マヨナカテレビについて調べに行ったシャドウワーカーの男。
他の面々も、それぞれに自分の仕事を始めていた。
そんな様子を眺めていたアクセルだったが、部下達に指示を出していた美鶴が視線を向けてくる。
「アクセル、私はこのままここで指示を出そうと思うが、どうする?」
「そうだな。俺がここにいても仕方がないし、適当にぶらついてくる。その途中で何らかの情報を入手出来るかもしれないし。それに……」
「それに?」
「ああ、いや、何でもない。警察の方が今回の件をどうしたのかと思っただけだよ」
「……なるほど。私達は今回の件がシャドウの仕業だと半ば確信しているから、そちらから情報を集めようとしか思っていなかったが、考えてみれば警察の方でどのような情報を入手したか、あるいはどう推理しているのかというのは気になるな」
本来なら、それこそこっちが何かをしなくても警察の方から情報が回ってきたりするのだろう。
警視庁と手を組んでいるのは、その辺の理由もあるのだろうし。
だが、今はまだ警察の方も上からの命令で渋々といった感じだし、それこそ詳細な情報を寄越したりはしないだろう。
であれば、ちょっとその辺を覗いてきてもいいかもしれない。
そんな風に思ったのだ。
勿論、それで見つかるような事があれば間違いなく問題になるだろう。
気配遮断とかを使っても警察署の中なら防犯カメラとかが結構設置されてるだろうし。
そうなると、影のゲートと技術班のハッキングツールを使う必要があるといったところか。
「気を付けろというのは、アクセルに言うべき言葉ではないかもしれないが、それでも念には念を入れて行動してくれ」
「任せろ。こう見えて、今まで俺は何度も色々な施設に忍び込んできた経験があるんだぞ?」
実際、警察署には防犯カメラとかがあって、気配遮断とかを使うのは不味いかもしれない。
だが、俺は今まで地方の警察どころではなく、軍事基地……それも地方とかじゃなくて、最新鋭の兵器が置かれている基地とかにも何度となく侵入してきたのだ。
そんな俺にしてみれば、警察署に忍び込むくらい問題ない。
だからこそ、見つかる心配はなかった。
……まぁ、もし見つかっても本当に最悪の場合、力でどうにかなるだろうし。
いっそグリや刈り取る者を警察署の中で召喚してみても面白いと思う。
とはいえ、もし本当にそんな真似をしたらどうなるのか、かなり疑問だが。
グリや刈り取る者……あるいはいっそ狛治も呼んでもいいかもしれないが、そんな存在を見た警察署がどうなるのか。
それこそ混乱した結果、拳銃を撃ちまくるとか……うん、止めておいた方がいいな。
そんな事をすれば、それこそシャドウがどうとか、そんな事ではすまないだろうし。
最悪の場合、シャドウワーカーと警視庁の間にある協力関係とかも終わってしまう可能性がある。
そうならないようにするには、やはり馬鹿な真似はしない方がいい。
「じゃあ、ともあれ警察署に行ってくる。何か重要な情報を入手したら、すぐに知らせるから」
「ああ、気を付けてな」
そうして美鶴と言葉を交わすと、俺は大広間を出る。
本来なら、ここで行ってらっしゃいのキスとかがあるといいんだが、シャドウワーカーの面々がいる場所でそういう事が出来る筈もないし。
……まぁ、シェリル辺りならそれが面白そうだと、そういう真似をしてもおかしくはないのだが。
とはいえ、ペルソナ世界でもシェリルはかなり売れている歌手だ。
桐条グループの系列の芸能事務所に所属しており、シェリルの存在だけで日本では……いや、全世界でもトップクラスの人気を誇り、CDの売り上げやDL数とかでも音楽史上希に見る売り上げになっているとか。
それでいて、写真とかには出ているらしいがTVやラジオといったメディアの露出はかなり少ないらしい。
そのような状況でもここまでの売り上げがあるのは、さすがシェリルといったところか。
そんなシェリルが目の前にいて、俺にキスをしようものなら、シャドウワーカーの面々は間違いなくパニックになる。
もっともシェリルはそんな風になっても特に気にしないだろうが。
「アクセル? どうした?」
「いや、何でもない。どうせなら美鶴には行ってらっしゃいのキスでもして欲しかったと思っただけだよ」
そう言った瞬間、大広間の中にまだ残っていたシャドウワーカーの面々が一斉にこっちを見てくる。
正確には俺ではなく美鶴。
その美鶴は一瞬ポカンとした表情を浮かべ……やがて、その口元が弧を描く。
それは恐らく笑みなのだろう。
