取調室における騒動……幸いな事に取調室の中が防音となっていたし、何より防犯カメラの類も取調室にはなかったので、足立が小西をTVの中に入れようとした件は俺達以外には誰も知らなかった。
だが、それでこれからどうするのかという問題がある。
警視庁、それもシャドウについて知っている上層部にでも連絡をするか?
その場合は俺じゃなくてシャドウワーカーの方から連絡をする必要もあるのだが。
「取りあえず、いつまでもこのままここにいるって訳にもいかないな。堂島はともかく、小西は一度足立に狙われた以上、また狙われる可能性もあるし」
「え? それ……本当なの?」
俺の言葉に、堂島の服を掴む手に力を入れて小西が言う。
小西にしてみれば、自分が命を狙われた……うん、多分だが命を狙われたというので間違いない筈だ。
しかもその理由が、俺がスライムで聞いたり、この取調室にやって来た時の様子からすると、足立に言い寄られてそれを断ったのが原因らしい。
そんな相手にまた狙われる……しかもTVの中に入れる事が出来るという、全く意味不明な能力である以上、一般人に対処するのは難しいだろう。
「その可能性は高い。……取りあえずシャドウワーカーはその手の専門家だから、そっちに匿って貰えば取りあえず大丈夫だとは思うけど」
とはいえ、それも絶対ではない。
足立が他人をTVの中に入れる能力を持っている以上、自分もTVの中に入れる可能性は高い。
だとすれば、最悪TVの中を通って別の場所に移動出来るという可能性も十分にあった。
「では……どうすればいい? 恥ずかしい話だが、足立にそのような能力があるのなら警察ではこの子を守るのは不可能だ」
そう言う堂島の言葉に小西がまた動揺した様子を見せるが、堂島は落ち着かせるように小西の肩を抱く。
そんな堂島に落ち着いた様子を見せる小西。
何だかんだと、小西の堂島に対する信頼度……好感度? はかなり高いらしい。
「今回の件を上層部に報告して、信じて貰えると思うか?」
「無理だ。俺だって自分の目で見た訳でなければ、とてもではないが信じられん」
「……だろうな」
これは堂島の頭が固いとか、そういう訳じゃない。
いやまぁ、実際に小西がTVに頭を突っ込んでいる光景を見て、それでもそのような特殊な能力がないと言い切るのであれば、頭が固いとしか言いようはないだろう。
だが、堂島は実際に自分の目で見ており、TVの中に入れるという一見すればとても常識では考えられないような能力について、そういうのがあるときちんと認識している。
そういう意味では、今回の件はそんなに悪くない……と思う。
実際にどうなのかまでは分からないが。
「そうなると、足立はどうする? ……堂島には受け入れられないだろうが、正直なところここで殺してしまった方がいいと思うが」
「それは……許容出来ない」
「だろうな。そう言うと思った」
俺と堂島の付き合いはそんなに長くない。
というか、以前天城屋旅館に来たときは顔を見た程度で、実際にこうして話すのは今日が初めてだ。
そんな堂島にしてみれば、俺の言葉を完全に信じたりは出来ないだろう。
「とはいえ、じゃあどうする? この男をこのままにしておく訳にいかないのは、お前にも理解出来るだろう? 上層部に話してもそれを信じて貰えないのなら、お前がこいつをどうにかするのは不可能だろう? もしくは、拳銃でも突きつけておくか?」
一応刑事なら拳銃とかは持ってるのか?
あるいは普段は専用のロッカーとかに収納されていて、持ち歩いたりはしないのか。
漫画とかだと普通に持って歩いたりしてるけど、結局漫画だからだしな。
そう考えると、やっぱり堂島は普段から拳銃を持ち歩いてはいないのだろう。
もしこの稲羽市が犯罪の多い場所ならともかく、典型的な田舎だしな。
そんな田舎の刑事が、普段から拳銃を持ち歩くというのは有り得ない。
なら、俺の空間倉庫にある拳銃とかを貸すか?
