堂島と名乗った刑事の様子に、美鶴は納得した様子を浮かべる。
警察の……正確には警察署の上層部から案内するようにと言われた理由については十分に理解していたのだろう。
美鶴がシャドウワーカーの件で警視庁に連絡をしていた件が関係してるのは間違いない。
つまり、ようやく警視庁から警察署に連絡が入ったのだろう。
「うむ、分かった。では行こう。こちらはいつでも問題はないのでな」
「美鶴、俺はどうする? 一緒に行くか?」
そう尋ねると、美鶴が何かを言うよりも前に堂島が口を開く。
「申し訳ないが、連れてくるように言われたのは桐条さんだけだ。君を連れていく訳にはいかない」
「……美鶴だけを?」
これは、警察署……というか美鶴を呼び出した者達は、美鶴と上手くやっていく気がないと考えるべきか?
普通に考えれば、20歳程度――外見年齢はもう少し上に見えるが――の女に警視庁から協力しろと言われて、面白い訳がない。
ましてや、警察というのはただでさえ縄張り意識が強いのだから。
ただ……問題は、美鶴を呼んでいるという者達がどの辺まで事情を知ってるかだろう。
例えば、美鶴が桐条グループ総帥の令嬢であると知っていれば、迂闊な真似は出来ないだろう。
だがその辺についての情報を何も知らなかった場合、それこそ美鶴のような若い女が殺人事件に関与してくるというのは、面白くない筈だ。
「どうする?」
「構わん。向こうにも色々とあるのだろうが、この程度で怖じ気づいていては何の意味もないのでな」
そう断言する美鶴に、堂島が少し驚きの表情を浮かべる。
もしかして堂島は美鶴がどういう人物なのか知らないのかもしれないな。
「分かった。じゃあ、俺は部屋で適当にゆっくりしてるから、交渉は任せる」
「うむ。……一応言っていくが、妙な騒動は起こすなよ?」
「俺が何かをするとでも?」
そう返すが、実際にはそういう風に言われてもおかしくはないのかと思い直す。
何しろ、俺は今まで多くのトラブルを引き寄せてきたのだ。
それを考えると、そんな風に言われてもおかしくはない。
もっとも堂島の前でそんな事を言えば、それこそ俺の事をどんな風に認識するのか分からないので、そんなことは出来ないのだが。
……あるいは美鶴も、その辺を理解した上でそんな風に言ってきたのか?
ともあれ、警察に睨まれるのは出来るだけ避けたい。
そうである以上、ここで何か迂闊な事はせずにおいた方がいいだろう。
「では、私は行ってくる。アクセルはゆっくりしていてくれ。温泉に入ってきてもいいかもな」
「……さっき入ったばかりなんだが」
「折角の温泉なのだから、何度でも入ってもいいと思うぞ?」
そう言われると、それもいいかという思いがない訳でもない。
ただし、さっきのように温泉に入っている者達の中で美鶴と……桐条グループとお近づきになりたい連中を相手にどうにかしたりするのは、絶対に避けたかった。
そんな事になれば、それこそ温泉でゆっくりしたりは出来なくなるのだから。
「止めておくよ。取りあえず部屋の中で適当に……そうだな、昼寝でもしてるか誰か話し相手でもいれば、暇潰しも出来たんだろうけど、そういう相手もいないしな」
「ゆかりを帰したのは失敗だったか?」
「そう思わないでもない。元々今回の件はちょっと遅いがゆかりの卒業旅行だった訳だし。ある意味で今回の主役のゆかりが帰ってしまっては……まぁ、美鶴とゆっくり出来るのも悪くはないけどな」
「ふふ、そうか。では警察との話は出来るだけ早く終わらせてこよう。……堂島刑事。行こうか」
「分かりました」
一応上からは丁寧に扱うようにと言われているのか、堂島が美鶴の言葉に頷く。
その前に俺を訝しげに一瞥したが。
多分、俺達がどういう関係なのか分からないんだろうな。
まさか美鶴とゆかり……それどころか、他にも10人以上恋人がいるとは思わないだろう。
いやまぁ、もしそれを予想したのなら、それはそれでとんでもない奴だという事になるだろうが。
そんな堂島を引き連れ、美鶴は部屋から出ていく。
多分……本当に多分だが、堂島は警察署に行くまで美鶴から何らかの情報を引き出そうとすると思う。
もっとも美鶴が素直にそれを口にするかどうかは、微妙なところだが。
ただ、美鶴の様子を見ると堂島はそんなに悪くない……それなりに信じられる相手だと認識したのは間違いないらしい。
桐条グループの令嬢として行動してきた美鶴の目に適ったのだから、堂島というのは信用してもいい相手なのかもしれないな。
もしかしたらこの件が俺が関与した影時間の原作の続きなら、あの堂島が主人公……いや、さすがにないか?
