「ぷはぁ……風呂上がりの一杯はやっぱりこれだな」
そう言い、冷たいウーロン茶を飲む。
……いやまぁ、こういう時は牛乳とかコーヒー牛乳とか、イチゴ牛乳とかが一般的なのは知ってるが、売ってないんだから仕方がない。
ここが銭湯とかなら、小さな売店とかあってそういうのが売ってるかもしれないが、生憎と天城屋旅館は温泉のある旅館であって銭湯ではない。
風呂から出てすぐの場所に売店があったりはしないし、お土産とかを売ってるような売店も実はなかったりする。
その代わりにあるのが、休憩スペースにある自販機。
俺が買ったのはそんな自販機にあったペットボトルのウーロン茶だった。
紅茶とかでもいいんだが、何となく今はウーロン茶という気持ちだったのだ。
「さて」
飲み終わったウーロン茶のペットボトルをゴミ箱に入れると、これからどうするのかを考える。
結局俺が温泉に入っていた時間は、30分くらい。
それでもゆっくりとする事が出来たのは、温泉の効能からか。
あるいは他に入っている客が数人程度だった為か。
元々今の時期は宿泊客が少なく、夕食に関しても天城屋旅館のような老舗旅館に来たのだから、晩酌を楽しんでいる人もいるだろう。
酒を飲んでいる最中だからか、それとも酒を飲んだのである程度酔いが覚めるまでは休んでいるのか。
ともあれ、温泉には人が少なかった。
ゆかりや美鶴達の方でもそんな感じだったんじゃないかと思う。
だが女湯の方でも客が少なかった場合、ゆかりと美鶴は俺が思った以上にゆっくりと温泉に入っている可能性が高い。
元々女は風呂に入っている時間が長いしな。
なら、俺がここで待っていても無駄に時間を使うだけだろう。
そんな訳で、部屋に戻ることにしたのだが……部屋に戻る途中で1人の女が廊下の向こうから歩いてくるのを発見する。
俺が風呂に入る時にもすれ違った、この旅館の娘だ。
タイミング的に、向こうが用事を終わらせて戻ってきたところに俺とすれ違った感じか。
向こうも俺の存在に気が付いたのか、頭を下げ……
「きゃあっ!」
「って、おい!」
廊下が滑ったのか、それとも単純に俺に頭を下げた事でバランスを崩したのか。
いや、後者はさすがにないだろう。
そう思いつつ、床を蹴って女が転ぶ前に抱き留める。
女らしい、柔らかな感触が手に伝わる。
「え?」
転ぼうとしたところで、予想していた衝撃がなかったことに気が付いたのか、女は不思議そうにこっちを見てきて……俺と視線が合う。
それこそ数cm程度の距離での見つめ合い。
もし俺にその気があれば、それこそこの状況からキスをするのも難しくはないだろう。……するつもりはないが。
「大丈夫か?」
「あ、はい。その……ありがとうございます。助けてくれたんですよね? ですが、その……お客様は少し離れた場所にいたと思うのですけど」
「気にするな。運動が得意なだけだ」
別にこれは嘘でも何でもない。
実際、俺は運動が非常に得意なのだから。
それこそ魔力とかを使わなくても、余裕でオリンピックの金メダルを取れるくらいには。
ましてや、ゆかりや美鶴も今ではある程度同じような事が出来るだろう。
「そうなんですか? とにかく助かりました。ありがとうございます」
取りあえずもう大丈夫だと判断し、抱き留めていた身体を離す。
その際、女は自分が男に抱かれていたという事にでも気が付いたのか、その頬を赤く染める。
女将の娘……若女将と呼ぶべき存在なんだから、こういうのには慣れていてもおかしくはないと思うんだが。
俺が言うのも何だが、男というのはいい女を見れば色々と欲望を抱く。
特にその時に酔っていれば、セクハラの類をしてもおかしくはなかった。
そういう意味では、この女はそういう対象になってもおかしくはなく、それだけに男に対してそれなりに触れられた事があってもおかしくはないと思うんだが。
