転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3564話

 丸久豆腐店は、巽屋の店主から聞いたように美味い豆腐だった。

 若い客が珍しいのか、店主の婆さんが色々と味見をさせてくれたのだが、まさに一級品と呼んでもいい。

 それこそこの豆腐を食べる為だけに稲羽市に来てもおかしくはない……というのは少し大袈裟かもしれないが、普通のスーパーで売ってるような豆腐と比べると大豆の味が濃厚で、これぞ豆腐といった感じだ。

 勿論、スーパーで売ってる豆腐の中にもいわゆる高級豆腐というのはある。

 それこそ1パック……それとも1丁か? とにかく五百円以上の豆腐も珍しくないし、中には1000円を超える豆腐も売っていたりするらしい。

 そういう意味では、丸久豆腐店の豆腐は安くて美味いという意味で買う価値ありだった。

 そんな訳で、買い占めるとまではいかないが、それなりの量を購入した。

 そんなに大量に買って大丈夫なのかと心配されたが、まさか空間倉庫の事を言う訳にはいかないので、大勢に美味い豆腐を見つけたから送ると言っておいた。

 ……少し心が痛いのは、送った相手が丸久豆腐店の豆腐を気に入って買いに来てくれるかもしれないと、そう店主が言っていた事か。

 この豆腐は当然だが俺が食べたり、あるいはホワイトスターにある家で何らかの料理をする時に使われる予定なので、何も知らない者がこの豆腐を食べて美味いと判断し、それで丸久豆腐店に買いに来るといった事はない。

 まぁ、いざとなったら俺が転移で稲羽市まで来て、豆腐を買ってもいいけど。

 

「さて、それでどうする? もうそろそろ天城屋旅館に戻るか?」

 

 昼食は駅弁を食べたし、そもそも稲羽市に到着したのは午後になってからだ。

 夕食は天城屋旅館で評判の料理を楽しめそうだし、そろそろ夕方に近くなっている。

 帰るにはいい時間帯だ。

 そう思っていると、恐らく高校が終わったのだろう。

 何人かの男女が商店街を歩いているのが見える。

 

「だから、マヨナカテレビに出て来た相手が運命の人なんだって」

「またまた、そんな事を言っても誰がそうなのかは分からないだろ?」

「そもそも、マヨナカテレビなんて噂本当に信じてるの?」

 

 高校生がそんな会話をしているのが聞こえてくるが……マヨナカテレビ?

 それは一体なんだ?

 そんな疑問を抱きながら高校生を見ていると、当然ながら向こうもこっちに気が付く。

 その集団は男2人女1人だったが、男女問わず動きを止めてこっちを見ていた。

 3人の視線は美鶴に向けられていた。

 まぁ……うん。気持ちは分かる。

 美鶴は凛とした美人なのだから。

 ゆかりも美人系なのは間違いないが……うーん、この違いはどう説明したらいいんだろうな。

 そう、例えばゆかりはクラス、もしくは学年の中で1番の美人。

 それに対して、美鶴はテレビに出てくる芸能人的な美人。

 双方共に美人なのは間違いないが、そんな感じだ。

 もっとも、これはあくまでも対比としてみた場合の話で、実際にはゆかりもミスコンとかに出れば普通に優勝出来るだけの美人ではある。

 ましてや、俺との夜の件で肌艶も一段と上がり、女の艶も年齢不相応なくらいに醸し出しているのだから。

 だが、高校生くらいの年齢にしてみれば、美鶴の持つ圧倒的な存在感に惹かれるものがあるのだろう。

 桐条グループの令嬢として育ってきた美鶴は、その雰囲気からして一般人とは違う。

 俺やゆかり、それに影時間の件で一緒だった者達はそんな美鶴に慣れているし、シャドウミラーの面々はそれこそ世界の多くを支配した国の皇女だったり、銀河の歌姫だったりといったものがいるので、美鶴には慣れてる。

 ……いや、一番大きな理由は、それこそ何度も一緒に俺に抱かれているというのもあるのだろうが。

 ともあれそんな理由によって、俺達は美鶴の雰囲気には慣れているが、人生経験の少ない高校生ともなれば、そうもいかない。

 

「アクセル、行くとしよう。そろそろ戻らないと夕食に遅れるぞ」

 

 自分に見惚れている高校生達を気にしていないように、美鶴がそう言ってくる。

 美鶴にしてみれば、そういう態度には慣れているんだろう。

 とはいえ、東京にいる女子高生には美人も多いし、色々な有名人に偶然出会うのも珍しくないので、美鶴の雰囲気に当てられる者はそこまで多くはない。

 しかし、ここは稲羽市だ。

 見るからに田舎で、美鶴のような雰囲気を持った女というのはまずいないのだろう。

 それだけに美鶴に見惚れる者が多いのはおかしな話ではなかった。

 

