ジュネスの屋上でゆかりと美鶴と話をしていると、やがて人が増えてきた。
それも高校生。
時間的に学校の授業が終わって部活とかをしていない生徒達……いわゆる帰宅部の面々がここに集まってきたのだろう。
こうして客が増えてきた以上、いつまでもここにいる訳にはいかないか。
いやまぁ、俺達はそれなりにフードコートで買い物をしてるので、間違いなく良客と言ってもいい存在なのだろうが。
客単価として考えると、ブラックカードを自由に使える俺達と高校生では、圧倒的に俺達が有利だ。
もっとも、フードコートにある店の中にはクレジットカードを使えないような店もあったりするが。
「じゃあ、客も増えてきたようだし、そろそろ帰るか。天城屋旅館にも明日のピクニックの件を話しておく必要があるし」
「そうね。いつまでもここにいて妙な事に巻き込まれても困るし……帰りましょうか」
そう言い、意味ありげな視線を俺に向けてくるゆかり。
さっきの……俺がトラブルを引き付けるといった事について、まだ引きずっているのだろう。
それ以外にも、女に興味津々の高校生にとってゆかりや美鶴といった美人は格好の獲物だ。
もっともゆかりはともかく、美鶴は美人は美人だが風格……そう、それこそ女傑といった風格があるので、その辺の高校生が迂闊に口説けるような相手ではないが。
何にでも例外はあるので、中にはそんな風格など気にした様子もなく、空気を読まずに口説こうとする者もいるかもしれないが。
そういう者の中でも、美鶴と話して自分との格の違いについて理解すれば、大人しく引き下がるだろう。
だが、それでも空気を読まず、相手の気持ちも考えず、自分の思いだけを口にするような事をしたら……その時は、美鶴の処刑が行われるだろう。
もっともペルソナを出したりはしないし、銃刀法違反を考えれば美鶴が得意としているレイピアの類も使う事は出来ない。
だが、ゆかりや美鶴はエヴァとの訓練をそれなりに行っている。
そうである以上、ちょっと喧嘩自慢程度の者……いや、それこそペルソナ世界の格闘チャンピオンとかがいても、勝つのは難しいだろう。
もっともそんな事をすれば目立つので、もし出来るとしても実際にそういう真似をするとは思えないが。
「そういう面倒が起きた時は、勿論アクセルが庇ってくれるのだろう?」
美鶴が意味ありげな視線をこちらに向けてくる。
いやまぁ、そうしないとならないのならそうするだろうが、だからといって実際に俺がそういう事をする必要があるとは思えないんだが。
とはいえ、ここでそのようなことを口にすれば一体何を言われるか分からないし、場合によっては俺が美鶴に処刑される可能性があるので、その辺については言わないでおくが。
「そうだな。美鶴は俺が守る」
「……ちょっと、アクセル。何でそこで私の名前は出て来ないのかしら?」
守ると言われたのが美鶴だけだった為か、ゆかりが不満そうに言ってくる。
「いや、今は美鶴と話していたからな」
「ふーん、そうなんだ。ふーん、ふーん、ふーん」
拗ねてしまったな。
そう思うも、ここでどう言えばゆかりの機嫌を直せるのか分からない。
後は時間がゆかりの機嫌を直してくれると信じて、フードコートを出ようとしたのだが……
「嘘だろ、天城越えを狙ったのか? 無理だろ普通に考えて」
「俺もそう思うけど、あれだけの美人なんだ。そういう風に血迷う奴がいてもおかしくはないだろ」
「それにしたって、うちの高校の中でもモテるって言われてる連中が全滅してるんだぞ? 普通に考えてどうにか出来るとは思わないだろ」
「まあな。老舗旅館の1人娘だけあって、男に言い寄られるのは慣れてるんだろ」
高校生と思しき3人の男達の会話が聞こえてくる。
最初に気になったのは、天城越えという単語だ。
天城屋旅館に泊まっている者としては、そのような単語に反応するなという方が無理だった。
そして続く言葉……モテるとか老舗旅館の娘という事で、その天城越えというのがどういう意味なのかを理解した。
つまりそれは、雪子に告白をするという事なのだろう。
雪子に自覚があるかどうかは分からないが、雪子は和風美人といった外見をしている。
それでいて身体付きが女らしいのは、転んだ時に抱き留めて十分に理解している。
あの時は和服なので身体付きを外見からでは理解出来なかったが、同じ高校に通っているのなら制服を着ているのでその辺は分かりやすいだろう。
そんな雪子がモテるのは間違いなく……だが告白を全て断ってきたので、天城越えという言葉が生まれたらしい。
「モテるのね、あの子」
話していた高校生達から十分に離れたところで、ゆかりが呟く。
とはいえ、ゆかりもまた月光館学園の中ではかなりモテていたのを俺は知っている。
美鶴も人気はあったが、美鶴の場合はその風格だったり桐条グループの総帥の娘というのもあって憧れはするが告白する者はいなかった。
だが、ゆかりは美人だがそういうバックボーンがない……実際にはゆかりの母親は桐条グループの中でも有力な家の娘だったのだが、母親と半ば縁を切って月光館学園にやって来たゆかりがその事を話す筈もなく、多くの者はその件については知らない。
そういう意味でゆかりは美人だが美鶴のように訳ありという風には思われておらず、それなりの男がゆかりに好意を抱いており、結構な人数に告白されているのを知っている。
……色々とあって、俺とくっついたのだが。
「ゆかりも高校時代を思い出したか?」
「そういう言い方をすると、ずっと昔みたいに思えるじゃない」
俺の言葉に不満そうな様子のゆかり。
いやまぁ、言われてみれば少し言葉選びを間違ったか?
