『こちらは北米連邦のジャミル・ニートだ。ブラッドマン代表に緊急の申し入れを行いたい。会談を希望する』
ウィル・ウィプスに近付いて来たバリエント隊に対し、ジャミルがそう通信を発する。
ちなみに今回のジャミルは北米連邦の代表としてここにいる為に、GXに乗っているのではなくウィル・ウィプスのブリッジにいる。
元々副艦長としても行動していたので、そこまでおかしくはないんだが。
……そもそも国の代表がMSに乗って最前線で戦うというのがおかしいのだ。
俺は特殊だから置いておくとして。
ちなみにこの通信はウィル・ウィプス内部にいれば全員が聞ける。
本来ならこういう通信内容は秘匿してもおかしくはないのだが、この辺はジャミルの判断によるものだろう。
あるいは、何か不測の事態があったら各自の判断で動けるように、とか。
今の状況はちょっと普通ではないのは間違いない。
そうである以上、本来なら考えられないような事をする必要もあるのだろう。
『な……ジャミル・ニートだと……? 少し待って欲しい。この件はこちらの判断で全てを決めるような事は出来ない』
『了解した。これからの件……宇宙の件について話をしたいと伝えて欲しい。ブラッドマン代表であれば、私の言葉の意味を理解する筈だ。もし会談を断られても、私達はここで戦うような真似はせず、大人しく撤退すると約束しよう。ただし、そちらが攻撃をしてきた場合はこちらも相応の対処をするが』
この辺は前から聞いていたものの、反対をする者も多かった。
折角こうして敵の領土の奥深くにウィル・ウィプスで突然姿を現したのだ。
そうである以上、会談が決裂したり、そもそも会談が行われなかったりした場合は、即座に攻撃に移った方がいいと、そう主張する者もいた。
だが、ジャミルはそれに徹底的に反対した。
そのような真似をすれば、新連邦がこちらを責める原因になると言って。
ジャミルの判断が正しいのかどうかは、俺にも分からない。
ただ、こうして見る感じでは通信をしている相手に対し、それなりに好印象を与えたらしい。
『了解した。すぐに上に知らせる。……ただ、こちらも北米連邦と敵対している身だ。そちらの言葉を完全に信じる事は出来ないので、監視させて貰う』
『そちらの立場を考えれば当然だろう』
そうして一旦通信が切れると、バリエントの1機が急いで引き返していく。
無理もないか。
新連邦にしてみれば、今回の件は完全に予想外の展開だったのだから。
そうである以上、少しでも早くこの件を自分の上司に知らせ、更にその上司の上司……更にまた上司と、最終的にはブラッドマンやその側近達にまで報告する必要がある。
新連邦が具体的にどのくらいの速度で今回の件に対応するのか。
その辺については、生憎と俺にも分からない。
分からないが、それでも今はまさに異例の事態である以上、可能な限り素早く対応する……と。そう思いたい。
もしこれで、1日2日待たせるといったような事になった場合、新連邦に対する評価は思い切り下がるだろう。
これが日常であればまだしも、今は戦争中なのだから。
もっとも、そういうことはないと予想しているが。
何しろ新連邦はブラッドマンのトップダウンで動く組織だ。
だとすれば、緊急事態で何かあった時に即座に動いてもおかしくはない。
具体的には今回のような緊急事態で。
「後は待つだけか。……あの様子を見る限りだと、バリエントがこっちに手を出してくるといった様子は考えなくてもいいな」
『新連邦をそこまで信じてもいいのか?』
ガイアの問いに、俺は問題ないと頷く。
「そもそも、バリエントがウィル・ウィプスに攻撃しようとしたところで、オーラバリアを抜けるとは思えない。それに妙な行動をすれば、オーラキャノンや対空砲が発射されるだろうし」
バリエントは機動性という点ではそれなりに高性能だが、だからといってウィル・ウィプスが大量に持つ対空砲やオーラキャノンの全てを回避出来るとは思えない。
あるいは実はバリエントのパイロットが腕利きで、それらを回避する事が出来ても、俺達が出撃すれば全く問題はない。
『なるほど。そういう意味では、やって来たのがバリエントというのは悪くなかったのか。もしもっと強力な……それこそガロードが使っているDXのようなMSが出て来たら、ウィル・ウィプスであっても危険だったかもしれん』
「DXがそう簡単に量産されるとか、そういうのはないと思うんだけどな。……それにもしそうなったらそうなったで、俺が出ればいいし」
そう言うと、通信は沈黙する。
全員が何も言えなくなったらしい。
