「行った、か。……どうなると思う?」
「それを私に聞くのかい? けど、そうだね。戦力という意味では問題ないだろう? なら、後はあの2人……円と美砂がいざ実戦で混乱しないかどうかだね」
空を飛び、それぞれが違う方向に向かった2隻のトライロバイト級。ギャンランドにワンダーランドを見送っていた俺は、近くで俺と一緒に見送っていたシーマに尋ねると、そんな答えが返ってきた。
「実戦……というか、普通の戦いという意味では、円と美砂が怖じ気づくといった事はないんだけどな」
何しろ、拳闘士としてネギま世界の魔法界で活動していたのだ。
敵が気や魔力によって様々な攻撃をしてくる中で戦い抜いた実力を持つ2人だ。
それこそ生身での戦いという事であれば、怖じ気づくといった事ははまず考えられない。
……ただし、それはあくまでも自分が生身で戦う場合についての話だが。
こういう表現はどうかと思うが、自分が生身で戦うだけなら、判断ミスをしても痛い目に遭うのは自分だけですむ。
だが、艦長という立場での戦闘となると、どれだけ生身での戦闘能力が強くても、それを活かすといった真似は出来ない。
そして判断ミスをした場合、その報いを受けるのは自分ではなく部下だ。
自分の判断ミスで、自分以外の者が死ぬというのは堪ったものではないだろう。
せめてもの救いなのは、トライロバイト級の戦力はメギロートやバッタが大半という事だろう。
「なら、そこまで心配しても意味はないだろう? アクセルに出来るのは、無事に2人が戻ってくるのを信じている事だけだよ」
「信じているだけ、か。そうだな。普通に考えればあの2人がどうにかなる訳がないんだし」
もし万が一、億が一にもトライロバイト級に乗り込まれるといったような事になっても、中には量産型Wやコバッタがいる。
コバッタでさえ並の軍人を相手にしても楽に勝てるだけの性能を持つ。
量産型Wにいたっては、相手が一流の兵士でも勝利出来るだろう。
ましてや……それらを何とかやりすごしてブリッジに到着しても、そこには円と美砂の2人がいる。
あの2人に生身で勝てる奴など、それこそこの世界にはいない。
そんな風に考えれば、基本的に心配はいらないのだ。
「さて、じゃあ俺達は……そう言えば、シーマがここにいるのはなんでだ? シミュレータで北米連邦の兵士の相手をしてるんじゃなかったか?」
今更の話だったが、そう尋ねる。
現在シーマは……というか、ウィル・ウィプスに乗っているUC世界組は北米連邦の兵士の訓練をしている筈だった。
何しろ現在北米連邦の中に実際に宇宙で戦った事がある者はいない……訳でないが、かなり少ない。
それこそジャミルとかがその典型だろう。
何しろ戦争が終わって15年だ。
当時は現役のMSパイロットであっても、今はもう引退をしているという者も多いだろうし、そもそも人口の99%が死んだ以上、一体どれだけ生き残っているのかも微妙なところだ。
だからこそ、これから宇宙での戦いにおいてシミュレータを使った模擬戦を行う場合、実際に宇宙での戦いの経験のある者達がその相手なり、指導なりをする方がいい。
そういう意味では、UC世界において1年戦争を経験したシーマ達はうってつけだった。
「少し休憩中さね。さすがに海兵式で訓練をする訳にはいかないしね」
「あー……まぁ、そういうのに慣れてない奴とか多そうだしな」
海兵式、いわゆる罵倒を浴びせながら訓練をするやり方だ。
あれもあれで、きちんとした意味があるんだけどな。
とはいえ、時間がない以上は海兵式の訓練をしても意味はないだろう。
なら、普通に訓練をやる方がいいのは間違いない。
「そんな訳で、今はひよっこ共が自分達の悪かったところを話し合ってるんだよ」
「シーマはそれを見てなくてもいいのか?」
「問題ないよ。モニクが残ってるし」
いや、それはどうなんだ?
そう思ったが、UCから派遣されていた面々の中で真面目なのはモニク……後はクリスか?
それ以外の面々も、ふざけているという訳ではないにしろ、他人にしっかりと教えるとなると微妙なところだ。
だとすれば、モニクを置いてきたというシーマの判断はそんなに間違ってないのか?