俺の空間倉庫に中には、多数の銃火器が……それこそ重機関銃と呼ばれるような武器も入っていたりする。
もっとも重機関銃というのは基本的に装甲車とかに設置して使う奴なので、多少は鍛えている刑事であっても一般人が手持ちの武器として使うには無理があるのだが。
もし重機関銃とかを見せたら、それこそ銃刀法違反で捕まったりしそうだし。
「いや、それは出来ない。だが……そうだな。取調室でこの子に暴行しようとしたという事にしておこう。……それは決して間違いではないだろうし」
TVの中に無理矢理入れようとするのを、暴行と表現してもいいのかどうか俺には分からない。
堂島にしても、無理矢理そういう風にこじつけているだけなのかもしれないが。
とはいえ、警察の中で堂島だけが足立の異常さを知っている以上、それが妥協点か。
ここで下手に足立を連れていくと言った場合、恐らく……いや、ほぼ間違いなく堂島が抵抗するだろう。
堂島にしてみれば、足立は小西をTVの中に入れようとしたのだが、それが具体的にどういう意味を持つのかは分からない。
客観的に見て危険なことなのは間違いなく、そういう意味では放っておく訳にはいかないと思っているだろう。
だがそれでも、やはり俺に……堂島にしてみれば全く詳細が理解出来ない俺に足立を預けたりは出来ないだろう。
こうなると知っていれば、それこそもっとしっかり堂島と……あるいは稲羽署とシャドウワーカーがしっかり協力出来るようにしておいたのだが。
とはいえ、まさかこのような事になるとは誰も想像していなかっただろうけど。
「分かった。なら、俺は一旦天城屋旅館に戻って事情を説明してくる」
「……携帯で連絡を取った方が早いんじゃないか?」
「普通ならそうかもしれないが、俺の場合は直接行った方が早いんだよ。……まぁ、これについてはTVの件もあるし実際に見せた方が早いか。この世界には自分の知ってる常識以外の出来事があるのだと見せてやるよ。不法侵入の件については目を瞑ってくれると嬉しいけど」
「な……そう言えば一体何故……」
今更、本当に今更だが、堂島がそう言う。
いやまぁ、この取調室に入ってきてそれどころではなかっただろうし、仕方がないんだろうけど。
まさか足立の様子を見に来たら、そこで足立が気絶していて、小西がTVに頭を突っ込んでる状態だとは、思いも寄らないだろう。
ぶっちゃけ、もし小西が自分が足立によってTVの中に入れられそうになったと証言しなかったら、俺が足立を気絶させて小西をTVの中に入れたと堂島が判断してもおかしくはない。
「気にするな、その証拠をこれから見せてやる。……行くぞ?」
そう言い、俺は影のゲートを使ってその場から転移するのだった。
「アクセル? どうした?」
天城屋旅館に戻ってきた……正確には天城屋旅館からそう離れていない場所に転移してから戻った俺は、自分の部屋ではなく真っ直ぐにシャドウワーカーが借りている大広間に行った。
そこにはまだシャドウワーカーの人員が何人か残っていて、それぞれの仕事をしている。
携帯を使って色々な場所と連絡を取ったり、稲羽市で情報収集をしている者達からの情報を受け取ってはそれを稲羽市の地図に書き込んだりといったように。
そんな中で、美鶴はノートPCで何らかの作業をしていたものの、俺を見てそう声を掛けてくる。
警察署に行くと言っておいたし、それで何らかの情報を入手したのかもしれないと、そう思ったのだろう。
ある意味で当たりではある。
「大きな情報を拾ってきた」
「ほう」
その言葉を聞いた瞬間、美鶴の表情が真剣なものになる。
それだけではなく、残っていたシャドウワーカーの面々も俺に視線を向けていた。
もっとも、そちらはすぐに自分の仕事に戻ったが。
ただ、自分の仕事に戻りながらも意識というか、耳がこちらに向けられているのは間違いない。
「詳細に言うのと、単刀直入に言うの、どっちがいい?」
「単刀直入な方でいい。それで分からなかったら詳細に聞く」
「稲羽署の刑事の中に、人をTVの中に入れられる能力を持っている者がいた」
「……詳細を頼む」
残念ながらTVに入れる能力という時点では俺の説明を完全には理解出来なかったのか、詳細を話すように言われる。
「スライムを使って情報を収集していたら、何だかトラブルになっているような話が聞こえてきたから、ちょっと様子を見に行ったんだ」
そう言うと、俺の能力を完全に理解している美鶴はともかく、シャドウワーカーの面々は理解出来ないといった様子を見せる。
まぁ、スライムとかそう言われても理解出来なくて当然か。
