『では、これによって北米連邦の最精鋭たる者達が宇宙に出立する言葉とする』
北米連邦のお偉いさんがそう言い、演説が終わる。
ウィル・ウィプスの格納庫にあるニーズヘッグのコックピットでそれを聞いていた俺だったが……
「俺達はこうして通信を受けて話を聞いてるだけだからいいけど、実際に式典会場にいた連中は辛い時間だっただろうな」
『それは俺も同意するよ。ああいう長ったらしい話ってのはちょっとね。そういう意味では、俺達はMSに乗ったまま気楽に話を聞く事が出来たのはラッキーだったね』
俺の呟きにロアビィがそんな風に言いながら同意してくる。
ロアビィの性格からして、俺と同じくああいうのは苦手なのだろう。
一応、俺はやろうと思えばああいうのにも耐えられるとは思うんだが。
「こうしてMSにいると、ゆっくりする事が出来るのは嬉しいよな」
『そうそう、アクセルも分かってるねぇ。……もっとも、宇宙に出たら出たで、色々と大変なのかもしれないけど』
ロアビィの言うように、ウィル・ウィプスとシロガネ、ギャンランド、ワンダーランド、そしてフリーデンⅡが一気に宇宙に転移をするのだ。
転移した宇宙で一体どういう流れになるのかは、正直なところ分からない。
なお、カトンボとかは今回出撃しない事になっている。
5隻しかいないのは、数としてどうなんだ? と思わないでもなかったが……まあ、数はともかく質という点では圧倒的に高い。
新連邦がどれだけの戦力を有するのかは分からないが、それでも俺達よりも質が上という事はないだろう。
当初はカトンボも数隻出すかといった意見もあったのだが、千鶴との交渉の結果として、そこまでの代金を支払う事は出来ず、今の状況になった。
……ぶっちゃけ、シロガネを入れずにカトンボを入れるのならそちらを数10隻……場合によっては100隻以上用意できたのだが。
シロガネと実働班を雇うには、それだけの報酬が必要だということなのだ。
ともあれ、数は少ないものの北米連邦にとってこの選択は決して悪いものではなかったと思う。
『アクセル、そろそろ準備をしてちょうだい』
ウィル・ウィプスのブリッジからマリューの通信が入る。
ナタルがシロガネの艦長をしている以上、ウィル・ウィプスは当然ながらマリューが艦長のままだ。
「分かった。式典の連中も待ってるだろうし……なら、さっさと移動するか」
俺達と親しい者なら、影のゲートを使った転移については知っている。
また、他にもシステムXNを使った転移はアルカディアの上で使ったりもしたので、それを見ていた者もいるだろう。
だが……北米連邦の上層部にいる者達にしてみれば、アルカディアにいる訳にはいかない。
アルカディアで何が起きるのか分からない以上、人を派遣していたりする者はいるし、そのような者達の場合はニーズヘッグによる転移については聞いている可能性もある。
もっとも、その場合の転移はあくまでもウィル・ウィプスの格納庫にいるニーズヘッグの転移だ。
そう考えれば、もしかしたら転移装置はニーズヘッグではなくウィル・ウィプスに搭載されていると誤解する者もいるかもしれないな。
……ウィル・ウィプスにニーズヘッグが乗っている以上、その判断も決して間違いではないのだろうが。
「じゃあ、やるか」
特に緊張したりするような事もなく、システムXNを起動する。
「システムXN、起動。転移座標入力……OK。転移フィールド生成開始」
システムXNによって生み出された転移フィールド……光の繭が爆発的に広がっていく。
転移フィールドに包むのがニーズヘッグだけではなく、そしてウィル・ウィプスだけではなく……周囲にいる他の軍艦も同様だ。
そうである以上、転移フィールドである光の繭は極大とも呼べる大きさとなっていき……
「転移フィールド、生成完了……転移」
そう呟いた次の瞬間、今回宇宙に向かう者達はその全てが転移完了し、宇宙にいるのだった。
「マリュー、転移は無事に完了した。他の艦の様子を確認してくれ」
『了解。じゃあ、ちょっと待っててね』
ウィル・ウィプスとシロガネはシャドウミラーの所属でそれなりにシステムXNを使った経験があるので問題はないだろう。
だが、円と美砂が艦長をしているギャンランド、ワンダーランドの2隻や、フリーデンⅡは違う。
円や美砂は艦長としては知っていても実際にシステムXNによる転移を艦長の立場で体験するのは初めてだし、フリーデンⅡはそもそもシステムXNを体験するのが初めてだ。
勿論、フリーデンⅡの方にもシステムXNがどういうのかというのは前もって教えてある。
だが……話を聞いていても、それで全てが問題ないかと言われると、それは当然だが否だ。
