「じゃあ、ここでいいか?」
「ええ、ありがとう。また夜になったら電話するわ。もしくはそっちで何か分かったら連絡をちょうだい」
東京にある駅で、俺はゆかりとそんな会話をする。
影のゲートを使ったので、数秒前までは稲羽市にいたのだが、今はもう東京。
相変わらず影のゲートは便利だよな。
「何か分かったらな。まだ何も分かっていない状況だ。向こうで何があったのかを調べるには、もう少し時間が必要だろうな」
「アクセルなら何とかなりそうだけど。……まぁ、それはともかくとして、稲羽市はあそこまで雨が降っていたのに、東京だと春らしい天気というのは少し違和感があるわね」
ゆかりが空を見て、そう言う。
東京の空は青空で幾つか雲があるが、それは雨雲ではない。
まさに春らしい晴天という表現が相応しい空だった。
稲羽市とは随分と違うのは間違いないな。
「稲羽市と東京では大分離れてるしな。……さて、じゃあ俺はそろそろ戻る……ん?」
ゆかりに戻ると言おうとしたところで、通信機に反応があった。
ペルソナ世界で使うという事で、一応携帯に近い形にしてある。
当然だが、空中に映像スクリーンが浮き上がるといったような事はない。
「じゃあな」
「ええ」
通信に出る前に、ゆかりと別れの挨拶をする。
どうせなら別れのキスでもすればよかったのかもしれないが、ゆかりは人前でそういうのをするのを恥ずかしがるし。
いやまぁ、夜なら他の面々がいて、もっと恥ずかしい事をしたりしてるんだが……まぁ、その辺は皆俺の恋人という仲間意識があるから別なのだろう。
立ち去るゆかりの背中を見送っていると、駅にいた男のうち結構な割合の男がゆかりを見て、目で追ったりしている。
中にはゆかりに声を掛けようと動く奴もいたが、ゆかりは素早く走り去ったのでそういう連中も追いつく事は出来なかった。
中にはそんなゆかりを追おうとした奴もいたが、ゆかりの身体能力は非常に高い。
その辺の男よりも純粋な筋力は上だったりする。
結果として、軽くゆかりに追いつけると思った男はあっさりとゆかりに置き去りにされてしまう。
周囲でそれを見ていた者達は、女を口説こうとしてあっさりと置いていかれた男の様子に、思わずといった様子で笑みを漏らす。
男は自分にそんな笑みを向けられているのに気が付いたのか、苛立ち混じりにその場から立ち去るのだった。
そんなやり取りを見つつ、俺は通信機に出る。
「アクセルだ、どうした?」
『あら? ……ああ、そう言えばアクセル君は今ペルソナ世界にいたんですわね』
納得した様子で呟く声を聞き、通信相手があやかである事に気が付く。
「あやか、どうした?」
『アクセル君、今ちょっとよろしくて?』
「問題ない。すぐにどうこうしないといけないくらい忙しいって訳じゃないし」
実際には、ゆかりを送ったらすぐにでも稲羽市の天城屋旅館に戻った方がいいんだろうが……だからといって、全くこっちに余裕がない訳でもなかった。
ここで少しあやかと話す余裕はある。
『そうですの。では、ちょうどよかったかもしれませんわね。実は、UC世界の方から、連絡が来てますわ』
「UC世界から?」
『ええ。この前、アクセル君が遭遇した連邦軍のタカ派の……サラミス級の一件で』
「ああ。その件か」
俺がペルソナ世界で旅行に行く前に、UC世界で月の近くにX世界で入手したコロニーレーザーを設置しようとしていた時、連邦軍のタカ派が姿を現したのだ。
実際にはその前にF型のザクに乗っていたジオン軍……ジオン共和国軍も機体の故障で接触してきたのだが、そっちは友好的に話をする事が出来たので何も問題はなかった。
しかし連邦軍は違った。
何故そこに現れたのかは、分からない。
月の近くを偶然通った時に、コロニーレーザーを設置する為にジェネシスとかそういうのが移動しているのを見て、それを疑問に思ったのか。
それとも単純に偶然だったのか。
ともあれ、連邦軍のタカ派は俺に遭遇して降伏するように言ってきた。
……まぁ、その気持ちは分からないでもない。
連邦軍にしてみれば、ガルバルディβというルナ・ジオン軍の新型MSはかなり気になったのだろう。
何しろ1年戦争において、ゲルググはもう少し早く配備されていれば戦況が覆ったかもしれないと言われている程だ。
……ルナ・ジオンが連邦軍に協力していた以上、そういう事にはならないと思うが。