取りあえず、シーマも含めて以前行われた模擬戦でその実力は多くの者に見せつけている。
そうである以上、口だけが達者で操縦技術は未熟……といったようには思われないので、その辺で侮られる事はないと思う。
問題なのは、実力は理解出来ても、外見から強そうには見えないので妙な勘違いをして絡んでくるような奴がいるという事か。
そういう意味で一番危ないのは……マリオンだろうな。
マリオンは大人しそうに見える。いや、どっちかといえば気弱に見えるというのが正しいのか?
実際にはそこまで気弱な訳ではないのだが。
特に恋愛に関しては肉食系だし。
オルテガとの恋愛も、オルテガがマリオンを好きになった訳ではなく、マリオンがオルテガを好きになり、押して押して押しまくり……最終的にはオルテガも負けてマリオンと付き合う事になったんだし。
そんなマリオンに対し、何かを勘違いして絡んでくる者がいないとも限らない。
……もっとも、切っ掛けはともかく、今となってはオルテガもまたマリオンにベタ惚れだ。
勘違いしてマリオンに絡むような者がいても、オルテガに呼び出されるような事になるだろうが。
「何なら、アクセルもシミュレータを見に行ってみるかい?」
「俺がか? 俺が行っても、あまり意味があるとは思えないが」
これは謙遜でも何でもなく、事実だ。
俺のMSの操縦は、基本的に混沌精霊である……つまり、物理攻撃が意味がないので、対G能力とかそういうのを無視して行われるのを前提としている。
もし普通の人間が俺と同じような操縦をした場合、それこそGによって身体の骨という骨が折れ、内臓が破裂し、眼球が破裂し、場合によってはGによって脳すら破壊されてもおかしくはない。
……いや、勿論俺だっていつでもそういう風に動いている訳ではないのだが。
そこまでの操縦は、それこそ緊迫した時だけのものだ。
だからこそ、普通の人間では出来ない操縦方法の俺がシミュレータ訓練を見に行っても、あまり意味はない。
ちなみに、一応シミュレータを使えば一般人と同じような操縦は出来たりするのだが。
何しろ実機と違って、シミュレータではGとかそんなに考えなくてもいいし。
……G、Gか。
技術班に頼んで、Gを感じるような出来るだけ本物に近い操縦が可能なシミュレータとか作って貰うのもいいかもしれないな。
もっとも、実働班では基本的に実機を使った訓練を行っているので、作ってもシャドウミラーで使われる事は少ないかもしれないが。
普通実機を使った訓練を行うとなると、それこそ金が掛かる。
ミサイル1発数億円とかだったりするし。
だが……シャドウミラーの場合は、そのへんを全く気にする必要がない。
何しろキブツがある。
キブツに岩石でもゴミでも入れれば、その世界特有の物質ではない限り、幾らでも作る事が出来るのだから。
また、量産型Wやコバッタといった者達がいるので、人的コストの面でも心配はない。
であれば、シミュレータの類を使うよりも実機を使った訓練の方が効果的なのは間違いなかった。
「ほら、いいから行くよ。アクセルが来れば、あの連中ももう少しやる気が出るだろうしね」
「……俺が行って士気が上がるとか、あるか?」
そんな疑問を抱きつつも、今は特に何かやるべき事がある訳でもないので、大人しくシーマと共に進む。
ふにゅり、と柔らからな膨らみが俺の腕に潰される感触。
だが、シーマは自分の胸が潰されているのに、特に気にした様子はない。
これはあれか。当ててんのよ状態か。
そんな風に幸せな感触を楽しみつつ、俺はシーマに連れて行かれるのだった。
「ううう……どうしろってんだよ、こんなの……」
「もっとしっかりと動きなさい。宇宙では地球と違って下にあるのは地面じゃないわ。下から攻撃されるという事も十分に有り得るのよ」
「でも、モニカ教官……どうやって下に注意を向けろって言うんですか」
「その辺は感じるしかないでしょうね。MSの装甲を皮膚だと思って、それで敵の存在を見つけるのよ」
「無茶を言わないで下さい、そんな事が出来る訳ないでしょう!」
シミュレータ室にやって来ると、モニクが何人かの相手……それこそ年齢ならモニクよりも上の者もいる諸々に対して、指導していた。
指導というか……
「海兵式の訓練はやらないんじゃなかったのか?」
「やってないだろう? モニクの教え方も十分に優しいし」
一応という事でシーマに尋ねると、そんな風に言われる。
