転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3566話

 天城屋旅館で出た食事は、評判に負けないような美味い料理だった。

 4月という事で、鮎とかはまだちょっと早かったものの、それ以外のヤマメやイワナといった魚の塩焼きがかなり美味い。

 他にも春という事で山菜を使った料理がかなりある。

 猪や鹿のジビエ料理もあるが……こっちの味はそこそこといったところか。

 春になったばかりだと、野生動物というのはかなり痩せている。

 これが夏から秋になると脂がのって美味いんだが。

 あるいは去年獲れた肉を冷凍して使うというのも1つの手かもしれないが、天城屋旅館としてはやはり冷凍よりも生の肉を使いたいといったところか。

 ちなみにこの山菜や猪、鹿、そして川魚もこの部屋から見える山で獲ってきたらしい。

 勿論旅館の従業員が自分達で獲ってきたのではなく、専門の業者に頼んでるらしいが。

 なお、俺達はこうしてジビエの肉を食べているが、人によってはこういうジビエは駄目という者もいる。

 そういう客は、予約する時に別途そう言っておけば普通の鶏肉、豚肉、牛肉といった料理を出してくれる。

 俺達はどうせならその土地で獲れた食材を使った料理を食べたいという事で、ジビエを頼んだが。

 

「このイワナ美味しいわね。塩焼きもしっかりと飾り塩を尻尾とかに付けてるから綺麗だし、外側はカリッと焼かれていて、中の身は淡泊だけど柔らかくて。何匹でも食べたくなるような味ね」

「このぼたん鍋もそれなりに美味いな。ただ、やはり春になったばかりでは少し劣るな。もっとも、料理人の腕がいいせいか、そこまで極端に悪いとは思わないが」

 

 ゆかりと美鶴はそれぞれ夕食に舌鼓を打っていた。

 俺は鹿肉の一口ステーキを食べるが……なるほど、焼き方とかは上手いと思うけど、美鶴の言うように旬ではない為か、その辺はいまいちだな。

 ちなみにこういう場所での料理としては当然ながら、刺身もある。

 それも少しだけある訳ではなく、舟盛りで。

 稲羽市は海から距離があるし、天城屋旅館があるのは山だ。

 だというのに刺身……? と思わないでもなかったが、この刺身は全て今日獲れたばかりの奴らしい。

 漁港から直接運んできているんだとか。

 昔ならともかく、今なら海で獲った魚をその日のうちに運ぶというのも難しい話ではないしな。

 ちなみに俺はその辺はあまり詳しくないのだが、魚の中には熟成をさせることで美味くなる種類もあるらしい。

 そういうのはしっかりと熟成されて、この舟盛りに入っているのだろう。

 

「サザエの刺身って、ちょっと珍しいよな。サザエ料理だと壺焼きが一般的だし」

 

 ちなみにこの壺焼きも、細かく分けると何種類かあるのだが、大雑把に分けると2種類ある。

 サザエの身をそのままにして醤油や日本酒を混ぜた調味液を入れて焼くというのと、一度サザエの身を取り出してから苦い部位を取り除き、幾つかに切ってからサザエの殻に戻してから調味液を入れて焼くという方法。

 なお、後者をやる場合はサザエの蓋を殻の中に入れないと、切られたサザエの身は殻の奥深くに入っていって、食べる時に苦労をする事になる。

 俺としては、そのまま食べる方が好きだが……この辺は人の好みによるだろう。

 

「壺焼きは豪快な料理よね。あ、でも以前にアクセルが言っていた地獄焼きってのも食べてみたいかも」

「やろうと思えば出来るけど、今はやらない方がいいだろうな」

 

 地獄焼きというのは、それこそ壺焼きよりも豪快な料理だろう。

 生きたアワビを、鉄板や網の上に置いてそのまま焼くという料理なのだから。

 焼かれるアワビが上に下に、右に左にとその身をうねらせる様子から、地獄焼きという名前がついた……らしい。

 俺は料理には詳しくないので、実はもっと正式な名称があるのかもしれないが。

 そうして焼き終わったアワビは、驚く程に柔らかい。

 普通、アワビの刺身というのはコリコリした食感なのだが、そんな刺身が何故これだけ柔らかくなるのかと、そんな風に思うくらいに柔らかくなる。

 それは最早別の食材と表現しても決して間違いではないと思う。

 いや、ちょっと誇張表現すぎるか?