ただ、実際にゲルググの性能が1年戦争中のMSとしてはかなり高性能なのは事実。
何しろ単純なカタログスペックではアムロが乗っていたガンダムよりも性能は高かったのだから。
そしてガルバルディβは、言ってみればそんなゲルググの後継機と呼ぶべきMSだ。
正確にはゲルググにギャンの近接攻撃能力を付与したとか、もしくはギャンにゲルググのビームライフルのような遠距離能力を付与したとか、そういう感じだ。
勿論連邦軍もMSの開発についてはきちんと進めている。
具体的には1年戦争中は何種類もあったジム系MSをジム改という1機種に統一しているように。
他にも何でも連邦軍内部で新型ガンダムの開発計画があるとか、そういう……あくまでも噂だが、そのような情報も入ってきている。
とはいえ、それでも客観的に見た場合、連邦軍よりもルナ・ジオンの方がMSの技術レベルは高いと思う。
この辺は1年戦争中にジオン軍の負けを予想して、ジオニック社、ツィマット社、MIP社から腕のいい技術者や開発者を前もって引き抜く事に成功したのは大きい。
アナハイムや連邦軍も1年戦争後に企業を買収したり、技術者を引き抜いたりといったことをしてはいたのだが……後の祭りだ。
とはいえ、腕の立つ者を全員俺達が引き抜けた訳ではない。
条件面で折り合わなかったり、ザビ家ではなくダイクン派が主となっているルナ・ジオンが気にくわなかったり、単純に交渉に向かった相手との相性が悪かったり、ジオン公国に強い愛着を持っていてサイド3を離れるつもりが一切なかったり……そんな風に色々な理由によって、月に移住してこなかった者もいる。
当然だが、そういう連中は決して素直ではなく、頑固であったり捻くれていたりするので、アナハイムや連邦軍でも引き抜くのは難しいだろうが……それでもやろうと思えば不可能ではない筈だ。
それに腕利きではないと判断された連中も、あくまでそれは腕利きの者達と比べての事だ。
一般的に考えれば、十分にMSやMAの技術を持っていると考えてもいい。
そういう連中がいるので、連邦軍も恐らくは原作よりは遅いながらも、MSの技術は進歩しているのは間違いないだろうが。
「それで、具体的には?」
『何でも、ゴップ提督からアクセル君に連絡があって、連邦軍で新たに開発したMSを友好の証に譲渡したいという事らしいですわ』
「それは……一体何がどうなってそうなった?」
MSの、それも新型機の情報が重要なのは誰でも知っている。
それこそ俺と戦ったサラミス級がガルバルディβを鹵獲しようとしたのを見れば、その辺は明らかだろう。
そんな中で新型機、それも新たに開発したという事はジム改ではないだろう。
そんなMSを、何故俺に渡す?
そもそも連絡をしてきたのは、タカ派と俺達の戦闘の……いや、待てよ?
「もしかして、ゴップはサラミス級と戦ったのが俺だと気が付いたのか?」
『それで慌ててアクセル君に新型機を渡そうと? まぁ、アクセル君がUC世界のMSを集めているのは1年戦争の時の件ではっきりしてるのだから、その考えは分からなくもないですが』
そう言うあやかだったが、実際に俺が連邦軍に協力する見返りとして、ジャブローでレビルから大量のMSやら何やらを貰ったのは事実だ。
そしてレビルと近しい間柄だったゴップは当然だがその件についても知っており、この前の一件の謝罪の為に新型のMSを譲渡しようと考えた……のか?
とはいえ、あの時の俺はイザークの名前を借りていたし、ルナ・ジオン軍に所属していると言っていた。
であれば、あの時の人物を俺だと、アクセル・アルマーだと認識するのは難しいだろう。
それでも新型MSの譲渡といった、普通では考えられないような提案をしてくるという事は、ゴップは半ば……いや、完全にサラミス級2隻と戦ったのが俺だと確信してるのだろう。
ルナ・ジオン軍には、それこそ青い巨星、ソロモンの悪夢、黒い三連星、宇宙の蜉蝣といったような異名持ちが多い。
また、異名こそ持っていないものの、エース級のパイロットも多かった。
クスコやマリオン、シャリアのようにニュータイプもいるし。
そのような者達なら、サラミス級2隻を相手にしても十分に勝てるだろう。
なのに俺だと認識したのは……実はゴップもニュータイプに覚醒したとか、そんな事を言わないだろうな?