40代の主人公というのは、ちょっと考えにくい。
だとすれば、主人公の仲間なのかもしれないな。
もしかしたら敵という可能性もあったりするのか?
そんな風に考えつつも、特にやる事がない俺は窓の近くにあるソファに座って山の景色を見る。
雨は止んだり降ったりを繰り返しており、そう遠くないうちに止むのだろうと予想出来た。
だからといって、今日は旅館から出ないように言われている以上、やるべきことは特にないのだが。
いっそ狛治でも召喚して話し相手になって貰おうかと思わないでもなかったが、角を持つ狛治が旅館の従業員とかに見つかれば、間違いなく面倒になる。
……ゲーム機か何かでも買ってくればよかったな。
いつもはこうして1人で暇な時は雑誌を読んだりするのだが、ゲーム機があればそういうのを気にしなくてもいい。
とはいえ、世界によってゲーム機とかが微妙に違っている。
例えばネギま世界で売ってる携帯ゲーム機のソフトは、ペルソナ世界で売っている携帯ゲーム機では動かない。
あるいは偶然にも同じ機種とかなら動くかもしれないが……世界が違うという事を考えると、ちょっと心配なのも事実。
あ、いっそ技術班辺りにどの世界のゲームでも遊べるゲーム機を作って貰うのもいいかもしれないな。
うん、今度ホワイトスターに戻ったら、ちょっと技術班に頼んでみてもいいかもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺は雑誌……いや、漫画を取り出す。
王道もののファンタジー漫画で先を予想するのは難しくはない。
だが、キャラの魅力を活かすことにより、いわゆるテンプレであっても読ませる面白さを持っていた。
実はこの漫画、以前長谷川から教えて貰ったんだよな。
長谷川は何気にこういう漫画にも詳しく、そっち方面の知識も豊富だ。
シャドウミラーでも臨時のバイトをして貰ったりとかしてるが、その時の報酬が金以外に他の世界の漫画だったりするらしい。
そんな長谷川だけに、漫画のお勧めは基本的に外れがない。
勿論、好みというのもある。
例えば俺はこういう王道もののストーリーは好きだが、テンプレであるというだけで肌に合わないという者もいるだろう。
また、俺もコテコテの恋愛漫画とかはあまり好みではない。
そういう意味では、こうして俺好みの漫画を選んでくれる長谷川はありがたい存在なのは間違いない。
……どうせだし、この辺りで適当に面白そうな漫画を纏め買いしてもいいかもしれないな。
商店街に本屋はあったか?
もし商店街になかったら、ジュネスで購入すればいいか。
そんな風に思いつつ漫画を読み進める。
すると漫画の中で鏡に別の場所を映すという光景があったが……そう言えば、マヨナカテレビは試していなかったな。
というか、試せる状況になかったというか。
何しろこの部屋にはTVがないのだから。
老舗旅館……それも一番高い部屋だからこそ、自然の状況を楽しんで欲しいと旅館側で思っているのか、そういう感じだ。
もっとも、天城屋旅館の全ての部屋にTVがない訳ではない。
当然だがTVのある部屋もあるのだが、この部屋はそういうのを好む者は使わないような、そんな部屋となっているのだろう。
マヨナカテレビを試すのなら、どこかTVのある場所に……そう言えばカウンターの側にはかなり大きめなTVがあったな。
もしマヨナカテレビを試すのなら、あっちで試せばいいか。
もっとも今日は結構な人数の警察が来てるので、ちょっと難しいけど。
もしくはマヨナカテレビは周囲に人がいても見る事が出来るのか?
運命の人が分かるって話だったが……俺の場合、その運命の人がかなり多そうなんだよな。
それこそレモンを含めて俺の恋人達全員が映し出されたら、どうなるだろう。
……あ、でもちょっと、本当にちょっとだけだが、マーベルやシーラが今どうしているのかを見る事が出来たら嬉しいと思う。
TVか。
ここでマヨナカテレビを見るのなら、空間倉庫に入っているTVとかでもいいのか?