そうか。これはシーマにしてみれば優しい方なのか。
そんな風に思って周囲を見ると、他にも叱られたり、慰められたり、罵られたりしている北米連邦のMSパイロット達がいる。
「……って、おい。あれ、何か微妙に危ないんじゃないか?」
「どれだい? ……ああ、あれは危ないね」
俺の視線を追ったシーマが、同意するようにそう言う。
視線の先にいたのは、クスコ。
正確にはクスコに1人の男が罵られているのだが……
「はぁ、はぁ、はぁ……もっと罵って下さい。豚と呼んで下さい。ブヒィ!」
見た感じでは顔立ちが整っており、女にもモテるだろう男。
だが、その男は現在クスコに罵られつつ、目に恍惚とした光を浮かべていた。
見るからにそっち系の人だ。
出来ればあまり関わり合いたくないなと思っていると、俺達が入ってきた扉とは別の扉から2人の男がやって来て、罵られて発情していた男を問答無用で連れていく。
あの男も見る目がないな。
クスコは一見するとS系だけど、実際には責められる方が好きだったりするんだが。
まぁ、それは今は俺とモニクだけが知ってる事だけど。
「ん、コホン。何だか妙な奴が紛れ込んでいたみたいだね。……ほら、アクセルが来たよ!」
パンパンと手を叩きつつ、シーマが大きな声で言う。
すると部屋の中にいた者の多くの視線がこちらに集まり……おう?
何故か北米連邦のパイロット達の俺を見る目にもの凄い尊敬というか、既に信仰に近いんじゃないかってくらいの色があるんだけど。
一体何がどうなってこんな風になったんだ?
「アクセルが来てるんだ。みっともないところを見せるんじゃないよ」
シーマの言葉が周囲に響くと、すぐに皆がやる気に満ちた表情を浮かべる。
今までも、決し手を抜いていたという訳ではない。
だが、何故か俺の存在を認識すると、思い切りやる気になってしまっていた。
「一体何がどうなってこんな風になったんだ?」
目の前の光景を全く理解出来ず、俺はシーマに視線を向ける。
するとシーマは、してやったりといった笑みを浮かべていた。
「北米連邦のMSパイロットは、アクセルに憧れている者も多いのさ」
「俺にか? いやまぁ、分からないではないけど」
自意識過剰かもしれないが、俺に憧れる奴がいるというのは分かる。
X世界では基本的に20代の姿なので、詳しい事情を知らない者にしてみれば、俺は20代でシャドウミラーの……幾つもの世界と繋がりを持つ国の支配者という風に見えるだろう。
それでいながら、北米連邦の最精鋭と呼ばれるフォートセバーン、バルチャー、セインズアイランドのMS部隊全てを相手に勝利するだけの力を持ち、更には極上の美人を多数恋人にしている。
また、魔法を使いこなしたりもしている。
そんな俺の存在を知れば、それに憧れるという者がいるのはおかしな話ではない。
実際には色々と大変な事もあるんだけどな。
もしただ羨ましいというだけで俺と入れ替わるような事になった場合、最初こそ幸福の絶頂かもしれないが、時間が経てばそうも言ってられなくなる。……特に夜の行為とか。
他にも色々と事情があって、そういう事になってしまってもおかしくはない。
「ほら、アクセル。何か言ってあげな」
「ここで俺に振るのか!?」
小声でシーマとやり取りをする。
まさかこの状況で無茶ぶりをされるとは思わなかった。
思わなかったが、俺に憧れているという連中を前に、俺が何も言わないというのは少しおかしいか。
であれば、やはりここは何らかの話をしておいた方がいいのかもしれない。
演説と呼ぶ程に大袈裟なものではなくても。
渋々そう判断すると、俺はこちらを見ている者達に聞こえるように口を開く。
「お前達も知っての通り、今の訓練は宇宙での戦闘を想定してのものとなる。宇宙革命軍と……もしくは、それ以外の敵と戦う際にも、宇宙でMSを動かす必要が出てくる以上、この訓練は重要だ」
それ以外の敵というのは、当然だが新連邦なのだが……まぁ、それは別に気にしなくてもいいか。
明確にその名前を出さなくても、分かってるだろうし。
「この北米連邦を守る為にも、お前達の力が必要になる。その為、今この状況で出来る限り必死に訓練を行って欲しい」
そう言うと、パイロット達はやる気を見せて声を上げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796