あるいは単純に、洞察力による予想か。
ルナ・ジオン軍やジオン軍は勿論、連邦軍の中にもゴップの事をジャブローのモグラと評して侮る者がいるのは知っている。
だが実際には、ゴップは1年戦争において補給を任され、その能力を十分に発揮している。
俺も何度か直接会っているが、決して無能とは思えなかった。
そして俺が何度か会ってゴップの性格や能力を見抜いたのなら、ゴップもまた同じ事が出来てもおかしくはない。
そこか? 今回の件で俺が出ていたと確信したのは。
改めて考えると、他にもそういう風に思えるところはある。
そもそもジェネシスとかそういうのを動かして、そこで出来た穴に俺がいたのだ。
月を守るそれらの管轄は基本的にルナ・ジオンではなくシャドウミラーだ。
それが動いたのだから……と。
それはそれとして……
「その新型MSについての情報はあるのか?」
UC世界における連邦軍の新型MSというのは、実際に興味があるのは間違いない。
サラミス級2隻との戦闘が俺の仕業かどうかというのはともかく、ゴップも俺が興味を持つ事を選んだのは間違いないらしい。
『やっぱり興味があるんですのね。分かってましたけど。……型番はRX-81。名称はジーライン。コンセプトとしては、ガンダムの完全量産を目指したMSらしいですわ』
「それは……興味深いようで、微妙なところだな」
まずガンダムの完全量産というが、それは具体的にはどのガンダムなのか。
1年戦争中に確認されたガンダムの数は多い。
アムロのガンダムに、4号機、5号機、6号機、7号機。ピクシーにアレックス、陸戦型ガンダム、ブルーデスティニー2号機、3号機。すぐには思いつかないが、他にもまだ結構あった筈だ。
そんな中で一体どのガンダムの完全量産を目指したのか。
あるいはガンダムと一括りにされている以上、全てのガンダムの性能を持った完全量産……いや、さすがにそれはないか。
特に俺が乗っていたガンダム7号機は、FSWSによってかなりの……いやそれ以上のコストが必要な機体だ。
何しろ最終型の重装フルアーマーガンダムともなれば、それは既にMAだしな。
あ、でもそこまでいかなくても、簡易的にFSWS計画を反映させてたとかなら、何となく分かるかも?
色々と不明なところが多いものの、俺の興味を惹くという意味ではゴップの言葉は決して間違ってはいないのかもしれない。
「話は分かった。ただ、こっちも今すぐにUC世界に行く事は出来ない」
『あら、何かありましたの? 天城屋旅館という場所に行ってるのではなくて?』
「何と言うか……まぁ、いつものだ」
『あら』
俺の言葉に、あやかは驚きと笑いが混ざったような声を上げる。
俺がトラブルを引き寄せる、もしくは俺がトラブルに引き寄せられるという話は、ゆかりではないがそれなりに有名な話だった。
そうである以上、あやかがそれを知っていてもおかしくはない。
『それで、具体的には? どのくらいの大きさの騒動になりそうですの?』
「どれくらいかってのは、ちょっと分からないな。ただ、シャドウが関係してるのは間違いない。刈り取る者がシャドウの存在を感じたし」
『そうですの。では、暫くはそちらに?』
「そんな感じになると思う。ただ、ジーラインだったか? そっちの方も気になるから、こっちがある程度落ち着いたら一度UC世界に顔を出したいと思うけど。……ゴップがそう簡単に時間を取れるかどうかは別として」
ゴップは現在の連邦軍の中でもかなりの影響力を持っている。
そうである以上、会おうと言ってすぐに会えるとは限らない。
いや、寧ろすぐに会える可能性の方が少ないだろう。
とはいえ、それでも今の状況を考えるとアポを取るのはこっちの都合で難しいのだが。
サラミス級2隻との戦いの謝罪として新型MSを渡すというのなら、別にそれを渡すのがゴップではなくてもいいのだが。
……ある意味、連邦のタカ派に攻撃されれば新型MSを入手出来るという流れはそんなに悪くないのか?
そんな風に思いつつ、俺はあやかと暫くの間通信を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820