あやかとの通信を終えると、俺はすぐに天城屋旅館に戻る。
実際には天城屋旅館から少し離れた場所にだが。
空間倉庫から傘を出そうとし……
「ん? 雨が……」
俺がゆかりと共に天城屋旅館を出た時は、まだ雨が降っていた。
しかしこうして戻ってきてみると、既に雨は止んでいた。
勿論完全に止んだ訳ではないのは、空を見上げるとそこがまだ雨雲に覆われていることからも明らかだろう。
そう時間が掛からず、再び雨が降ってくるのは間違いない。
もっとも俺が天城屋旅館の中にいる間に雨が降るのなら、何も問題はないのだが。
そういう時は、それこそ幾らでも雨が降ってくれも問題はなかった。
「さて、じゃあ行くか」
傘を出さずにすんだのを嬉しく思いながら天城屋旅館に向かったのだが……
「うわ」
天城屋旅館の前には、何台かのパトカーが停まっている。
何をしにこんなにパトカーが来たのか。
それは考えるまでもなく明らかだろう。
そう言えば何かで見たか聞いたかしたな。
警察というのは、行方不明だとそこまで積極的に動いたりはしないが、それが殺人事件になると話は別だと。
それが正しく証明された形なのだろう。
もっとも、俺が天城屋旅館で警察を見た事から考えると、行方不明になった山野真由美の捜索は少人数でだが行っていたらしい。
だが殺人事件になった事で、投入される警官の数は行方不明の時と比べても格段に上がったといったところか。
とにかく自分の部屋に戻って美鶴に合流しよう。
そう思って天城屋旅館に入ろうとしたのだが……
「すいませんが、少しよろしいでしょうか?」
その前にそう声を掛けられる。
一体誰が声を掛けたのかは、考えるまでもないだろう。
現在こうして結構な数の警察がいるのだから。
視線を向けると、実際そこにいたのは制服を着た刑事だった。
何かイメージ的に言うと制服を着ている警察というのは刑事とは思えないんだが。
どうしても刑事ドラマとかの影響で、刑事という存在のイメージは私服で行動している者達となる。
もしくは刑事ではなく警察官という表現の方がいいのか?
そんな風に思いつつ、俺は声を掛けてきた相手に視線を向ける。
「構わないが、一体何だ?」
「この天城屋旅館にどのような用件でしょうか? 今、中に入ろうとしてましたよね?」
「どのような用件と言われてもな。現在旅行に来ていてここに泊まってるんだ。ここに戻って来るのは当然だろう?」
そう言うと、警察官の目に微かに嫉妬の色が浮かぶ。
本人はその事に気が付いてはいないのだろうが。
いやまぁ、分からないでもない。
この天城屋旅館は全国的に有名な老舗旅館だ。
普通に考えれば、この警察官がそう簡単に泊まれるような場所ではない。
そんな天城屋旅館にまだ20代に見える俺が泊まっているのだから、嫉妬するのは理解出来た。
もっとも老舗旅館だからといって一般人でも泊まれない訳ではない。
特に今は4月上旬で、5月……あるいは4月末からのGWまではまだそれなりに時間があり、シーズン外だからこそシーズン中と比べると泊まるのは難しくはなかった。
「随分とお若いようですが……身分証を見せて貰っても?」
「別にいいけど」
そう言い、俺はポケットから財布を出したように見せ掛け、空間倉庫から財布を取り出して免許を見せる。
その免許は当然だが本物ではない。
……いや、実際には桐条グループの方でどうにかして用意したので、もしかしたら本物なのかもしれないが。
ともあれ、軽く見ただけでは本物にしか見えないのも事実だった。
「アクセル・アルマーさんですか。運転免許があるということは日本にお住まいですか?」
「そうなる。日本語も問題はないだろう?」
「……分かりました。ありがとうございます」
そう言い、警察官は俺に免許証を返してくる。
本来ならもっとネチネチとした尋問……というか職務質問か? とにかくそういうのをしたかったのだろうが、免許証を見せられれば納得するしかなかったのだろう。
ちなみに当然だが、免許証には俺が住んでいる――事になっている――住所が書かれている。
そして実際にその住所には俺が住んでいるということになっていた。
もっとも、実際に俺がそこに帰るといった事はまずないが。
「ご苦労さん」
そう言い、警察官の横を通り抜ける。
……ここでご苦労さんと肩を叩いたりしたら、暴行だとか、公務執行妨害とか、そういうので問題になりそうな気がするし。
もっとも、そうなったらそうなったで、最終的に困るのはその警察官だろうが。
俺を捕まえても、それこそすぐに美鶴が警視庁にクレームを入れるだろうし。
そうなったら、それこそ上司から叱られることになるだろう。
……もっとも、この警察官がその辺の事情については全く知らないだろうけど。
警察官をスルーして天城屋旅館の中に入ると、そこには結構な人数の警察官がいた。
山野真由美が最後に泊まっていたのがこの天城屋旅館である以上、その借りていた部屋を調べるのは当然だろう。
天城屋旅館にしてみれば、一部屋を使えなくなっているのだからいい迷惑だな。
老舗旅館だけに、部屋数も決してそこまで多くはない。
なのにそのうちの一部屋は使えないのだから。
あ、でも4月上旬なので、まだ客は少ないからいいのか?
