない。
メガソニック砲とか、サテライトキャノンとかならオーラバリアを破ることも出来るかもしれないが。
「ドートレス・ネオを1機、確保してきた。パイロットは恐らく気絶してるだろうけど、いつ目が覚めるか分からないから気を付けてくれ」
外部スピーカーを使ってそう言い、掴んでいたドートレス・ネオから手を離す。
するとすぐにキッドを始めとしたメカニック達や、コバッタも集まってきた。
それを見送ると、俺はニーズヘッグを定位置……格納庫の中でも奥に運び込む。
『アクセル、結局1人で全部片付けたのかよ?』
移動中に通信が入ってくる。
ウィッツのどこか呆れたような言葉に頷き返す。
「このニーズヘッグを使うのも久しぶりだったからな。きちんと慣れておく必要がある」
このX世界に来てからは、オクト・エイプ、ベルフェゴール、ヴァサーゴと幾つかのMSに乗ってきたが、そのどれもが俺の反応速度に対応出来なかった。
ベルフェゴールなんかは、フラッシュシステムを無理矢理動かしていたので反応速度どうこうといったものではなかったが。
とにかく、今のところ本当の意味で俺の全力を出せる機体というのは、ニーズヘッグだけなのは間違いない。
だからこそ、ニーズヘッグを使っている時に他のMSを使っていた時の癖とかそういうのが残っていないかどうかを確認する必要もあり、そういう意味では今回のドートレス・ネオを相手にするのは丁度よかったのは事実。
『はぁ……結構な数がいたんだろう? 俺だったら、そういうのを相手にするなら、他の奴に協力して貰うけどね』
ウィッツと俺の会話を聞いていたロアビィが、そう口を挟む。
ロアビィの場合はそうなるだろうな。
それでも国と国の戦いに参加するのは嫌だというのを止めたのは、それなりに覚悟を決めた感じではあるんだろうが。
「それよりも、車で来た奴がティファを連れ去ろうとしたって?」
『ああ、その件か。……全くガロードは……』
『いやいや、あれでこそ青春真っ盛り! って感じだろう? 俺はいいと思うけどね』
そんな2人の言葉を聞いて、何となく何があったのかを理解する。
ティファの事が好きなガロードにしてみれば、そのティファが襲われたという話を聞いてここでじっとはしていられなかったのだろう。
まぁ、MS隊は格納庫で待機しているだけだったし、そう考えればガロードがティファの件を聞いて飛び出してもおかしくはない。
寧ろ当然といったところだろう。
「ガロードの件なら特に問題ないだろ。新連邦との全面戦争や最終決戦をやるような時、そういう勝手な行動をされると、それはそれで困るけど」
ガロードは色々と特殊な存在だ。
とはいえ、これは俺の視点からの話だが。
このX世界の原作において、ニュータイプというのは大きな意味を持つ。
だというのに、ガロードは主人公であるにも関わらずニュータイプではない。
この辺、UC世界のアムロとは大きく違うな。
あるいはSEEDの能力を持っているキラや、ゼロシステムに対応出来る能力を持つヒイロのように。
そんなガロードだが、MSの操縦能力……というか、操縦センスはかなり高い。
ニュータイプが重要なX世界で操縦センスが高いオールドタイプというのは、かなり特殊なのは間違いないだろう。
『そういうものかね』
『そりゃそうでしょ。つーか、ウィッツもそういう相手を作ったらどうだ?』
からかうようなロアビィの言葉。
自分がユリナを連れ込んでいるからこその言葉だろう。
それに対し、ウィッツは色々と思うような表情を浮かべていた。
ん? あれ? 俺が知ってるウィッツなら、ふざけるなとか叫びそうなんだが。
それがこういう表情という事は……もしかして、もしかするのか?
そうなると、ウィッツの意中の相手が誰なのかという事になる。
これがフリーデンの時なら、女はトニヤとサラしかいなかった……いや、ティファもいるが、ウィッツにしてみればティファは子供すぎるから、そういう対象ではなかっただろう。
だが、ウィル・ウィプスにはテンザン級の面々も合流したので、それを考えると色々と相手は考えられる。
もっとも、多くの女には相手がいるのだが。
そんな風に思いつつ、俺は気分転換も兼ねて会話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796