「そうだな。夕食を楽しみにしていたんだから、遅れる訳にはいかないか。料理というのは、やっぱり出来たてが美味いし」

 

 どんなに美味い料理でも、冷めてしまうと味が落ちる。

 勿論、世の中には冷たい料理とかもあるが……それでもやっぱり作ってから時間が経てばある程度は味が落ちる。

 冷やし中華とか蕎麦やうどんなんかは、時間が経てばのびるだろうし。

 もっとも、天城屋旅館の夕食で冷やし中華とかは……さすがに出て来ないよな。

 というか、まだ4月になったばかりなんだし、冷やし中華はまだ早いような?

 あ、でも地物の山菜とかは楽しめるかも。

 タラの芽の天ぷらとか、好きなんだよな。

 そんな訳で、俺達は高校生をそこに残して立ち去る事にする。

 高校生達から十分に離れた場所で口を開く。

 

「マヨナカテレビか。ちょっと面白そうだな」

「あのねぇ、アクセル。そういうオカルト話を信じてるの? いえ、アクセルだからそういうのを信じるのかしら」

「それはどういう意味だ?」

「だって、アクセルは今まで色々な出来事に巻き込まれたきたんでしょう? 中には自分から首を突っ込んだものもあるらしいけど」

 

 ゆかりの言葉に反論出来ず、黙り込む。

 実際、今まで俺が色々な世界に行ったのは間違いないものの、転移した世界で俺が意図せず騒動に巻き込まれた事は多数ある。

 そういう意味では、ゆかりの言葉も十分に納得出来るものだったのだ。

 

「ぐ……なら、マヨナカテレビもそのタイプだと?」

「さぁ? 私も詳しくは分からないけど……」

「いや、待って欲しい」

 

 俺とゆかりの会話に、何かを考えていた様子だった美鶴が不意に口を開く。

 

「美鶴? どうかしたか?」

「いや……もしゆかりの言葉が正しいとしたら、もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、この稲羽市で何かが起きている可能性はある」

 

 真剣な表情でそう言う美鶴だったが、俺としてはその言葉を素直に信じる訳にもいかない。

 そもそもの話、俺達が天城屋旅館に泊まりに来たのは、偶然の結果だ。

 X世界で基地の名前を募集して、それで美鶴が出したアルカディアという意見が採用され、賞品として美鶴が望んだのがゆかりの卒業旅行として、有名な老舗旅館であった天城屋旅館での泊まり掛けの旅行を希望して、今俺達はここにいる。

 そんな偶然の上に偶然が重なって俺達はこの稲羽市にいるのだ。

 そうである以上、そこで俺達がまたトラブル……それもこのペルソナ世界でマヨナカテレビというのがあると、恐らくシャドウ絡みのものに巻き込まれるか?

 そもそもこれはある意味で原作という概念を知ってるからこその話だが、基本的に漫画にしろゲームにしろアニメにしろ、舞台というのは東京が多い。

 勿論東京以外の場所が舞台になる事もあるが、それでも人の多い、いわゆる都会と呼ばれている場所が多かった。

 それに比べると、この稲羽市は……言っては悪いが、田舎だ。

 そんな場所でシャドウの騒ぎがあるというのは少し疑問だった。

 とはいえ、世の中には田舎を舞台にしたアニメや漫画ゲームといったものもある以上、それでも絶対という訳ではないのだが。

 

「シャドウ、か。そうなるとマヨナカテレビについての噂をもう少し知る必要があるかもしれないな」

「えー……けどまぁ、それも私達らしいと言えばらしいのかしら」

 

 一瞬だけ嫌そうな様子を見せたゆかりだったが、すぐに納得する。

 そしてゆかりが言うように、これが俺達らしいと言えばそうなのだろう。

 美鶴はそんな俺達を見て、笑みを浮かべる。

 何となく……本当に何となくだが、ここで『仕事と私達のどっちが大事?』とドラマ等でよくある台詞を口にしてみたいように思ってしまう。

 実際にそれを口にしたら、美鶴は何て答えるんだろうな。

 配役とかかがかなり変ではあるが。

 

「それで、問題なのは一体誰からマヨナカテレビについて聞くかだな」

 

 マヨナカテレビについて俺達が知ってるのは、さっきの高校生が話していた内容だけだ。

 なら、さっきの場所に戻って話を聞くか?