 ともあれ、一般的にアワビと聞いて思い浮かべるのとは全く違う食感なのは間違いない。

 以前ペルソナ世界の無人島で入手したアワビは空間倉庫に入っているので、地獄焼きを食べようと思えば恐らく食べる事は出来るだろう。

 だが、キャンプでそういうのをやるのはともかく、旅館に……それも老舗旅館に来てわざわざ自分達で料理するというのはちょっと違うだろう。

 旅館の従業員……いや、料理人か? そういう人達も気分を悪くするだろうし。

 これで料理が不味ければ、また話は別だ。

 料理が不味い以上、自分達できちんと美味いと思える料理を作るといった事も出来る。

 だが、天城屋旅館で出される料理はどれも美味い。

 そんな文句を言える筈もなかった。

 

「これで秋に来ていれば、それこそ地元で採れた松茸とか食べられたんだろうけどな」

「松茸か。……それは是非また秋に来てみる必要があるな」

 

 美鶴がしみじみと呟く。

 桐条グループの娘として、美鶴も今まで色々と美味い料理は食べてきただろう。

 そんな美鶴にとっても、松茸は好物らしい。

 土瓶蒸しとか、炭火焼きとか、ちょっと変わったところではすき焼きとか、パスタとか。

 以前どの世界でかは忘れたが、1本丸々フライにするという豪快な料理も見た事がある。

 ……ただ、個人的には松茸というのはフライに合わないような気がするんだよな。

 実際に食べた事がある訳でもないので、絶対に合わないとまでは言えないが。

 

「そうだな。出来ればまた秋にこの旅館に泊まりに来たいな。……マヨナカテレビの件とかがどうにかなったらだが」

「何、アクセル。まだマヨナカテレビの事を気にしているの? あれは一応、この地域で流れている噂だという結論になったじゃない。万が一を考えて、私達が泊まっている時に雨が降ったら試してみるって」

「そうだな。それは分かっている。けど……いや、何でもない」

 

 トラブルに巻き込まれる……もしくはトラブルの方から俺に近寄ってくるという事を考えると、何となく安心出来ないというのが正直なところだ。

 とはいえ、ゆかりや美鶴がこの旅行を楽しんでいる以上、俺としてもあまり邪魔をするような事はしたくない。

 

「そうだな。今はまずこの旅行を楽しむとするか。食事が終わったら温泉に入りに行くけど、そっちはどうする?」

「勿論温泉に入りに行くに決まってるでしょう」

「天城屋旅館の温泉は良質な温泉だと聞いている。それが売りの1つだという話だ。どうせなら、それを思う存分堪能したいところだ」

 

 そうして話をしながら、夕食を楽しむ。

 主な内容は商店街での諸々。

 意外な事に、ゆかりも美鶴も巽屋の染め物について興味深かったらしい。

 最後はかなり急いで支払いをしたが、帰るまでにもう1度くらいは行ってみたいと言っていたのを思えば、どれだけ気に入ったのかが分かるのだろう。

 生憎と俺はその辺の知識についてあまりないので何とも言えないんだが、ゆかりや美鶴がこうまで褒めるという事は、それだけいい品なのだろう。

 美鶴は桐条グループの娘だが、ゆかりの母親もまた桐条グループに連なる、いわゆる名家の出で、美鶴程ではないにしろお嬢様と呼ぶに相応しい育ちなのだから。

 もっともゆかりの場合は父親が影時間の一件でスケープゴートにされた後、母親が男がいなければ駄目になり、次から次に男を引っ張り込んでいたとかで、そんな母親を嫌って寮のある月光館学園に来たんだが。

 ただ……こう言うのもなんだが、男に溺れた母親が嫌いで出て来たのに、今は俺の複数いる恋人のうちの1人というのは……うん、その辺については口に出さない方がいいだろう。

 そんな風に考えながら話しているうちに、夕食が終わった。

 片付けに来た従業員が驚愕していたのは見物だった。

 こういう旅館の料理って、基本的に全部食べきるのは難しく、残されることが多い。

 ましてや、俺達は夕食のコースをかなりいいものにしたので、その料理の量も普通よりも多かった。

 そんな中で、俺とゆかり、美鶴と3人とも一見すれば大食いには見えない。

 従業員達にしてみれば、絶対に残すと思っていたのだろう。

 だが実際にこうして片付けに来てみれば、綺麗に……それこそ全く何も残さずに全てを食べきっていたのだ。

 一体どこにこんな量が入ったのかと、そう疑問に思ってもおかしくはない。

 俺にしてみれば、それこそ食べて腹の中に入った瞬間には魔力として身体に吸収されるのだから、その気になればフードファイターとして活動する事も不可能ではない。

 ホットドッグの早食いとかでは、それこそ水につけて食べるとか、早く、そして量を多く食べるのを重視して、味わって食べない。

 その点、俺なら腹一杯になってそれ以上食えないという事には絶対にならない為、普通に大食い競争に出ても優勝出来るのは間違いない。

 ……まぁ、混沌精霊の俺がそういうのに出るのは、色々と不味いので実際に出るような事はないが。

 ただ、たまに何分で完食したら無料とか、そういうのに参加する事はあったりする。

 当然、そういう店では全戦全勝だ。

 

