転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3590話

 警察署に戻った俺を待っていたのは、怪我をした堂島。

 その堂島の側には小西が付き添っている。

 また、それだけではなく稲羽署の中でも結構な騒動になっているように思えた。

 それが具体的に何を意味してるのかと言えば……警察署の中にあるTVの前にいる多くの刑事達がいる事で何となく予想出来る。

 そして俺と堂島、小西の周囲には他にも何人もの刑事達がいる。

 具体的には、稲羽署の中でも高い地位にいるような者達が。

 とはいえ、俺はそんなお偉いさんは気にしない。

 何しろ稲羽署のお偉いさんという事は、つまり美鶴に嫌がらせをした連中だという事なのだから。

 

「で? あのTVの中に逃げられた、と?」

「そうだ。……まさか他人をTVの中に入れるのはともかく、自分もTVの中に入れるとは思わなかった。いや、入れてもおかしくはないが、彼女をTVの中に入れようとしていた事を考えれば、恐らくTVの中に入れれば死ぬ、もしくはそれに準ずる何かになるんだろう」

「……冷静だな」

 

 堂島の言葉に、思わずそう返す。

 堂島についてはそんなに詳しい訳ではないが、それでも少し話した感じ、頑固というか、頭が柔らかくないというか、そんな感じの人物に思えた。

 とはいえ、それはあくまでも俺がそうだろうと予想していただけで、こうして実際に話をしてみた感じではそうでもないが。

 実際に小西がTVに頭部を突っ込んでいる光景を目にしたからこそ、それを認めるしかなかったというのもあるんだろうが。

 

「堂島君、一体何がどうなっているのかね。人がTVの中に消えるなど……」

 

 俺に無視されていたお偉いさんが、とうとう我慢出来なくなったのか、堂島に尋ねる。

 年齢的には堂島より上といった様子のその男は、恐らく自分が無視されるのには慣れていないのだろう。

 とはいえ、男の地位を考えればそういう風に思ってもおかしくはないのかもしれないが。

 

「そう言われてもですね。副署長も見たでしょう。足立の奴がTVの中に入っていくのを。それが全てです。俺だって足立にあんな能力があるとは思っていなかったんですから、聞かれても知りませんよ」

「そうは言うがね。君は彼の相棒だろう? なら、何らかの事情を知っていても……」

「その辺にしておけ」

 

 堂島に副署長と呼ばれた男の言葉を途中で止める。

 するとその男は、不満そうな、そして面白くなさそうな様子で俺に視線を向けてくる。

 

「君はシャドウワーカーとかいうところに協力している男だったな。そんな君が何故ここにいるのだ? また、今は私が堂島君と話しているのだ。邪魔をしないでくれたまえ」

「その堂島に話を聞いても事情を説明出来ないから、俺が止めてるんだ」

「……ほう? ならば君は何がどうなったのか、事情の全てを理解しているとでも?」

「別にそんな事は言っていないだろう。ただ、事情の全てとはいかないが、それでもある程度の事情については理解してる。考えてもみろ。例え桐条グループ肝煎りの組織だからといって、何故シャドウワーカーが警視庁と協力していると思う?」

 

 そう言い、意味ありげな視線を副署長に向ける。

 するとそんな俺と副署長の会話を聞いていた他の刑事達……いや、刑事以外にも色々といるのかもしれないが、とにかく現在周辺にいる多くの者達がこちらに視線を向けてきた。

 

「何が言いたい?」

 

 そんな周囲の視線を理解したのか、あるいは理解していないのか。

 副署長は俺に疑惑の視線を向けてくる。

 

「さっきそこにいる堂島や小西には言ったが、この世の中には一般常識では理解出来ないような事象もある。足立だったか。あの男が持っていた能力も、その一つだ」

 

 ここで影時間についてとか、そういう話をしてもいいが……事態が大きすぎて、とてもではないが俺の話を信じることは出来ないだろう。

 何しろ月がニュクスという神だとか、影時間によって1日は24時ではなかったとか、そういう話を信じるかどうかは……難しい筈だ。

 

「そのような話を……」

 

 恐らく副署長は、俺の言葉を理解出来ないと、信じられないと言おうとしたのだろう。

 だが、それでも途中で言葉を止めたのは、副署長も足立がTVの中に入る光景を見たからか。

 普通に考えた場合、俺の言葉は信じられない。

 しかし自分の目で直接見てしまった以上は、その言葉を完全に嘘だと、手品だと、妄想だと断じる事は出来なかったのだろう。

 俺は通信機を取り出す。

 ただし、映像スクリーンを展開せず、普通の携帯に見えるようにして美鶴に連絡を取る。

 