別にそこまですることはないと思うんだけどな。
「ともあれ、俺達は今のところ何か出来ることはない。何か動きがあるまで待つしかないな。……具体的にどのくらいの時間、待つのかは分からないけどな」
『いつまでもねぇ。ここで時間を無駄に浪費すると、それだけ宇宙革命軍の利益になるんじゃないかい?』
シーマの言葉には納得出来るところが多い。
現在具体的に宇宙革命軍がどのような状況になってるのか分からない以上、分からないからこその不安というのが、この場合は大きかった。
こうして新連邦と交渉している今にも、宇宙革命軍が攻めてくるという可能性は十分にあるのだから。
いっそこっちで偵察を出した方がいいかもしれないな。
普通なら簡単に宇宙に偵察に出すといった真似は出来ないが、メギロートやバッタのような無人機があり、ニーズヘッグのシステムXNによる転移能力があればその辺はどうにかなる。
ただ、この場合問題なのはもし宇宙革命軍がメギロートやバッタを倒したら、それをどう判断するかという事か。
メギロートとバッタの部隊だけで、ノーザンベルの首都に向かっていた新連邦のMS隊を撃破するだけの実力はある。
だが同時に、その戦いにおいてメギロートやバッタもある程度撃破されているのが確認されている。
勿論新連邦の部隊はバリエントやドートレス・ネオといった、戦後に開発されたMSで性能も高い。
だが、宇宙革命軍は恐らく戦前と比べて技術レベルはそこまで落ちてないと思うんだよな。
コロニー落としがあったのが地球だから、地球は半ば壊滅状態になっている。
宇宙革命軍はコロニー落としを行った側である以上、被害は……旧連邦との戦いで相応にあるのだろうが、それでも地球側よりは圧倒的に少ないと思う。
その辺の状況を考えると、宇宙革命軍の戦力は新連邦よりも上の可能性が高い。
つまり、メギロートやバッタと遭遇しても間違いなく倒せるのだ。
「メギロートやバッタを偵察に出したいところだけど、宇宙革命軍に見つかるのは避けたいんだよな」
『アクセルの考えは分かるよ。けど、もう新連邦にはメギロートやバッタについては知られているだろうし、恐らくアルカディアにも宇宙革命軍のスパイが入り込んでいる筈だ。だとすれば、その辺りの情報が既に宇宙革命軍に渡っている可能性は否定出来ないんじゃないかい?』
「それは……まぁ、そうだろうな」
メギロートやバッタは、アルカディアでも普通に活動している。
量産型Wやコバッタの方が内部で行動しているだけに目立つが、アルカディアの外、具体的には防衛戦力として活動しているのだ。
元々アルカディアは防衛用に自動迎撃装置が備わっていたが、今となっては既に全て排除され、メギロートやバッタ、あとはイルメヤとかも防衛戦力として活動していた。
実際、アルカディアには今まで何度も盗賊のバルチャーが襲撃をしてきたことがあるのだが、それらは全て無人機によって撃退されている。
そういう意味では、その辺の情報が知られている可能性は十分にあった
『そうだろう? なら、今更躊躇する必要はないと思うけどね』
シーマの言葉に少し考え、やがて頷く。
「分かった。新連邦との交渉が決裂するしないに関わらず、この件が終わったらメギロートやバッタを偵察に出そう。恐らく宇宙革命軍の本拠地は戦前と変わっていないだろうし」
俺が集めた情報によると、宇宙革命軍の中心となっているのはクラウド9のコロニー群だ。
ちなみにこのクラウドというのは、UC世界でいうサイドだな。
サイド3とかサイド6とかサイド7とか。
そう言えば、サイド7って今頃どうなってるんだろうな。
シャア達の襲撃によって半ば壊滅状態に近い被害を受けたが、1年戦争が終わってコロニー再編計画によってサイド7もどうにかなった筈だ。
X世界での件が終わったら、UC世界にもちょっと顔を出してその辺を確認してみるか。
もっとも、アルカディアの名前を募集した時の件で、美鶴とゆかりの2人とペルソナ世界で旅行に行くって話になっていたから、その辺も上手く調整する必要があるか。
そんな風に考えていると……
『こちらに近付いてくるMS部隊を確認。数は……30!? ちょっとこれ、もしかして本気でこっちと戦いに来たんじゃないでしょうね!?』
ブリッジからのトニヤの通信の声がコックピットに響く。
他のMSに乗っている連中も、コックピットの中にトニヤの声が響いたのだろう。
映像モニタに表示されている何人かの顔が、厳しく引き攣っていた。
どうやらこっちを一気に殲滅するつもりにでもなったのか?
