「へぇ……やるな」
ジャミルにそう言うと、いつもは寡黙なジャミルが少しだけ自慢げな様子を見せる。
実際、ジャミルにしてみればそういう態度をとってもおかしくはない。
何故なら、ジャミルはブラッドマンとの交渉の結果としてこっちの要望を全て承諾させたのだ。
勿論、俺の転移を使わなければダリア作戦には間に合わないというのがブラッドマンにも理解出来たというのが、この場合は一番大きな理由だろう。
それ以外にブラッドマンにも思うところは色々とあるんだろうが、それでもこの状況を思えばこっちの要望を受け入れた方がいいと思っての決断だろう。
何よりも嬉しかったのは、俺達と一緒にダリア作戦に参加する連邦軍の部隊……というか、軍艦が1隻だが、とにかくその軍艦にはフロスト兄弟がいないという事だろう。
いつこっちを後ろから撃ってくるのか分からない存在である以上、この件がなくなったのは素直に嬉しい。
「ジャミル、北米連邦の代表として活動しているうちに、交渉能力も大分上がったんじゃないか?」
「そこまで言われる程ではないと思うがな。……今回の件に関しては、向こうにも思うところがあったのだろう。だからこそ、この結果となった」
「ブラッドマンにしてみれば、自分達の戦力を減らさずに宇宙革命軍に被害を与えるという意味では決して悪くないしな」
その辺については、宇宙革命軍を倒した後の事を考えてのものだろう。
今現在、新連邦と北米連邦は停戦している。
同盟とまではいかないが、協力して宇宙革命軍を相手にするという方針だ。
だが……その停戦は、あくまでも宇宙革命軍を倒すまでの話でしかない。
宇宙革命軍を倒してしまえば、新連邦にとって北米連邦は倒すべき敵でしかないだろう。
北米連邦と停戦をして、協力して宇宙革命軍に対抗する条件として、現在地球における新連邦の侵略戦争は一時的に停止している。
その侵略戦争もまた、宇宙革命軍を倒して北米連邦を敵とした場合、再開されるだろう。
もっとも、侵略戦争を受けている側も、新連邦の侵攻が停止している現在は必死に戦力の立て直しを図っている筈だ。
具体的には、北米連邦に接触してアルカディアからMSを購入するなり、MS部隊の訓練をして貰うなり、MS部隊を派遣して貰うなりといったように。
そのような状況だけに、もし新連邦が侵略戦争を再開しても、以前のように楽に倒せるといった真似は出来ない筈だ。
以前もまた、戦力的にはともかく士気的な問題でそう簡単に倒せる状態ではなかったが。
新連邦の樹立をブラッドマンが宣言したすぐ後で、ジャミルが北米連邦の建国を宣言し、新連邦に対抗するというのを明らかにしたのが大きい。
戦力的な問題はともかく、長距離通信技術が失われているX世界において、全世界に通信出来るだけの技術を持っている相手が敵だと知れば、普通はかなり不安に思う。
だが、そんな新連邦と互角の技術を持っている者が、その新連邦に対抗するというのを知っていると、士気的な面では明らかに大きい。
そんな訳で新連邦の侵略戦争は当初の予定通りに進んでおらず、宇宙革命軍との戦いで侵略戦争が停止している状況で侵略先は戦力を整えているので、再度侵略が始まっても以前よりも対応能力は上がっているだろう。
そんな宇宙革命軍との戦いの後の事をブラッドマンが考えていない筈もなく……ジャミルの要望を受け入れたのはそれが原因だろう。
もっとも、そうなるとダリア作戦を阻止したのは新連邦ではなく北米連邦だという事になり、名声という意味では新連邦的には美味しくないのだが。
それでも名より実を取るという意味で、ブラッドマンの選択は決して間違っていない。
だからといって、そんなブラッドマンの予定通りに行くかどうかは別の話だが。
「とにかく話が決まった以上は、いつまでもここにはいられない。まずは俺達……ウィル・ウィプスだけでサテリコンの本拠地に行くという事でいいんだよな?」
「そうなる。ただ……今回のダリア作戦については関係ないが、月についてはブラッドマンにも何か思うところがあるらしい」
「月に? ……いや、考えてみればおかしな話じゃないのか」
ティファとアベルに接触してきた月の施設。
ルチルに接触しなかったのは分からないが、多分その辺は月の誰かが接触してきたのはあくまでもティファで、アベルはティファの側にいたから……表現は悪いが、あくまでもおまけ的な存在だったのだろう。