『アクセルか、どうした?』

「足立が逃げた。どうやらTVの中に逃げたらしい。それも大勢が見ている前で」

『それは……面倒な事をしてくれる』

 

 スピーカーでの会話なので、この会話は周囲にも聞こえている。

 副署長を始めとしたお偉いさんの面々は、美鶴が口にした『面倒な事』という言葉に不愉快そうな表情を浮かべる。

 いやまぁ、その気持ちは分からないでもない。

 警察署にいた者達にとって、まさかTVの中に入れるというとんでもな……それこそファンタジーといったような能力を足立が持ってるとは、思わなかっただろう。

 あるいは堂島がその辺について前もって説明した可能性はあるが、一般的な常識しか知らなかった者達にしてみれば、とてもではないがその言葉を信じる事は出来なかった筈だ。

 そんなお伽噺のような事を言われても……というのが、お偉いさん達の正直な気持ちだろう。

 

「まぁ、その件はシャドウについて何も知らなかった以上は仕方がないのかもしれないけどな。ともあれ、大勢の前でTVの中に消えてしまった以上、こっそりとシャドウの調査をするのは不可能に近い。それに警察側でも事情を知りたいだろうし。そんな訳で、警視庁の方から説明をして貰えるようにしてくれないか?」

「な……」

 

 ぎょっ、と。

 警視庁の方から話をして貰うという言葉に、俺と美鶴の会話を聞いていた副署長の口から驚きの声が上がる。

 実際にそうして声を上げたのは副署長だったが、話を聞いている他の者達も同じような表情を浮かべている者が多い。

 不幸中の幸いだったのは、その表情の中に馬鹿にした……俺が嘘を言ってるといったように思っている者がいなかった事だろう。

 普段であれば、適当な事を言ってるとか思う者がいてもおかしくはないが、実際に足立がTVの中に消えるという光景を目にしている以上、もしかしたら……と、そう思ったのだろう。

 

『ふむ、そのような光景を見てしまえば、誤魔化す事は出来ないか。分かった、いいだろう。警視庁に連絡をして、詳しい情報を……稲羽署に開示してもいい情報は開示するように要請する』

 

 その言葉に再び話を聞いていた者達……特に副署長を始めとする上層部の表情が驚愕に引き攣る。

 半ば恐怖を覚えているのではないかと思えるような、そんな表情。

 シャドウワーカーが桐条グループ直轄の組織で、警視庁と協力関係を結んでいるというのは、最初に警視庁の方からシャドウワーカーに協力するように言われていたので、それを承知していただろう。

 だがそれでも、まさかシャドウワーカー側から直接警視庁に何らかの要求を出来るとは思っていなかったのだろう。

 ましてや、今の美鶴の言い方だとシャドウワーカーの方が警視庁よりも立場が上であるかのような表現だったし。

 それだけに、上からの命令であったのに、シャドウワーカーを適当に……というか、半ば嫌がらせに近いような形で天城屋旅館を拠点にするように言った事は、稲羽署の上層部にしてみれば致命的なミスだ。

 それが警視庁に知られたらどうしようと、そう思ったのだろう。

 さて、どうするか。

 

「稲羽署からは天城屋旅館を拠点とするように言われたけど、その料金を全て稲羽署が持ってくれるという事で、警視庁に感謝をしておいた方がいいかもしれないな」

『何? ……ふむ、なるほど。その件については感謝する必要があるだろうな』

 

 俺と美鶴の会話に、それを聞いていた副署長や、他のお偉いさんと思しき面々の表情が引き攣る。

 今の会話の裏を理解したのだろう。

 このまま事件が解決するまで天城屋旅館をシャドウワーカーの拠点として使わせて、しかもその料金は稲羽署持ちであるのなら、今までのこっちを妨害したり邪険にするような対応について警視庁に話さないと、そう持ちかけたのだと。

 稲羽署の面々にしてみれば、出費は大きいだろう。

 何しろ俺達が泊まるのは全国的に有名な老舗旅館の天城屋旅館だ。

 事件が解決するまで、ずっとその旅館の宿泊料金を稲羽署が支払うのだから、それが一体どれほどの金額になるのかは分からない。

 とはいえ、地方の警察署とはいえ副署長とかそういうお偉いさんだ。

 数千万円の貯金くらいはあるだろうから、お偉いさん全員で宿泊料金を出せば、負担なのは間違いないが、そこまで大きな負担という訳ではないと思う。

 老後の資金とかに多少は影響してくるかもしれないが……その辺は警視庁からの指示を無視して、シャドウワーカーを適当に扱ったせいだと思って貰おう。

 