ともあれ、美鶴は話を理解しているようなので説明を続ける。
「影のゲートを使ってその場所……取調室に行ってみたら、小西早紀という女をビッチ呼ばわりしながらTVの中に入れようとしていた」
「……その、TVの中に入れるという事の意味が分からないのだが」
ビッチという言葉に眉を顰めつつ、美鶴がそう聞いてくる。
美鶴は色々な修羅場を潜ってるのは間違いないが、本質的にはお嬢様だ。
そんな美鶴にしてみれば、ビッチとかそういう言葉はあまり聞きたくないんだろう。
「文字通りの意味でTVの中だ。……ちなみに言うまでもないが、TVのモニタを壊して無理矢理TVの中に入れるとか、そういう意味じゃないぞ? 何と言うか……美鶴に分かりやすい表現をするのなら、影時間のような異空間に繋がっているかもしれない場所にTVを使って出入り出来る能力があって、足立はそういう能力を使えて、小西という女をそこに入れようとしていたようなものか」
「何っ!? 影時間だと!?」
影時間という表現に美鶴が過剰に反応する。
いやまぁ、美鶴にしてみれば影時間という単語を聞き逃したりは出来ないのだから、当然かもしれないが。
「落ち着け。あくまでも比喩だ。実際にTVの中がそのような場所かどうかは分からない。場合によっては、TVの中に入れた時点で死ぬという可能性も……待て、死ぬ? もしかして、山野真由美の件も足立の仕業だったりするのか?」
「どういう意味だ?」
「これはあくまでも予想に予想を重ねたものだから、実際に正しいかどうかは分からない。ただ、もしTVに入った時点で死ぬのなら……マヨナカテレビもそれっぽいだろう?」
俺達がマヨナカテレビについて知った時、それについて話していた高校生は山野真由美がマヨナカテレビに映ったから自分の運命の人だと言っていた。
TVに入れる能力とマヨナカテレビ、どちらもTVが関係している以上は山野真由美の件も足立の仕業だと考えても決しておかしくはない筈だ。
勿論、実際には俺の予想は全く違っていて、足立が山野真由美の事件と関係ない可能性もあるのだが。
「ふむ、TVの中に影時間……というか、タルタロスのような場所があるかもしれない、か。ペルソナについて考えれば、その可能性は否定出来んな」
「だろう? で、どうする? 足立は気絶して、その場に偶然入ってきた堂島が捕らえておくと言っていた。問題なのは、小西早紀……TVに入れられそうになっていた女をどうするかだな。この一件に関わった以上、放っておく訳にもいかないと思うけど」
「そうだな。出来ればこちらで保護するべきだろう。……それにしても堂島というのは、以前私を迎えに来た男か?」
「そうだ。どうやら足立とコンビを組んでるみたいだな。警察官は2人1組というのはよく聞くだろう?」
「……ふむ、そういうものか。だが、その小西という女をこちらで保護するにしても、ずっとという訳にはいかないだろう?」
「だろうな。高校生としての生活もあるだろうし」
そう言えばそもそも何で小西は警察署にいたんだろうな。
今日は平日だ。
つまり学校がある。
なのに、放課後ならともかく日中に警察署にいたのは何らかの理由があっての事なのは間違いない。
それが具体的にどういう理由かは分からないが。
しまったな。堂島に聞いておけばよかったか?
あるいは小西に……は、怯えていたし難しいか。
堂島が一緒にいれば、その辺について話してくれるかもしれないが。
「だが……そのような危険な相手に狙われているのに放っておく訳にもいかんか。護衛を派遣するといった訳にもいかんしな」
「護衛がいると嫌でも目立つしな。……いっそ俺が気配遮断を使って護衛をするという手段もあるが」
「アクセルのような切り札を使う訳にはいかん。そうだな。ここはこちらで保護するメリット、デメリットを教えた上で、その小西という相手にどうするのか決めて貰うのがいいだろう。アクセルの話を聞く限りでは、堂島という刑事には心を許しているようだし、その堂島も警察との連絡役としてこちらに回して貰うのもいいかもしれん」
「分かった。なら、早速稲羽署に戻ってその辺の話をしてくる。美鶴は警視庁に連絡を入れて根回しをしておいてくれ」
「うむ、任せろ」
そうして小西と堂島についての扱いを決めてから稲羽署に戻ったのだが……
「すまん、足立に逃げられた」
稲羽署に戻った俺を出迎えたのは、頭を怪我したのか包帯を巻いた状態で俺に謝罪をしてくる堂島だった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820