一種凄絶なまでの美しさがあるが、どこか禍々しさも感じさせる、そんな笑み。
笑みは浮かべているものの、その目は決して笑っていない。
「アクセル、しょ……」
「じゃあ行ってくる」
処刑だと言おうとしたのを感じ、即座にそう言うとその場から逃げ……いや、立ち去る。
何だか背後でシャドウワーカーの面々の悲鳴が聞こえてくるが、それは取りあえずスルーしておく。
旅館にいた警察官達を確認しつつ、外に出る。
旅館の警察官は俺を見て微妙な表情を浮かべていたが、それは気にしない。
上から色々と言われてるし、少し前には大型の車が何台もいきなり旅館にやって来たりしたし、その連中と協力態勢を取るようにと言われているのだろうし……その辺の諸々について考えると、警察官達が色々と思うところがあるのは理解出来るが、それをこれ以上考えても仕方がないだろう。
何かあったら、向こうから協力をさせればいいし。
そんな風に思いつつ、旅館の前から移動して適当に街中を歩く。
本来なら警察署に行くつもりだったのだが、今はちょうど昼くらいの時間だ。
だとすれば、警察署に行ってもそれぞれ自分の席で昼食中だろう。
そのような状況でデータを抜くのはちょっと難しいかもしれない。
いやまぁ、やろうと思えばやれる。
けど、別にそこまで無理をする必要がないのも事実。
そんな訳で、俺はどこかで適当に昼食を楽しむ事にしたのだが……どこで食べるか。
今は雨も降ってないし、いっそ影のゲートで山の中に転移してからピクニック気分で食事をするのもいいかもしれないな。
数日前に山菜を採りに行った時の事を考えれば、そんなに悪くない。
幸いにも、現在空間倉庫の中にはジュネスで大量に買った弁当やおにぎり、その他諸々の色々とあるし。
とはいえ……それで満足してしまって昼寝し、気が付いたら夕方なんて事になったりしたら洒落にならないし、止めておこう。
そう考えると、愛家という中華料理屋に寄る事にする。
中華料理屋という事で麻婆豆腐を注文する。
出て来たのは……うん。まぁ、味はどうにか平均点といったところだが、量はかなり多い。
この商店街の近くには八十神高等学校があるので、学生にしてみれば悪くないんじゃないだろうか。
ちなみにどうやらスペシャル肉丼というメニューもあるらしいが、これは雨の日だけしかやっていない特別メニューらしい。
アイヤー、アイヤー言ってる店主から聞いた話によると、かなりの大ボリュームらしいが……いずれ俺も挑戦してみたいものだ。
とはいえ、このスペシャル肉丼は食べても賞金が出る訳ではなく、料金が無料になるというだけだ。
そういう意味では、わざわざ挑戦する必要もないのかもしれない。
そんな風に思いつつ、麻婆豆腐を食べ終わると丸久豆腐店に向かう。
麻婆豆腐を食べたからという訳ではないが、昔ながらの製法で作っているこの店の豆腐は、素朴な味だが美味いんだよな。
そうして適当に豆腐を買って……少し休憩する。
この豆腐は後で食べればいいか。
空間倉庫に入れておけば、味が劣化するとかそういうのもないし。
出来たてをいつでも食べられるというのは、空間倉庫の利点だよな。
それ以外にも、ホワイトスターやコロニーとかそのまま収納出来るというのも大きな利点だが。
生き物を収納出来ないのは痛いが……まぁ、生き物を収納出来たら、それこそ無敵だし。
どんな敵だろうと、瞬動や影のゲート、気配遮断を使って接近して空間倉庫に収納すればいいだけなのだから。
ともあれ、適当に商店街を見て回る。
ただ……商店街を見て回った感じだと、やはり山野真由美の殺人事件について話している者が多い。
特に多いのは、やはり不安に思っている者だろう。
無理もないか。
2階建ての家のTVのアンテナに死体をぶら下げるといった異常な殺し方をしたのだから。
そんな異常者がこの近くにまだ潜伏してるかもしれない。
もしくは今までは隠していたが、そういう事をする者が住んでいるのかもしれないといった不安を抱くのは当然だろう。
一般人は、まさかこれがシャドウが関係してるなどという事は全く知らないだろうし。
そんな者達にしてみれば、この殺人事件について不安に思ってもおかしくはない。
ましてや、そこにシャドウが関与してるとなると、同じような事件が続く可能性は十分にあるし。
稲羽市の住人にとって幸運なのは、事件が起きた時に美鶴がここにいた事だろう。
