3560話
連邦軍タカ派との戦いが終わると、ルナ・ジオン軍からすぐにMS隊がやって来て、サラミス級を運んでいった。
驚いた事に、やって来たのはサイクロプス隊だった。
さすが精鋭と呼ぶべきか、全員がギャン・クリーガーに乗っているその様子は、見るからにかなりの迫力を持っており、2隻のサラミス級はそんな様子を見て、艦長以外でまだ何人かいた反骨心の高い者はそれをへし折られてしまう。
いやまぁ、実際には表情に出していないだけで、反骨心を持ってる者はまだいるかもしれないが。
それでも今の状況を思えば、内心はどうあれ、実際の思いを言葉に出すような事はないだろう。
……ちなみにやって来たのはサイクロプス隊と言ったが、正確にはバーニィ抜きのサイクロプス隊だった。
何でも聞いた話によると、現在バーニィはペズンでMSの開発やテストパイロットとか、そういう仕事をしているらしい。
俺が知ってる限りだと、バーニィは一応学校は卒業しているものの、専門的な勉強は半ば付け焼き刃的な……寧ろ学徒兵に近い存在だった筈だ。
そんなバーニィがMSの開発やテストパイロットをするというのは、少し驚きだった。
とはいえ、1年戦争が終わってからそれなりに時間が経つ。
その間にバーニィはルナ・ジオン軍できちんと専門の勉強をし、相応の技術力を持つようになったのかもしれないな。
ともあれ、バーニィの件はそれでいいとして……連邦軍のタカ派の事だ。
ルナ・ジオンは当然ながら連邦に対して抗議をしているらしいが、さてどうなる事やら。
そちらについては、俺は取りあえず構わない事にして……
「待たせたか?」
「ふむ、こういう時は今来たところだと言うのだったか?」
「ちょっと美鶴さん。それをアクセルに言うのはどうかと思うわよ?」
待ち合わせをしていた駅にいた美鶴とゆかりがそんな会話をしているのが聞こえてくる。
そう、今日はいよいよ俺と美鶴、ゆかりの3人で泊まりで旅行に行く事になった日だった。
元々はX世界で俺が見つけた基地……しかもかなり巨大な地下施設を持つ基地の名前を募集した時に、美鶴がアルカディアという名前を提案し、それが見事に採用となった。
その賞品として美鶴が希望したのが、この春に高校を卒業したゆかりの卒業旅行を俺と美鶴とゆかりの3人でやるというものだった。
そして卒業旅行先が、稲羽市に存在する八十稲羽にある天城屋旅館。
自然豊かな場所にある旅館で、地元の野菜と渓流魚の料理が有名な老舗旅館だ。
この天城屋旅館というのはかなり有名な旅館で、それこそ地元の知る人ぞ知る、あるいはその筋では有名といった程度ではなく、文字通りの意味で全国的に有名な旅館らしい。
そんな宿だが、まだ4月……GW前という事もあり、桐条グループの力を使うとかではなく、普通に予約出来たらしい。
卒業旅行のシーズンは3月だし、5月のGWはまだだし、そう考えれば今は穴場と言ってもいいのだろう。
もっとも、そういう風になってるのはそれなりに理由があり、実際美鶴もゆかりも、数日だが大学をサボってここに来ている。
……ゆかりはともかく、生真面目な美鶴がそれを許容するというのは少し驚きだった。
そもそも美鶴がこの件について話を持ってきたのだが。
「それにしても、何で電車で? 美鶴なら車を用意出来ただろう?」
桐条グループの力で車を用意も出来るし、あるいは美鶴が運用しているシャドウワーカーの方でも複数の車がある。
何しろシャドウワーカーは、シャドウに対抗する為の組織だ。
どこでシャドウの事件が起きるか分からない以上、どこにでも……それこそ山奥であろうと行けるように、悪路に強い車とか、水陸両用車とか、かなりの速度が出るスポーツカータイプとか……本当に色々な車が用意されている。
車を使えば、それこそ途中でどこかに寄りたいとか思った時は、普通にそこに寄るとか出来るし。
だが、俺の問いに美鶴は少しだけ拗ねた様子を見せる。
プライドが高い美鶴だが、俺やゆかり……それ以外の恋人達の前では、こうして普段見せないような表情を見せる事がある。
「折角の卒業旅行なのだ。出来れば他の者達が使う電車で移動してみたい」
「……なるほど」
美鶴にしてみれば、電車というのは基本的に乗る機会がない。
月光館学園に通っていた時は、寮から学校まで電車で移動していたが、今はもう卒業してしまったしな。
