円と美砂がそれぞれ南米にいる盗賊のバルチャーの討伐に向かい、無事にそれが終わって戻ってくる。
2隻のトライロバイト級は、特に被害らしい被害もなく戻ってきた。
「アクセル君……待った?」
トライロバイト級から降りてきた美砂が、俺を見つけて真っ先にやって来るとそう言う。
「今来たところだ……って言えばいいのか、こういう場合」
「あははは。アクセル君も分かってるじゃない。そうそう、そんな感じ」
嬉しそうに笑う美砂は、いつも通りだ。
人を殺したという事に強い罪悪感を持ってるとか、そういうのは見た感じないらしい。
いやまぁ、それは当然か。
美砂や円は、別に今回初めて人を殺したという訳ではない。
今までそれなりにそういう経験は積んできているのだ。
その上で、今回はあくまでも自分の手で殺したという訳ではなく、メギロートやバッタに命令をして敵を殺したのだ。
今更、よくあるヘタレ主人公のように『人を……人を殺した……』といったようにウジウジしたりはしない。
勿論、美砂も円も好んで人を殺すという訳ではない。
敵対した相手に対する選択肢として、そこに殺すというものがあるだけだ。
好んで殺したいとは思わないだろうが、殺さないと殺せないというのでは大きく違う。
特にシャドウミラーは軍事国家という一面も持っている。
そんな国の人間として、戦いを拒むというのは……いや、別にシャドウミラーに所属しているからといって、必ずしも戦闘要員にならなければいけない訳でもないのだが。
例えば、四葉とか。
後は……戦えるけど殺せないという意味では明日菜もそうか。
特に明日菜は、純粋な戦力として考えれば咸卦法もあって結構な強さを持つ。
実際、美砂や円が明日菜と生身で戦った場合、恐らく明日菜が勝つだろう。
何しろ明日菜の使う咸卦法は究極技法と呼ばれるだけの技術だ。
またそれを抜きにしても明日菜の持つ魔法無効化能力というのは、魔法で戦う円や美砂にとっては天敵に近いし。
だが……明日菜が勝つのは、あくまでも試合の場合だ。
殺し合いとなれば、恐らく円や美砂が最終的には勝つだろう。
「アクセル君、どうしたの?」
「いや、美砂が一体どれだけ活躍してきたのかと思ってな。……で、どうだった? 艦長としての初陣は」
その問いに、美砂は難しい表情を浮かべて、迷いながら言葉を続ける。
「そうね。何というか……いつの間にか終わってた感じ? これ、私はある程度事情を知ってるからいいけど、もし何も事情を知らない人が今回のような戦いを経験したら、戦いを甘く見るような事になるんじゃない?」
「その可能性は十分にあるだろうな」
美砂の様子を見る限り、どうやら本当に戦いはあっさりと終わったらしい。
……無理もないか。
メギロートは個としての性能が高い。
バッタは性能が低いものの、とにかく数が多い。
メギロートも数が多いものの、バッタはそんなメギロートよりも数が多いのだ。
それでいて無人機だけに、恐れを知らず敵に突っ込むといった真似も普通に出来てしまう。
うん、そう考えると本気でもの凄いよな。
何しろメギロートやバッタの群れは、新連邦がエスタルドの首都を攻撃しようとした時、偶然その部隊と遭遇して結局俺達が到着した時には既に戦闘は終わっていたのだから。
しかも、新連邦の中にはバリエントやドートレス・ネオとはまた違う、新型……いや、試作機とか性能実証機とか、そんな感じのMSがいたし。
当然ながら、そういう普通ではないMSに乗っているのは普通のMSパイロットではない。
エース級とかそんな感じだろう。
そんなエース級を含めた新連邦の部隊を殲滅するくらいの実力は持っているのだ。
そうである以上、盗賊のバルチャーやオルクといったような、旧式のMSしか持っていないだろう集団はトライロバイト級を相手にどうにか出来る筈もなかった。
美砂にしてみれば、艦長としての初陣という意味ではあっという間に終わってしまったので、色々と思うところがあってもおかしくはない。
「まずは初陣だったからな。艦長としてどういう風に動くのか。それを完全に理解は出来なかっただろうが、それでも何となく理解する事は出来たんじゃないか?」
「うーん、どうかしら。本当に一方的に終わってしまったもの。私が何かを指示したりとか、そういう事も殆どなかったのよ」
「その辺は、宇宙革命軍と戦う時だな」
宇宙革命軍と戦うとはいえ、その戦いは1度だけで全てが解決する訳ではない。
