新連邦の領土内に行って、ブラッドマンと話をつけてきてから数日……
「予想外に早かったな」
「私もそう思う。だが、北米連邦の面々も宇宙革命軍の恐怖については、十分に理解しているのだ」
ジャミルの言葉に、それもそうかと納得する。
何しろ15年前の戦争において、北米を含めた地球に複数のコロニーが落下したのだ。
その引き金を引いたのはジャミルかもしれないが、そのような状況にしたのは宇宙革命軍だ。
自分達の大地とも呼ぶべきコロニーを質量弾として、地球に放つ準備を整えたのは。
それだけではなく、そのコロニーを使って旧連邦軍を脅して……その結果として、最終的にジャミルがGXでその引き金を引く事になった。
つまり北米連邦に限らず、地球に住んでいる全ての者にしてみれば、宇宙革命軍というのは警戒すべき相手なのだ。
……何しろ、街の中に落下したコロニーが突き刺さっているような場所もあるし。
いつ倒れるか分からない以上、そのコロニーの周辺に住むのは正気か? と思わないでもなかったが、それでも実際にそういう事になっているのだから、その辺は色々と事情があるのだろう。
個人的にはあまり理解出来ないが。
ともあれ、北米連邦の上層部の中には今回の件で自分達の利益の為に露骨に動く者がいなかった……あるいはいても少なかったというのは、俺達にとって悪い話ではない。
そのお陰で、異例の早さで話が決まったのだから。
あるいは、もし今のこの状況でそのような真似をすれば、他の者達に責められるという思いもあったからこその結果かもしれない。
「その件が上手い具合に片付いたのは助かる。それで……ジャミルには幾つか聞きたい事がある。いや、俺が聞くまでもなくその辺は分かってるよな?」
「シャドウミラーの戦力について、か」
「そうだ。当然だが、その件についても話し合ったんだろう?」
俺がジャミルに提示した選択肢は幾つかある。
まず1つめ、シャドウミラーの最高戦力である実働班を雇うというもの。
2つめ、実働班のような最高戦力ではなく、その下部組織である精霊の卵を雇うというもの。
3つめ、メギロートやバッタを今まで以上に大量に運用する為に雇う――この場合はレンタルという表現が正しい――というもの。
4つめ、何も雇わずにウィル・ウィプス隊だけで戦力は現状のまま宇宙に上がる。なお、この際に宇宙に上がる時は北米連邦側で戦力を用意するか、もしくはウィル・ウィプス隊だけで出る。
5つめ、この件はあくまでもX世界の出来事であるとして、俺達に一切頼らずに北米連邦だけで宇宙革命軍に対処する。
普通に考えれば5つめは論外の選択肢なのだが、カリスの調査によって旧連邦軍が使っていた宇宙戦艦を確保してあるらしい。
マスドライバーも一応あるし、シャドウミラーに全く頼らずともどうにかしようと思えば出来る……と思う。
もっとも、この選択肢を選んだ場合は北米連邦側は非常に不利になるので、普通なら選ぼうとはしないだろうが。
ともあれ、俺が用意した選択肢は多い。
後は、北米連邦側がどれを選ぶかだろう。
北米連邦としての面子を気にするのなら、4つめと5つめか。
ただし、5つめは自滅に近い結果となる。
あるいはこれが北米連邦という国ではなく、もっと小さな集団での行動なら、5つめでもどうにかなったかもしれないが……新連邦は勿論、宇宙革命軍にも北米連邦という国の存在は知られているのは間違いない。
そんな状況でシャドウミラーの力を抜きにしてどうにかなるかと言われれば……微妙なところだろう。
それとは逆に、面子とかそういうのを気にせず、北米連邦の人命を少しでも大事にし、戦いの勝利を最優先するというのを選ぶのなら、1つめを選ぶ筈だ。
妥協案として2つめ、3つめといった可能性もあるが……さて、どれだ?
