警察とのやり取りは、やはり向こうに全く連絡が来ていなかった事もあって最初は手間取った。
向こうにしてみれば、今回の話は全く聞いていなかったのだから、それも当然だろう。
それでも美鶴が桐条グループの総帥の令嬢であるという情報は来ていたのか、美鶴を力ずくで止めるといった真似は出来ず……半ば押し問答となったところで、警察署から連絡が来た。
これは警察の上層部のミスなのか、もしくは美鶴に対しての嫌がらせなのか。
どっちなのかは俺にもちょっと分からなかったものの、それでも今の状況を思えば何となく後者なのではないかと思ってしまう。
ともあれ、警察署から連絡が来たのでシャドウワーカーの面々は天城屋旅館の大広間を使わせて貰う事になった。
……この辺の連絡はきちんと天城屋旅館に行われていたのを考えると、やっぱり警察官だけに連絡がされていなかったのはミスという訳ではなく意図的なもののような気がする。
天城屋旅館の従業員達は、正直なところ決してシャドウワーカーを歓迎してるとは思えなかったが。
とはいえ、さすがプロと言うべきか。
その不満を表情に出すような事はしない。
……まぁ、シャドウワーカーの件は天城屋旅館にとっても決して悪い話というだけではないのだが。
何しろ山野真由美の件でこれから客が少なくなるのは予想出来る。
また、シーズン前という事で今は客の数もそう多くはない。
その数少ない客にしても、山野真由美の件があったことを考えると、警察の事情聴取とかが終わって自由に行動出来るようになれば、天城屋旅館からは少しでも早く帰りたいだろう。
そんな中で大広間を借り切るというシャドウワーカーは、ある意味で上客と言ってもいい。
もっとも警察側が宿泊料金を支払えるかどうかはまた別の話だが。
まぁ、警察が無理なら警視庁から支払われる事になるだろうし。
「よし、これで準備は完了しました」
大広間がシャドウワーカーの仕事場と化す。
和風の部屋だけに、微妙に違和感があったりするんだが。
とはいえ、それは仕方がない事でもある。
「美鶴様、それでこれからはどのように行動を?」
「まずは情報収集が第一だろうな。シャドウがこの稲羽市にいるのは間違いない」
「その……御言葉を返すようですが、一体何でそのように断言出来るのでしょうか?」
ここにシャドウがいると断言した美鶴に、1人の男がそう尋ねる。
無理もないか。
普通に考えれば、まだ俺達も含めてこの稲羽市に来てから数日だ。
その数日のうちにシャドウがいると断言するのは、普通に考えて理解出来ないだろう。
「もしかして、シャドウと実際に遭遇したとかでしょうか?」
続いて出たその言葉に、話を聞いていた者達がそれぞれ納得の表情を浮かべる。
無理もないか。
実際に遭遇した訳でなければ、シャドウがいると断言するのはおかしいし。
だが……そんな問いに、美鶴は首を横に振る。
「いや、違う。……もしかしたら微妙に当たってるかもしれないが」
そう言い、俺の方を見る美鶴。
シャドウが稲羽市にいるというのは、刈り取る者が頷いたことによって得た情報だ。
そして刈り取る者は、タルタロスで俺に負けて召喚の契約を結んだ存在。
そう考えると、シャドウと実際に遭遇したという今の言葉は決して間違っている訳ではないのだろう。
もっとも、だからといって正解とも限らないのだが。
「本当ですか!? では、シャドウはどこに? そこを中心にして探していけば、シャドウの存在を見つけられるかもしれません」
「落ち着け。今の言葉は正確ではなかった。実際にはシャドウはシャドウでも、アクセルが召喚の契約をしたシャドウだ。それもこの稲羽市ではなく、タルタロスでな」
その言葉に、部屋の中にいた全員の視線が揃って俺に向けられる。
シャドウワーカーに所属する者達にとって、シャドウというのは想像上の存在ではなく、しっかりと存在している。
だがそれでも、シャドウを召喚出来るようにするというのは、信じられなかったのだろう。
……実際にはペルソナもシャドウの一種なので、そういう意味ではペルソナを使うのと俺が刈り取る者を召喚するのはそんなに違いはないと思うんだが。
とはいえ、やはり普通に考えればペルソナとシャドウは全く違う存在だ。
そういう意味ではこの反応も分からないではない。
「事実だ。なんなら、もし実際に刈り取る者を見たい者は、後で実際に見せてもいい。……もっとも、生半可な覚悟では止めた方がいいと思うが」
