「ほう、アクセル君と言ったか。君のような外国人でも天城屋旅館の良さが分かるとはな。やはり素晴らしい物は誰であっても素晴らしいと感じるという事か」
「ああ、窓から見える山は、いつまででも見ていたくなるような光景だ」
温泉に入りながら、俺は他の客達と話す。
ここにいた客は顔見知りがそれなりに多かったらしく、その輪の中に俺も入った形だ。
とはいえ、何人かの視線には侮りの色がある。
多分、そういう視線を向けてくる奴は自分が成功してるから、俺を侮っているとかなんだろうな。
もしくは年齢が若いからか。
個人的にはそういう連中を相手にするのもどうかと思うが……その件で美鶴に妙なちょっかいを出されるのも困る。
美鶴は明日か明後日くらいにはシャドウワーカーを呼び寄せて、この天城屋旅館から出るとは思うけど、それまでの間に妙なちょっかいを出されないとも限らない。
「俺と一緒に宿に泊まっている美鶴も、この天城屋旅館は気に入ったようだったよ」
ピクリ、と。
俺と話をしていた相手、そして周囲で話を聞くとはなしに聞いていた何人かが、そんな俺の声に反応する。
美鶴というのは、そんなに珍しい名前という訳ではない。
だが上流階級にいると思っている者達にしてみれば、その中の何人かは美鶴という名前に聞き覚えがあってもおかしくはない。
「君、ちょっといいか。アクセルといったか。少し聞きたい事があるのだが」
少し離れた場所で他の客と話をしていた男が、そう俺に声を掛けてくる。
「何だ?」
「君は美鶴と、そう言ったと思うが……もしやそれは、桐条グループの総裁の1人娘である、桐条美鶴さんの事かな?」
「ああ、美鶴の事を知ってる奴もいたのか。そうだ。その桐条グループの美鶴だ」
ざわり、と。
俺の言葉を聞いた多くの者がざわめく。
「馬鹿な……では、君は……美鶴嬢と天城屋旅館に泊まっていると? そう言うのか」
「ああ、そうなる」
あっさりと同意すると、それを聞いていた者達が再びざわめく。
桐条グループの美鶴とそういう関係の人物がいるとは知らなかったのか、それとも噂程度には聞いていたが、それが嘘だと思っていたのか。
その辺はどう思っているのかは俺にも分からなかったが、とにかく話を聞いていた者が驚いたのは間違いない。
「つまり、アクセルさん。貴方は美鶴殿とその……付き合っていると、そう思っていいのでしょうか?
話を聞いていた者の1人……俺に蔑みの視線を向けてきた男の1人が、そう尋ねる。
言葉遣いが今のようになっているのは、もし俺が本当に美鶴と付き合っているような人物であった場合、失礼にならないようにとの事だろう
「そうなるな。ちなみに武治……美鶴の父親も承知の上での事だ」
「そう言えば、婚約が破棄されたと……それが原因か?」
口の中だけで呟く男だったが、その声はしっかりと俺にも聞こえている。
本人にしてみれば、まさか聞こえてるとは思っていなかったのだろうが。
にしても、美鶴がそこまで有名なら、それこそ俺達が天城屋旅館に泊まるのは今日が初めてじゃない。
もう何泊かしてるんだから、その間に美鶴が旅館の中……特に温泉に入る為に移動するとか、そういうので会う機会とかもあったと思うんだが。
もしくは美鶴もその辺には気を付けていたのか。
取りあえずこれで俺達に妙なちょっかいを出してくる相手はいないと思う。
ただ、美鶴と接触しようと考える奴はいるかもしれないが。
何しろ桐条グループの令嬢だ。
お近づきになりたいと考える者が出て来てもおかしくはなかった。
うーん、これはちょっとミスったか?