転移というのは、X世界の者達にしてみれば完全に未知の技術なのだから。
だからこそ、マリューに様子を見て貰うように頼んだのだ。
『おい、アクセル。ここ……もう本当に宇宙なのかよ?』
ガロードが信じられないといった様子で聞いてくる。
ガロードにしてみれば、生まれて初めて宇宙に出るのだ。
そういう風に思ってもおかしくはないのだろう。
「気になるのなら、格納庫の出入り口の方を見てきたらどうだ?」
信じられないことに、ウィル・ウィプスの格納庫は密閉されておらず、普通に外と繋がっている。
……あるいは、ガロードにとってもそう理解しているからこそ、ここが宇宙かどうか分からないのかもしれないな。
この辺はオーラバリアのお陰なのだが。
オーラバリア万能説というのを以前技術班の誰かが言っていたが、あながち間違いじゃないのかもしれない。
以前試してみたが、オーラバリアは水中とか海中でも効果があった。
であれば、宇宙でもオーラバリアの効果があってもおかしくはなかった。
実際、宇宙飛行士の訓練とかでは水中の中でやったりするらしいし。
『ちょっと行ってくる』
ガロードはそう言うと、通信が切れる。
DXのコックピットから出て……あ、やっぱり。
無重力はガロードにとっても初めての感覚だったのだろう。
その為、浮かびながら手足を激しくバタつかせていた。
ガロードもこうして無重力を動いていれば、そのうち慣れるだろう。
実際、動いて向かっているのは外に向かって開いている場所だ。
……大丈夫か?
あのままウィル・ウィプスの外に出るような事になったら少し危険かもしれないな。
そう思っていると、コバッタがガロードの方に飛んでいく。
コバッタは元々ナデシコ世界の木蓮が使っていた無人兵器だ。
古代火星文明が作った無人機なので、宇宙で普通に動けるのはおかしな話ではない。
そのコバッタにガロードが必死になって掴まっている。
そんなガロードを、キッドが指さして笑っているのが印象的だ。
とはいえ、キッドも宇宙はこれが初めての筈……あ、やっぱり。
ガロードを指さして笑っていたキッドが、バランスを崩して浮かび上がる。
キッドの側にいた部下達が必死になってキッドを床に引き戻そうとしていた。
うん、何だかんだとこの様子を見れば上手くやっていけそうだな。
ただ……格納庫から思わぬ動きで飛び出すようなことがないようにした方がいいかもしれないな。
これがシャドウミラーのメンバーだけなら、無重力での空間も普通に慣れているので問題はないものの、今のウィル・ウィプスではまだ無重力に慣れていない者も多い。
だからこそ、いざという時の為にきちんと扉のような物を作っておくべきだったかもしれないな。
まぁ、今更か。
取りあえず量産型Wやコバッタを少しずつ壁の側に待機させておいて、何かあったらすぐ動けるようにしておいた方がいいか。
「マリュー、ちょっといいか?」
『……どうしたの?』
数秒の沈黙の後、マリューの顔が映像モニタに表示される。
すぐに反応がなかったのは、他の艦……特にフリーデンⅡ辺りと連絡を取り合っていた為だろう。
シロガネは問題ないし、円と美砂も何かあれば量産型Wがすぐに補助をする。
だが、フリーデンⅡに乗っているのはカリスを始めとして宇宙での経験が殆どない連中だ。
勿論、全員が宇宙に初めてという訳ではないと思うが。
ジャミルと同年代なら15年前の戦争で戦っていてもおかしくはない
30代以上……いや、ジャミルがニュータイプで特別若かったとなると、40代以上の奴がいれば、宇宙での戦いについて経験があってもおかしくはない。
ただ、結局のところ大半は宇宙が初めてなので、混乱していてもおかしくはないのだが。
「ウィル・ウィプスは窓とかそういう場所から外に出たり出来るかもしれないが、それで実際に宇宙に出ると面倒な事になる。迂闊に外に出ないように、放送か何かで注意しておいてくれないか?」
『外に? ……ああ、そうね。分かったわ。そうなるかもしれないわね』
「ああ。他にも念の為に外に出ようとした奴を止める為に、量産型Wやコバッタをそういう場所に配備しておいた方がいい」
さすがに意図的に窓から外に出ようとか考える奴はいないと思うが、ここが地上であると勘違いして外に出ようとする者もいるかもしれない。
基本的にウィル・ウィプスの窓は開かないようになっているのだが……幾つかは普通に開いたりする。
ウィル・ウィプスの最高時速は400kmなので、その速度で窓が開いているととんでもない事になる。……あ、でもその辺についてもオーラバリアがどうにかしてくれるのか?