何度か戦いを行い、宇宙革命軍の拠点まで攻め込む必要がある。
……あるいは、宇宙革命軍を率いている者が有能であれば、本拠地を攻められる前に停戦なり降伏なりしてきてもおかしくはなかったが。
ともあれ、宇宙革命軍との戦いは何度か行われるのは間違いない。
そうである以上、美砂や円が実戦での経験を積むのはそう難しくはないだろう。
「そうだといいんだけどね。……あ、ほら、アクセル君」
俺と話していた美砂が、とある方を指さす。
そちらに視線を向けると、そこには円の姿があった。
トライロバイト級から降りた円は、俺と美砂の姿に気が付くと真っ直ぐこちらに向かって走ってくる。
「アクセル君、美砂」
「お帰り、円。……ふふっ、私の方が早かったわね」
「早いって、それはちょっとの差でしょ?」
「ふふん、そのちょっとの差で、私はアクセル君とラブラブ出来たもんね」
「ラブラブって……はぁ、まぁ、いいけど。……ただいま、アクセル君」
「ああ、おかえり。……どうだった?」
短い一言だったが、それでも円には俺が何を聞きたいのか分かっているのか、少し困った様子で口を開く。
「そうね。これでいいのかしらというのが正直な感想よ。抵抗は……なかった訳ではないけど、それでもこっちの損害はほぼ皆無だったし」
「皆無か。それは何よりだ」
「何よりなのは間違いないけど、それで本当に艦長としての仕事が出来たのかしら?」
「ふふっ」
「……美砂?」
円の戸惑ったような言葉を聞いていた美砂が笑みを漏らす。
するとそんな美砂の様子が気になったのか、円は一体どうしたのかといった視線を向ける。
「いえ、何でもないわ。ただ、ちょっと私も円も似た者同士だと思っただけよ」
「似た者同士……?」
美砂の言葉が理解出来ないちといった様子で首を傾げる円。
そんな円に、俺は口を開く。
「別にそんなに難しい話じゃない。ただ、美砂も円と同じような事を言ってただけだ」
「そうなんだ。……じゃあ、美砂の方も特に苦戦はしなかったの? まぁ、トライロバイト級とかを使ってるんだから、苦戦のしようはないと思うけど」
円も美砂の言葉については十分に理解したのか、そう返す。
実際にトライロバイト級を使ったからこそ、その性能がどれだけのものなのかを十分に理解しているのだろう。
美砂も円も、初陣という事ではそんなに悪くなかったのか?
あるいは初陣でこそ苦戦をする必要があると思うよう者もいるかもしれないが、そのへんは人によって違うだろう。
そもそも円と美砂の初陣というのは、とっくに終わっている。
今回行ったのは、あくまでも艦長としての初陣なのだから。
そういう意味では苦戦する初陣は既に完全に終わっているという事になる。
……それを聞いて納得する者がどれくらいいるのかは、生憎と俺にも分からないが。
「ともあれ、これで初陣は終わった。……次は今回のように上手くいくかどうかは分からないけど、気を付けろよ」
今回はトライロバイト級やメギロート、バッタの性能のお陰で一方的な戦いになったようだったが、もし……本当に万が一にだが、負けそうになっても円や美砂が生身で敵を制圧するといった真似が出来ただろう。
だが、次の戦いは宇宙革命軍との戦いで、つまり戦場は宇宙だ。
混沌精霊の俺は生身で宇宙空間に出るような事は出来るが、円や美砂は不可能となる。
そういう意味では少し心構えを変える必要がある。
「そうね。出来るだけ気を付けるわ。……美砂もいるんだし、何とかなるでしょ」
「ちょっと、私が頼りなの? しょうがないわね」
円の言葉にそう言う美砂だったが、その口調は嫌がってはいない。
寧ろ喜んでいそうなのは顔をみれば明らかだ。
「ほら、その辺にしておけ。……この後、どうするんだ?」
「あー……うん。ナタル先生にどういう指揮をしたのかとか話して、採点して貰う事になってるわ」
「そうか。……頑張れよ」
「ちょっと、アクセル君。それどういう事かしら?」
美砂が不満そうな様子で言うが、ナタルの事だ。間違いなく駄目出しは多くなるだろう。
そうなると、美砂と円はショックを受けるのは間違いない。……もっとも、ナタルも別に意味もなく美砂や円に駄目出しをする訳ではない。
この2人には生き残って欲しいから、そういう厳しい態度になるのだろう。
……にしても、ナタル先生って呼ばれてるんだな。
ナタルの性格を考えると、厳格な教師といった印象がある。
そういう意味でも、ナタル先生というのはおかしくない表現なのか?
