転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3570話

「アクセルが採ってきた山菜、美味しいわね。……このタラの芽の天ぷらとか」

 

 寝起きだというのに、天ぷらを普通に食べるゆかり。

 美鶴もそんなゆかりの横で、嬉しそうに俺の採ってきた山菜を使った料理を楽しんでいた。

 とはいえ、一晩掛けてあく抜きをしなければならない山菜については、俺の山菜を天城屋旅館に渡す代わりに、あく抜きしていた山菜を使ったらしいが。

 自慢じゃないが、これも俺が採ってきた山菜が一級品だったからだ。……自慢か。

 実際には本職と比べると採ってきた山菜の質は多少なりとも落ちるのかもしれないが、その辺は旅館側のサービスといったところか。

 旅館側にしても、シーズン前に旅館に泊まってくれる……しかも山野真由美の一件があって、いつ宿の営業停止処分が起きてもおかしくはないこの時、こうして泊まりに来てくれる客はありがたいのだろう。

 それこそ多少のサービスは問題ないと思うくらいには。

 そうして用意された昼食は、山菜のおひたしに山菜の天ぷら、山菜の炊き込みご飯といった山菜料理の他に、幾つか宿の方で用意してくれたものもある。

 個人的に気に入ったのは、山菜の炊き込みご飯に山ワサビ……普通に水の流れている場所で育てるワサビではなく、土の中で育つ野生のワサビだが、それを擦ったものを炊き込みご飯の上に置いて、そこから川にいるカニ……沢ガニのようなカニではなく、いわゆるモクズガニを砕いて煮て、そこに醤油で軽く味付けをした出汁を掛けて、上から刻み海苔を散らしたお茶漬け。

 カニの濃厚な出汁が出ているので、正直なところ昨日の夕食や今日の朝食を合わせても、これが一番美味いと言ってもいい。

 とはいえ、それには俺が自分で採ってきた山菜というのがプラスされているので、実際の味は俺が自分で思ってる程ではないのかもしれないが。

 地元の山菜やカニを使った料理を食べて十分に満足し、宿の従業員が食器とかを下げて、食休みをしながらお茶を飲みつつ口を開く。

 

「それで、今日の午後からはどうする? 何なら稲羽市じゃなくて、もっと別の場所に俺の影のゲートを使って向かってもいいけど」

「いや、その前に少し寄ってみたい場所がある」

 

 そう言ったのは、美鶴。

 思いつきなのか、前から考えていたのかは分からないが、今は特にどこかに行くといった予定もない以上、美鶴の行きたい場所があるのならそっちに行っても俺は構わない。

 

「俺は構わないけど、ゆかりはどうだ?」

「私も構わないわ。別に今日が最後って訳じゃないんだから、どこか行きたい場所があったら明日でもいいし。それに……今日はもう昼だから、観光に使える時間は午後しかないしね」

 

 ジトリとこちらに視線を向けてくるゆかり。

 一体誰のせいで午前中を休憩ですませたのかと、そう言いたげな様子の視線。

 うん、やっぱり今夜からはもっと手加減をするか……あるいは数日そういう行為はなしにした方がいいのかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺は話題を逸らす……というか、戻す。

 

「それで、美鶴は一体どこに行きたいんだ?」

「実はこの稲羽市には八十神高等学校という高校があってな。月光館学園とそれなりに交流がある。例えば月光館学園の部活動が稲羽市で合宿を行ったり、八十神高等学校の修学旅行で交流授業があったりといったようにな」

「……そうなのか?」

 

 一応、俺も月光館学園に通った事がある。

 だが、八十神高等学校の件なんて全く知らなかった。

 いやまぁ、月光館学園に通っていたのは事実だが、途中からの編入だったし、影時間の件が終わったら転校するという名目でもう通わなくなっていたしな。

 そう考えれば、俺が八十神高等学校について知らないのはそんなにおかしな話ではないのか?

 あ、けど俺が分からなくても……とゆかりに視線を向けるが、その視線を受けたゆかりは慌てて首を横に振る。

 

「私も知らないわ。いえ、ちょっと何かで聞いた事があるような気はするけど……」

 

 どうやら月光館学園の中でもあまり知られていない話らしい。

 いや、でも無理もないのか?

