美鶴と会話をしていたシャドウワーカーの面々は、俺を見て驚きの表情を浮かべる。
まぁ、その気持ちは分からないでもない。
俺の存在は美鶴から聞いていただろうが、実際にこうして俺と会うのは初めてな訳だし。
美鶴から具体的にどのくらい聞いてるのか、詳細なところまでは分からないが。
「アクセル・アルマーだ。どうやら俺の事は美鶴から色々と聞いてるみたいだから、詳しい説明はいらないみたいだな」
「あ、いえ。その……はい、アクセル様のご高名は常々」
シャドウワーカーの1人が、俺に向かってそう言ってくる。
美鶴の前だからか、俺にも丁寧な言葉遣いで聞いてくる。
無理もないか。俺の立場は美鶴の恋人というのが、シャドウワーカーの面々にとっては分かりやすいだろうし。
そしてシャドウワーカーの者達にしてみれば、美鶴は尊敬すべき上司なのは間違いない。
だからこそ、俺に向かってこうして丁寧な言葉遣いをしてきたのだろう。
「別に無理に敬う必要はないぞ。公の場でボロを出さないのなら、だけどな」
「……では、アクセルさんとお呼びします」
様付けはされなくなったものの、それでもさん付けはされるか。
それなら別にそこまで堅苦しい訳でもないので、構わないのだが。
「どうやら無事に打ち解けたみたいだな。では、いつまでもジュネスの駐車場にいるのもなんだし、そろそろ天城屋旅館に向かうとしよう」
「その、美鶴様。本当に天城屋旅館に向かってもよろしいのでしょうか? 天城屋旅館は老舗旅館で、宿泊料金も高いと聞いています。そのような場所に私達が泊まるのは……」
「気にするな。この先がどうなるのかは分からんが、今日くらいは泊まれる筈だ。明日以降は警察次第だが。それに折角東京からここまで来て貰ったのだから、お前達にもゆっくりとして貰いたい。天城屋旅館の温泉は最高だぞ?」
美鶴の実感が籠もった声に、車の外に出ていた面々のうち、女がかなり興味深そうな表情を浮かべる。
やっぱり女にとって温泉というのは興味深いものなんだろうな。
しかもその温泉が天城屋旅館という老舗旅館の温泉であれば尚更に。
「美鶴さん、一生ついていきます!」
女の口から出たその言葉に、残りのシャドウワーカーの面々は呆れたように視線を向ける。
とはいえ、その女の口から出た言葉は普段通りのものなのか、呆れの視線が向けられるだけで他に何かがある訳でもない。
また、最初に美鶴と話していた男は美鶴様と呼んでいたが、この女は美鶴さんと呼んでいた。
人によって美鶴の呼び方は大分違うといったところか。
「そうか。では、仕事をしっかりとこなしてくれ。……行くぞ。アクセルは私と同じ車に乗ってくれ」
「同じ車に? まぁ、いいけど」
シャドウワーカーという名前だけは聞いていたが、そこに所属する者達については聞いていなかった。
一応影時間の時に一緒に活動した特別課外活動部の面々についてはともかく。
「では、出発するとしよう。いつまでもここにいれば、ジュネスの利用客の邪魔になるしな」
ある意味では客寄せパンダ的な意味でジュネスの役に立てるのでは?
