転移が完了すると、既にそこは予定の場所……サテリコンの拠点からは大きく離れている場所だった。
ウィル・ウィプスから流れてきた映像では、シロガネやワンダーランド、ギャンランド、フリーデンⅡの姿が見える。
また新連邦の艦隊についても確認出来た。
ウィル・ウィプスに乗っている面々は慣れているから問題ないだろうが、サテリコンの軍艦に乗っていた面々はどんな風に感じてるんだろうな。
自分達が光の繭に包まれたと思った次の瞬間には、既にこうして全く別の場所にいたのだ。
それを考えると、手品だなんだという風には思えないだろう。
サテリコンを率いるロイザーが、部下達に一体何と説明したのか。
もしくは、あっちの軍艦に乗っているパーラがどんな説明をしたのか。
どちらにしろ、ロイザーやパーラの説明を信じてようがいまいが、こうして実際に自分達が体験した以上、それを信じないという事は有り得ない。
さすがに今の状況を夢や幻、あるいは催眠術だといったように主張する事はないだろうし。
『アクセル、少しいいか?』
不意にジャミルからの通信が入る。
いつものようにサングラスをしているので、その表情の正確なところは分からない。
ただ、ジャミルにしてみれば転移というのは影のゲートも含めて何度も経験してきた事だ。
今更転移をしたくらいで驚いたりはしないだろう。
「どうした?」
『これからすぐに新連邦に連絡をする。約束通り、向こうから戦力……あくまでもそれは表向きで実際には見張りだろうが、とにかくそれを送って貰ったらすぐダリア作戦の阻止に向かいたいのだが、構わないか?』
「ああ、俺の方は特に何の問題もない。……正直なところ、ここに転移してきたら実は新連邦が全滅してましたということも覚悟していたんだが、そういう感じじゃなかったし」
俺の言葉にジャミルは数秒黙る。
もしかしたら、そんな事は有り得ないと思っているのかもしれない。
普通に考えれば、実際その考えは間違っていないだろう。
だが、それはあくまでも普通に考えればの話だ。
まず大前提として、ウィル・ウィプス隊という北米連邦の主力と思われているウィル・ウィプスがいなくなったというのが大きい。
実際には主力という意味ではシャドウミラーの実働班が集まっているシロガネとか、メギロートやバッタをこれでもかと搭載しており、シロガネを始めとしたスペースノア級に対抗する為に開発されたトライロバイト級が2隻いる。
フリーデンⅡの方も、ベルティゴを操縦するカリスが隊長を務めるMS隊はシャドウミラーと比べると劣るものの、このX世界においては間違いなく一級品の戦力だ。
ウィル・ウィプスがいなくなったとはいえ、それだけの戦力を相手に新連邦がどうにか出来るかと言えば、普通は否と答えるだろう。
だが、新連邦にはシャドウミラーについての情報は決して多くはないし、自分達が旧連邦の正統後継組織であるという自負もある。そして何より、新連邦の中にはフロスト兄弟という強烈な憎悪を俺達……というか、俺に抱いている者もいる。
そう考えると、ウィル・ウィプスがいなくなったのを好機と考え、新連邦が北米連邦に攻撃を仕掛けるという可能性は決して否定出来ないのだ。
人工ニュータイプになったフロスト兄弟なら、こっちの実力を見抜くといったような真似が出来てもおかしくはないと思うんだが。
というか、こうして実際に戦いが起きた様子がなかったという事は、その辺の理由でこっちもどうにかなったのかもしれないな。
その辺りの事情を説明すると、ジャミルは数秒沈黙した後で口を開く。
『……そのようなことには、さすがにならないと思うが』
「人の憎悪というのは、傍から見てるだけだと理解は出来ないしな。憎悪を抱いている奴がいるのなら、普通にそういう行動をしたりしてもおかしくはないと思うぞ」
その言葉に少し困った様子を見せるジャミル。
相変わらずのサングラスで表情はきちんと確認出来ないが、そういう雰囲気を持ってるのは間違いない。
15年前は戦争の最前線にいただけに、今の俺の言葉にも色々と思うところがあったのだろう。
「安心しろ。それはあくまでもしもの話だ。実際、こうして俺達が戻ってきたけど、特に何かがあるようには思えないだろう?」
『それは……そうだな。とにかく余計な騒動がなかったようで何よりだ。これからダリア作戦の阻止をする以上、ここで何か問題が起きていればこの後も面倒な事になっただろうからな』