「そうだな、悪い。けど、高校生活が特別な時間だったのは間違いないだろう?」
「ええ。まさか世界を救うなんて事をするとは思わなかったわ」
「そうか? 意外とそういうのはいるぞ?」
「……そうなの?」
「ああ」
明確には高校生という訳ではないにしろ、例えば俺が少し前まで行動していたX世界でも主人公は15歳のガロードだった。
15歳となると、中学3年、あるいは高校1年だろう。
他にも色々な世界に関わってきたが、大抵の世界は高校生、もしくは中学生といった学生の主人公が多い。
いや、実際には学生ではなくてもそのくらいの年齢の主人公が多い。
炭治郎とかもそうだし。
これは偶然……という訳ではなく、俺の行ってる世界が原作のある世界だからだろう。
その手のアニメや漫画、ゲームといったのは大人も見るが基本的にメインターゲットは中学生や高校生くらいの事が多い。
勿論これは絶対ではなく、最初から大人向けにそういう作品を作ったりする事もあるが。
ともあれ、そういう者達が見る時により物語に集中する為には、やはり見ている者達と同じくらいの年齢がいい。
そういう訳で、主人公の年齢は大体が中学生、高校生くらいになるのだろう。
もっともネギま世界の主人公はネギで子供だったりしたので、必ずしも主人公の年齢がそのくらいでなければならないという事ではないのだろうが。
そしてその手の主人公は最終的に世界を救うといった事が多いのも事実。
「あくまでも俺が行った世界だけの話だけどな。俺が行くのは並行世界だけに、他の世界ではもっと年上の……それこそ大人が世界を救うとか、そういう事もあるけど」
「アクセルの話を聞く限りでは、それが普通だと思うのだがな」
大人が世界を救うという言葉に、美鶴がそう突っ込む。
その言葉は間違っていない。
一般常識で考えれば、大人と子供のどちらが世界を救うのかと言われれば、大人だろう。
「そうだな。それが普通だと思うけど、この世界のように特殊な例は他にも幾らでもあるからな」
「例えば、若くなければ何とか出来ない理由があるとかか?」
「そういうのもあると思う」
そんな風に会話をしながらジュネスを出ると、予想通り俺達がジュネスに来た時よりも明らかに客の数が多くなっていた。
その大半は高校生で、やはり学校が終わったらジュネスが遊ぶ場所となっているのだろう。
これでファーストフード店とかがあれば、そこが溜まり場になったりもするのだろうが、残念ながらこの近辺にはファーストフード店はない。
ジュネスの屋上にあるフードコートではハンバーガーが売ってるが。
「ねぇ、ちょっと。ジュネスの店員の何人かがアクセルを見てるんだけど、何かあったの?」
ゆかりがそう言ってくる。
実はその視線にはさっきから気が付いていたけど、気が付かない振りをしてたんだよな。
何しろ店員達に見られる覚えがありすぎる。
恐らくだが、このジュネスで食料品だけであれだけ金額を使ったのは、俺が初めてなのだろう。
いやまぁ、何かの集まりで宴会をやる為に酒や食料品を大量に購入をするとかならそのくらいの値段にはなるかもしれないが。
あ、でもキャビアとかそういう高級食材も置いてあった事を考えると、もしかしたら食料品店で数十万を使う客は珍しくても他にいないという訳でもないのか?