大学生をしながらシャドウワーカーを率いている美鶴だ。
電車に乗るよりも車で移動する方が多いのは当然だった。
「ほら、美鶴さんを責めないで。私も電車で一緒に旅行ってのは嬉しいと思ったんだから。それに……ちょっと調べたんだけど、アクセルにとっても楽しい事はあるわよ?」
「俺にとって楽しい事? ゆかりや美鶴とイチャつく事か?」
「ば……馬鹿じゃないの? っていうか馬鹿じゃないの!?」
おお、久しぶりにゆかりの2回言う奴を聞いたな。
ゆかりは顔を赤く染めながら、周囲の様子を見ている。
……すると、余計にゆかりの顔は赤くなった。
言うまでもなく、ゆかりも美鶴も非常に美人だ。
ましてや、俺が言うのもなんだが、これまで何度となく俺に抱かれた事によって、その肌艶は以前よりも数段上がっており、ある意味で年齢不相応の女の艶とでも呼ぶべきものを手に入れつつあった。
そんな美人2人がこうして一緒にいるのだから、人目を集めるのは当然の話だろう。
その上で、こうしてイチャつくとか何とか言うのだから、視線を集めない訳がなかった。
ましてや、そんな視線の中でも特に多いのは、俺に向ける嫉妬の視線となる。
こんな2人とイチャつくと堂々と言ってるのだから、そんな視線を向けられるのはおかしな話ではないだろう。
もっとも自分達に視線が集まっているのに気が付いたゆかりは、まだその辺に気が付いた様子はなかったが。
「それで、俺にとって電車で旅行する楽しい事って何だ? ゆかりや美鶴とイチャつく以外にもあるんだよな?」
「うー……」
恨めしい視線を向けてくるゆかり。
俺の家に泊まりに来た時は、それこそ普通なら恥ずかしくてとてもではないが他人には言えないような行為をしてるのだから、今更こんな事で照れなくてもいいと思うんだが。
その辺の恥ずかしさがどうなのかは、人によって違うのだが。
「弁当よ。駅弁。電車の旅行で重要なのが何かと言ったら、やっぱり駅弁でしょう? 特にアクセルはそういうのが好きそうだし」
「それは……そうだな」
ゆかりの言葉に、俺は素直に頷く。
実際、駅弁というのはかなり魅力的なのは事実なのだから。
現在では、スーパーとかでもよく駅弁フェアとかそういうのはやっていたりするが、そういう場所で売られている駅弁というのは、当然ながら全国で売られている駅弁の中でも人気の高い、本当に一部だけでしかない。
いやまぁ、もし本当に日本中から全ての駅弁を取り寄せるといった事をすれば、それこそどれだけの労力と資金が掛かるか分からないだろう。
ましてや、そうした中で人気のない駅弁というのは当然売れない訳で、廃棄されるなり、割引で売るなりする事になる。
そういう意味では、少数の人気の駅弁だけを集めるというのは、スーパーの企画的には正しいのだろう。
正しいのだろうが、それでも俺としては普段食べる機会が少ないマイナーな駅弁とかを食べてもみたい。
そういう意味では、ゆかりが口にした電車での旅というのは悪くない……いや、寧ろ俺にとって喜ばしい事なのは間違いなかった。
色々な駅弁を好きなだけ購入出来るのだから。
ちなみに俺の身体は混沌精霊なので、食べたものはすぐに身体の中で魔力となって吸収される。
その為、腹一杯になってもうこれ以上は食べられないといったような事はないので、食べようと思えばそれこそ幾らでも食べ続ける事が出来たりする。
だからといって、駅弁を全て食いつくすのはどうかと思うから、精々が全種類を1個ずつ食べたら、残りは空間倉庫に収納するといったところか。
「じゃあ、早速この駅でも駅弁を買っていくか?」
「この駅に駅弁ってあったかしら。出発時間までもうちょっとあるし、見て回りましょう」
恥ずかしさが一段落したのか、ゆかりがそう言ってくる。
そんなゆかりの言葉に頷き……だが、俺はその前にやるべき事があるのを思い出す。
「その前に、荷物を俺が預かる。その荷物を持ったままだと、結構邪魔だろう?」
ゆかりも美鶴も、スーツケースや大きなバッグを持っていた。
今回の卒業旅行――卒業したのはゆかりだけだが――は5泊6日となっている。
結構長期間の旅行だったが、俺は元々問題がない。
基本的に仕事は政治班に任せてあるし、俺がいなくてもシャドウミラーは回るようになっている。
