ダリア作戦の阻止という大きな役割を終え、新連邦と合流すべく戻ってくると新連邦の艦隊は全滅していた。
旗艦の残骸と思しき物があったので、恐らく新連邦を率いていたブラッドマンも死んだのだろうと思いながら、俺達は生存者を探す。
ダリア作戦の阻止を行ってから俺達が戻ってくるまで、そんなに時間があった訳ではない。
だとすればMSのパイロットもいるかもしれないし、あるいは軍艦から脱出艇で逃げ出す事が出来た者もいる可能性がある。
そう思っていたのだが……
『これは一体どういう事だろうねぇ』
ヴァサーゴに乗って生存者を探しているシーマの呟きが通信で聞こえてくる。
俺もシーマの呟きには、非常に同意したい。
何故なら、生存者が全く見つからないのだ。
単純に俺やシーマのいる場所に偶然生存者が誰もいないだけ……という可能性もない訳ではないが、他の者達に通信を送っても誰も見つけられていないというのは疑問だ。
考えられる可能性は幾つかがあるが、その中でも一番大きなものは……
「生存者を1人も出さず、全滅させる事を優先したのか?」
『本気かい? そこまで偏執的な真似をしたと? そもそも、そんな真似が出来るのかい? 1人も逃さず皆殺しだというのは、戦う前に叫んだりするけど、実際にそのような真似が出来るかどうかは……難しいよ?』
「だろうな。俺もシーマの言う通りだと思う。けど、実際にこうして誰も生き残りがいないとなると、実際にそういう真似をしたという可能性は否定出来ない。それに……俺達には、そういう真似が出来る敵がいるのを知っている」
『フロスト兄弟かしら?』
俺とシーマの会話にそう割り込んで来たのは、クスコ。
俺が何を言いたいのかを理解しているからこその割り込みだろう。
「その可能性はあるだろうな。……フロスト兄弟にしてみれば、ブラッドマンも恐らく憎むべき対象だったんだろうし、何より今のフロスト兄弟は人工ニュータイプだ。つまり、フラッシュシステムに対応している」
『でも、DXは私達が奪ったでしょう? 実は他に作っていたとか?』
「あるいは、DXじゃなくてもGXをどこかで入手したかだな」
普通に考えれば、何だそれ? となってもおかしくはない。
しかし、実際にガロードはティファに導かれてだが、新品の状態で保存されていたGXを見つけている。
だとすれば、人工ニュータイプとなったフロスト兄弟が同じようにどこかで眠っているGXを見つけられないという可能性は決して否定出来ない。
そしてGXさえ見つけてしまえば、フラッシュシステムによってサテライトキャノンを使う事が出来るようになると思う。
そう説明すると、クスコは難しい表情を浮かべる。
クスコにとって、フロスト兄弟は決して親しい相手ではない。
それどころか、まともに話した事すらないだろう。
だが……それでも、同じニュータイプとして色々と思うところがあってもおかしくはない。
実際にはニュータイプという意味では同じでも、UC世界とX世界のニュータイプでは、似て非なる存在なのだが。
『そういう手段もあるのね。……それで、アクセル。これからどうするつもりなの?』
「どうするつもりと言ってもな。そもそもこれがフロスト兄弟の仕業だというのは、あくまでも現時点での俺の予想でしかない。もしかしたら俺の予想は完全に外れていて、実はフロスト兄弟もここで死んでいる可能性は十分にある」
そう言いつつも、恐らく俺の考えは間違いないだろうと思う。
これまでの一件から、フロスト兄弟はこの世界の原作におけるガロードのライバルだ。
いや、ライバルというのは少し表現が綺麗すぎるか? もっと具体的に言えば、敵だ。
そんなフロスト兄弟が、こうして呆気なく俺達の知らない場所で死ぬ可能性があるかと言えば……まぁ、ないとは言えない。
俺達が……本来ならこの世界の原作に存在しないシャドウミラーが関わる事によって、色々と変わってきているのは事実。
それこそ、俺達がダリア作戦を阻止したものの、実は別の場所にもコロニーレーザーがもう1基存在し、それによって新連邦が全滅したという可能性も否定は出来ないのだから。
そのような状態になっても、フロスト兄弟辺りなら生きている……いや、もしくは宇宙革命軍に裏切っている可能性もあるのか?