そういう意味では客が集中するだろうゴールデンウィークよりも今のうちにその辺がどうにかなったのは助かるとか?
でも、今から1ヶ月後には山野真由美が使っていた部屋をそのまま使えるのかどうか。
それこそまだもう暫くは証拠としてそのままにしておかないといけないのかもしれないし。
「すいません。すぐにお部屋にご案内しますので」
警察官とのやり取りをしていなかった従業員が俺の姿を見つけるとすぐに近付いてくる。
外国人に見えるだけに、俺の顔を覚えていたのだろう。
もっとも天城屋旅館の従業員だ。
別に俺ではなくても客の顔を忘れるといったことはないと思うが。
ただでさえ今はシーズン外で客の数も少ないんだし。
ともあれ、俺は従業員に案内されながら部屋に向かう。
途中で俺を見た警察官達の視線の中には、薄らと疑惑の色を持つ者も多かった。
とはいえ、少し調べれば俺達が天城屋旅館に泊まりに来たのは山野真由美が行方不明になった後だというのはすぐに分かるだろう。
俺達が容疑者になる事はない……と思う。
実際には俺達というか俺ならTVのアンテナに死体を引っ掛けるといったことも出来るのだが。
出来るからやった訳でもないので、犯人と怪しまれても困るが。
そうして俺は従業員に案内されて部屋の前に到着する。
従業員は俺に一礼すると、慌ててその場から立ち去る。
従業員にしてみれば、警察の対応とかそういうのは色々とあるのだろう。
俺の相手ばかりはしていられないといったところか。
部屋の扉を開けると、そこでは美鶴がどこかに電話をしていた。
「そうだ。少しでも早く人を集めて欲しい。……何? それは本当か? この忙しい時に……仕方ない。そちらにも多少の人を回してくれ。シャドウの被害が事実だとすれば、何としても対処をする必要がある。もしシャドウだった場合は、明彦……は武者修行中でまだ連絡がないか。伊織と荒垣とアイギスでどうにか出来るか? 最悪、コロマルを連れていっても構わん」
美鶴は携帯で指示を出しながら、俺を見ると小さく頷く。
どうやら美鶴の様子を見る限りでは、稲羽市以外でもシャドウに関係する何らかの騒動が起こったといったところか。
荒垣達は一応シャドウミラーの管轄なんだが、それでもシャドウワーカーの方で何かあった時は戦力として貸し出すことになっている。
そういう意味では、ここで美鶴が荒垣を戦力として使ってもおかしくはない。
こっちは最悪俺が出れば、相応の戦力にはなるだろうし。
……ただ、この様子を見る限りではジーラインの件でUC世界に向かうのはやっぱり少し時間が必要だな。
出来ればジーラインは早めに確保したかったが、このような状況になっては仕方がない。
無理に急いでも意味はないし……それに最悪、俺以外の誰かがジーラインを受け取りに行くという手段もあるし。
ただ、出来るだけ早くジーラインを見たいと思うのも事実。
連邦軍の最新鋭MSである以上、クレイドルにあるディアナで解析とかすればいいだろうし。
なお、ニュータイプ研究所のアルテミスは、ジーラインの解析に役割はないだろう。
何しろジーラインはあくまでも一般のMSパイロット……いわゆるオールドタイプが乗る為のMSらしいし。
サイコミュの搭載については考えなくてもいい筈だった。
というか、1年戦争中のブラウ・ブロやエルメス、ジオングを見れば分かるように、サイコミュはそう簡単に小型化出来ない。
ジオングも足がない状態でも普通のMSよりも巨大だった。
それこそ足があれば、40mくらいの大きさになるのではないかというのが、アルテミスにいる研究者達の予想だと聞いた覚えがある。
ましてや、ニュータイプというのは非常に少ない。
そんな少数の為に、ジーラインにサイコミュを搭載するといった事はまず考えられなかった。
「うむ、ではそのように頼む。……アクセル、戻ってくるのが随分と遅かったな。何かあったのか?」
電話を切った美鶴が、俺を見てそう尋ねてくる。