ふとそう思ったが、もしそう言っても美鶴がそれを理解出来るとは思わなかったし、理解しても処刑が待ってるだけのような気がしたので、黙っておく。
ともあれ、美鶴と一緒に1台の車に乗り……
「へぇ、結構余裕があるんだな」
大きな車だから当然なのかもしれないが、それでも中はかなりの広さがあった。
シャドウワーカーに所属する者が全員稲羽市に来ている訳ではないから、というのも関係してるのだろうが。
「はい。今回のように交通網がそこまで発達していない場所まで行く必要がありますしね。アクセルさんもシャドウワーカーの活動は知ってるんですよね?」
車に乗っていた1人の男が、俺にそう聞いてくる。
向こうにしてみれば、今までにもそれなりに田舎とかで行動していたんだろう。
だからこそ、こういう大型の車が必要になったらしい。
「ああ、聞いている。実績がある以上はこういうのも使えるという事だと思うし、特に何か不満がある訳じゃないから、気にしないでくれ」
「ありがとうございます。……世の中には自分には理解出来ない事は絶対に許容出来ない、信じないという人もいるので」
そう言う男は、表情に出さないようにしていたものの、不満の色がある。
多分、シャドウという存在について全く理解されなかったとか、そういう事があるんだろうな。
実際、シャドウについて何も知らない者にしてみれば、シャドウというのはゲームとか漫画とかそういうのの話のように思えるのだろうし。
……この世界が何らかの原作だというのは、知らない方がいいんだろうな。
もし自分達の世界が実は漫画、ゲーム、アニメといったものの原作だと知ったら、その相手は間違いなく絶望するだろう。
中にはそれはそれ、これはこれといったようにきちんと割り切れ者もいるだろうし、それがどうした? と気にしない者もいてもおかしくはない。
だが、それでも大半の者がその事実にショックを受けて絶望し、中には自殺するような者が出て来てもおかしくはなかった。
「それで、アクセルさん。その……うちのボスと付き合ってると聞いてますけど、本当なんですか? いえ、天城屋旅館に一緒に泊まっているというのを聞く限りでは本当なのかもしれませんが……」
「そうそう。それは私も聞きたいです。下手をしたら、美鶴さんに処刑されません?」
1人が俺に美鶴との関係を聞いてくると、それを切っ掛けにしたかのように他の者も聞いてくる。
にしても、処刑か。
美鶴の処刑はやはり月光館学園を卒業しても行われているんだな。
この分だと、大学とかでも処刑は行われてそうだ。
何しろ美鶴は美人だ。
それもただの美人ではなく、派手な雰囲気を持つ美人。
大抵の者は美鶴の持つ雰囲気に負けて諦めるだろうが、大学生という事でそういうのを無視して強引に美鶴に言い寄るような奴もいるかもしれない。
あるいはコンパとかで酔わせてあわよくば……とか。
そういう相手に対し、美鶴が処刑をしてもおかしくはない。
……もっともさすがにペルソナを使った処刑はしないだろうが。
というか、美鶴が桐条グループの総帥の令嬢であるというのを知れば、下手に美鶴にちょっかいを出した場合、最悪一家離散とかそういう事になってもおかしくはないんだが。
美鶴以外に多数の恋人を持つ俺が言うのもなんだが、武治は何だかんだと娘の美鶴を可愛がってるし。
それでいながら、俺と付き合ってるのを認めているのは……まぁ、色々と武治にも思うところはあると思う。
ただ、武治にとっては美鶴が幸せそうにしてるのが一番重要なのだろう。
以前は美鶴にとっては決して好ましくない許嫁がいたりしたのだが。
「そうだな。俺と一緒の時の美鶴は……」
「アクセル?」
「ぴぃっ!」
少し離れた場所で運転している男と話をしていた美鶴だったが、こっちの話も何気に聞こえていたのだろう。
自分にとって決して許容出来ない話になったと判断したのか、美鶴が冷たい……それこそさっきの話に出た処刑をしかねない、そんな声を出した。
それがどれくら冷たい声だったかというと、その声を聞いたシャドウワーカーの女……具体的には俺と美鶴の関係を聞きたがっていた女の口から悲鳴が漏れる程に冷たい声だった。
そんな美鶴の声で、数秒前まではかなり騒がしかった車内も静かになる。
「美鶴、その辺にしておいてやれ。この連中も美鶴を慕ってるからこそ、少しでも美鶴の事を聞きたいんだろうし」
コクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコク。
俺の言葉を天の助けとばかりに、話をしていた者達が揃って頷く。
全員が無言で頷いてるのは、ここで何かを話したらそれが処刑となって自分に降り掛かるのではないかと思っているからか。
「アクセル」
「分かった、言わないからペルソナは出すな。ここでペルソナを召喚したら、間違いなく事故るぞ。俺やお前はともかく、他の面々は怪我をするかもしれない」
「……そのような事をする訳がないだろう」
そう言う美鶴だったが、先程の迫力から考えるとペルソナを召喚してもおかしくはなかった。
とはいえ、美鶴も本気でそんな事をするとは思わないが。
ここが車の中でなければ、話は別だったかもしれない。
「ボス、そろそろ天城屋旅館に到着しますよ」
俺達が話している間も車は進み続け、運転手の言葉通り窓の外は見覚えのある景色となっていた。
「では、まずは駐車場に……いや、持ってきた機器を運ぶことを考えると、まずは旅館の玄関の辺りまで移動した方がいいか。警察の方からもう連絡はいってる筈だしな」
「いいんですか? その……警官が結構いるみたいですけど」
「コンピュータを始めとした諸々を運ぶのが大変になるのはお前達だが?」
そう美鶴が言うと、車の中にいた面々の意見は即座に旅館の前まで移動するという事で一致する。
ぶっちゃけそんなに重い荷物なら俺が空間倉庫に入れて持っていくという手段もあるのだが、それをやると警察や天城屋旅館の従業員が疑問に思ってしまう。
特にそれらしい物を持ち込んでいないのに、何故かシャドウワーカーが使っている部屋には多数のコンピュータとかがあるという事になってしまう。
いっそシャドウミラーの技術班が作ったコンピュータでも持たせるか?