ゆかりや美鶴といった者達ですら、未だに刈り取る者に気圧されたりするのだ。
シャドウの存在を知っていても、そこまで鍛えている訳でもない面々が刈り取る者を間近で見た場合どうなるのかは、ちょっと責任が持てない。
それでもいいという奴がいたら、刈り取る者を見せてもいいが。
とはいえ、刈り取る者の迫力はかなりのものだ。
元々のシャドウの状況であっても、かなりの迫力があった。
それが今では、俺の血を飲んだ事によって更にその迫力は増している。
そう考えると、やはり戦闘とかの経験がない者は……もしくは経験があっても度胸のない者は、刈り取る者と接触しない方がいいと思うけど。
「アクセルの言う事は本当だ。私も刈り取る者を間近で見たが、その迫力に圧倒されたからな」
ざわり、と。
美鶴の言葉を聞いたシャドウワーカーの面々がざわめく。
シャドウワーカーの面々にとって、美鶴というのは強さの象徴だろう。
実際その考えは間違っておらず、ペルソナを使った戦闘は勿論、ペルソナを使わない生身の戦闘であってもエヴァに訓練されているだけあって、美鶴はかなりの強さを持つ。
そんな美鶴でも迫力で圧倒されるというのだから、シャドウワーカーの面々にとっては信じられなかったのだろう。
「どうしても気になるのなら、試してみてもいい。ただし美鶴の言うように、かなりの迫力だから注意しろ。……場合によっては、漏らすかもしれない」
大人が漏らすというのは、かなり恥ずかしいだろう。
だからこそ、俺の一言で挑戦しようと思う者はいなかった。
……いたらいたで、それなりに面白いと思ったんだけどな。
「俺の話はこれで終わりだ。とにかく、今はどこにシャドウがいるのか、少しでも早く見つけてくれ。シャドウが見つからないと、俺達の出番がないし」
その言葉に、シャドウワーカーの面々はすぐに仕事に戻る。
とはいえ、シャドウワーカーがいつまでも天城屋旅館を拠点とするのは難しいだろう。
そうなると、警察がギブアップしてきたところで別の場所に移る必要があるんだが、そうなると再びこの機材を持っていく必要があるのか。
これを車から運ぶのでも結構苦労した事を考えると、また拠点を移す時に大変になりそうだな。
まぁ……ここから車に運ぶのは旅館の従業員や警察官の目があるのでシャドウワーカーの面々にやって貰う必要があるが、新しく見つけた拠点まで移動したら、空間倉庫を使って運んでも構わないだろう。
警察官とかが見張りにきていなければの話だが。
「ほら、アクセルもこう言っている。早く仕事を始めろ。既に人が1人死んでいる。この先も同じように死人が出ないとも限らない。今は少しでも早くシャドウのいる場所を見つける必要がある」
「防犯カメラ、ネットに繋がっている場所との接続が完了しました!」
美鶴の言葉が終わるかどうかといったうちに、1人の女がそう報告してくる。
ちなみに一般的に考えた場合、このような行為はハッキングで明らかに犯罪なのは間違いない。
だが、そこはシャドウワーカー。
警視庁と協力関係を結んでいるので、その辺は許可されている。
……あまり褒められた事ではないが、超法規的措置って奴だな。
とはいえ、シャドウについての情報を集めるのにはこれがかなり便利なのは事実。
だが問題は……
「ただ、ネットに繋がっているカメラはかなり少ないですね。ジュネスとかなら問題ないですが、商店街の辺りは全滅です」
「……そうか。あの商店街はかなり昔からある商店街らしいしな。防犯カメラがあっても、それがネットに繋がっているという事は多くないのだろう」
ペルソナ世界はそれなりにネットが発展しているが、それでもそれなり程度でしかない。
東京のような都会ならともかく、稲羽市ともなれば……個人の家でネットを使うくらいは普通にあるかもしれないが、昔からある商店街で防犯カメラをネットに繋ぐといった事をしていなくてもおかしくはない。
そういう意味では、ジュネスが稲羽市にあったのは不幸中の幸いだな。
ジュネスは大きいし、客も多い。
最近出来たデパートだけに、設備も新しいのは当然だった。
そうなると、出来ればジュネスにシャドウが出てくれればすぐに発見出来るんだろうけど……難しいだろうな。
そもそもジュネスにシャドウが出るのなら、それこそもっと前から噂になるなり、直接見た者がいるのなら騒動になっていないとおかしい。