「そんな感じだ。ともあれ、これで準備は整った。後は新連邦側から派遣されてくる戦力と合流したら、ダリア作戦を阻止しにいく。……詳細な作戦を練る余裕がないのが痛いけどな」
『その辺は仕方がないだろう。寄せ集めの戦力で、しかもコロニーレーザーの周辺がどのような状況になっているのか分からないのだから』
ジャミルの言うように、この状況で詳細な作戦を練るというのはそもそもが無理な話なのだろう。
戦力としてはシャドウミラー、北米連邦、サテリコン、新連邦という4つの勢力が混ざっているし。
もっとも、シャドウミラー以外はどこも1隻の戦力だと考えれば、大多数はシャドウミラーの戦力である以上、連携を取るのはそう難しい話ではない。
この場合、一番大きな問題はやはりコロニーレーザーにどれだけの防衛戦力が敷かれているのか分からない事だろう。
宇宙革命軍の中でもエースとして名高いランスローは、新連邦の奇襲に参加していたので多分コロニーレーザーの防衛戦力にはいないと思う。
だが、それ以外の戦力をどのくらい用意するのかは……どうだろうな。
普通に考えれば、コロニーレーザーに襲撃を仕掛けてくるとは向こうも思っていないだろう。
北米連邦と新連邦が宇宙に上がったのは向こうも理解しているが、コロニーレーザーについて察知出来るかどうか、そしてコロニーレーザーのある場所まで移動するまでの時間といったことを考えると、普通に考えれば攻撃を仕掛けるとは思っていない筈だ。
こっちにシステムXNがあるのを知らなければ、そんな風に考えるのは当然だった。
そう考えると、今回のダリア作戦の阻止については何気に上手い具合に出来そうなんだよな。
「色々と大変だろうが、頑張ってくれ」
そう言う俺に、ジャミルは大きく息を吐きつつ通信を切るのだった。
「え? じゃあ、戦いそのものはそんなに激しくならないのか?」
ウィル・ウィプスの食堂で、ガロードが驚きと共にそう言う。
ガロードにしてみれば、今回の戦いは決して簡単なものだとは思ってなかったのだろう。
……いやまぁ、普通に考えればそれは決して間違っていないと思うが。
「宇宙革命軍にしてみれば、まさか転移なんて手段で襲ってくるとは思ってないだろうしな。もし普通にコロニーレーザーを攻め落とそうとした場合は、こっちの戦力が実際に近付く前に対処をするのは難しい話じゃないし」
「へぇ……こうして聞くと、やっぱりアクセル達の転移って卑怯だよな」
「いや、卑怯って言い方はどうなんだ? 影のゲートはともかく、システムXNはきちんとした科学技術だぞ? X世界でも、順調に科学技術が発展していけばいずれ到達出来るかもしれない」
もっとも、可能性は0ではないだけで、限りなく低いだろうが。
何しろシャドウミラーですら、偶然システムXNの本物……アギュイエウスを入手し、それをレモンという天才が技術班と共に研究して、その結果としてどうにかシステムXNを完成させることが出来たのだから。
それと同じような事をX世界でやれというのは難しいだろう。
場合に寄っては……本当に可能性は低いと思うが、レモンと同程度の天才、万能の天才と呼ぶべき者が現れる可能性はあるものの、アギュイエウスを入手出来るかどうかとなると……うん。
そしてその2つが同時に揃う確率となると、一体どれくらいになるのやら。
とはいえ、だからといってこのX世界の技術が低いという訳ではない。
Lシステムとか、あれは上手い具合に発展すればもの凄い力になっただろうし。
……それを言えば、ルチルがどんな風に反応するのか分からないので、言わないが。
他にはビットMSとかそっち系の技術はかなり高い。
UC世界におけるビットというのは、俺が知ってる限りだとエルメスのビットしかない。
そしてエルメスのビットは、確かMSの半分くらいの大きさだった筈。
それと比べると、ベルティゴのビットはニーズヘッグのファントムとそう違いはない。
この辺は素直に結構凄いと思う。
「なぁ、アクセル。少し話は変わるけど、新連邦からやって来る奴はフロスト兄弟じゃないんだよな? 嫌だぜ、俺。ああいう連中と一緒に戦うの。いつ背中から撃たれるか分かったもんじゃないし」
ガロードのその言葉は俺も同意だった。