まぁ、美鶴はそう遠くないうちにシャドウワーカーの拠点に移るのだから、その辺は心配しなくてもいいのかもしれないが。
「さて、じゃあ俺はそろそろ上がらせて貰うよ」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。もう少し話を……」
「儂を桐条グループに紹介をしてくれれば、相応の代価を支払おう」
「俺の方が先だ! 俺の会社は以前桐条グループと仕事をした事がある! 紹介をするのなら、こっちも相応の報酬を支払う!」
何人もがそんな風に言ってくるが、俺はそれを無視して立ち上がる。
……ちなみに、何も温泉に入っていた全員が桐条グループとお近づきになりたいと考えていた訳ではなく、俺に言い寄ってくる男達を呆れや冷めた視線で見ている者もいる。
もし美鶴に紹介をするにしても、俺としてはこうしてがっついてくるような連中よりは、そういう連中の方がいいと思うな。
だからといって、決して自分からどうこうと言ったりはしないが。
必死に呼び止める連中をその場に残し、俺は温泉を出るのだった。
「はぁ……全く。アクセルは桐条グループの影響力を甘く見すぎだ」
今日はペットボトルのストレートティーを購入し、それを飲んで温泉で暖まった身体を冷やしてから部屋に戻り、温泉であった出来事を美鶴に言うと、そんな風に呆れた様子で言われる。
「あそこまで美鶴の……というか、桐条グループと接触しようという者が多いのは、ちょっと予想外だった」
「仮にも日本においては非常に大きな影響力を持っているのだから、そのように思う者が多いのは当然だろう。アクセルは色々な世界に行っているので、1つの国に強い影響力を持つと言ってもそんなに大袈裟な事ではないと思うかもしれないが」
そんな風に思っていなかったと言えば嘘になる。
美鶴が言うように、俺は1つの世界にある1つの国がどうこうよりも、他にも多数の世界に行っているのだ。
そのような生活スタイル――という表現が正しいのかどうかは微妙だが――である以上、桐条グループの影響力を甘く見ていたのかもしれない。
「悪いな」
「次から気を付けてくれれば、それでいい。それに、明日か明後日には天城屋旅館から出る事になるだろうから、有象無象を気にしている余裕はない」
言うな、美鶴も。
もしこれが、月光館学園に通っていた時……もっと言うのならタルタロスに挑んでいた頃なら、相応の地位がある者達に向けて有象無象といった表現は出来なかっただろう。
自分が桐条グループの総帥の令嬢であるという認識を持ち、桐条グループの存在を……より正確には父親の武治の立場を考えれば、そのような真似はまず出来なかった筈だ。
だが、今の美鶴は違う。
勿論今も桐条グループは大事にしているし、父親の武治を好きなのも変わらない。
それでも、自分はシャドウワーカーという組織を率いており……何より、俺の恋人となった事が影響してるのは間違いなかった。
「そうするよ。それでこれからの件だが……どうやってシャドウを探す?」
影時間があった時は、タルタロスという非常に分かりやすい場所があった。
……アルカナのシャドウのように、タルタロスの外に出て来るシャドウもいたが。
しかし、今のところ稲羽市にそれらしい場所はない。
というかもしシャドウが出て来たら、それを見た一般人はパニックになるだろう。
そういうのが今のところないという事は、そう簡単に見つからない場所にシャドウがいると思って間違いない。
いっそ刈り取る者に探して貰うか?
もしくはシャドウワーカーが来てから探すのか。
どちらにしろ、今日行動するのは難しいが。
「シャドウワーカーが来てからだな。幸い私のアルテミシアは探索も出来なくはない。今までシャドウワーカーが関わってきたシャドウの一件でも、私がシャドウを見つけた事がある。であれば、今回も上手くいけば見つかるかもしれん。……風花がいればもっと確実なのだろうが……向こうが手早く終わって、出来るだけ早くこちらに合流してくれるといいのだが」
「確かに山岸がいれば、シャドウを見つけるのも難しくはないか。いない以上は仕方がないけど。いっそ刈り取る者で探すか? もしくは狛治辺りを召喚したら、戦いを求めてシャドウを見つけ出してくれるかもしれなけど、どうする?」
「狛治は……目立つからな。幻影か何かで変装でもすればいいかもしれないが、もし何らかの衝撃でそれが解除された時の事を考えると、あまり呼びたくはない。勿論、シャドウを発見した後でなら存分に呼んで貰っても構わないが」
「狛治も喜ぶだろうから、そうさせて貰うよ」
いっそムラタもついでに呼んでみるか?
神鳴流を使うムラタだけに、シャドウを相手にしても相応の戦力となるのは間違いない。
寧ろシャドウを相手にした場合、嬉々として戦いを挑みそうな気が……
そう思うのは、決して俺の気のせいという訳ではないだろう。
ムラタとの付き合いも何だかんだと結構長い。
だからこそ、ムラタの考えも何となく理解出来る。
いや……けど、そうだな。生身での戦いという事を考えると、現在ホワイトスターに留学というか研修というか、そんな感じで来ているしのぶにも声を掛けてみた方がいいかもしれないな。
しのぶの蟲の呼吸は、鬼に対する攻撃手段として生み出されたものだ。
それがシャドウに効くかどうかを試してみるのも悪くはない。
鬼滅世界にシャドウが出ないとも限らない……いや、出ないか。
そもそもシャドウはペルソナ世界でのみ出没する存在だ。
そんなシャドウが他の世界に出没するのは……絶対にないとは限らないのか?