にしても、先生……女教師か。
レモンやマリュー、コーネリア辺りに……
「ねぇ、アクセル君?」
「っ!? ……えっと、何だ?」
何故か円がジト目を向けているのに気が付き、出来るだけ何を考えていたのかを分からないようにしながら言葉を返す。だが……
「ナタル先生にはもう決まった相手がいるのよ? 言っておくけど、NTRとか駄目だからね」
セーフ……うん? セーフ? いや、これって寧ろギリギリアウトじゃないか?
夜の楽しみについて考えていたのが、何故か俺がナタルを狙ってるといったような話題になってるし。
「別にそういう事は考えてないから安心しろ」
「本当に? アクセル君なら、そういう風に考えてもおかしくないと思ったんだけど」
「俺を一体何だと思ってるんだ?」
「女好き」
一瞬の躊躇もなく……それこそ、そう答えるのが当然といった様子で美砂がそう言う。
円と話していたのに、何故美砂が答える。
そして俺に反論しにくい内容は、出来れば言わないで欲しい。
俺が女好きというのは、もう否定のしようのない事実だ。
恋人が10人以上……いや、シーマ達を含めると更に増えているので、客観的に俺の姿を見た場合、女好きという印象を持たない奴がいるだろうか。
実際には違う……とは、俺ももう言えないしな。
「俺は円と話していたんだけどな」
「でも、私の答えも間違ってないでしょ? それとも、私や円を毎晩のように気絶するまで責めているのに、それでも女好きじゃないとか、そんな風に言うの?」
美砂の言葉にそっと視線を逸らす。
そう言われると、円の時以上に俺も反論が出来なくなってしまう。
「円も美砂も、いつまでも俺と話をしていていいのか? ナタルが待ってるんだろう?」
「あ、誤魔化した」
「誤魔化したわね。……けど、円。ここは誤魔化されてあげるのが、いい女よ。それにこの辺りで退かないと、夜にもの凄い事になりそうだし」
「ナタル先生が待ってるし、行きましょうか。じゃあね、アクセル君」
美砂の言葉を聞いた円は、即座に態度を変える。
うん、これは今晩は円と美砂は気絶するのは決定だな。
そんな風に思っていると、円と美砂はそそくさと俺の前から立ち去る。……いや、これは走り去るという表現の方が正しいのか?
とちかく円と美砂がいなくなったので、ここに残っているのは俺だけだ。
量産型Wやコバッタが結構動いているのが見えるものの、あっちには話し掛けても意味はないしな。
そんな風に考えながらトライロバイト級を見ていると……やがてこちらに誰かが近付いてくる気配を感じた。
「アクセルさん、ちょっといいですか?」
俺の前にやって来た人物……カリスは、そう言って視線を向けてくる。
以前は俺に対して明確に自分の上位者といったような態度だったのだが、それなりに一緒に行動するようになり、その辺の態度は大分治まってきた。
内心でそう思ってるのかは分からないが。
「カリス、どうした?」
「はい。実は、僕も宇宙に行く事になりました。所属はフリーデンⅡですが」
「フリーデンⅡ?」
「あ、すいません。まだ正式に決まった訳ではないのですが、僕は出来れば北米連邦で用意したあの宇宙艦をそのように名付けたいと思っています」
「……何でまだ、フリーデンⅡ?」
フリーデンとは、言うまでもなくジャミル達が以前乗っていた陸上戦艦の名前だ。
何故そこでフリーデンが出てくるのか。
それに対して素直に疑問を抱いても、そうおかしくはないだろう。
「僕が今こうしていられるは、色々と理由がありました。ですが、それはティファやガロードが大きな影響を与えているのも事実です。……アクセルさんもその中には確実に入っていますが。ただ、僕としてはティファやガロードとの繋がりが大きいと思うので、ティファ達が乗っていたフリーデンの名前を継承したいと思っています。アクセルさんが乗っていたテンザン級に何か名前があれば、それを貰ったかもしれませんが」
「なるほど」
そう言えばフリーデンというのは正確にはアルプス級の艦だったな。
それにジャミル達がフリーデンという名前をつけていた。
だが、俺達が乗っていたのはテンザン級で、名前とかは特に考えないで普通にテンザン級と呼んでいた。
それを思えば、カリスの言葉には納得する事しか出来なかった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796