実はフロスト兄弟に関しては、俺とガロードはある意味で似た境遇にあったりする。
フロスト兄弟の兄のシャギアは俺にMSを奪われたりした事で強い憎悪を抱いている。
弟のオルバはガロードと以前何かあったらしく、兄に引きずられて俺を憎んでるのは間違いないが、それ以上にガロードを憎んでいた。
そういう意味では、フロスト兄弟に狙われているという点で俺とガロードは仲間だ。
決して好ましい仲間ではないのだが。
「ジャミルにブラッドマンと交渉する時、フロスト兄弟は入れないようにと言っておいたから、多分大丈夫だと思う」
ガロードにそう返すも、自分でもその言葉を決して信じている訳ではない。
フロスト兄弟が自分の感情を重視して動くというのは、ニュータイプ研究所を襲撃した一件を見れば明らかだ。
ニュータイプ研究所は民間資本……つまり新連邦直轄の組織という訳ではなかったにしろ、アベルの件を見れば分かるように新連邦に協力していた。
北米連邦としては嬉しくない出来事だが、あのまま協力関係を続けていれば、新連邦はニュータイプ研究所から多くの者や物を受け取っていただろう。
だというのに、フロスト兄弟はニュータイプ研究所を襲撃したのだ。
それも徹底的に。
そういう行動を考えると、フロスト兄弟にとっては自分達の感情が最優先されるのは間違いない。
そのような性格をしているだけに、下手に相手の行動を読めないというのは痛かったりする。
「ふーん。じゃあ大丈夫なのか」
「そうだな。多分……」
「え? おい、ちょっと待てよ。アクセルのその言い方だと、少し不安になるんだけど。一体何でそんな風に言うんだよ?」
「ブラッドマンがフロスト兄弟に動くなと言っても、フロスト兄弟がそれを素直に聞くか保証がない。あるいはブラッドマンの言葉には素直に頷いても、それは表向きだけで実際にはブラッドマンに知られないように俺達と一緒に来る軍艦に潜り込む可能性は否定出来ない」
「げぇ……あ、でもこっそりと忍び込むのなら、MSは持ってこられないだろう? なら、向こうがこっちに危害を加えようとしても難しいんじゃないか?」
なるほど、ガロードの言い分にも一理ある。
フロスト兄弟で怖いのは、あくまでも乗っているMSの性能とその操縦技術だ。
特にヴァサーゴとアシュタロンは俺達が知ってるのとは違い、改修されて強化されていた。
そのMSを使わず、それこそ普通の……ドートレス・ネオとかでこっちに攻撃してくるのなら、それなりに厄介な敵なのは間違いないものの、対処出来ない訳ではない。
……ぶっちゃけ、ヴァサーゴやアシュタロンで襲い掛かってきても、正面から攻撃をしてくるのならこっちとしては対処のしようはあるんだけどな。
そうなると、強化されたヴァサーゴやアシュタロンを入手出来るので、そういう意味では悪くない結果になると思う。
とはいえ、今回の場合はあくまでもダリア作戦の阻止が最優先事項なので、出来ればフロスト兄弟は来ない方がいいんだが。
「そうだといいんだけどな。……フロスト兄弟はカリスと同じになった。つまり、シナップス・シンドロームに苦しめられる事になる。前もってその時期は分かるらしいから、冷凍睡眠とかそんな感じでやりすごしたりは出来るらしいけど」
「それが偶然今この時に起きるってのは……ちょっと期待出来ないとは思うけどな」
「正直なところ、俺もそう思う。そうなったらラッキー程度に思ってるだけだよ」
フロスト兄弟がシナップス・シンドロームが起きるかどうかというのは、本当に運次第だろう。
そして俺の運は……うん。もしステータスに運という数値があれば、恐らくかなり低い数値だろう。
実際Fate世界でサーヴァントとなって聖杯戦争に参加した時もCだったし。
あれ? でもサーヴァントのステータスでCってそこまで悪い訳じゃないよな?
後でちょっと凛に聞いてみるのもいいかもしれない。
そんな風に考えつつガロードと話をしていると、やがて食堂にティファとアベルが姿を現し、そしていつもと同様にティファは俺を見ると頬を赤く染めて視線を逸らすのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2150
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1797