ともあれ、そうしてニュータイプのティファに接触してきた以上、その月の存在もニュータイプであるのは間違いない。
そして新連邦は今までのやり取りを見ても分かるように、ニュータイプに強い関心を持っている。
ニュータイプ至上主義だという宇宙革命軍とは違い、あくまでも強力な兵器、便利な道具としての認識だろうが。
そのようなニュータイプが月にいる以上、ブラッドマンとしては出来れば自分達で確保したいのだろう。
「月の件は、取りあえずダリア作戦を阻止してからの話だな」
今回の交渉ではブラッドマンに勝利したかのように見えるジャミル。
こっちの手札を考えれば、そんな風に思うのもおかしくはないだろう。
おかしくはないだろうが……もしかして、ブラッドマンにしてみれば月に俺達を行かせないようにするというのが目的だった可能性もあるのか。
今のこの状況でそんなことを考えるとは、到底思えない。
思えないが、それでも月にだけは行かせたくないと思っているのはきっと俺の気のせいという訳ではないだろう。
だからといって、もう交渉が纏まってしまった以上はどうしようもないが。
「なら、パーラに連絡をしてくれ。サテリコンの本拠地がどこにあるのか、大雑把にだが座標を聞く必要がある。少し前に見た時は、ガロードやティファ、アベルと一緒にいたから、ガロード達のいる場所に連絡をすればいいと思う」
「分かったわ。トニヤ、お願い」
マリューの指示に従い、トニヤがコンソールを操作し始める。
「それと、連邦軍から来る奴は……サテリコンの本拠地から戻ってきたらすぐにダリア作戦の阻止に向かうから、いつでも発進出来るように言っておいてくれ。もっとも、新連邦の連中にしてみれば、俺達からわざわざそんなことを言われなくても準備はしてると言ってくるかもしれないけど」
新連邦に所属してる者達の中には、自分達が旧連邦の後継組織だという思いを抱いている者も相応にいる。
そんな者達にしてみれば、本来なら自分達に従っていなければならない筈の北米連邦から指示されるのは面白くはないだろう。
まぁ、そういう奴がいてもブラッドマンがこっちとの取引を受け入れた以上、負け惜しみにしか思えないが。
「後は……何かあるか?」
「ムウがウィル・ウィプスに来てるんじゃなかった?」
「……ああ、そう言えばそうだったな」
俺を追ってきたムウだったが、振り切った……というか、途中でシーマと話していて俺を追うのは止めたが、まだシロガネに戻っていない場合はウィル・ウィプスに残っているという事になる。
「まだムウがシロガネに戻ってないのなら、シロガネに戻るように言ってくれ。それとウィル・ウィプスがサテリコンの本拠地に行ってる間の指揮はナタルに任せる。何か問題があったら、フリーデンⅡと相談して対処するようにしてくれ」
こうして指示が終わると、それぞれが行動に移る。
ちなみにムウは予想通りもうシロガネに戻っていたのが確認出来た。
ムウにしてみれば簡単にシロガネに戻ったような。
これがイザークなら、それこそ俺を見つけるまで決してシロガネに戻るような真似はしなかっただろうし。
……オウカを連れてくれば、どうにかなるか。
そういう意味だと、もしムウがウィル・ウィプスに残っていてもナタルを連れてくればどうにかなったのか。
そしてパーラがやがてブリッジにやって来る。
「悪い、待たせたか?」
「いや、そうでもない。それで、サテリコンの本拠地についての座標を教えてくれ。すぐに転移するから」
「……分かった」
まだ完全にではないにしろ、転移については信じている様子のパーラ。
恐らくガロード達から転移について話を聞いたんだろう。
それにこれから実際に転移をすると俺達が話している以上、転移が嘘か本当かはすぐに分かると考えているのかもしれないな。
パーラから聞いた座標を覚えると、俺は格納庫に向かう。
転移をするのは、影のゲートではなくニーズヘッグのシステムXNだ。
そうである以上、俺がニーズヘッグに乗らないとシステムXNは起動出来ない。
格納庫に向かうとニーズヘッグのある場所まで向かう途中でキッドの姿を発見する。
俺が捕らえたクラウダを解析しているらしく、何人ものメカニックが周囲には集まっていた。
エナジーウィング的な使い方が出来るビームカッターは、手を使わなくても攻撃出来るという意味で優秀な武装だ。