もっと言えば、X世界において俺が手に入れた基地の名前を募集した時、美鶴がアルカディアという名前を付けたからこそ、その名前が採用されて賞品として美鶴はゆかりの卒業旅行で天城屋旅館に行きたいと希望したのだ。
それによってやってきたこの場所でシャドウに関する事件が起きたのは……幸運なのか、不運なのかちょっと分からないな。
「さて」
もう少し話を聞いてもいいんだが、もう午後2時近い。
この時間になれば、警察署でも昼休みは終わっているだろう。
……そもそも、山野真由美の殺人事件があった以上、警察が悠長に昼休みをしているような余裕があるとは思えないが。
それこそ昼食は10分か20分で終わらせて、少しでも早く捜査に戻ろうと考えてもおかしくはない。
警察官や刑事の全員がそういう風に真面目な訳ではないので、仕事はそこそこで、後は要領よく生きるといった者がいてもおかしくはなかったが。
そういう奴なら、しっかりと昼休みを取っていてもおかしくはないものの、それでもこの時間ならさすがに仕事に戻っているだろう。
そんな訳で、人のいない場所に向かい……防犯カメラがないのを確認してから建物の陰に入る。
影のゲートを使い、身体を影に沈めていく。
次の瞬間には、俺は警察署の物置と思しき場所に姿を現していた。
本来ならもっと別の場所……具体的にはコンピュータとかが置いてある場所に出たかったのだが。
ペルソナ世界の科学技術はそれなりに進んでいるものの、それでもシャドウミラーの技術班が作ったハッキングツールに対抗出来る程ではない。
あるいは誰も使っていないパソコンがあったら、影のゲートから腕だけを伸ばしてハッキングツールを使ってデータを抜き出すといった方法も出来る。
ただし、この場合俺は見つかりにくいだろうが、コンピュータに接続されているハッキングツールが見つかる可能性は決して低くはない。
そもそも誰も使っていないコンピュータが起動しているのを気が付けば、ハッキングされてるとか、そんな風に怪しんでもおかしくはないし。……あるいはコンピュータとかに疎い者なら、その辺についてはそういうものだと認識するかもしれないけど。
もっとも、モニタの電源は切っておけばそう簡単に見つかったりしないような気もするが。
まずはいつも通りスライムを使って情報の収集をするか。
空間倉庫から出したスライムを、目に見えない程に細くして俺がいる部屋の天井から伸ばしていく。
目に見えない程に細い以上、それこそ防犯カメラとかに映っても、スライムを認識出来るとは思えないし。
そんな風にしながら伸ばしていくと……
『くそっ! 上は何を考えている!? 幾ら桐条グループ系列の組織だからって、本気で捜査に協力させるつもりか!?』
『落ち着けって。一応実績はあるんだろ?』
『そうは言うけど、全くの素人なんだろう? こっちの役に立つとは思えないんだが』
『なら、別に戦力として考えなければいいだろ? 別に向こうは俺達と一緒に行動する訳じゃねえんだし。なら、適当に相手をしておけばいいんだよ』
『おいおい、あんな連中に現場をうろつかれるのはごめんだぞ。面倒臭いったらありゃしねえ』
『あー……全く、山野真由美も何だってこんな……お陰で今日のデートは完全にキャンセルじゃない。今日辺り、もしかしたらプロポーズがあったかもしれないのに』
『きゃあ、先輩それ本当ですか?』
『愛家の肉丼食いたいなぁ……』
『マジかよ。あんな脂の塊、よく食べられるな』
『そう言えば、この前天城屋旅館の若女将見たんだけど……女子高生とは思えない色気があったよな。ああいうのに1回お願いしたいもんだ』
『馬鹿、止めろ。相手は女子高生だぞ。ただでさえ生田目の件でメディアの連中が入ってきてるのに……』
『分かってるって。そう言えば山野真由美の死体を発見したのも同じ八十神高等学校の女子高生だったよな? 確か今日は取調室で……』
お、これは手掛かりだな
そう思って取調室の方にスライムを伸ばすと……
『ちょっと、いい加減にして下さい! 私はそんなつもりはありません!』
『くそっ、お前は生田目を庇うのか!? 折角生田目の件で解決してやろうってのに……くそがっ!』
おいおい、ちょっとこれ不味いんじゃないか?
慌てて影のゲートを使い、取調室に向かうと……そこでは若い男が女子高生を、その……TVの中に入れようとしているところだった。
一体何を言ってるのか分からないが、とにかく俺の目の前にはそんな光景が広がっていたのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820