 例えば、自分の住んでいる街がどこそこの街と……場合によっては外国の街と提携しているとか、そういうのは知ってる者は知ってるが、知らない者は知らないだろう。

 月光館学園の中でも、例えば生徒会とかそういう者達なら知っていてもおかしくはない。

 もしくはそういう活動に熱心な者達とか。

 途中で学校から消えた俺や、そういうのにあまり興味を持たないゆかりは違うらしい。

 あ、でもゆかりは弓道部だったし、稲羽市とかで合宿とかは……いや、やってれば知ってる筈か。

 

「ともあれ、八十神高等学校というのは知らないし、ちょっと見てみてもいいかもしれないな」

「そうね。どうせ行く場所がないんだし」

 

 俺もゆかりも美鶴の提案に反対するようなことなく、八十神高等学校に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「これか。……まぁ、普通の高校だな」

 

 八十神高等学校の前に到着すると、校舎を見た感想を口にする。

 実際、普通の高校といった表現は間違っていない。

 例えば月光館学園のように、桐条グループが経営しているとか、そういうのじゃなくて本当に普通の高校。

 天城屋旅館からここまでは影のゲートではなく、普通に歩いて来たので、既に午後の授業が始まっているらしく、校舎は静かだ。

 

「月光館学園が、色々な意味で特別だったのよ。……それにしても美鶴さん。連絡はしたんですか?」

「うむ。先程旅館から連絡を入れておいた。幸い、私も少し前には月光館学園の生徒会長をしていたからな。私の事を覚えている教師も何人かいたので、話は早かった」

 

 美鶴の事を覚えていたという事は、それはつまり桐条グループの令嬢だと認識してるんだよな?

 そんな相手がいきなり自分達の高校に尋ねてくるとなると……向こうは一体どんな風に思ったんだろうな。

 別にこの八十神高等学校は桐条グループの資金が入ってる訳ではないので、そこまで気にする必要はないのかもしれないが、それでも日本の中で有数の財閥である桐条グループという名前は大きい。

 そんな風に考えていると、やがて校舎の中から数人が出てくるのが見えた。

 長い白髪の男だ。

 全てが完全に白髪だという事は、年齢による白髪ではなく染めているのだろう。

 あるいは産まれた時からそういう色だったか。

 

「ようこそいらっしゃいました。八十神高等学校の校長の……」

 

 何だ? ボソボソと小さな声で言ってるが、あまり聞き取れない。

 混沌精霊の俺が聞き取れないという事は、多分……ゆかりや美鶴の方を見ると、やはり完全には聞き取れていないらしく、微かに眉を顰めている。

 取りあえず校長であるというのだけは分かったが。

 ともあれ、その後も苦労して聞き取った感じだと……学校の中は好きに見ていいらしい。

 それでいいのかと思わないでもなかったが。

 田舎だとそういうものなのか?

 月光館学園とかだと、都会の学校というのもあってか無関係の人物が好き勝手に見て歩く事は出来ないんだが。

 ああ、でも桐条グループの会長の娘という事で、別に無関係という訳ではないのか。

 八十神高等学校と交流のある月光館学園の元生徒会長で顔を知ってる者も多いのだから、そんな美鶴ならある程度自由に歩き回っても問題はないと考えてもおかしくはない。

 ともあれ、俺達は校長をその場に残して八十神高等学校の中を見て回る事にする。

 

「助かったな」

 

 来客用の下駄箱に靴を入れてスリッパに履き替え、俺達だけになったところで美鶴がそう呟く。

 

「助かった? 何がだ?」

「あの校長は私も何度か話した事があるんだが……声が小さくて、聞き取りにくいんだ。それでいて、戦車の話になると小声で流暢に話し出す」

「それは……嫌だな」

 

 ある意味分かりやすい性格ではあるのだろうし、考え方を変えれば付き合いやすい相手なのかもしれない。

 だがそれでも、あまり好んで付き合いたいと思う相手ではない。

 

「まぁまぁ、自由にしてもいいと言われたんだから、その辺はもう気にしなくてもいいでしょう? ……もっとも帰る時にまた挨拶をしないといけないのは間違いないけど」

 

 ゆかりのその言葉に、美鶴は微妙な表情を浮かべる。

 今から帰りの事を心配しているのだろう。

 俺なら適当に挨拶をしたら相手の言葉を聞かないでそのまま帰ったりもするが、美鶴の場合は立場があるしな。

 

「まずは色々と見てみましょうよ。美鶴さんは何を見たかったの?」

「八十神高等学校の通常の授業といったところか。特にこれといったものはない。ただ、稲羽市に来たのなら、八十神高等学校に顔を出しておいた方がいいと思ったのだ。私は……自分でこう言うのもなんだが、それなりに顔を知られている」

「だろうな」

 