シャドウミラーの技術班なら、ノートPCとかタブレットとかの外見であっても、実際にはスパコン並の性能を持たせる事も可能となる。
OSの問題とかもあるが、その辺は技術班の面々ならどうとでもなるだろうし。
何しろ俺が使っている技術班のハッキングツールは、OSが違うどころか接続端子が違っていても接続が可能で、そこからハッキングしたり出来るのだから。
そういうのに比べれば、ノートPCやタブレットとかでスパコン並の性能を持たせるのは難しい話ではない。
難点としては、もし敵……それ以外でも何者かに奪われたら、被害は甚大となる事だろう。
少しその辺に詳しい者にしてみれば、技術班が作ったノートPCやタブレットの性能がおかしいことにはすぐに気が付く筈だ。
それをどこぞの研究機関とかに持ち込もうものなら……それこそ、場合によってはとんでもない大騒動になりかねない。
最悪、桐条グループVS日本政府とかになってもおかしくはないだろう。
あまり想像したくはないが、もしそうなったらまず間違いなく桐条グループが勝つ。
何しろシャドウミラーが味方をしているのだから。
ペルソナ世界は黄昏の羽根を使った特殊な技術やアイギスのような特殊な存在はいるが、技術的には非常に遅れている。
いわゆる平均的な現代日本と評するべきか。
戦車とか戦闘機とかはあるが、人型機動兵器の類は夢物語だと思われている。
大きいだけに的になるだけだとか、そういう感じで。
そんな場所にPTやMS……いや、街中での戦いとなるとKMFの方がいいか? もしくはナデシコ世界のエステバリスとか。
そしてメギロートやバッタもありだな。
ともあれ、そんな戦力を相手に日本が勝てる筈もない。
これがアメリカとかなら、最悪核兵器を使うかもしれないが。
日本には核兵器がない――少なくても表向きはない事になっている――ので、そういう心配もないし。
そんな不幸な未来にならないことを祈っている。
「アクセル、降りる準備はいいか? 警察官達がこちらにやって来た。向こうが何かを言うよりも前に、こちらで先手を打ちたい」
美鶴の言葉に車の窓から外を見ると、数人の警察官が緊張した様子で車に近付いてくる。
警察官がまだここに残ってるのは、山野真由美が行方不明になったのはこの天城屋旅館だからというのが大きいのだろう。
山野真由美が泊まっていた部屋の捜索なら、もう昨日の時点で終わってる筈だし。
そんな警察官達にとって、このように大きな車が何台もやって来るというのは警戒するのは当然だった。
いや、警察の上層部からシャドウワーカーの件を聞いていれば話は別だが。
車に近付いてくる面々の様子を見ると、上からは何も聞かされていないらしい。
そしてそれはあの警察官達が悪いのではなく、面子の問題か、それとも単純に嫌がらせか、はたまた単純にそこまで頭が回らなかったのか。
とにかく警察官達がシャドウワーカーについて何も聞かされていないだろう事は明らかだった。
……実はあの警察官の中にはシャドウワーカーについて聞かされているのに、それでもこっちが気にくわないから黙っておこうとか、そんな風に思ってる奴がいたりしないよな?
それはそれでどうかと思うが。
ただ、どこにでも自分の思い通りにならないとか、もしくは自分の所属している組織の影響力が通じない相手は面白くないと考える者はいる。
そういう奴があの警察官の中にいないとは、誰も断言出来ないだろう。
出来ればそういう面倒な相手はいなければいいんだが。
そう思いながら、俺は美鶴と共に車を降りるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820