「分かった」

 

 不承不承、本当に不承不承といった様子だったが、副署長が俺の言葉に頷く。

 何人かと目配せをしていたのは、他の者達と視線で意見を交わしていたのだろう。

 もしここで天城屋旅館の宿泊料金を支払うのを嫌だと言った場合、どうなるのかは想像するのも難しくないのだろう。

 

「そういう事らしいから、稲羽市でシャドウワーカーの拠点となる場所を改めて探す必要はなくなったみたいだぞ」

『どうやらそのようだな。稲羽署には感謝していると警視庁にも知らせておこう』

 

 美鶴の言葉に、副署長を始めとした数人は、微妙な表情を浮かべる。

 俺と美鶴にやり込められ、その結果として天城屋旅館の宿泊料金を支払う羽目になった事は、向こうにとっても決して好ましくはないだろう。

 だが同時に、警視庁に感謝をしていると美鶴から伝えられるという事は、自分達の評価が上がると考えているのだろう。

 そんな訳で、副署長達にとっては微妙だと思うところも多いらしい。

 

「シャドウの件については、警視庁から説明をして貰った方がいいと思うか?」

『その方がいいだろう。私やアクセルが説明しても、恐らく完全に信じるのは難しい筈だ』

 

 ペルソナを直接見せるとか、刈り取る者を召喚するとかすれば、一般人にしてみれば自分に理解出来ない存在を実際に見られる。

 そう考えれば、いっそここで俺が刈り取る者を見せてもいい。

 ……あるいは、刈り取る者やグリだと刺激が強すぎるのなら、狛治を召喚してもいい。

 狛治はその外見は人に近い……取りあえず刈り取る者やグリと比べれば、相手を脅かすようなことがないのは事実。

 角が生えていたりするので、コスプレをしてるようには思われるかもしれないが。

 止めておいた方がいいな。

 実際にシャドウとの戦いになったら呼んでもいいだろうけど。

 ただ問題なのは、シャドウがどこにいるのか分からないという事だろう。

 いやまぁ、実際には予想出来る。

 TVの中に入るという能力があり、そのTVの中はタルタロスのような一種の異空間となっていると仮定した場合、やはりそこにシャドウがいるのだろう。

 問題なのは、どうやって俺達もTVの中に入るかだろう。

 生憎と、俺や美鶴にはTVの中に入るといった能力はないし。

 ……ないよな?

 

「ちょっと待ってくれ。少し試したい事がある。足立が入ったTVというのは、あれでいいのか?」

 

 美鶴と通信を繋げたまま、ふと思いついたことを口にする。

 

『アクセル? どうした?』

「ちょっと気になった事があってな。足立が入ったTV……他の奴はどうしようもなかったんだよな?」

 

 前半は美鶴に、後半は堂島に尋ねる。

 すると堂島は即座に頷いた。

 

「足立がTVの中に消えてからすぐ……という訳ではないが、数十秒くらいが経過してから手を伸ばしてみたが、TVの画面に当たるだけだった」

 

 数十秒も何をしていたのかと思ったが、考えてみればすぐに分かるか。

 普通に考えて、TVの中に足立が消えた光景を見て、即座に反応は出来ないだろう。

 シャドウミラーの面々であればともかく、ここにいるのは警察官であっても、あくまで一般人でしかない。

 ましてや、警察ではあっても殺人事件とかそういうのは滅多にない、田舎の警察官や刑事達だし。

 

「そうだよな?」

「……そうだ」

 

 堂島が俺の言葉を肯定するが、他の刑事達もその問答には悔しそうな表情を浮かべる。

 TVの中に入るというのはあるが、それによって現実を理解出来ず、その隙に足立を逃がしてしまったというのは、やはり悔しい事なのだろう。

 とはいえ、別に庇う訳ではないけれど俺としてはそうなるのも仕方ないとは思う。

 シャドウとかについて何も知らない者にしてみれば、とてもではないが信じられない光景だろうし。

 足立にとっても、それを狙ってこのTVから中に入ったという経緯はあるのかもしれない。

 そんな風に思いながらTVに手を伸ばし……だが、俺の指はTVの画面に触れた瞬間に止まる。

 しかし、ここでは終わらない。

 右腕に魔力を込めて再度手を伸ばすと……次の瞬間、俺の指はTVの中に入るのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1820
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