でないと開閉可能な窓とかは用意しないだろうし。
うーん……オーラバリア万能説がまた一段と強くなる。
俺はオーラ力は使えないが、気を使う事が出来るパイロットにはオーラコンバータを内蔵させてもいいのかもしれないな。
『そうね。そういう迂闊な真似をする人はいないと思うけど、念の為を考えるとそうした方がいいかもしれいわ』
「頼む。で、それが終わったら新連邦と合流する座標に向かってくれ。時間的に新連邦もそろそろ宇宙に集結してる筈だし」
新連邦と合流をしたら、宇宙革命軍……正確には、宇宙革命軍の本拠地であるクラウド9に向かう手筈になっている。……何だかんだと、ブラッドマンとジャミルの会談からそれなりに時間が経っている。
その間に、宇宙革命軍の方がどうなっているのか気になるところなんだが……どうだろうな。
出来ればまだ地球に侵略する準備が出来ていないといいんだが。
『じゃあ、こっちの準備が整うまでちょっと待っててね。……もうシステムXNを使う必要はないから、フリーデン組の人達に無重力での移動の仕方とかを教えてあげたらどう?』
「分かった。MSに乗る時とか降りる時とか、もしくは生身で行動する必要が出た時に無重力の中で自由に動けるようになっておいた方がいいしな」
そう言い、ブリッジとの通信を切る。
普通なら無重力の中で動けるようになるまでは、それなりに時間が必要だ。
だが、ウィル・ウィプスに乗っているMSのパイロット達は基本的に運動神経がいい。
ガンダムに乗っている者が多いだけあって、状況の変化に慣れるのが早いのだろう。
なら、無重力下での動きに慣れるのもそれなりに早い筈だ。
「それでも、ちょっと早すぎないか?」
ニーズヘッグのコックピットから降りた俺が見たのは、まだ完全にではないものの、かなり自由に格納庫の中を飛び回っているガロードの姿だった。
さすがジャミルからMSパイロットとしての素質はもの凄いものがあると言われるだけはある。
もしくは、ガロードの持つ主人公補正とかそういうのだったりするのか?
そんなガロードを見つつ、俺が向かったのはアシュタロン。
いやまぁ、ウィッツやロアビィに身体の動かし方を教えてもよかったのだが、ウィッツやロアビィと違ってエニルは生粋のガンダム乗りではない。
あくまでも俺が鹵獲したアシュタロンを貸しているだけだ。
そうである以上、MSパイロットとしては凄腕ではあっても、ウィッツやロアビィよりは劣る……いや、ここまで来るとガンダムを入手出来るかどうかは運次第なのか?
とにかく、エニルの方に向かう。
そうしてアシュタロンの前に到着すると、そのコックピットを外側から軽く叩く。
コンコンという音が周囲に響き、コックピットが開く。
「アクセル、どうしたの?」
「エニルにも無重力に慣れておいて貰おうと思ってな」
そう言うと、エニルは笑みを浮かべる。
「アクセルがレクチャーしてくれるのは嬉しいわね。けど、後で面倒に巻き込まれるのは嫌よ?」
「面倒? 特に何かこれといったものはないだろうから、心配はいらないと思うけどな」
「……女の嫉妬は怖いわよ?」
エニルがそれを言うと、これ以上ない説得力があるんだよな。
「じゃあ、やめるか? エニルが嫌なら、俺も無理にとは言わないけど」
「あら、折角のアクセルからのお誘いだもの。断るなんて真似はしないわよ」
そう言いながら、エニルは俺に手を伸ばし……そして俺はその手を取るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796