ウィル・ウィプスの性能を知らなければ、その判断はある意味で間違ってはいない。
北米連邦最強の部隊が、わざわざ自分達だけで新連邦の領土内に姿を現したのだ。
ブラッドマン、あるいはこの情報を得た者がいれば、ここで俺達を倒してしまえば北米連邦に大きな……それこそ、場合によっては自分達と戦うという選択肢を諦め、降伏するという道を選ぶしかないように出来るかもしれない。
そんな千載一遇のチャンスを逃す真似は出来ないと思ってもおかしくはない。
「最悪の場合に備えておく必要があるな。全機、いつでも出撃出来るように準備をしておくように」
そう指示を出す。
ブラッドマンが、もしくは手柄欲しさに独断でウィル・ウィプスに攻撃をしてくる場合、当然だがこっちもそれに対処をする必要がある。
とはいえ、30機程度でこっちをどうにか出来ると思われているのは、少し納得出来ないが。
俺達がその考えを修正してやる必要があるだろう。
『アクセル、一応出撃をお願い出来る? ただ、念の為にこっちから攻撃はしないでちょうだい、あくまでも向こうに手を出させてからにして』
トニヤではなく、マリューがそう言ってくる。
「それは構わないけど、この状況で向こうが大人しく交渉に乗ると思うのか?」
『分からないけど、念には念を入れるのは悪くない話でしょう?』
そう言われると、反対出来ずに素直に頷く。
そんな風に言えるのは、ウィル・ウィプスのオーラバリアがあるのと、それ以上に強力な防御力を持つニーズヘッグがあるからだろう。
もしこれが性能の低い機体なら、恐らくここまで安心してといった真似は……いや、俺の場合は混沌精霊だし、撃墜されても意味はないんだから、その辺は問題なかったりするのか?
ふとそんな風に思いつつ、とにかくニーズヘッグで出撃の用意をする。
格納庫の中にあるカタパルトデッキに向かい……
「アクセル・アルマー、ニーズヘッグ、出る!」
その言葉と共に、ニーズヘッグが射出される。
ウィル・ウィプスの格納庫から出撃したニーズヘッグだったが、そのままオーラバリアを突破して、その外に出る。
続けて他の面々もカタパルトデッキで出撃してくるが、こちらも俺と同様にウィル・ウィプスのオーラバリアの外に出る。
ウィル・ウィプスのオーラバリアがあれば、取りあえず敵が攻撃しても問題ないんだが……まぁ、MS隊は腕利き揃いだし、敵が攻撃してきてもそれを回避したり迎撃したりといった真似が出来ると思っているのだろう。
また、それが決して間違っていないのも事実。
なら、無理にオーラバリアの中にいろと言うような真似は出来ないか。
「向こうが何をするか分からない。一応、気を付けてくれ」
念の為にそう言っておく。
『新連邦程度の敵に私達がどうにかなると思ってるのかしら?』
クスコの挑発的な言葉。
その言葉に、俺はそうかと頷く。
クスコがこうしてやる気に満ちているのなら、問題はないのだろうと。
もしこれで敵が何かを行うにしても、そうなったらそうなったで対処は出来る。
なら、特にそれらしい心配はいらないだろう。
敵は30機以上で、明らかにこちらよりも数は多い。
それでも戦いになれば、こっちが勝利するのは基本的には間違いない。
とはいえ、実際にそういう事になると……新連邦と一時的にしろ手を組んだり、最低でも一時的な停戦をするといったようなことが出来なくなるだろう。
出来ればそれは止めて欲しいんだが……さて、どうなるんだろう。
そんな風に考えていると、ドートレス・ネオとバリエントによる30機程のMS隊が俺達の前までやって来て、止まる。
『ブラッドマン代表が面会をされるそうですので、会談場所まで案内します』
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796