それでも珍しいのは間違いなく、だからこそこうして俺の情報がジュネスの店員の間で広がり、あれが……といったように見られているのだろう。
あるいは俺が大量に買い物をしたのに、その買った諸々をどこにも持っていないという事で驚かれたのかもしれないが。
ともあれ、自分達の美貌に注目されているのではなく、俺に注目しているのだというのを分かったのは凄いと思う。
「食料品をかなり購入したからな。その結果として、こういう風になったんだと思う」
「……食料品を購入してこれだけ注目されるって、一体どれだけ買ったのよ」
呆れた様子でそう言うゆかりに、美鶴も同意するように頷く。
俺はそれをスルーして天城屋旅館に戻るのだった。
「んん……ん……?」
起きた時、俺の横に裸の女がいないというのはどこか新鮮な気分となる。
とはいえ、これが異常な事はよく分かってるのだが。
そんな風に寝惚けた頭で部屋の中を見ると、すぐ近くの布団でゆかりと美鶴が眠っている。
昨日は結局ジュネスから帰ってきてから特に何かやる事もなく、温泉に入ったり夕食を楽しんだり、話をしたりしていた。
そうして少し早めに眠り……起きたのがこの時間だ。
時間を確認すると、午前7時ちょっと前。
起きる時間としてはそんなにおかしくはないだろう。
とはいえ、俺の気分はそんなに高揚していない。
何故なら窓の外で雨が降っている音が聞こえてくるからだ。
本来なら今日は天城屋旅館から見える山にピクニックに行く予定だったのだが、こうして雨が降っている以上はとてもではないがそんなことは出来ない。
無理をすれば雨の中で山に行くのも不可能ではないが、その場合はピクニックではなく野営訓練とでも呼ぶべきものになってしまう。
旅館に来たのに、わざわざそんな事をしたいとは思わない。
つまり今日の予定は完全にキャンセルされてしまう訳だ。
「さて、どうするか。……まずは温泉にでも入ってくるか」
温泉のある旅館に来た最大の楽しみは、やはり好きな時に温泉に入れる事だろう。
俺達はそうでもないが、人によっては数時間に1回くらいの割合でひたすらに温泉に入るといったような者もいるらしい。
湯あたりを起こしそうな気がするんだが……まぁ、本人がそれで満足しているのなら、それでいいのだろう。
とにかく、俺はそこまで何度も温泉に入ったりはしないが、それでも折角だから……という事で温泉に向かう。
温泉に向かう途中で何人かの従業員を見つけたが、その従業員達は何だか落ち着かない……というよりも、もの凄く動揺している様子だ。
一体何があったのか分からないが、それでもさすが老舗旅館の従業員と言うべきか、その動揺を表に出さないようにしている。
それでも俺が気が付けたのは、今まで何度も同じような相手を見てきたからだろう。
動揺を表に出さないようにするというのは、その行為故にどこか不自然さがある。
世の中にはそういう不自然さを消すことが出来る者もいるのだろうが、老舗旅館の従業員であってもそこまでの技量の持ち主はいなかったらしい。
とはいえ、普通ならそういう技術はそう簡単に身に付けることは出来ないのだが。
従業員達の様子に疑問を抱きつつも、多分だけど旅館の関係者が病気か事故で入院したか、あるいは……
そんな風に思いつつ温泉に向かう。
温泉に入り、さっぱりとした状態で昨日と同じように自販機で冷たいお茶でも……いや、まだ朝食前だけどいっそアイスでも食べようかと考えてそちらに向かっていると、押し殺したようにして話す2人の従業員の姿を発見する。
向こうはまだ俺の様子に気が付いてないようだったので、気配遮断を使って相手に認識されないようにして近付く。
特に何か理由があってそうした訳ではなく、ただの興味本位からの行動。
一体ここで何があったのかと思っての行動だったのだが……
「嘘だろ、山野真由美が死体で見つかったなんて」
「本当だ。少し前に警察から確認の電話が来た。しかも……どこかの家の屋根にあるTVのアンテナに吊り下げられた状態で発見されたらしい」
「……嘘だろ……何だよそれ……」
どうやらゆかりの言うように、俺がトラブルを引き寄せてしまったらしい。
あるいは俺がトラブルに引き寄せられたのか。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820