もしくはペルソナ世界のTVでないと駄目なのか、もしくは稲羽市のTVでないと駄目なのか。
もしくはPCのモニタとか、通信機で使う映像スクリーンとか、そういうのは駄目なのか。
色々と気になるところはあるが……取りあえず映像スクリーン辺りで試してみてもいいかもしれないな。
そんな風に考えている間に、何となく眠くなり俺の意識は闇に沈んでいくのだった。
「アクセル」
「……美鶴か」
名前を呼ばれた事で急速に目が覚める。
声のした方に視線を向けると、そこには美鶴の姿があった。
部屋の中は明るいが、それは日中の光ではなく、部屋の中にある蛍光灯の光だ。
つまり、あのまま夜まで眠ってしまっていたのだろう。
「アクセルがこうまで無防備に眠っているのは……その、ホワイトスター以外では珍しいな」
「そうか? 俺は結構色んな場所で眠ってるけど」
「それでも、誰かが近付けば起きるだろう?」
「……美鶴だからかもしれないな」
「な……」
俺の一言に美鶴が頬を薄らと赤くして黙り込む。
今のが美鶴的には嬉しい一言だったのか?
とはいえ、これ以上この件で突っ込むような事があれば処刑をされてもおかしくはない。
そうである以上、ここは話題を移した方がいいか。
「それで、警察との話し合いはどうなった?」
そう聞いた瞬間、美鶴が一瞬だけだが眉を寄せる。
どうやら順風満帆といったようにはいかなかったらしい。
「警視庁からは、シャドウについての情報は降りていない。だからこそ、警察の上層部にしてみれば、桐条グループのお嬢様が自分の趣味で殺人事件に首を突っ込んでるように思っているのだろう」
「シャドウについては、それこそ話を聞いただけだと分からないしな」
実際、以前に桐条グループがシャドウワーカーを作ろうとした時、その辺は色々と問題になったらしい。
美鶴達が特別課外活動部として活動していた頃、交番の警察官だった人物が出世してパイプになったとは聞いているが、普通に考えて特別課外活動部をやっていた時からシャドウワーカーを組織するまでの間に、交番の警官が警視庁のお偉いさんとの間でパイプになるくらいに出世出来るとは思えない。
だとすれば、考えられるのはその警官の出世にも桐条グループの力が使われていたという事だろうし、それもあくまでもカモフラージュで、実際にはもっと違う手段で警視庁……しかもシャドウについてとなると、上層部と交渉をしたのだろう。
その時、シャドウの存在をどうやって教えたのか。
……データとか映像とかも見せたのかもしれないが、一番手っ取り早いのはやはりペルソナだ。
ペルソナとシャドウというのは、基本的に同じ存在らしいし。
言ってみればシャドウを自分の力でコントロール出来れば、それがペルソナになるとか何とか。
そして美鶴達は影時間じゃなくても普通にペルソナを出す事が出来る。
つまり、ペルソナを見せてしまえばそれで証拠になる。
まぁ、そういう事をすれば相手がペルソナ使いを警戒するようなことになるが。
これが影時間がまだある時なら、黄昏の羽根を使ってペルソナの資質がない者でも影時間の中に入ったり出来るんだが、その影時間はもうないしな。
「ふん、シャドウについては知らない方が幸せなこともある。あのような存在が実は世界に存在していたなど、漫画や映画でもあるまいし。頭の固い者程納得はしないだろう」
以前は映画はともかく漫画を見るようなことはなかった美鶴だったが、俺と付き合うようになって……そしてホワイトスターに行くような事になり、漫画とかに接する機会も増えた。
「そうなると、シャドウワーカーが集まっての仕事も向こうにはお遊びの延長のように思える訳か」
「そうなる。……それと、向こうからの要望でシャドウワーカーの仕事はこの天城屋旅館を拠点にしてやって欲しいとの要望だ」
「……は? 一体何がどうなってそうなる? そもそも、そういうのは向こうで指示をするようなものじゃないし、天城屋旅館でとなると色々と面倒だろう?」
警察の上層部の要望を口にする美鶴だったが、俺はその要望の意味が全く分からない
いや、それが美鶴に対する嫌がらせだというのが理解出来たが、それにしてもやりすぎだろうと呆れるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820