ジャミルがサラと共にブラッドマンに対して交渉をしていると……
『アクセル、シロガネからムウが来たみたいよ?』
食堂で軽い食事中、不意にミナトからそんな通信が入る。
「ムウが? 一体何でだ?」
『さぁ? でも、何か用事があるから来たんじゃない? さすがにこの状況で、何の意味もないのに来るとは思えないし』
「それもそうか。暇潰しの為にわざわざ来たりするよりは、シロガネでナタルとイチャついてた方がムウらしいし。分かった。ちょっと行ってみる」
そう言いつつ、ハンバーガーの残っていた部分を口に入れて食堂から出ようとすると……
「おいおい、アクセル。せっかく親友の俺が来たってのに、一体どこに行くつもりだよ?」
丁度そのタイミングでムウが食堂に入ってくる。
あれ? ミナトから連絡があったのは今なんだが、一体何故もうムウがここにいるんだ?
もしかして、移動するのに瞬動とか使ってないよな?
そんな疑問を抱きつつ、俺はムウに声を掛ける。
「ムウが来たって話をミナトから聞いたからな。丁度迎えに行こうと思っていたところだよ。それで、一体どうしたんだ?」
「ああ、俺もこのX世界に来たのは初めてだからな。色々と調べてみたんだが……何故か、ムウ・ラ・フラガという名前が微妙に一部で広がっているのを知ってな」
その言葉に、そっと視線を逸らす。
だが、そんな俺を見るムウの口元に浮かんでいるのは笑みだ。
「いやいや、まさかこのX世界でも俺の名前がこうして売れているというのは、かなり予想外だったよ。ある意味で予想通りではあったけどな」
「あー……うん。エンデュミオンの鷹というのは、俺にとっても使い慣れてるんだよ」
「その割には、このX世界の一部には俺の名前が知られてるけど、エンデュミオンの鷹というのは知られてないような気がするんだが?」
ぐっ、これはちょっとミスったか?
そう言えば、俺はこの世界においてムウの名前を使った事はあったが、エンデュミオンの鷹については使っていなかったような気がしないでもない。
しまったな。これはちょっとミスったか?
「エンデュミオンの鷹を使ってなかったのなら、俺はそれなりに褒められてもいいと思わないか?」
「……ほう」
あ、これミスったか?
ムウの様子からそんな風に思ったが、次の瞬間にはムウは大きく息を吐く。
「はぁ、アクセルにも色々と事情があるのは分かってる。けど、別にわざわざ俺の名前を使わなくてもいいだろうに」
「いや、ムウの名前が使い慣れてるしな。……イザークとかの名前を使っても、それはそれで面白そうだし」
「いや、だからなんでシャドウミラーのメンバーの名前を使うんだよ? 偽名なんだろ? なら、この世界と接触する可能性が低い奴の名前を使ってもいいと思うんだけどよ」
「例えば?」
「坊主……キラとか」
ああ、なるほど。
ムウの言葉に納得するところがあった。
キラは俺にとってもそれなりに親しかった相手で、それでいながらSEED世界のオーブでフレイとラクスの2人と暮らしているので、X世界に接する機会は……機会は……うーん、これどうなんだろうな?
キラとラクス、フレイの3人は、基本的にはキラのハーレム……ハーレム? まぁ、恋人が2人以上いるのでハーレムという表現でも決して間違いではないと思う。
ともあれ、キラとフレイが同棲しており、そこに時々ラクスが泊まりに来るという日常を送っている。
だが、オーブにおいて法的に重婚は認められていない。
実際にはそれは表向きだけの事で、愛人を囲っていたり、浮気をしていたりという者もいるのだが。
ともあれ、公的には重婚が出来ないようになっている。
だが、それはあくまでもオーブならではの話だ。
シャドウミラーにおいては、重婚が普通に許可されていたりする。
それだけに、キラ達が本当に結婚をしたいのならオーブからホワイトスターに引っ越す……シャドウミラーに所属するという可能性も十分にあった。
シャドウミラーとしても、キラの能力は非常にありがたいし。
ラクスの性格は……微妙にシャドウミラーには合わないような気がしないでもないが。
そう考えると、キラ達の移住を自由に受け入れるのは、それはそれで問題があるという事になるのかもしれない。
ともあれ、その辺は実際にやってみないと何とも言えないのは事実。
そんな訳で、キラがホワイトスターに移住してくる事を考えるとキラの名前を使うのは不味いかもしれない。
「って、おい。なら何で俺の名前は普通に使ってもいいんだよ!」
キラについての説明をすると、ムウがそう叫ぶ。
しまったな、藪蛇だったか?