それでも一応どうしても俺が決済しないといけない書類とかもあるが、それはここに来る前にやっておいたから暫くは大丈夫だろう。
それに俺がいなければいないで、どうにか出来るし。
俺が他の世界に行ってる間は、実際にそういう風にして貰っている。
美鶴は……それこそ今日の旅行の為に、死ぬ気で頑張ったらしい。
シャドウワーカーを率いているだけに、それが具体的にどれくらい忙しかったのかは、俺が考えるまでもないだろう。
それでもいざという時……それこそ旅行中にシャドウワーカーの方でどうにも出来なくなったら、俺が転移で送る事になっていた。
大学の方は、美鶴の成績を考えると1週間くらいは問題ないだろう。
何しろ美鶴は就職活動とかそういうのは必要ない。
卒業出来る単位さえ獲得出来ればいいのだ。
就職先という意味では、それこそシャドウワーカーを率いている今の美鶴は、言わば学生社長のようなものなのだから。
そういう気楽な仕事ではなく、場合によっては命にも関わってくるような仕事なのだが。
ともあれ、ゆかりもそうだが、美鶴も卒業さえ出来れば問題はない。
それこそペルソナ世界で就職出来なくても、シャドウミラーに就職……というか、所属すればいいだけだし。
ゆかりなんかは、最初からそのつもりらしいし。
ゆかりにしてみれば、大学に入学してすぐの今の時期というのは、それこそ知り合いとかのグループを作るという意味でそれなりに重要なのだが。
それでも俺や美鶴との旅行の方が重要だとゆかりは判断したのだろう。
「とにかくそんな訳で、ちょっと人目のない場所にいくか。それにしても、こんなに荷物が必要だったのか?」
「アクセル、女というのは色々と必要な荷物が多いのだ」
「美鶴さんの言う通りよ。全く、アクセルは女心が分かってないわね」
「いや、荷物が多く必要なのは知ってるぞ?」
実際、ホワイトスターにある俺の家でも、別室に服の部屋とか、化粧品の部屋とか、それ以外にも色々と俺には分からない何かが置かれている部屋とかあるし。
「なら、荷物が多くなるのは理解出来るんじゃない?」
「これが海外に行くとか、キャンプに行くとか、山奥に行くとかなら、ゆかりの言葉にも納得は出来る。けど、八十稲羽にある天城屋旅館だろう? つまり、周囲にはそれなりに色々な店とかもある筈だ。もし何か必要になったら、そこで購入すればいいんじゃないか?」
一応俺もざっとだが八十稲羽については調べている。
八十稲羽というのは基本的に田舎だが、住人の数もそれなりに多い。
特に最近はジュネスという……全国展開している大型スーパー……いや、デパートか? とにかくそういう店もあるので、買い物をするのに困るという事はない筈だ。
それこそゆかりや美鶴達が必要とする物は、余程特殊な物だったり、もしくは希少な物でない限り購入出来るだろう。
だが、そう言う俺の言葉に、何故かゆかりは呆れの視線を向けてくる。
「全く、本当にアクセルはアクセルなんだから。いい? 女にとって使い慣れたり、肌に合った道具や化粧品というのは本当に大事なのよ? もしそういうのを使わないで他の物を無理に使ったりしたら、それこそ最悪の結果になるかもしれないのよ?」
何を大袈裟な。
そう思わないでもなかったが、こうして実際に話をした限りだとゆかりは真剣に言ってるように思える。
ゆかりがこういう事でふざけたりしないのは、俺にも十分に理解出来た。
そうである以上、これは本気で言ってるのだろう。
「そういうものなのか。……取り合えず荷物が多くても俺達の場合は必要ないしな。……あの辺りでいいか」
ちょうど周囲から隠れるようになっている場所を見つけ、そうゆかりと美鶴に言う。
「では、私とゆかりで周囲の様子を見ておくから、素早く頼む」
美鶴の言葉に頷き、2人が壁になって俺の姿を周囲から隠す。
俺は即座に2人の荷物を空間倉庫に収納する。
それこそ俺の仕事らしい仕事はそれで終わった。
ゆかりと美鶴が周囲から俺の姿を隠していたが、隠していなくても一瞬で起きた出来事である以上、もし見ていた者がいても一体何が起きたのか理解出来なかっただろう。
「さて、じゃあ荷物もなくなった事だし……電車が出るまでの時間はすこしゆっくりするか」
そう言い、俺はゆかりと美鶴の肩を抱くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820