だが、今のところジュネスでそういう騒動は起きてはいない。
また、当然ながら山野真由美の死体がぶら下がっていたTVのアンテナのある家もジュネスの近くという訳ではない。
その辺の状況を考えると、やはりシャドウが現れる、もしくは生息地はジュネスではないのだろう。
とはいえ、影時間での出来事を思い出せば、影時間の最中だったがシャドウがタルタロスから出て市街地に出没したりした事もあった。
そう考えれば、ジュネスの防犯カメラをハッキングしておけば、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、ジュネスの近くにシャドウが姿を現すといった事になってもおかしくはない。
とはいえ、それはあくまでも万が一の話で、可能性としてはかなり低いだろうが。
そうなると、今の状況で俺達がやるべきなのはジュネス以外の場所でシャドウを見つける事だろう。
その辺はシャドウワーカーの面々の働きに期待するしかないな。
それが本職のシャドウワーカー達だけに、そちらでは期待出来るだろう。
もっとも、具体的にどのようにしてシャドウを探すのかは、俺にも分からないが。
それこそ黄昏の羽根を使ったレーダーとか探知機とか、そういうのを使っているのかもしれない。
「じゃあ、俺は足で情報を探ってみますね。怪談とかそういうのが最近流行ってるのなら、そこから……」
「待て。怪談とは少し違うが、マヨナカテレビというのが稲羽市では流行っているらしい」
シャドウワーカーの男が立ち上がって出掛けると言ったところで、美鶴がそう言う。
男はその言葉に足を止め、振り返る。
「マヨナカテレビですか? それは一体どのような?」
「言っておくが、これが本当に今回のシャドウの一件に関わるかどうかは分からない。可能性としてはかなり高いと思うが」
「いや、確実に関わってると思うけどな。何しろマヨナカテレビに山野真由美が映し出されて、そうしたら山野真由美が死んだんだし」
「……まぁ、アクセルの言う通り、その可能性が高いのは事実だ。だが、それでも具体的にシャドウがどのように関係してるのかというのはまだ分からないのも事実」
俺と美鶴の会話を聞いていた男は、真剣な表情で口を開く。
「シャドウの件に関わってるかどうかは分からないけど、その可能性は十分にある、と。それで具体的にどのような噂なのですか?」
「雨が降っていて、日付が変わる時にTVを消して画面を見ていると、そこに見た人物の運命の相手が映し出されるらしい」
美鶴が端的な説明をするものの、俺はそれに追加する。
「実際には違うみたいだけどな。俺と美鶴がその噂を聞いたのは高校生が話している内容を側で聞いてだったんだが、その高校生が山野真由美をマヨナカテレビで見て、運命の人だって言っていたし。……多分、嘘と本当……というか、願望とかそういうのが色々と混ざっている噂だと思う。多分、あの時にマヨナカテレビを見た奴は全員が山野真由美の姿を見たと言われても、俺は特に驚いたりはしないけどな」
「分かりました。まずはその辺から情報を集めてみましょう」
そう言うと、男は足早に大広間を立ち去る。
「どう思う? マヨナカテレビがシャドウに繋がると思うか?」
そんな男を見送っていると、美鶴がそう聞いてくる。
恐らくはそのように聞きつつも、美鶴の中でマヨナカテレビが今回の件に関わっているのはほぼ間違いないと思っている筈だ。
その辺については俺も何となく理解出来る。
理解出来るが、それでもシャドウというのは時には全く想像も出来ないような事をする。
今回もそのような状況なのではないかと、そのように思ったのだろう。
事実、俺も美鶴の言葉に素直に頷く事は出来ない。
シャドウというのが一体どれ程の存在なのか……それこそ、厄介な存在であるのは間違いないのだから。
それでも美鶴を安心させるべく、口を開く。
「心配するな、もしシャドウがこっちの予想を超えるような存在であっても……俺はアクセルだぞ? シャドウがどんな事をしても、それに対処してみせる」
「……すまないな、アクセル。少し気弱になっていたみたいだ」
そう言い、美鶴は笑みを浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820