「ほら、人はそこに山があれば登るって言うだろ? なら、そこにムウの名前があれば俺がそれを使うのはおかしな事じゃ……」
「んな訳あるか!」
叫びつつ、ムウが俺に向かって突っ込んでくる。
しかも気で身体能力を強化しているのは見れば分かる。
つまり、現在のムウの拳は俺にダメージを与える事が出来るのだ。
……X世界においては絶対に不可能な事をしているムウだったが、本人にそのようなつもりはないらしい。
とにかくムウから逃れるべく、食堂を脱出してウィル・ウィプスの中を逃げ回る。
こういう時、ウィル・ウィプスのようなオーラバトルシップというのは広くて逃げやすいのは助かる。
もしこれがフリーデンⅡとかだと、逃げるにもかなり苦労をする事になるのは間違いない。
「うおっ!」
当然だが、ムウもまた俺を逃がす訳にはいかないと瞬動を使って追ってくる。
瞬動、そして虚空瞬動というのは非常に高度な技術で、広い場所でならそれなりに使いやすいものの、通路のような狭い場所で下手な奴が使ったりした場合、それこそ壁にぶつかったりして自分にダメージが返ってくる。
俺の場合は混沌精霊で物理攻撃が無効化されるので問題はないものの、ムウは気により身体強化をしていても結局は生身の人間だ。
もし壁にぶつかったりしたら、ムウには結構なダメージになると思うんだが。
さすがに壁を壊すといった事はないと思うけど。
そんな風に考えながらムウから逃げていると……
「おや、アクセ……」
「悪い、また今度!」
通り掛かったシーマにそう言い、俺は逃げる。
逃げる……が、少ししてムウが追ってこない事に気が付く。
なんだ? 諦めたのか?
予想したよりも諦めるのが早かったな。
あ、でもムウにしてみればウィル・ウィプスの中で瞬動を使って追うのが不味いと思ったのかもしれないな。
もし万が一にも壁を壊して外に出るような事になれば、最悪ムウは死ぬし。
俺は混沌精霊なので生身で宇宙に出ても問題はないのだが、ムウの場合は気で強化されているとはいえ、それでも結局のところ生身の人間だ。
……あるいは、もっと気を使った身体強化のレベルが上がれば、宇宙に出てもどうにかなるのかもしれないが。
「ふぅ」
体力的には特に疲れた訳ではないが、精神的には結構疲れた。
息を吐きつつウィル・ウィプスの中を歩いていると……
「待ってよ、パーラ! 待ってってばぁっ!」
「へへん、ここまでおいでー」
「あ、ほら。アベル。足下に気を付けるのよ」
「って、アベルに注意するだけじゃなくて、ティファも危ないぞ!?」
ウィル・ウィプスの中にある一室……軽く運動出来る程度に広い部屋の中から、そんな声が聞こえてくる。
聞き覚えのある声に部屋の中を見てみると、そこではアベルがパーラを追い掛けつつ、ティファがアベルを、ガロードがティファを追うという……何とも微妙な状況になっていた。
サテリコンから派遣されてきたパーラだが、いつの間にかガロード達と知り合っていたらしい。
こうして見ると、そんなに相性も悪くない。
……もっとも、幼児退行しているアベルだけが一際背が高いので、どうしても目立っているが。
「あ……」
そうして部屋の中を見ていると、ティファの右肩にいるリスの炎獣が俺の存在に気が付いたのかこちらを見て、それに釣られるようにティファも俺を見て思わずといった様子で声を上げる。
いつものように、薄らと頬を赤くしながら。
うん、まだティファが俺を相手に色々と思うところがあるのだろう。
そろそろ慣れて欲しい……というか、マリューやミナトとの行為を忘れて欲しいと思うんだが。
「ん? あ、アクセル。どうしたんだよ?」
ティファが俺を見たのに気が付いたのか、ガロードがそう言ってくる。
同時にアベルとパーラの2人も俺の存在に気が付く。
「いや、ちょっとこの近くを通ったら声が聞こえてきたんでな。……それよりも、パーラと随分仲良くなったみたいだな」
「へへっ、サテリコンにはあたしと同じくらいの年齢の奴っていなくてよ。こうしてティファ達と会って話せたのは、凄い新鮮だったんだよ」
そう言い、本当に嬉しそうな様子を見せるパーラ。
パーラと同年代がいないという事は、サテリコンは元々そういう組織なのか。
そうなるとパーラは特別優秀だからサテリコンに加入されるのを許されたのか?
