転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3565話

 天城屋旅館に戻ってくると、もう少しで夕食の準備が出来ると従業員に言われる。

 なら女将の娘から話を聞くのは食後でもいいかという事になった。

 

「で、俺が約束を取り付けに行くのが駄目な理由は?」

 

 離れにある部屋で、窓の外に見える山の景色を眺めつつ尋ねる。

 すると俺のそんな言葉を聞いたゆかりが、呆れたように言う。

 

「あのね、普通に考えてみなさい。女将さんにしてみれば……いえ、この宿の従業員にしてみれば、大事な1人娘よ。若女将と言ってもいいのかもしれないけど。そんな子にアクセルみたいな大人の男が……それも私や美鶴さんのように2人の女を侍らせている男が話をしたいと言われて、それで怪しまないとでも思う?」

「それは……」

 

 ゆかりの言葉には相応の……あるいはそれ以上の説得力があった為、俺としても黙るしかない。

 実際問題、客観的に現在の俺を見た場合はそういう風に認識されてもおかしくはないのだから。

 その上、俺とゆかり、美鶴の関係を考えれば、それはとてもではないが誤解だとは言えないのも事実。

 そんな……美人2人と1つの部屋に泊まる俺が女将の娘に話をしたいと言っても、それこそナンパをするといったように思われてもおかしくはない。

 俺にそんなつもりがなくても、傍から見ればそういう風に見えるのは間違いないのだから。

 だとすれば、ゆかりが話を聞く為に呼んで来るというのは間違ってないかもしれないが……けど、その辺について向こうが妙な勘違いをしたりしないとも限らないのだが。

 この旅館の従業員にしてみれば、ゆかりは美鶴と共に俺の女という風に認識されている。

 そういう、このペルソナ世界にとっては一般的ではない事をしている人物だけに、ゆかりが女将の娘に用事があると言われれば、いけない事に引きずり込もうとしてるのではないかと従業員が考えてもおかしくはないと思う。

 具体的には、それこそゆかりが女将の娘を騙して俺に抱かせようとしてるとか。

 エロ漫画かと思わないでもなかったが、ぶっちゃけ俺の普段の夜の生活を考えれば、それこそエロ漫画かと言われてもおかしくはないものだしな。

 説得力がない。

 

「うん、まぁ……その、ゆかりでも大丈夫だと思うけど、いっそ美鶴が身分を明かして話した方がいいかもしれないな」

「あら、それはどういう意味かしら? 何で美鶴さんはよくて、私は駄目なのかしら?」

 

 俺の態度から何かを感じたのか、そう言ってくる。

 とはいえ、まさか本当の事を言う訳にもいかない以上、俺は何とか誤魔化すしかない。

 

「単純に、桐条グループという名前の方が説得力があると思っただけだよ」

 

 咄嗟に出て来た言い訳だったが、この言葉は実際に正しい。

 このペルソナ世界において、桐条グループというのは非常に大きな影響力を持っている。

 稲羽市のような田舎でその名前に効果があるかどうかはちょっと分からないが、それでも老舗の天城屋旅館なら、桐条グループについてはしっかりと情報を持っていてもおかしくはない。

 なら、そのネームバリューを使わせて貰ってもいいだろう。

 美鶴が少し困った表情を浮かべる。

 美鶴にしてみれば、自分の家の名前を使うのはあまり好ましくないのだろう。

 とはいえ、それが一番手っ取り早いのも事実。

 

「どうだ?」

「アクセルがどうしてもというのなら、仕方がないとは思うが……正直、あまり好ましいことでないのは間違いないな。それこそ話を聞くのなら、私ではなくゆかりでも十分だと思うが」

「じゃあ、私と美鶴さんの2人で行くのはどう? それなら問題ないんじゃない? それに呼んで来るじゃなくて、私達で話を聞いてくるとかすればもっと安心だし」

 

 いや問題あると思うが。

 女将の娘が2人を相手にしてプレッシャーを感じるといった事になったら、ちょっと面倒な事になるかもしれないし。

 ただ、どちらかに行かせるよりは2人で行かせた方がいいような気がしないでもない。

 

「じゃあ、2人で行ってきてくれ。言っておくけど、無理に聞き出すような事はするなよ。そもそも女将の娘が詳しい事情を知ってる訳じゃないだろうし」

「心配しないでよ。マヨナカテレビについてだけ聞いてくるから。そうすれば、向こうも噂について聞きたいだけだと理解するでしょう?」

 