 美鶴のその言葉には即座に同意する。

 月光館学園の元生徒会長という事で、八十神高等学校の教師には美鶴の顔を知ってる者もいるだろうし、桐条グループ総帥の娘という事で雑誌とかにも幾つか出ていた筈だ。

 

「……アクセルにそう言われると、少し照れるが。ともあれそれだけに、私が稲羽市を観光しているのを見た者の中には、私を桐条美鶴だと認識する者がいる可能性は非常に高い」

「つまり、美鶴の顔を知ってる誰かが美鶴を見つけたら、自分達の地元に来てるのに挨拶に来ない……もしくは顔を出さないのはおかしいと?」

「そのように思われる可能性は高いし、実際に失礼にもなる。だからこそ、今のうちに顔を出しておきたかった」

 

 そんな会話を交わしつつ、俺達は学校の中を歩く。

 幾つかの教室を見ると、そこでは普通に授業が行われていた。

 俺達の視線を感じたのか、それとも単なる偶然か。

 何人かが窓越しに廊下から教室の中を覗いている俺達の存在に気が付く。

 とはいえ、それで何かが騒ぎになったりはしなかったが。

 ……ただ、何人かの男は美鶴やゆかりに目を奪われたりしていた。

 高校生の男にしてみれば、女に強い興味があって当然だ。

 そんな中でゆかりや美鶴がいるのだから、このような事になるのはおかしな話ではないのだろう。

 そんな風に思いながら色々なクラスを覗いていくと……

 

「お」

「アクセル? どうしたの?」

 

 いきなり俺が声を上げたことに、ゆかりがそう尋ねてくる。

 美鶴もこちらに視線を向けているが、そんな2人に教室を……その中でもとある場所を見るように言う。

 すると2人も俺が何に驚いたのかを理解したのだろう。

 そこに座っている人物……雪子を見て、驚きの表情を浮かべる。

 そこにいたのは旅館で見た時とは違って制服を着ている雪子。

 俺が知ってる雪子とは違うので、それが随分と新鮮な感じがした。

 いやまぁ、新鮮な感じとか言っても結局俺が雪子に会った事があるのは2回、それも短時間だけなんだけどな。

 それでも高校生で着物をあそこまで着こなしているというのは珍しい。

 俺の恋人達の中で着物を着慣れているのは……千鶴くらいか?

 それ以外の面々は着物を着るといったことは基本的にないように思う。

 日本出身だと、あやか、円、美砂、凛、綾子、ミナトといった面々がいるけど。

 エリナも一応日本人か。名前にウォンと入ってるけど。

 ただ、千鶴以外の面々は洋風の服装を好むように思える。

 特に凛なんかは家が諸に洋館だったし。

 

「彼女もこの高校に通ってたのね」

「不思議ではないだろう。この八十神高等学校は県内ランクは中くらいだが、最近はそのランクも上昇傾向にあるし、生徒の素行もいいらしい」

 

 八十神高等学校について知っていたからか、美鶴がゆかりにそう告げる。

 つまり平均的な……どこにでもあるような高校といったところらしい。

 雪子が具体的にどのくらいの成績なのかは分からない。

 見た感じではまさに優等生といった感じだったから、成績は悪くなさそうだというのが俺の予想だったが。

 ただ考えてみれば、雪子は天城屋旅館の手伝い……もしくは若女将の修行? とにかくそういうのをやっている訳だ。

 そう考えると、勉強をするような余裕があるかと言われると……どうなんだろうな。

 素で頭が良くて学校で授業を聞いているだけでテストの成績もいいという奴もいたりする。

 雪子がそういうタイプだったら……いや、それならもっと上の高校に行ってるか?

 もしくは単純にこの八十神高等学校が天城屋旅館から一番近いから、この高校にしたとか。

 その辺はちょっと分からないが、俺がそこまで気にする必要はないか。

 

「この高校がいい高校だというのは分かった。それでこれからどうする?」

 

 現在の状況において、特に何かするべき事はない。

 なら、この高校にやってきて一体どうすればいいのか。

 そんな疑問を美鶴に尋ねる。

 だが、美鶴は少し困った様子を見せる。

 どうやら今のこの状況で特に何かしなければならない事はないらしい。

 八十神高等学校に顔を出すという目的は、校長と会った事で大体終わったらしいし。

 

「この高校を見て回れば、それが将来的に役に立つかもしれない。なら、このまま見て回るのはどうだろう?」

 

 美鶴のその言葉に、俺とゆかりは顔を見合わせてから、やがて頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1820
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