もしくは加入しなければならない何らかの理由があったのか。
生憎とその辺の理由については俺も分からないが、それでもこうして同年代の面々――アベルは特殊だが――と遊べるのは、パーラにとっては嬉しいのだろう。
「そうか。友好的な関係を築けたようで何よりだ」
「へへっ、それで……新連邦とのやり取りはどうなったんだよ?」
俺の言葉に最初は嬉しそうな様子を見せたパーラだったが、すぐに真面目な表情に変えて聞いてくる。
アベルがそんなパーラに何かを言いたそうにしていたものの、ニュータイプとしての勘なのか、それとも雰囲気を読んだのか、とにかく今は邪魔をしない方がいいと判断して黙っていた。
「まだ連絡は入ってないな。恐らくはジャミルがブラッドマンと通信で交渉をしている筈だ。……とはいえ、パーラはそこまで心配しなくてもいいと思うぞ」
「何でだ?」
「今からダリア作戦を潰すには、俺達の協力が必要だ。具体的には転移がな。……まぁ、もしかしたら、本当にもしかしたらだが、普通に移動してもダリア作戦が発動する前にコロニーレーザーのある場所まで到着出来る可能性はあるが。それでも、転移を使った方が確実だろうし」
転移で移動すれば確実に間に合う上に、宇宙革命軍に対して奇襲となる。
それと比べると、普通にコロニーレーザーのある場所に向かった場合は、向こうの防衛線に察知されるのは確実だろう。
どちらがいいのかと考えれば、考えるまでもなく前者の転移だ。
ブラッドマンが俺達の思い通りになるのが嫌で、意地でも転移を使わずに自分達でどうにかする……といったようなことを言わないとも限らないが。
「ふーん。じゃあ、サテリコンの本拠地を新連邦に見付からないで何とかなるのか」
「恐らくだけどな」
何事にも絶対はない。
こっちの手札は多いが、それもあくまでジャミルがブラッドマンと上手い具合に交渉が出来たらというのが前提の話となる。
ジャミルはパイロットや艦長としては優秀だが、生憎と国の代表、もしくは政治家として考えれば経験不足なのは否めない。
ブラッドマンとの交渉では、その辺をどう補っていくかだな。
サラ辺りがその辺をどうにかしてくれと期待しよう。
「なら安心だな。よし、続きをやろうぜ!」
「今度は負けないからな!」
パーラの言葉にアベルが嬉しそうにしながら再び部屋の中で追いかけっこが始まる。
それを見ていた俺は、もしアベルが幼児退行から復活して記憶が戻った時にどうなるんだろうと疑問に思う。
記憶喪失から復帰した時、記憶を失っていた時の記憶がなくなる者がいるという話を聞いたことがある。
ただしアベルの場合、記憶喪失ではなく幼児退行だ。
それだけに、幼児退行が治った時……現在のアベルにしてみれば年上のお姉さんだが、実際には自分よりもかなり年下のパーラに懐き、こうして無邪気に遊んでいる時の事が記憶に残っていれば……普通に考えて、黒歴史に近いだろう。
いや、その辺はティファを姉だと思っている時点で変わらないか。
一体何がどうなってティファを姉と思うようになったのかは分からないが。
その辺については結局のところ自分でどうにかしていくしかない。
俺がそこまで気にするような事でもないか。
そう判断し、未だに俺から視線を逸らしているティファを一瞥し、ガロードに声を掛ける。
「ガロード、俺はそろそろ行くよ」
「ん? ああ、分かった。じゃあ頑張ってくれよ」
これ以上ここにいてもあまり意味はないだろうと判断しつつ、俺はその部屋から立ち去る。
「アクセル?」
そうして部屋を出た俺に掛けられる声。
一瞬ぎくりとしたものの、それがムウの声ではなくシーマの声だと気が付くと、安堵する。
安堵したのだが……そこにいたのは、何故かニンマリとした笑みを浮かべるシーマの姿だった。
「シーマ? どうした?」
「いや、何でもないよ。ただちょっと、ムウにアクセルの色々な話を聞かせて貰っただけでね」
そう言うシーマに、俺はムウが途中で俺を追ってくるのを止めたことを思い出すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2150
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1797