『では、気を付けてお帰り下さい』
クリスがそう言い、モニクと共に頭を下げる。
そんな2人に見送られた新連邦の面々は、大人しく自分達が乗ってきた輸送機に乗ってウィル・ウィプスの格納庫から発進する。
見学に来た面々は、決して心から満足した訳ではなかっただろう。
何しろウィル・ウィプスという、異世界の技術で作られた軍艦……オーラバトルシップを見学に来たのに、重要な場所は機密区画として決して見せて貰う事が出来なかったのだから。
あの連中が見たのは、格納庫を少しと食堂、歩兵の訓練場、最後に遊戯室を少し。
ウィル・ウィプス特有の何かを見るといったような事は出来なかった。
もっとも、食堂や遊戯室はウィル・ウィプスの広さを存分に使われているので、狭苦しさとか、そういうのは殆ど感じないが。
そういう解放感は、その場にいる者にしてみればストレスを感じさせないという意味で十分に意味のある場所だろう。
ただ、見学に来た連中が見たかったのとは違うだろうが。
「ジャミル、それでこれからどうするんだ? 取りあえず向こうの要望は叶えたし、後はもう北米に戻って宇宙に行く準備を整えるだけか?」
「そうなるな。ただし、新連邦との間でしっかりと話し合いをする必要がある。一時的に停戦して手を組むといった事にはなったが、話し合いでしっかりと決めていなければ、向こうが何をするか分からん。……もっとも、それはこちらにも言える事なのだがな」
ジャミルの様子を見ると、新連邦との話し合いの中で何か穴があったら、そこを突いて自分達に利益をもたらすつもり満々らしい。
「具体的に何を考えているのかは分からないが、程々にしておいた方がいいぞ」
「気にしておこう。……そういう訳で、私は最後にもう一度ブラッドマンと会談を行い、それが終わったら北米に戻ろうと思う」
「ブラッドマンとの会談か。それはまた俺が立ち会いに出た方がいいのか?」
その言葉に、ジャミルは少し考え……やがて首を横に振る。
「アクセルがいてくれた方がいいかもしれないが、今の状況になればわざわざそのような真似をする必要もないだろう。向こうもこの期に及んで妙な真似をするとは思えない。……もっとも、ここ以外の場所で妙な真似をする可能性は否定出来ないが」
妙な真似か。
それが具体的に一体何を意味しているのかは、それこそ今は俺が考える必要もないだろう。
ブラッドマンを含めて、今の状況で何か妙な真似をしようものなら、それこそ宇宙革命軍の前に俺達と戦う必要が出てくるのだから。
そうなれば、新連邦にとって決して有益ではない。
いや、最悪の場合は北米連邦が宇宙革命軍と手を組んで新連邦と戦う……といったような事にすらなりかねない。
新連邦にしてみれば、わざわざ自分達の敵を増やすような真似をするとは思えない。
「わかった。じゃあ、ブラッドマンとの会談についてはジャミルに任せる。向こうがどういう話をしてくるのかは分からないが……」
「その辺は心配ないだろう」
そう言って頷くジャミルを、俺は信じるのだった。
「で? 結局新連邦から見学に来た面子は特に何もこれといった収穫がないまま、戻って行ったのか? ……戻ったら怒られるんじゃねえか?」
ウィッツが呆れと哀れみの混ざった様子で言いながら、シチューを口に運ぶ。
ウィッツが食べているのは、クリームシチュー。
ちょっとらしくないと思わないでもないが、美味いのは事実だしな。
ちなみに俺が食べているのはビーフシチュー。
牛もも肉の類というのは、調理が下手な者が作れば固いだけの肉になる。
だが、量産型Wが作ったビーフシチューの肉は、きちんと噛み応えがあるだけではなく、それでいて柔らかな……そうだな、ローストビーフに近い食感となっていた。
勿論、ローストビーフを作ってそのままビーフシチューの中に入れたという訳ではなく、きちんと手間暇を掛けてこういう味と食感に仕上げているのだ。
具体的にどういう方法でこういう風にしているのかは、生憎と俺にも分からなかったが。
他にもキノコの類が多種多様入っているこのビーフシチューは、絶品なのは間違いない。
ウィル・ウィプスの見学に来た連中が食堂の料理に夢中になったのも、分からないではない。
「一応、士気が高い理由とかは持ち帰ったし、そこまで怒られるような事はないと思うけどな」