 美鶴に目を奪われていたのを思うと、もしかしたらまだあの3人はあそこにいるかもしれないし。

 

「うーん、でもあの様子だとちょっとまともに話が出来ないと思うわよ? 正直なところ、美鶴さんを見てあそこまで驚く人というのも珍しいと思うけど」

「む……そう言われてもだな。私は別に特に何かこれといったような事はしていないのだぞ?」

「美鶴さんはそう思っても、相手がそう思わないと分からないでしょう? ともあれ、このまま戻ってもあまり話は聞けないと思うし、それなら天城屋旅館に戻らない?」

「は? 何でだ? 従業員達が知ってるのか? まぁ、ここに住んでいる以上はマヨナカテレビの噂について知っていてもおかしくはないと思うけど……それでも知ってるかどうか分からないだろう?」

「違うわよ。実は今日商店街で色々と話を聞いた時に、いいことを聞いたのよね」

「……いい事?」

「そう。実はあの天城屋旅館って、高校生の子供がいるんだって。それも何だかアクセル好みの美人みたいよ?」

 

 ゆかりの言葉はちょっと引っかかったが、天城屋旅館に高校生の子供がいるのなら、その子供からマヨナカテレビについての情報が聞けるかもしれないな。

 少し……本当に少しだけだが、美人な高校生というのも気になるし。

 そう思っていると、ゆかりが呆れの視線を俺に向けてくる。

 

「あのね、アクセル。一応言っておくけど手を出しちゃ駄目だからね。……全く、私や美鶴さんと一緒に、しかも泊まりで旅行に来ているのに他の女に目を奪われるって一体どういう事なのかしら? 女好きも程々にしておかないと、いずれ刺されるわよ? 私や美鶴さんを含めて、今アクセルと付き合ってる人と同じように全員が寛大だとは限らないんだから」

「ふふ、ゆかりの言う通りだな。もっとも……幾らアクセルを1人占めしようとしても夜のアクセルを相手にすると絶対に無理だと理解するだろうが」

「ちょっ、美鶴さん。こんな場所で一体何を言ってるのよ!」

「……すまない。どうやら私もアクセルと泊まりで旅行という事で少なからず浮かれているらしい。マヨナカテレビの件について、色々と考える必要があるのは間違いないのだがな」

 

 美鶴の言葉にゆかりは複雑な表情を浮かべる。

 多分、女の勘とかそういうので、マヨナカテレビというのが実は色々と問題のある何かだと、そう理解したのかもしれないな。

 実際に影時間の一件に関わっているだけに、女の勘もそうだが、純粋に戦士としての勘も悪くない。

 とはいえ……

 

「召喚器、持ってきてるのか?」

 

 ゆかりや美鶴は、基本的にペルソナを召喚する時は銃の形をした召喚器を使う。

 何でも銃の形をした召喚器を使う事によって擬似的に死を経験し、それでペルソナを召喚する……だったか?

 正確には覚えていないが、確かそんな理由だった気がする。

 とはいえ、召喚器がなくてもペルソナを召喚しようと思えば出来るらしいが。

 言ってみれば、召喚器はあくまでもペルソナの召喚を補助するといったものなのだから。

 とはいえ、それでもあれば確実に召喚出来るし、ある意味で召喚器でペルソナを召喚するというのは1種のスイッチになっている一面もある。

 つまり何かあった時、咄嗟にペルソナを召喚するには、やはり召喚器があった方が便利なのは間違いない。

 

「持ってきてるわよ」

「当然だろう」

「……お、おう。そうか」

 

 全く躊躇なくそう言ってくる2人に驚く。

 まさかこの旅行に召喚器を持ってきてるとは全く思わなかった。

 

「聞いた俺が言うのも何だけど、まさか本当に召喚器を持ってきてるとは思わなかったな」

「アクセルと一緒に旅行に行くのよ? 一体何があるか分からないから、念の為に持っていった方がいいって皆に言われて」

 

 皆か。

 この場合の皆というのは、基本的にはレモンを始めとした面々の事だろう。

 俺との付き合いも長いので、俺が旅行に行ったら何かが起きるかもしれないと、そんな風に思ったのか。

 実際、こうしてマヨナカテレビの件がある以上、もしかしてその予想は当たったのか?

 その用意周到さには色々と思うところがない訳でもなかったが、それで問題がないのなら俺としてもこれ以上は何も言わない方がいい。

 そんな訳で、取りあえず万が一にも何かがあった時の為に召喚器があるのを喜んだ方がいいだろうと判断し、それ以上は何も突っ込むことはしないまま天城屋旅館に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1820
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