確かに現状ではシャドウはペルソナ世界にしか出没しない。
だが、ペルソナ世界とホワイトスターはゲートで繋がっている。
そしてゲートからは、他の世界に自由に移動出来るようになっているのだ。
シャドウが持つ何らかの方法でシャドウが他の世界に行かないとは限らない。
例えば刈り取る者が俺の影に潜んでいるように、シャドウの中に影に隠れるような能力を持った個体がいれば、もしかしたらゲートを使った者の影に潜んで他の世界に行ける可能性は十分にあった。
あくまでも可能性だし、その可能性もかなり……非常に低いものの、それでも多種多様な存在がいるシャドウの事を考えると、どうしても完全に安心は出来ない。
「シャドウがペルソナ世界を出て、他の世界に行く可能性。……そういうのはあると思うか?」
「何?」
不意に俺の口から出た言葉に、美鶴は少し戸惑った様子で言う。
まさかそのような事を聞かれるとは、思ってもいなかったのだろう。
そんな美鶴に、俺は自分が考えた事を説明する。
その説明に、美鶴は真剣な表情で悩み、口を開く。
「正確には分からんとしか言えんな。だが、そのような事になる可能性が全くないとは言えん。シャドウについてはまだ完全に全てが分かった訳ではない。しかし……これはあくまでも私の考えだが、シャドウは他の世界に行っても活動出来ないという可能性もある。アクセルの刈り取る者の場合、アクセルとの契約があるから……アクセルの血を与えられたからこそ、何とかなっていると思われる」
「そう言われれば、刈り取る者が特殊なのは明らかか」
「何を今更。……アクセルの血は、ある意味で猛毒に等しい。だが、その猛毒に耐えきれば強力な力を得られる」
「いや、俺の血を何だと思ってるんだ?」
そう反論するが、実際に以前ネギま世界で俺の血を与えたモンスターが耐えきれずに死んでしまった事を考えれば、美鶴の言う事もあながち間違いではないんだよな。
だとすれば、俺の血は武器にもなるとか?
いっそ、今度シャドウに遭遇する事があったら、俺の血を使ってみるのも面白いかもしれない。
……とはいえ、わざわざそんな事をするより普通に攻撃して倒してしまった方が手っ取り早いのも事実なんだよな。
敵と戦うのなら、相手に余裕を与えるよりも、とっとと倒した方が手っ取り早いし。
「アクセルの血か。……もし今もエルゴ研があれば、一体どうしたんだろうな」
「間違いなく大きな騒動にはなっていたと思うぞ」
エルゴ研というのは、かつて桐条グループが持っていた、シャドウの研究をする部署だ。
その研究の結果、影時間を引き起こすといったような事になってしまったのだが。
とはいえ、悪事ばかりではない。
アイギスを開発したのもエルゴ研だったらしいし。
そんな場所に俺の血が提供されたら……最悪アイギスに俺の血が使われていたかも?
それによってアイギスにどんな変化が現れるのかは分からないが。
基本的には召喚の契約の時に俺の血を飲んだ者達は、角が生える事が多い。
これは俺がネギま世界でリョウメンスクナを吸収した事による影響だろう。
鬼神と呼ばれるリョウメンスクナだけに、その影響は俺の血にも強く出たらしい。
だが、それはあくまでも生き物の場合だ。
グリとか刈り取る者とか狛治とか。
そんな面々に比べると、アイギスは機械だ。
心はあるらしいが、それでも身体が機械なのは違いない。
機械の身体のアイギスが、俺の血を受け入れたらどうなるのか、全く予想は出来ない。
普通に考えれば、機械の身体である以上は角が生えたりとかはしないと思う。
……アイギスに角が生えたら、それこそどんな風に言われるか分からないが。
ただし、血には俺の魔力が濃縮されている。
そして魔力というのは不可能を可能にし、思いも寄らない光景を生み出す。
それこそ場合によっては、アイギスの機械の身体が生身の身体になっても俺は驚かないだろう。
そんな風に思いつつ、俺は美鶴との会話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820