 だといいんだけどな。

 取りあえず俺が直接聞くよりも、同じ女のゆかりと美鶴が聞きに行った方がいいのは間違いないと思う事にしておく。

 後は……温泉か。

 いつ温泉に入るかだよな。

 女将の娘から情報を聞いて、その整理が終わってからか。

 もしくはそのような事をするよりも前に温泉に入って気分をリフレッシュさせるか。

 前者だな。

 この宿の温泉は、天城屋旅館の売りの1つだ。

 そのような温泉に入る事が出来るんだから、余計な事……不安の種については出来るだけ考えないようにしてから入りたい。

 でないと、折角の温泉を十分に楽しめないし。

 ……残念なのは、いわゆる部屋風呂というのがない事だよな。

 こういう老舗旅館とかなら、そういうのが普通にあってもおかしくはないんだが。

 それも部屋風呂という名称ではあるが、きちんとした露天風呂がそれぞれの部屋にあるといったような。

 そういう部屋風呂ならゆかりや美鶴と一緒に混浴で入れるんだが。

 そういうのがない以上、普通に男女別で入る必要があった。

 

「ねぇ、アクセル。何か妙な事を考えてない?」

 

 俺の様子を見て何か思ったのか、ゆかりがそう尋ねてくる。

 表情には出していないつもりなんだが、一体どこから察知してるんだろうな。

 そんな疑問を抱きつつも、表情に出さないようにしながら首を横に振る。

 

「そんな事はないから、心配するな。取りあえずゆかりと美鶴は早いところ女将の娘に話をつけにいった方がいいんじゃないか? 夕食が始まったら、宿の従業員もかなり忙しくなるだろうし」

「……そうだけど、何だかちょっと怪しいわね」

「そんな事はないぞ。気にするな」

「美鶴さん、どう思う?」

「ふむ、アクセルも男だ。この状況で色々と思うところがあってもおかしくはないだろう。私達にとってはそこまで気にならないような事でも、アクセルにしてみれば気になるのかもしれないし」

 

 これは……美鶴は俺を庇ってるのか?

 それとも天然で思った事を口にしてるだけなのか。

 ともあれ、美鶴は今の状況を特に気にしている様子はないらしい。

 ゆかりもそんな美鶴の様子を見て、小さく息を吐く。

 男が何を考えているのかを察知するのは、どうやら美鶴よりもゆかりの方が上らしい。

 美鶴は色々な意味で箱入りのお嬢様と呼んでもいいタイプだしな。

 とはいえ、美鶴は桐条グループの次期総帥としてパーティやら何やらに参加しない訳にもいかない。

 そしてパーティに参加すれば、美鶴の美貌と男好きのする身体、桐条グループの名前……様々な理由から、男が群がってくるのは想像するのも難しくはない。

 そういう意味では男が何を考えているのか分かってもいいと思うんだが。

 

「ともあれ、今のうちに聞いてくるのなら行動に移した方がいいぞ。ここで話している間にも時間は流れていくんだ。そうなると聞く機会がなくなってしまうし」

「むぅ……」

 

 俺の言葉に不満そうな様子を見せつつ、ゆかりは美鶴に視線を向ける。

 その視線を受けた美鶴は、すぐに立ち上がる。

 

「ああ、ちなみに……こっちは本当に軽くでもいいから、この天城屋旅館で行方不明になったって奴の事も聞いてきて貰えると嬉しい。もっとも、天城屋旅館の娘だけにその辺は敏感かもしれなから、無理にとは言わないけど」

「聞いても問題なさそうなら聞いてくるわね」

 

 そう言うと、ゆかりは美鶴と共に部屋を出ていく。

 そんな2人を見送ると、俺はやる事がなくなってしまう。

 今この状況で俺が動くような事にでもなれば、それこそ妙な騒動になりかねない。

 だからこそ、俺は今はこうして夕日が沈みそうになっている山を見ているくらいしか出来ない。

 空間倉庫から何か雑誌でも出して読もうかと思ったものの、折角旅行に来たのだから、この雄大な景色を見逃すのは惜しい。

 それに……俺が雑誌を読むと、何故か何らかのトラブルが起きるというフラグというかジンクスというか、そんなのがあるし。

 ただでさえ、この世界において今は色々と問題が……いや、待てよ?

 X世界では、俺達が関与したのは恐らく2作目の作品だ。

 1作目はジャミルが主人公で、2作目はガロードが主人公というのが俺の予想だ。

 だとすれば、同じ世界でも俺が関わった原作の続編という可能性はあるのか?