「シャドウミラーの実働班の力を借りたいので、交渉を頼みたい」
「……おお」
ジャミルの口から出た言葉に、素直に驚く。
それが最も北米連邦の被害が少ないというのは間違いないが、その面子を考えれば決して選びやすい選択肢ではないのだから。
「アクセル? 何故そこまで驚く? そもそも、アクセルが一番勧めたのは、シャドウミラーの実働班の力を借りるというものだった筈だが?」
「そうだな。そう言った。けど、だからといってこっちの勧めにここまで素直に従うとは思っていなかったんだよ。……一応聞くが、本当にいいのか? 以前も言ったように、戦力としては一級品なのは間違いない。だが同時に、それだけの戦力を用意する以上は、相応の代価が必要となる。北米連邦にとってはかなり痛い出費なのは間違いないぞ」
シャドウミラーの実働班は、実際に戦力としては精鋭中の精鋭、一流を超えた一流、超一流なのは間違いない。
だからこそ、シャドウミラーとしては実働班の存在を貸し出すのに安売りする訳にはいかない。
それ以外にも、基本的に他の世界に対して戦力を出すといった行為は禁じられてる。
X世界はまだ異世界間貿易の条約を結んでないので、その条約の対象外ではあるが……それでも、前もって色々と根回しをする必要があるだろう。
その辺の手間暇を考えれば、ただでさえ高額な料金に追加される分も結構なことになるだろう。
そして何よりX世界側に不利なのは、X世界は人口が極端に少なく、文明も半ば崩壊している状態にあるという事だ。
つまり、シャドウミラー側にとって絶対に欲しいと思える何かがない。
MS技術とかは高いが、その辺はもうある程度実物を集めてるしな。
そんな中で一番欲しいとなると……考えられる可能性としては、ニュータイプの研究データとかそういうのか?
UC世界のニュータイプとは名前は同じでも実際には違う。
つまり、シャドウミラーにとってそのデータは研究するのに十分な意味を持っているという事になる。
だが問題なのは、北米連邦にその手の研究データの類が殆どないという事だろう。
一応、北米にもアルタネイティブ社のように、ニュータイプを研究していた会社はあるが……うん、正確にはあった、だな。
まぁ、報酬については別に一括払いという訳でもなく、分割払いという形になるだろうから、すぐにどうしようもなくなるといった事はないと思う。
だからといって、分割払いにされた報酬を支払わないようになれば、色々と不味い事になるのは間違いないが。
その辺については、俺がどうこう言える事ではない。
せいぜい、交渉役としてやって来た相手を侮ったり、自分達が何をやっても金を改修するまでは自分達が何もされないといったような、妙な考えを起こさないようにして欲しいものだ。
「そちらはどうにかしよう。なので、交渉を頼みたい」
「分かった。ちょっと待ってろ」
ジャミルを一度待たせると、シャドウミラー用の通信機を使ってホワイトスターに通信を送る。
『誰? ……あら、アクセル君。どうしたの?』
空中に浮かび上がった映像スクリーンに表示されたのは、千鶴。
そう、政治班に所属する1人だ。
「X世界の件でちょっとな。実は宇宙革命軍という未知の存在がいるという情報は知ってるな?」
『ええ、勿論』
あっさりと頷く千鶴だったが、そんな千鶴の様子にジャミルは驚きの表情を浮かべる。
まさか宇宙革命軍の存在についての情報がホワイトスターに流れているとは思ってなかったのか? いや、まさかな。
そもそも、シャドウミラーの支部とも言うべきアルカディアが北米連邦に所属しているのだから、そこからX世界の情報は相応に入手されていると思うのはおかしな話ではない。
「その宇宙革命軍と北米連邦が戦う事になった件で、シャドウミラーに援軍の要請があった」
『あら? それは……少し珍しい展開ね。それで、具体的には?』
「実働班の出撃を希望している」
『それは……アクセル君。言っておくけど、冗談でしたじゃすまないわよ?』
俺の言葉を聞いた千鶴は、頬に手を当てながら『オホホホホ』といった笑い声を上げつつ、そう言ってくる。
うん、これで実は今の話は冗談でしたとかそんな風に言ったら、間違いなく長ネギを手に迫ってくるだろう。
千鶴に長ネギ。それは鬼に金棒……いや、キチガイに刃物、もしくは……
『アクセル君?』
「いや、何も考えてないぞ? 本当だ。そして当然だがこれは冗談でも何でもない。きちんと北米連邦の代表をしているジャミルからの要望だ。当然、北米連邦側でも全会一致で話は決まってる筈だ」