出来ればその解析を優先して、高機動型GX……もしくはそれ以外のアルカディアで生産するMSに装備させたいな。
それとGファルコン。
こちらは俺が鹵獲した訳ではなく、サテリコンの所属機である以上は勝手にデータの解析とかそういうのが出来ない。
これからサテリコンの本拠地に行くので、その時の交渉でどうにか出来ればいいんだが。
Gファルコンが量産されれば、高機動型GXはかなりの戦力アップになる。
とはいえ、Gファルコンにはパーラが乗っている。
もしかしたらガンダムと合体するのを前提として使う……例えば、最初から合体させた状態で出撃させるとしても、Gファルコン側にパイロットが必要となるのかもしれない。
そうなるとかなり面倒だな。
ダラニのように無人機として使えればいいんだが。
もっともその場合は、分離した時にどうなるのか分からないけど。
「さて」
Gファルコンについて考えている間に、俺はニーズヘッグの前にやって来ていた。
近くでニーズヘッグの見張りをしていたエルフ達に離れるように言ってから、コックピットに乗り込む。
このニーズヘッグは、俺の愛機だ。
ただの愛機というだけではなく、宝具ですらある。
そしてシャドウミラーが持つ技術が複数使われている。
そんな中でキッドのような存在がいるのだ。
キッドにはニーズヘッグに迂闊な真似をしないように言ってはいるが、それでも万が一にも妙な事を考えた場合、それを防ぐ為にエルフが警備をしていた。
エルフだけではなく、量産型Wやコバッタが警備をしたりしている時もある。
あるのだが、エルフ達にしてみれば俺は神の如き存在だ。
そんな俺の機体を守るというのは、エルフにとって非常に名誉な事らしく、それこそ先を争って自分が警備をすると主張する者が多く、場合によってはそれでトラブルになることもあるとか何とか。
今は一応そういうことはなくなってるらしいが。
エルフ達の俺に向ける感情は、少し対応に困る。
一応、あからさまに崇めたりといった真似はしないようにと言ってるし、それを実際にやって貰ってもいる。
しかし、そのような真似をしても、実際に俺に向けてくる感情の件を考えると、どうしても思うところは出てしまうのだ。
いやまぁ、今はそういうのを考える必要はないか。
いずれ……将来的に……多分……きっと、エルフ達の俺に対する思いも変わってくるだろうし。
これが例えば、俺が崇められる事によって何らかの利益を得られるとかなら、また少し違ってくるんだろうが。
具体的には何らかの力を入手出来るとか。
とはいえ、俺はこれからも色々な未知の世界に行く事になる。
そうである以上、もしかしたら俺を崇める気持ちが俺にとって何らかの能力になるというシステムなりマジックアイテムなりを入手出来るような日が来る可能性もあるし。
勿論、可能性は決して高くはない。
高くはないが、ゼロではない以上はいつかそういうのを入手出来る可能性はあるだろう。
「さて……まずはそういうのを考えるよりも、自分のやるべき事をやらないとな」
コックピットで機体を起動させる。
いつものように俺の諸々の情報をサーチし、それこそ念動力による情報をも確認してからようやく機体が起動した。
それを確認し、外部スピーカーで格納庫にいる面々に声を掛ける。
「アクセル・アルマーだ。これからウィル・ウィプスは転移をする。いつものように転移フィールドを生成するから、動揺して騒いだりはしないでくれ」
一応これからの予定についてはそれなりに知らされているので、こうして言っておけば問題はないだろう。
実際、映像モニタに表示されている者の多くは動揺してるようには見えなかったし。
それを確認し、転移の準備に入る。
「システムXN、起動。転移座標入力……OK。転移フィールド生成開始」
パーラから聞いた転移座標を入力し、転移フィールドを生成していく。
光の繭のような転移フィールドがニーズヘッグから生み出され、その転移フィールドはウィル・ウィプス全体を覆い……
「転移」
その言葉と共に、ウィル・ウィプスは転移するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2150
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1797