宇宙革命軍はニュータイプ至上主義で、現在のフロスト兄弟は人工ニュータイプだ。
人工ニュータイプが宇宙革命軍でも普通のニュータイプとして扱われるかどうかまでは、生憎と俺にも分からない。
分からないが、それでも可能性としては十分にあるのは間違いなかった。
他に考えられる可能性としては……
「ウィル・ウィプス、聞こえるか? すぐ地上に連絡をしてみてくれ。もし新連邦の艦隊が全滅したのがフロスト兄弟の仕業なら、既にフロスト兄弟は地上に戻ってこの件を北米連邦や宇宙革命軍の仕業として放送している可能性もある」
『え? ちょっ、ちょっと待って。すぐに……』
『私が持ってる通信機で確認するわ』
戸惑うトニヤに対し、マリューは冷静にそう言う。
フロスト兄弟が新連邦を纏められるかどうかというのはともかく、可能性がある以上は調べる必要があった。
ブラッドマンが宇宙に来ていたが、新連邦の他の上層部も一緒に来ていたかどうかは分からない。
あるいは何人かは来ていたかもしれないが、当然ながら地上でも新連邦として行動する必要がある以上、そのままという訳にはいかない筈だった。
もしフロスト兄弟が地上に戻っていた場合、そういう連中は……まぁ、殺されるだろうな。
既にブラッドマンを殺したフロスト兄弟にとって、他の者を殺すのを躊躇う必要はないのだから。
そうした諸々が終われば、素早く事情を説明して自分達こそが新連邦の新しいトップであると周囲に知らしめる為に、通信を使ってそれを宣言しないとも限らない。
そのついでに、ブラッドマン達を殺したのは宇宙革命軍、もしくは停戦していた筈の北米連邦という事にでもすれば、外に敵を作る事で新連邦を纏める事も出来る。
さて、フロスト兄弟が今回の件を仕組んだとして、そこまでやるのかどうか。
もしくは宇宙革命軍でも新連邦でもなく、全くの新勢力を作るといった可能性もあるが……これはどうだろうな。
そもそも15年前の戦争で人口の99%が死んだこのX世界において、今の状況からそう簡単に新勢力を作れるかと言われれば、微妙なところだろう。
宇宙は宇宙革命軍とサテリコンで固まっているので、地球にいって新連邦と戦いつつ、北米連邦とも親しくない勢力を乗っ取るとかなら、可能性はあるかも?
とはいえ、今この状態……北米連邦、新連邦、サテリコンVS宇宙革命軍という、この世界において最大規模の戦いが行われるというのに、この状況で新勢力をというのは、可能性が全くないという訳ではないだろうが、それでもかなり低い。
考えなくてもいいくらいに。
やっぱり可能性が高いのは、宇宙革命軍に入り込んだか、もしくは新連邦を乗っ取ろうとしてるのかのどちらかだろう。
『アクセル、地球と連絡が取れたけど放送の類はなかったらしいわ』
「そうなると、新連邦を乗っ取ったという選択肢は消えるか、もしくは乗っ取るのに既存勢力が抵抗して戦いになっているかだな」
元々新連邦は、旧連邦時代の既得権益を手にする為に結成された組織だ。
そうである以上、現在の新連邦の上層部にしてみれば、ようやく自分達に相応しい地位や権力を手に入れたと考えている者が多い。
そのような連中にしてみれば、ようやく手に入れた……いや、取り戻した地位や権力を奪おうというフロスト兄弟に抵抗して当然だろう。
もっとも、恐らくGXを入手している可能性が高いフロスト兄弟を思えば、抵抗したら即座にサテライトキャノンが撃たれてもおかしくはないのだが。
……それはつまり、月からマイクロウェーブが発信されれば、その発信先にフロスト兄弟がいるという事を意味している。
なるほど。だとすれば、フロスト兄弟が自分達の持っている奥の手を使おうとした場合、すぐにそれがどこなのか分かるという事を意味している訳だ。
新連邦の艦隊を攻撃する時は、俺達がそもそも月から離れていたし、この場所は月からそう離れていないので、マイクロウェーブを見る事は出来なかったのだろうが。
『そうね。……それで、どうする?』
「そう言われてもちょっと困るな。ジャミルの方は何て言ってるんだ?」
現在の俺達は、一応……仮にも北米連邦の艦隊だ。
そうである以上、北米連邦代表のジャミルの意見を無視して、こっちで全てを決める訳にはいかない。
『ちょっと待ってちょうだい。通信を繋げるわ。……いいから、そっちは後にして』
「マリュー?」