 とはいえ、そう考えるとやっぱり田舎が舞台というのがネックなんだよな。

 俺が経験した影時間の舞台となった月光館学園も東京だった。

 それを思えば、やはり続編の原作という事であっても東京とか……いや、東京ではなくても、もっと都会を舞台にしている筈だろう。

 稲羽市のような田舎を舞台にするとはどうしても思えない。

 

「失礼します」

 

 窓の外の景色を見て考えていると、不意にそんな声が聞こえてくる。

 何だと思って返事をすると、従業員が姿を現す。

 

「お食事の方、何時くらいにお持ちすればよろしいでしょうか?」

「あー……そうだな。6時くらいで」

 

 ちょっと早いか? と思ったものの、そこまで極端に早い訳でもないし、大丈夫だろう。

 いや、寧ろ旅館の夕食の時間としては丁度よかったりするのか?

 普通に暮らしている分には、夕食というのは俺のイメージだと午後7時とかその辺だ。

 もっとも仕事だったりなんだったりで遅くなったりした場合、午後10時くらいに夕食を食べるという事もあるが。

 とはいえ、これはあくまでも字面の問題だけど、朝に食べるから朝食、昼に食べるから昼食、夕方に食べるから夕食。だとすれば、午後10時くらいに食べるのは夕食ではなく夜食になるんじゃ?

 そんな風に考えるも、それは今更気にしても仕方のない事なのだろう。

 従業員が一礼して部屋を出ていくのを見送ると、俺は改めて窓の外に視線を向ける。

 相変わらずの景色を楽しんでいると、数分もしないうちに再び部屋に近付いてくる気配と足音を察知した。

 とはいえ、これは覚えのある足音と気配だ。

 その数が2つとなれば、それが誰なのかは考えるまでもないだろう。

 

「アクセル、話を聞いて来たわ。ちょっとロマンチックというか、怖いような……そんな話だったわ」

「ロマンチック……? ゆかりはあれをロマンチックだと思うのか? 私はとてもそのようには思えないのだが」

 

 部屋の中に入ってきたゆかりと美鶴の2人が、俺に向かってそんな風に言ってくる。

 この様子だと、どうやら無事に話を聞く事が出来たらしい。

 とはいえ、聞いた話から受ける印象はお互いに微妙に違っているようだったが。

 

「どうやら2人でマヨナカテレビについて抱いた印象が微妙に違うようだけど、2人で一緒に聞いてきたんだよな? 実はそれぞれが時間をずらして聞いてきたとか、あるいは違う相手に聞いてきたとか、そういうのじゃなくて」

「うむ、ゆかりと共に聞いてきたのは間違いない」

 

 美鶴が言うと、ゆかりがそれに同意するように頷く。

 この様子を見ると、どうやら本当に別々に聞いたとかじゃなくて一緒に聞いてきたらしい。

 

「その割には、2人がマヨナカテレビに対して抱いた感想がかなり違うように思うんだが」

「それは……私と美鶴さんの感じ方次第でしょうね」

「具体的にはどういう内容だったんだ?」

「雨の降る夜、午前0時に点いていないTVに映った自分の顔を見ていると、そこには自分の運命の相手が浮かび上がるという感じね」

「それは……微妙なところだな」

 

 自分の運命の相手が映るという事でゆかりがロマンチックだと思うのは理解出来る。

 また、点いていないTVに誰かの顔が映るという事で美鶴が言うようにロマンチックとは思えないというのも分かる。

 その辺はやはり人それぞれといったところなのだろう。

 

「けど、雨が降ってる必要があるのか。……そうなると、今日それを見る事は不可能だな」

 

 この部屋にも当然だがTVは用意されている。

 しかし、雨が降っている必要があるという前提条件が必要となると、見た感じ今日はそれを試す訳にもいかない。

 

「そう言えば、私や美鶴さんがマヨナカテレビを試したらアクセルの顔が出てくると思うけど、アクセルが試したらどうなるのかしらね。もし運命の人が映されるのなら、これからアクセルがどういう恋人と会うのか、そういうのが分かったりもするんじゃない?」

「いや……さすがにそれは難しいと思うけどな」

 

 あるいはこのペルソナ世界のみでの話なら、ゆかりと美鶴の顔が映し出されて終わりかもしれないが。

 あ、でもマヨナカテレビに映し出されるのは運命の相手という事だし、現在もう付き合っているゆかりと美鶴の顔は映らないのか?

 それはそれでちょっとどうかと思わないが……いや、でもその辺がどうなってるのか分からないのはちょっと怖いな。

 試してみたいような、試してみたくないような。

 あるいは、そのマヨナカテレビが使えるのは人間だけだとすると、混沌精霊の俺は難しかったりするのか?

 そんな風に疑問を抱くのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1820
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