フロスト兄弟について知ってるか。
そう尋ねた俺の問いに、クラウダに乗っている男はやがて口を開く。
『し……知っている』
よし。
どうやら状況証拠に仮定を積み重ねた、人によってはそれは推理ではないと突っ込んでもおかしくない予想は当たっていたらしい。
それでも一応念の為に、その予想が当たっていたのかどうかと確認する。
「それは新連邦に所属していた相手として知っているという事か? それとも……」
『俺達に亡命してきた者達だ』
ビンゴ。
これまでは証拠もなく、あくまでも状況証拠や推測からそうではないかと思っていたのだが、このパイロットの証言でそれが正しかった事が証明された訳だ。
第3勢力となって独自に行動する可能性も十分にあると思ってはいたのだが、その可能性よりはやっぱり宇宙革命軍に対する亡命の方を選んだらしい。
いや、このパイロットは亡命と言ったが、今回の場合も亡命に入るのか?
まぁ、便宜上そういう風に呼称はしておいた方がいいか。
「それで、フロスト兄弟はどうした? 宇宙革命軍に亡命したのなら、その宇宙革命軍の本拠地が攻められているこの状況でまだ姿を現さないというのはおかしくないか?」
実際、フロスト兄弟が新連邦を……ブラッドマンを裏切った以上、現状においてフロスト兄弟が行ける場所はない。
新連邦に行けば、それこそフロスト兄弟の首を獲った者が次の新連邦を率いるといったような事になってもおかしくないし、それ以外の……新連邦に侵略されていた者達でも、フロスト兄弟を受け入れれば自分達が最優先で狙われると考えてもおかしくはない。
そんなフロスト兄弟にとって選べる道は、それこそ第3勢力となるか、宇宙革命軍に入るしかなかった。
いやまぁ、最悪完全に世捨て人となってどこかの山奥や無人島でフロスト兄弟2人だけで暮らすというのなら、それはそれで1つの結末となったかもしれないが、残念なことにフロスト兄弟がそれを選ぶ事はなかったらしい。
とにかく、フロスト兄弟が宇宙革命軍に所属しているのを知った以上、次の問題はそのフロスト兄弟が具体的にどこにいるのかだ。
既に宇宙革命軍との戦いが始まってそれなりに経つが、未だに姿を現す様子がない。
圧倒的に不利な宇宙革命軍の様子を見て逃げ出した訳ではないのなら、考えられる可能性としては何かを企んでいるという事になる。
それが具体的に何か分からない以上、知ってそうな相手に聞くのが一番手っ取り早かったのだが……
『し、知らねえ! 俺はただのパイロットだ! そんなお偉いさんが考えるような事は、知らねえよ! 出撃前のブリーフィングでもあればその辺の話もあったかもしねえが、そういうのはなかったし!』
必死に知らないと叫ぶ男。
これが演技だとは思えない。
そもそも、ここで俺に役立たずだと判断されれば、そのまま死ぬことになってもおかしくはないのだから。
この男もそれは知っているので、知ってる内容を話さないといった選択肢が存在しない。
だが、それも仕方がないのか?
俺達はクラウド9のすぐ近くにいきなり転移して、そこで戦いを始めたのだ。
そうである以上、とてもではないが宇宙革命軍側にはしっかりとブリーフィングをしているような余裕はなかった筈だ。
ブリーフィングなんかしていたら、その間にクラウド9を落とされてしまうと考えてもおかしくはない。
……実際、俺達がやってるのは宇宙革命軍の戦力を削るという行為なので、クラウド9を落とすつもりは最初からないんだが。
それこそ、その気になれば今この状況からでもクラウド9を落とすのは難しい話ではない。
それをしない時点で、俺達の目的が宇宙革命軍の戦力であるのは明白だった。
もっとも、そういう風に判断出来るのはあくまでもシャドウミラーの戦力を知っている俺達だからで、宇宙革命軍側にしてみれば予想外の話だろうが。
何しろクラウド9という本拠地を攻略する事が出来るのに、それをしないのだ。
向こうにしてみれば、完全に理解不能といったように思ってもおかしくはない。
とはいえ……フロスト兄弟が宇宙革命軍側についているのなら、俺達に転移という手段があるのは伝えられている筈。
であれば、いつ俺達が転移してきても大丈夫なように、対処をしていてもおかしくはない筈だった。
その時にフロスト兄弟がどう動くのかは、前もって決められていてもおかしくはない。
「フロスト兄弟が前もってどういう風に動くのかというのは、聞いてなかったのか?」
『聞いていない。何度も言うが、俺はただのパイロットなんだ!』
ただのパイロットと言うが、MSのパイロットという時点で准尉とか少尉とか中尉とか大尉とか、そういう階級は貰っていてもおかしくはないと思うんだが。
宇宙革命軍の中ではその辺の状況が違うのかもしれないが。
「そうか。……ちなみに、他に何か俺に言っておいた方がいい事はあるか? ここで俺の心証を上げれば、捕虜になった後の待遇がそれだけよくなるぞ?」
『ザイデル総督も戦場に出ている! 旗艦に乗っている!』
うん、一応というつもりで聞いてみたんだが、まさか即座にザイデルの場所について言うとは思わなかった。
それだけ必死だということなんだろうが。
MSはニーズヘッグの尻尾から放った電撃によって動けなくなってる以上、ここで放っておけば最悪的として北米連邦軍に撃破されるかもしれない。
いや、本当の意味で最悪なのは、誰にも見つからずに宇宙を漂流して空気がなくなって死ぬとかか?