「このご飯も美味しいわね。かなり甘みがあって……確か天城屋旅館って地元の野菜とかを使ってるって話だったけど、このお米も稲羽市で作られてるのかしら」

「どうだろうな。この美味さを考えると、地元で作ってるとは思えないけど。一流の米を買ってるんじゃないか?」

 

 実は稲羽市が秋田県や新潟県のように米所だったら、こういう美味い米を育てていてもおかしくないと思う。

 けど、電車でここに来た時、一応それなりに農家はあったが、そこまで米所って程ではなかったと思う。

 勿論俺達が見たのはあくまでも電車の中からの光景だ。

 電車が通っていない場所に田んぼがあってもおかしくはないので、絶対とは言えないが。

 あるいは知る人ぞ知る米所……という可能性もない訳ではないのだから。

 そうして食事が終わり、次はある意味でこの天城屋旅館最大の楽しみでもある温泉に入る事になる。

 普通なら酒を飲んだ状態で温泉には入らない方がいいのだが、俺達は誰も酒を飲んでいない。

 そういう訳で、温泉に入るのは問題ない。

 混浴じゃないのが残念だったが、その辺は旅行が終わって家に帰れば思う存分楽しめるし。

 

「じゃあ、アクセル。私達は温泉に入ってくるわね。結構長くなると思うけど……」

「だろうな。こっちは構わないから、ゆっくりしてこい」

 

 ゆかりは髪が短いが、美鶴は結構な長さだ。

 その髪を洗ったり乾かしたり、手入れしたり……それだけでも結構な時間が掛かるだろう。

 人によっては男でも結構長い時間温泉に浸かるのを好むんだろうが、生憎俺はそこまで温泉好きという訳でもない。

 温泉に入って上がるまで……そうだな、30分くらいか?

 普通に風呂に入るだけなら、もう少し短い。

 だが、今回は温泉という特別な風呂である以上、普段の風呂よりも若干……本当に若干だが、お湯に浸かる時間が長くなってもおかしくはない。

 

「ええ、折角の温泉なんだから楽しんでくるわ。肌にもいいらしいし」

 

 嬉しそうに笑うゆかりは、こちらも楽しそうな美鶴と共に部屋を出ていく。

 そんな2人を見送ると、俺も風呂に入る用意をして温泉に向かう。

 4月上旬という事もあって、客の姿は多くない。

 老舗旅館らしく、俺達以外に誰も客がいないといった訳ではないが、それでもかなり少ない。

 これがもう少し先……5月の連休になれば、旅館にも客が大量に来るんだろうけど。

 とはいえ、俺達は食事とかが目当てで天城屋旅館に来たけど、他の客って何を目的に天城屋旅館に来るんだろうな。

 天城屋旅館が全国的に有名な老舗旅館でも、特に何か観光名所とかがある訳じゃないし。

 だとすれば、隠れ家的な意味での場所とか?

 それなら泊まる奴がいてもおかしくはない……と思う。

 後は、巽屋とかを目当てに?

 ゆかりと美鶴はかなり気に入ったみたいだったが、だからといってそれを目当ての観光客がいるかと聞かれれば……正直、微妙だろう。

 それでも老舗旅館としてこうしてやって来ているのだから、俺には分からない何かがあるのだろう。

 そんな風に考えながら廊下を歩いていると、ふと前から歩いてくる相手に気が付く。

 別に知り合いという訳ではないが、着物を着ているその姿はかなり様になってる。

 多分、普段からそれだけ着物を着ているという事なのだろう。

 高校生くらいで、着物を着慣れている……なるほど、多分あの女がこの旅館の娘で、食事前にゆかりと美鶴がマヨナカテレビについて聞きに行った相手なのだろう。

 それにしても……かなり顔立ちが整っているな。

 老舗旅館の美人若女将とかで人気になってもおかしくはないくらいに。

 もしくは、美人すぎる若女将か?

 そんな風に考えていると、向こうも俺の存在に気が付いたのか小さく頭を下げて俺の横を通りすぎていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1820
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