とはいえ、それは俺が心配で尋ねた訳ではなく、戻ってくるのが遅かった間に何か妙な事をやってなかっただろうなといったような表情だったが。
「ゆかりを送った後で、ホワイトスターから連絡があってな」
「ホワイトスターから? 何か問題でも?」
「問題というか、この前UC世界で月の近くにX世界で入手したコロニーレーザーを設置したんだが、その時に連邦軍と戦いになってな。その件でゴップ……連邦軍のお偉いさんから、謝罪の品として新型MSを用意したからと連絡があったらしい」
正確には微妙に違ったりするが、大体は間違っていない筈だ。
「ふむ。そうなるとアクセルは少しこちらの世界を離れる事になるのか」
「そうでもない。一応こっちがある程度落ち着いてから、UC世界に向かうつもりだ。こっちでもシャドウが動いている以上、最悪影時間の一件の二の舞にならないとも限らないし」
「大袈裟だ……と言えないところに我が身の不甲斐なさを感じるよ。これが今まで何度か解決した、小規模な事態ならいいのだが」
そう言う美鶴だったが、その表情には憂いの色がある。
今この状況でどうにかなって欲しいと思いはしても、それが上手くいくとは思えないのだろう。
……刈り取る者の様子を見る限り、その件に関しては俺もそう思わないでもなかったし。
「それに今の話を聞いていたのなら分かると思うが、この稲羽市以外でも他にシャドウが関係していると思しき情報が入った。幸い……という言い方をしてもいいのかどうかは分からんが、向こうはもしシャドウの件であっても比較的小規模らしい」
「何でそれが分かるんだ? ここではそれが分からなくて苦労していたんだろう?」
「周囲の状況から予想出来る事もある。……この稲羽市の件のように、それが難しい場合もあるから、絶対とは言えないが」
「そういうものか」
俺にはその辺は分からないが、美鶴はそれこそ小さい頃からシャドウと関わってきたのだ。
その経験という点では、それこそ10年を超えている。
そんな美鶴なら、そして桐条グループの面々なら、ある程度シャドウの出現に対するノウハウの類があってもおかしくはない。
あるいは黄昏の羽根とかを使った機械で何かを計ったりしてるのかもしれないが。
黄昏の羽根は、何気にシャドウミラーにおいても研究課題の1つだったりする。
もっとも、まだ殆ど解明されていないが。
何しろ黄昏の羽根というのは、ニュクスの一部だ。
人間にしてみれば、髪の毛の1本……いや、垢か何かと表現した方が分かりやすいか?
もしくはフケ?
ちょっと表現が汚いかもしれないが、とにかくニュクスにしてみれば自分の身体から落ちたのにも気が付かないような、そんな存在が黄昏の羽根だ。
それでも言ってみれば神の一部である以上、研究対象としては十分なのだが。
「ああ。そのような事で、当初の予定通りシャドウワーカーの多くを稲羽市に派遣するといったことは出来なくなった。……何人かシャドウミラーに協力している者達を借りたが、構わないか?」
「荒垣達だろう? さっき電話で話していた。それなら構わない。そもそも荒垣達はシャドウミラーに所属している訳でもないしな。本人にやる気があるのなら、俺はそれで構わない。報酬もきちんと出るんだろう?」
「当然だ」
美鶴はすぐに俺の言葉に頷く。
いやまぁ、シャドウと戦うのは危険を伴う。
荒垣とかは以前と比べてかなり強くなってはいるが、それでも常に命の危険はあるのだ。
そうである以上、命懸けなのに無料奉仕という訳にもいかないだろう。
そういう意味では、シャドウワーカーに協力するのはいい小遣い稼ぎにもなる。
それこそ最悪、シャドウワーカーに就職をすれば……いや、就職をすればそこまで多くの報酬は貰えないのか?
その辺は人それぞれなので、俺が考える事でもないか。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820