勿論、仲間に助けて貰えるという可能性も否定は出来ないが、宇宙革命軍が劣勢の今となっては、上手い具合に仲間に助けて貰えるとも限らない訳で。
その辺りの状況を考えると、やはりこの男にしてみれば絶対にここで俺に助けて貰う……捕虜になるのが最善なのだろう。
もっとも旗艦が出て来ている以上、ザイデルが出撃してきているのは予想出来ていたのだが。
ザイデルにしてみれば、自分達の本拠地のすぐ側まで俺達に攻め込まれている以上、後方でのんびり指揮を執ったりしてれば、宇宙革命軍内での評価に関係してくるのだろう。
あるいはクラウド9の中にいれば、いざという時に自分を守れないと判断して、旗艦に乗って出撃した方が生き残れる可能性が高いと判断したのか。
ともあれ、ザイデルがこの戦場に出ているのは予想していたが、フロスト兄弟の件と同様にこちらも確定情報となった。
「いいだろう。その情報で、お前にはそれなりの待遇を約束する」
『た……助かる……』
安堵の声を発する男に頷くと、近くで待機していたメギロートを呼ぶ。
「このMSをウィル・ウィプスに運べ。待遇は捕虜だが、それなりに配慮するように」
『え? ちょ……』
自分の状況を理解したのか、男が慌てたように言う。
自分達の部隊を壊滅においやったメギロートによってウィル・ウィプスまで運ばれるというのは、男にとっても予想外だったのだろう。
とはいえ、だからといって俺がわざわざ運ぶつもりはなかったが。
メギロートによって運ばれていくクラウダを見送り、これからどうするべきかを考え……取りあえずウィル・ウィプスに通信を送る。
「マリュー、聞こえているか?」
『ええ、どうしたの? こっちは今のところ特に問題ないけど。……オーラキャノン、発射準備。右舷方向にいる宇宙革命軍のMS隊を牽制しなさい』
いや、本当に問題ないのか?