「気にしないでくれ。夕食前にゆかりや美鶴が押しかけて迷惑を掛けただろう?」
「いえ、そんな事は。でも、何故あのような事を?」
「ちょっと気になる事があったんでな。……ああ、そういえばまだ自己紹介をしてなかったな。俺はアクセル・アルマーだ」
「天城雪子です。よろしくお願いします。……それにしても日本語がお上手ですね」
「日本には住んで長いしな」
うん、まぁ……これも決して嘘という訳ではない。
この世界ではなく、他の世界でも日本に滞在している時間はかなり長いし。
「そうなのですか。……では、私は仕事がありますので、これで失礼しますね。助けてくれて、ありがとうございました」
最後に一礼し、女……いや、雪子は立ち去る。
その歩き方は、ただ歩いているのではなくしっかりと練習をした歩き方だ。
この旅館の次期女将として、小さい頃からしっかりと躾けられてきたのだろう。
そんな雪子を見送ると、俺は部屋に戻る。
当然だが、部屋の中には誰もいない。
ただ、部屋……正確には寝室となる場所は布団が敷いてあった。
それも3組並んで。
俺とゆかりと美鶴の3人分の布団なのは間違いないが、その並んでいる布団の距離が微妙だ。
くっついている訳でもなく、かなり離れている訳でもない。
本当に微妙という表現が相応しい距離。
多分だけど、宿の従業員も俺達がどういう関係なのかしっかりとは分からなかったんだろうな。
組み合わせ的に、俺とゆかり、もしくは俺と美鶴が恋人同士と考えてもおかしくはないが、その割には3人全員が親密な様子だ。
なら、ゆかりと美鶴の2人が揃って俺の恋人だと考えたか……さて、どっちだろうな。
そんな風に思いながら、もうほぼ夜となって真っ暗になった外の景色を見る。
これ……多分だけど、ライトアップとかしたら名物になりそうな気がする。
とはいえ、ライトアップするには結構な資金が必要となるし、山の中をライトアップするという事は、野生動物とかが妙な行動を起こしたりするかもしれない。
下手をすれば、火花とかから山火事になる可能性もあるのを考えると、ちょっとリスクが高すぎるか。
クリスマスや正月とかの、限られた時間だけなら……それでも労力がかなり必要になるな。
そんな風に考えながら窓の外の景色を見ていると、こちらに近付いてくる覚えのある気配に気が付き……
「ああ、いい温泉だった。……あ、やっぱりもうアクセルは温泉から出てたのね。やっぱり男の人って早いわね」
ゆかりが部屋の中に入りながら、そう言ってくる。
そんなゆかりの後ろからは美鶴が姿を現す。
2人とも湯上がりというのも影響してか、かなりの艶っぽさを感じさせる。
2人の湯上がり姿は別にこれが初めてという訳でもないのに、このように感じるという事は、つまりそれだけこの天城屋旅館という場所が特別なのだろう。
「早いと言われてもな。それでも30分くらいは温泉に入っていたんだぞ? 普通だと思う」
そう言いつつも、風呂に入る時間が30分というのが本当に普通なのかどうかは分からない。
そもそもそういう平均を気にした事はなかったのだから。
もしかしたら30分と聞いても、短いと思う者もいるかもしれないし、長いと思う者もいるかもしれない。
俺としては、これくらいが平均なのだと思っているのだが。
「30分って……温泉なのよ? 折角なんだから、もっとゆっくりしてくればよかったのに」
「ゆかり、その辺にしておけ。私達は1週間近くここに泊まるのだ。であれば、温泉に入る機会はまだ幾らでもある」
「それは……そうだけど……」
美鶴の言葉に若干の不満を残しながらもゆかりが頷く。
実際、美鶴の言う通りこれから1週間近くこの天城屋旅館に泊まるのだから、これからは何度でも温泉に入る事が出来る。
基本的に温泉はいつでも入れるらしいし。
……いや、でもそうなると温泉の掃除はどうするんだ?