「士気が高い……ねぇ。ここの料理は美味いし、遊戯室は悪くないけどよ。その辺はロアビィの手柄になる……のか?」
「俺? まぁ、手柄かどうかはどうでもいいけど。居心地のいい場所を用意出来たのは、俺にとっても悪い話じゃないしね」
ピザを食べていたロアビィが、笑みと共にそう言う。
実際、遊戯室はロアビィが仕切ってどういう風にするのかというのを決めたのだから、ロアビィの手柄というのはそんなに間違ってはいない。
いわゆる、センスがいいという奴なんだろうな。
勿論、ロアビィだけの意見で全てが決まった訳ではなく、他の面々の意見も普通に取り入れられてはいる。
「この戦争が終わったら、ロアビィはMS乗りだけじゃなくてそういう仕事をやってみるのもいいかもしれないな」
「そういう仕事……? なるほど、ユリアと一緒だったら、悪くないかもな」
いわゆる、バーとかそういう奴。
それも騒がしい連中が集まるような場所ではなく、落ち着いた雰囲気の場所。
そういう店でロアビィがマスターをやり、ユリアは歌手として歌う。
決して悪くないと思う。
……酒がメインとなるので、俺が行くのは難しいだろうが。
「とにかくこのX世界での戦争も、そう長くは続かない筈だ。宇宙革命軍を倒して、その後で新連邦を倒せばいい。……その後もMS乗りとして活動するならそれはそれでいい。けど、それ以外の道を選ぶのなら、その辺について多少は考えておいた方がいいかもしれないな」
「戦争が終わった後か。……全くそういうのは考えてなかったな。けど、俺もそういう時の事を考えねえといけない訳か。具体的にいつくらいになるのか、そういうのは分からねえが」
ウィッツも俺の言葉に色々と思うところがあったのか、そう言う。
「ちなみにだが、もしMS乗りを止めて何か別の道を探すという事になった場合、エアマスターバーストやレオパルドデストロイは俺達が高値で買い取る事も出来るぞ」
ガロードのDXや、シーマのヴァサーゴ、エニルのアシュタロンは、正確には俺が貸している機体で、それの所有権は俺にある。
そのつもりはないが、返して貰おうと思えばいつでも返して貰えるのだ。
それに対して、エアマスターバーストとレオパルドデストロイはあくまでもウィッツやロアビィが個人で持っているMSとなる。
一応、改修した時の設計データとかは入手してあるが、ベースとなる機体はないんだよな。
高機動型GXのように簡易化したエアマスターやレオパルドを購入し、それを改修するという手段はあるが。
「うーん、MSを売るか。……どうだろうな。今ここでそんな風に言われても、すぐには返事出来ねえよ」
「俺は値段によっては考えてもいいけどね。ただ、あくまでもこの戦争が終わって平和になってからの話だけど。そういう時になったら、ユリアと一緒に店をやってもいいかもしれないし」
ウィッツはあまり気が進まない感じで、ロアビィの方は乗り気か。
実際にこの件の話が進むのは、もう少し時間が経ってからということになるだろうし、今はそこまで急ぐ必要もないか。
「ちなみに宇宙での戦いに関しては、どんな具合だ? 一応シミュレータをやってるんだろ?」
X世界で生まれ育った者達……特にウィッツやロアビィのように若い連中は、当然ながら宇宙で戦った事はない。
ジャミルは経験者だが、それ以外はちょっと。
それでは問題あるので、一応シミュレータで宇宙での訓練が出来るようにはなっていた。
その訓練をやってるのかという問いに、2人は揃って頷く。
「それなりにはな」
「そうそう、それなりに」
「それなりって……」
少しだけ呆れるものの、考えてみればそんなにおかしな話でもないかと思い直す。
ウィッツもロアビィも、MSの操縦センスという意味ではこのX世界でも上位に位置する。
……というか、そうでもなければガンダムに乗り続けるような事は出来ないだろう。
それこそガンダムを欲したバルチャーに殺されてガンダムを奪われていてもおかしくはなかった。
そういう意味では、やはり相応の能力があったからこそ今まで生き延びられたのだろう。
「それなりに動けるのなら、無理にやれとは言わない。ただ、訓練が足りなくて、その結果としてこっちの足を引っ張るような事があったら相応のペナルティは覚悟して貰うぞ」
「う……ペナルティか」
「さーて、俺はちょっとシミュレータでもやって来ようかなっと」