「アクセル?」
俺の様子を不思議に思ったのか、ジャミルはそう尋ねる。
どうやらジャミルに残った微かなニュータイプ能力では、怒った千鶴の危険さは理解出来ないらしい。
「取りあえず、政治班……交渉出来る相手には話を繋いだ。それで、具体的にいつ交渉する? こっちはいつでもいいと思うけど、そっちにはあまり時間はないんだろ?」
ブラッドマンとの話し合いでいつ出撃するのかというのも決まっている筈だ。
新連邦側でも色々と準備はあるのだろうが、それはこちらも同様だ。
敢えて北米連邦が新連邦と違うところは……宇宙に行く際の手間が随分と楽だという事だろう。
新連邦の場合は、マスドライバーで宇宙戦艦を打ち上げる必要がある。
1隻ずつ打ち上げる必要があるし、連続して打ち上げるといった真似も恐らくは出来ないだろう。
新連邦が具体的にどれくらいのマスドライバーを持ってるのかは分からないが、それでも10や20といったような数ではない筈だ。
そうなると、壊れないように慎重に扱う必要がある。
場合によっては、1隻の打ち上げごとにマスドライバーに問題がないかどうか詳細にチェックをするといったように。
ある程度自動的にチェックするようなシステムがあってもおかしくはないのだが、戦後の今、そのようなシステムに問題がないかというのもある。
新連邦としてはその辺の諸々も考えて慎重に打ち上げをする必要があるだろう。
それに対して、北米連邦の場合は俺がニーズヘッグのシステムXNを使えばそれだけで転移が可能で、マスドライバーの類も必要はない。
コスト的に見ても、新連邦よりも圧倒的に勝っている。
……もっとも、システムXNはあくまでもニーズヘッグがあってこそ、つまり俺がいてこその話しだ。
まぁ、外部武装追加ユニットのファブニールにも同一世界間でなら転移が可能な量産型のシステムXNが搭載されているので、地球から宇宙に転移するといった真似も出来るが……どのみちシャドウミラーが関与してないと使えないというのは変わらない。
そんな訳で、現在の北米連邦の宇宙への進出は基本的に俺が行う事になっているので、やろうと思えば今すぐにでも転移は可能だったりする。
「可能であれば、出来るだけ早くお願いする」
「だ、そうだけど?」
『そうね。……じゃあ、簡単に書類を用意してからだから、根回しについては凛に任せておけばいいから……最速で2時間後にそちらに行けるけど、どう?』
「な……に……?」
千鶴の口から出たのが予想外の言葉だったのか、ジャミルは信じられないといった様子を見せる。
まぁ、その気持ちは分からないでもないが。
普通なら、こういうのは最低でも数日前……可能ならもっと前にアポを取っておく必要がある。
だというのに、千鶴は2時間後と言ったのだ。
それで驚くなという方が無理だろう。
にしても、さらっと根回しについては凛に任せる気満々だったんだが。
『2時間後よ。それ以降なら、いつでもそちらに合わせることが可能よ』
改めて言わた言葉に、ジャミルは少し考え……
「それでお願いする」
そう言う。
そんなジャミルの言葉に、千鶴は少しだけ驚いた様子を見せる。
千鶴も、まさか自分が口にした2時間という言葉をジャミルが受け入れるとは思ってもいなかったのだろう。
……ちなみに、当然ながら千鶴も20歳くらいで時の指輪を使って不老になっているのだが、その外見は女盛りの年齢に見える。
若々しいよりは、未亡人のような色気というか……いやまぁ、千鶴は俺が最初に会った時、中学生の時から主婦……というか人妻に間違われるような外見だったし、不思議でもないか?
『アクセル君?』
ギロリ、と。
不意にジャミルを見ていた視線が俺に向けられ、怪しく光る。
その迫力はかなりのものだ。
具体的に言えば、視線を向けられた訳ではないジャミルですら、焦って数歩後退るくらいに。
「どうした? ジャミルに何か言われたのか?」
そう言った瞬間、ジャミルが素早く……それこそ、戦闘中に見せるような反応速度で俺の方を見る。
表情はサングラスに隠れていて分からないが、口元が引き攣って見えるのは……俺の気のせいだろう。きっと、多分。
「ア……アクセル?」
そんな風に言ってくるジャミルだったが、俺はそんなジャミルの相手をしつつ、満面の笑みをこちらに向けてくる千鶴の視線から、ひたすら意識を逸らすのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796