そう突っ込みたくなった俺は、決して間違ってはいないだろう。
もっともマリューの声に切羽詰まった色はない。
だとすると、その言葉通り問題はないのかもしれないが。
「クラウダを1機確保して情報を聞き出したが、やっぱりフロスト兄弟が宇宙革命軍に合流したのは間違いないらしい。今はまだどこにもいないが、いつ攻撃をしてくるか分からないから、気を付けるように味方に知らせてくれ」
『やっぱり宇宙革命軍に合流していたのね。それでもまだどこにもいないというのは? 具体的にどこに配置されているかという情報は入手出来なかったの?』
「残念ながらな。俺が捕らえた奴はただのパイロットでそこまで階級も高くなかったし、俺達が転移で現れたから、ブリーフィングをしている余裕もなかったらしい。……俺達についての情報を多少なりとも理解していれば、前もってブリーフィングとかをしていてもおかしくはないと思うんだが、そういうのもやった形跡がない」
実は捕虜にした奴が以前にやったブリーフィングについて単純に忘れているだけという可能性もあるのだが……その辺は言っても仕方がない。
とにかく、フロスト兄弟が宇宙革命軍に合流したという確定情報を入手出来ただけでも、こっちとしてはありがたい。
「それと、ザイデルは予想通りあの旗艦に乗ってるらしい。……いっそ、あの旗艦を沈めてしまえば手っ取り早いのかもしれないが」
『いいの? あの旗艦、アクセルが好みそうな外見をしてるけど』
「それは否定しない」
マリューの言葉に、宇宙革命軍の旗艦を映像モニタに映し出す。
白い旗艦は、何というか前方にブリッジとかがあり、それ以外は後ろに長い形となっている。
普通とは思えないような外見をしている軍艦だったが、だからこそマリューは俺がその外見を気に入ると思ったのだろう。
実際、マリューに返事をしたようにそれは決して間違いではないのだから。
とはいえ、コロニーレーザーのようにどうしても欲しいという訳ではない。
入手出来ればラッキー程度の気持ちだ。
……それを言うなら、コロニーレーザーも絶対に欲しいという訳ではなかったのだが。
まさか、コロニーレーザーの中に誰もいないとは思っていなかったし。
「けど、今はこの戦いを終わらせるのが先決だ。いつフロスト兄弟がちょっかいを掛けてくるか分からない以上、こっちも出来る事からやっておいた方がいいだろうし」
もしかしたら、フロスト兄弟がザイデルを殺すという展開になる可能性も否定は出来ない。
わざわざ合流したのにそんな事をするのか? といった思いがない訳でもないのだが、何しろフロスト兄弟はブラッドマンを含めて新連邦の艦隊を文字通りの意味で壊滅させている。
勿論フロスト兄弟はカテゴリーFの件で旧連邦、新連邦、ニュータイプ研究所……そんな諸々に恨みがあったので、ブラッドマンを殺したのは納得出来ないでもない。
しかし、それを言うのなら宇宙革命軍もニュータイプ至上主義なのだ。
人工ニュータイプのフロスト兄弟をどういう風に思っていたのかは分からないし、フロスト兄弟がそんな宇宙革命軍を見てどのように思っているのかも分からない。
そもそも人工ニュータイプになった影響か、以前通信で話した時も少し違和感があった。
人工ニュータイプになった影響なのかどうかは、生憎と分からないが。
だがカリスのように全く問題ないのを考えると、データとかも十分に揃ってるんだし、そこまで妙な事になるのはちょっと疑問だ。
もしくは、カテゴリーFから人工ニュータイプになったからか?
DOMEの話を聞く限りでは、そもそもニュータイプというのは幻想らしい。
そういう意味ではフロスト兄弟もニュータイプという幻想の被害者と言ってもいいのかもしれない。
だからといって、ここで好き放題にさせる訳にいかないのも事実なのだが。
『じゃあ、アクセルの思い通りに行動してもいいと思うわよ? フロスト兄弟がどういう動きをするのかは分からないけど、メガソニック砲を使っての一撃を狙っている可能性は高いし』
「それが一番厄介なんだよな」
サテライトキャノンを使えなくなったのは助かったが、それでもメガソニック砲があるのが非常に厄介なのは間違いなかった。
今、どこから狙われるか分からないというのも、こっちにとっては厄介だし。
「まぁ、そっちは取りあえずこっちで何とかするとして……ランスローの方はどうなった? もう捕らえたか?」
さっき俺が聞いた時は、ジャミルとランスローが既に戦っており、ウィッツやロアビィがその援護をするといった形だった筈だ。
ジャミルとランスローだと、恐らく……本当に恐らくだが、ランスローの方がMSの操縦技術は上だ。
元々の才能は同じようなものであっても、15年前の戦争が終わってからジャミルはコックピット恐怖症でつい最近までMSには乗れなかった。
それに対して、サテリコンからの情報によるとランスローはジャミルのようにコックピット恐怖症になったりする事はなかったらしい。
あるいは軽度のコックピット恐怖症にはなったかもしれないが、ジャミルよりもずっと早くMSに乗っていたのは間違いない。
そうである以上、ランスローはジャミルよりも明らかにMSの操縦経験は多いのだ。
MSの性能差も……対MSではサテライトキャノンは向いておらず、ディバイダーが一番向いている。
後はウィッツとロアビィがどこまでフォロー出来るかに掛かってるが……
『あら、念動力で察知でもしたの? ちょうど今、ランスローを確保したそうよ』
マリューがそう言うのを、俺は笑みを浮かべて聞くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2150
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1797