「あ、おいちょっと待てよロアビィ!」
ウィッツとロアビィは残っていた料理を半ば無理矢理口の中に押し込むと、食堂を出ていく。
どうやらペナルティというのが効いたらしい。
実際には、ウィッツとロアビィを雇ってるのはあくまでもジャミルで、俺にペナルティを決める権限はないんだけどな。
いや、シャドウミラーという存在の権力を思う存分に使えば話は別だが、そこまでやる必要があるとは思えないし。
ともあれ、俺と話をしていた2人がいなくなってしまった以上、俺も食堂にいても意味はないし、ビーフシチューを食べ終わったらどこか適当に回ってみるか。
そんな風に考えつつ、俺は残っていたビーフシチューと焼きたてのパンの味を楽しむのだった。
「あ……」
「アクセルだ」
うわ。
休憩所として外が見える場所にやってきた俺を見て、ティファが顔を赤くし、アベルは嬉しそうな様子を見せる。
ティファが顔を赤くするのは以前からだけど、そろそろ慣れてくれてもいいと思うんだが。
もっとも、ティファにしてみればそういう行為を見た衝撃はそれ程強かったのだろう。
アベルの方も、俺と接触した事によって大きな精神的な衝撃を受け、結果として今のように幼児退行してしまった割には、俺に対して敵意や恐怖といった感情がないんだよな。
もっとも、顔を合わせる度に泣き喚かれたりするよりは、今の方がずっといいが。
「ティファとアベルはここで何をしてるんだ? 外の景色でも見てたのか?」
この休憩所にある窓は開けることは出来ないものの、外の景色を自由に見る事が出来る。
そういう意味では、ゆっくりするのに丁度いい。
自販機――金は必要ない――があるので、ジュースとかも自由に飲めるし。
「はい。その……アベルが少し外を見たいと思うものですから」
顔を赤くしながらも、ティファはそう言ってくる。
どうやら慣れていないってのは間違いらしい。
何しろ以前は俺と遭遇するとすぐに距離を取っていたのだから。
この辺はアベルがいるから、姉代わりとしてみっともないところを見せられないとか、そんな感じか?
「そうか。外を見て楽しめるんなら、それはいい事なんだろうな」
現在ウィル・ウィプスがいるのは、新連邦の基地からそう離れていない場所だ。
そんな場所で外の景色を見ても、それはつまり新連邦の基地を見るということになる。
新連邦の基地を見て嬉しいと思うのか、正直なところ俺には分からない。
ただまぁ、ティファやアベルが喜んでいるのなら、それで問題はないだろうという事くらいか。
「アクセルさん、その……次は宇宙に行くんですか?」
窓の外を見ていると、不意にティファがそう尋ねてくる。
「そうだな。具体的にいつになるのかというのは分からないが、そうなる予定だ」
「なら、出来ればでいいですけど、月に行けませんか?」
「……月に?」
何故急に月?
月という事で思い当たるのは、GXのサテライトキャノンやDXのツインサテライトキャノンにマイクロウェーブを発信する施設がある事だろう。
これがUC世界なら、月はルナ・ジオンの本拠地という意味で大きな意味を持つのだが。
「はい。月に」
「何でかというのは聞いてもいいか?」
「僕達を呼んでる人がいるんだ!」
俺の問いに答えたのは、ティファではなくアベル。
にしても、呼んでる人? ……人?
マイクロウェーブを発信する設備がある以上、そこに何らかの建物があるのおかしくないし、そこに誰かがいる可能性も……あるのか?
ルチルがLシステムとして積み込まれていた軍艦の場合は、ルチルをニュータイプとして、人としていた場合、15年もの間生き残るのは無理だと思っていた。
だが、月の施設なら。
マイクロウェーブ発信装置のある施設が具体的にどのくらいの広さを持つのかは、生憎と俺にも分からない。
分からないが、それでも保存食とか水とか空気とか、1人から数人が生き延びられるだけの備蓄があってもおかしくはない……のか?
少し……いや、かなり無理があるような気もするが、ティファとアベルの話の内容を考えると、その可能性は必ずしも否定は出来ない。
「ジャミルには言っておく」
結局俺に出来たのは、そう言う事だけだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796