『あ、ごめんなさい。新連邦の艦長からしつこく通信要求が来てるのよ』
「向こうも、多分混乱してるんだろうな」
俺達と一緒に活動していた新連邦の軍艦は、だからこそ助かった。
その艦長にしてみれば、自分達はどう行動したらいいのか分からないのだろう。
それは分かるが、だからといって何故マリューに聞くのかが分からない。
マリューはウィル・ウィプスという、北米連邦の旗艦という扱いになっている艦の艦長ではあるが、言ってみればそれだけだ。
それこそ自分達がこれからどうしたいのかを聞くのなら、別にマリューではなく、それこそ北米連邦の代表のジャミルに聞けばいいと思うんだが。
そもそもこれからどうするべきかというのは、この場合は人に……それも現在停戦中であっても、宇宙革命軍との戦いが終わったら間違いなく敵対する相手に聞くんじゃなくて、自分で考えた方がいいと思うんだが。
そんな風に考えていると、ジャミルのGXとの通信が繋がる。
『アクセル、どうした?』
「これからどうするかの相談だな。新連邦がこの状況だし。……どうする? 一度地上に戻るか?」
普通なら宇宙から地球に戻るとなれば、大気圏を突破する必要が出てくる。
そうなると艦の損傷とかもかなりのものになる。
だが……俺達に限っては、そういうのの心配はいらない。
何しろシステムXNがあるので、それを使えば瞬時に地球に転移出来るのだから。
だが、ジャミルは少し考えた後で俺の言葉に首を横に振る。
『いや、月に行こう』
「月に? ……ティファの件か? そう言えばその件があったな。すっかり忘れてたけど」
ティファとアベルが言っていた、月に行く必要があるという言葉。
新連邦と行動している時は一体いつ移動すべきかと考えていたものの、新連邦がいなくなった今となっては、それこそいつでも行けるのは間違いない。
それに……なるほど。ティファの一件だけではなく、フロスト兄弟が登録したフラッシュシステムの件をどうにか出来るかもしれないな。
「もしフロスト兄弟がフラッシュシステムに登録していた場合、それを削除したり出来ると思うか? ……いや、ただ削除しただけだと、またフラッシュシステムで登録する筈だ。そうなると、フロスト兄弟からのフラッシュステムによるアクセスを遮断出来るといいんだが」
『……これをフロスト兄弟がやったと思うのか?』
「あくまでも可能性だけどな。けど、フロスト兄弟は人工ニュータイプになっていた。フラッシュシステムに対応しているし、自分達をカテゴリーFと見下していた者達を憎んでいた。そう思えば、可能性はない訳じゃないだろう?」
『なるほど。アクセルの言い分は分かったが、生憎と月に何があるのか分からない以上、きちんとした返事をすることは出来ん』
「結局そうなるのか」
ジャミルにも月に何があるのか分からないというのは痛い。
いやまぁ、それだけ重要な秘密があるという事なんだろうし、そうなると俄然興味が出てくるのも事実。
新連邦の艦隊が全滅した中でそのような事を言うのはどうかと、そんな風に言ってくる奴もいるかもれないが……結局のところ、俺にとって新連邦は敵なのだ。
今は停戦中だったが、それでも宇宙革命軍との戦いが終われば……いや、ブラッドマンの判断によっては、宇宙革命軍と俺達が戦っているところで攻撃をしてくるといった可能性は十分にあった。
そういう意味では、味方ではなく潜在的な敵と評するのが相応しい。
だからこそ、新連邦の艦隊が全滅していても俺は特に何も感じないのだろう。
これがもしトライロバイト級とかを残していって、それで……と考えると、腸が煮えくりかえるかのような怒りを覚えるだろうが。
「とにかく実際に月に行ってみないと何も分からない以上、そうするしかないな。幸い、ここから月まではそう遠くないし」
新連邦が待機していたのは、地球から宇宙に上がった場所だ。
宇宙革命軍の本拠地であるクラウド9やサテリコンの本拠地のデブリ帯と比べても、圧倒的に月との距離は近い。
なら、まずは月に行くというジャミルの言葉は、俺にとってもそう間違っていないように思えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2150
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1797