温泉という天然のお湯である以上、普通の風呂よりも汚れやすいというのは聞いた事がある。
それこそ毎日のように掃除しないと危険だと。
だとすれば……基本的にいつでも入れるという事になってるのを考えると、多分だけど夜中に掃除してるんだろうな。
朝とかは朝風呂を楽しむ人もいるし、それ以降は旅館の客も普通に起きてるので温泉に入りたい者は多いだろう。夕方から夜はそれこそ温泉に入る者は多い。
だとすれば、やっぱり俺達が寝ている夜中に掃除をしていると考えるべきか。
とはいえ、今は客が少ないからそういう問題もないだろうけど、夜中……午前1時とか2時とか、その辺に温泉に入りたいと思う者もいるような気がする。
……まぁ、その辺は別に俺が考える事でもないのか。
それこそ天城屋旅館の従業員や女将達が考える事だろう。
あ、そう言えば……
「温泉から出て部屋に戻る途中に、夕食前にお前達が話を聞きに行ったこの旅館の娘……天城雪子に会ったぞ」
「……妙な事はしなかったでしょうね?」
即座にそう聞いてくるゆかり。
信用がないな。
いやまぁ、恋人が10人以上いるのを思えば、そっち方面で信用がなくても仕方がないかもしれないけど。
ここにはいないマーベルやシーラも入れると、恋人の数は20人を超えてるしな。
そう考えると、自分でも女関係で信頼しろというのが無理なのは何となく理解出来てしまう。
「安心しろ。別に何もしてない。ただ……」
「ただ? やっぱり何かしたの? 私達みたいに毒牙に掛けたとか言わないわよね」
「言わないし、毒牙という表現は少し人聞きが悪いので止めて欲しいんだが」
「だって、アクセルの恋人になって他の人達……とくに円達から聞いた話によると、アクセルはネギま世界の4人を抱くのは高校を卒業してからって言ってたし、実際にそうだったんでしょう? なのに私と美鶴さんは普通に高校生の時に抱いたじゃない。そして天城屋旅館の娘も高校生だって話だし……私が不安に思ってもおかしくないと思わない?」
そう言われると、俺も反論は出来なくなってしまう。
実際に高校生のゆかりと美鶴を抱いたのは、間違いのない事実なのだから。
ただまぁ……無理矢理にだが言い訳をさせて貰うとすれば、ゆかりも美鶴も既に身体は十分に大人だった……いや、これを言うと余計に不味いことなりそうだから黙っておこう。
「別に俺から何かした訳じゃない、雪子が廊下で滑って転びそうだったのを助けただけだ。天城屋旅館は老舗旅館だけあって、掃除とかもしっかりと行き届いているけど、それだけに廊下で滑ったりしてしまう事もあるらしい」
裸足で歩いていれば廊下で滑るといったような事もないのだろうが、まさか働いている者がそんな事をする訳にもいかない。
もし客がそのような光景を見たら、不愉快に思ってもおかしくはない。
いやまぁ、世の中には色々な性癖の持ち主がいるので、そういう者の中には雪子の足を見られるのはご褒美ですといったような者もいるかもしれないが。
「ふむ、名前で呼ぶのか」
「……あ」
美鶴の言葉に、ゆかりがそう呟く。
そして2人揃って怪しむような視線をこちらに向けてくる。
「いや、ここは天城屋旅館だろう? だとすれば天城と呼べばそれは雪子か、その母親か、あるいは父親か……後はいるかどうか分からないが、親戚だとか従兄弟だとか、そういう連中にも天城はいる筈だし」
実際、雪子と名前で呼ぶようにしたのはそれが大きな理由だ。
もしこれが、例えば俺が天城屋旅館ではなく街中で雪子と出会っていたら、恐らく雪子と名前で呼ぶようなことはなく、天城と名字で呼んでいただろう。
そう説明すると、一応ゆかりと美鶴も納得した様子を見せる。
「まぁ、そういう事ならいいけど。じゃあ、アクセルもマヨナカテレビについては何か聞いたの?」
「いや、仕事の途中だったしな。無理に引き留めるわけにもいかないから、そのまま別れた」
これで実は助けた時に雪子の身体の柔らかさを実感したとか、そういう風に言えば……うん、止めておいた方がいいのは間違いないな。
「ふーん、そうなんだ。ならてっきり、マヨナカテレビについて何か情報を入手したかもしれないと思ったのに」
「ゆかり達が聞いてきたんだから、俺が更に聞いても、それについて新たな情報は出て来ないだろうに」
「もしかしたら忘れていたのを、アクセルと接触した事で思い出したかもしれないじゃない」
「その可能性はないとは言わないけど、難しいと思う」
「うーん、でもあの娘は見るからに男と接し慣れてないって感じだったわよ? 私が言うのもなんだけど」
「確かにゆかりに言われたくはないだろうな」
「あ、それを言うなら、私だけじゃなくて美鶴さんもそうじゃない」
この場合、どう反応すればいいんだろうな。
実際問題、ゆかりや美鶴は多人数での夜の行為が普通になっているので、そういう意味では男慣れしていないという雪子とは正反対なのは間違いない。
「とにかく、今日はゆっくりと休まないか? 稲羽市の観光を楽しむにしろ、マヨナカテレビについて調べるにしろ、明日からでいいだろうし」
そう言い、俺は布団の敷いてある部屋に視線を向け……それを見たゆかりと美鶴の頬はこの後の行為を思ってか真っ赤に染まるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820