映像スクリーンの件が一段落し、シャドウワーカーの者達に色々と話をしていると、小西が戻ってきた。
今更の話だけど、小西が大広間にいない間に映像スクリーンからTVの世界に行けるかどうかを試したのは最善の行動だったかもしれないな。
何しろ小西は自分がTVの中に入れられそうになったのだ。
場合によっては、それがトラウマになっていてもおかしくはない。
そういう風に考えると、やっぱりこれは悪くない選択だったのだろう。
とはいえ、小西にしてみれば堂島に……白馬の王子様に助けられた事件である以上、トラウマどころか寧ろ喜んでいてもおかしくはないか。
「その、美鶴さん、アクセルさん、ちょっといいですか?」
その小西に呼ばれて、俺と美鶴はそちらに向かう。
大広間の中でもシャドウワーカーの面々から十分に離れたところで、小西が口を開く。
「その、今日堂島さんの家に行った後で、私の家に寄ってもいいと堂島さんに言われたんですけど、構いませんか?」
「小西の家に? 荷物を取ってくるとかか?」
小西は足立に稲羽署でTVに入れられそうになってから、そのまま天城屋旅館までやって来た。
つまり着替えを含めて日用品……お泊まりセット? そういうのがないのだ。
まさに着の身着のままといった感じだし。
そんな訳で、小西が着替えとかを取りに戻りたいと思うのは当然の話だった。
ちなみに美鶴の場合は元々ゆかりの卒業旅行でここに来ていたし、結構長い間泊まる予定だったので、着替えとかそういうのは何の問題もない。
シャドウワーカーの面々は、最初からここでシャドウを探したりといった仕事をする……つまり何日も泊まるというのははっきりしていたので、最初から着替えとかそういうのは準備をしている。
もっとも、そういうのを準備していなくてもジュネスがあるので、何か必要な物があればジュネスで購入出来るので問題はない。
人によってはジュネスじゃなくて商店街とかで購入しようと考える者もいるかもしれないが、その辺についてはひとそれぞれなので俺がどうこうと言ったりしても意味はないだろう。
ともあれ、そのような理由から一度家に戻るのかと聞いたのだが……
「ううん、一応家族と話しておこうと思って」
「……なるほど」
考えてみれば小西の家族は桐条グループで匿う事になっているし、小西の弟も転校という扱いになる筈だった。
普通なら転校とかそういう手続きには時間が掛かるのだが、桐条グループの力を使えばその辺は問題ないだろう。
月光館学園に転校するという事になれば余計にその手間は省ける。
それ以外にも車の中で聞いた限り、小西は家族との間で色々と問題があったと聞いてる。
恐らくその辺についても話をしたいと思っているのだろう。
「分かった。俺はそれで構わない。美鶴は?」
「私も問題はない。家族とはしっかり話しておいた方がいい」
美鶴がそう言うのは、美鶴がファザコン気味だからというのもあるのだろう。
ただ、家族という点で考えると美鶴の祖父は影時間を生み出した存在なのだが。
美鶴にとって、祖父がどのような存在だったのかは分からない。
母親は身体が弱かったという話は、以前寝物語で少し聞いた事があったが。
「そうですね。色々と思うところはありますけど、今のうちに出来るだけ話しておいた方がいいのかもしれません。私はこっちに残りますし」
小西は直接足立に狙われた身である以上、それこそ稲羽市から離れても安心は出来ない。
小西の家族はそこまで狙われる心配はないが、家族という事で人質になるかもしれないので、稲羽市から離れて桐条グループが匿う事になっていた。
絶対にまた小西が狙われるとは限らないが、それでも念には念を入れた形だ。
そうして少しの間、小西との会話をし……後はいつ堂島が戻ってくるのかという事になる。
そうなると俺は特に何もやる事がないんだよな。
シャドウワーカーは言うまでもなくシャドウの存在やマヨナカテレビ、足立についての情報をネットであったり、実際に人に聞いたりして入手する。
美鶴はそんなシャドウワーカーの指示役。
小西は雑用。
そうなると、本当に俺はここで何をやればいいのか迷う。
それこそシャドウワーカーの面々のように、色々と話を聞いて回るとかしてもいいんだろうけど。
ただ、ここで俺1人が増えたところで、戦力としてはそんなに違わない。
なら……
「そうだな。俺はちょっと東京に戻ってくる。ゆかりに事情を説明するのもいいし、何より映像スクリーンの中に腕を突っ込めるかどうか、確認しておきたい」
俺や美鶴の予想では、あくまでもマヨナカテレビの噂は稲羽市だけ、あるいは広まっていても稲羽市周辺くらいだと思っている。
とはいえ、それはあくまでもそのように思っているのであって、確認した訳ではない。
そういう意味では、東京に行ってしっかりとマヨナカテレビの噂が流れてないかとか、TVの中に入れるかどうかというのをしっかりと確認した方がいい。
それで問題がなければ、俺や美鶴の予想は合っているという事になるし、間違っていれば東京とかでも普通にTVの中に入れたりする筈だ。
……後者の場合は、どうなっているのかしっかりと調べる必要があるな。
そんな俺の説明に、美鶴は少し考えてから頷く。
「分かった、そうしてくれ。ただし、出来れば堂島が帰ってくるまでには戻ってきて欲しい。何があるか分からんからな」
「堂島が戻ってきてもまだ俺がいなかったら、電話で連絡をしてくれ。そうすればすぐに戻ってくる」
稲羽市と東京はかなりの距離がある。
それこそ電車や車で移動するだけで半日くらい掛かってもおかしくないくらいに。
だが、それはあくまでも電車や車での話だ。
影のゲートを使える俺にしてみれば、それこそ数秒……いや、影に沈めば既にそこは東京なので、数秒も掛からない。
近くのコンビニに行くよりも手軽に、稲羽市から東京に行く事が出来るのだ。
美鶴が気軽にそう言うのは、その辺について十分に理解しているからだろう。
「ゆかりによろしくな」
そうして美鶴と言葉を交わし、俺は大広間から出るのだった。
「さて」
天城屋旅館から出て、人のいない場所で影のゲートを使った俺は、現在東京にいた。
時間的には……ゆかりはどうだろうな。
今日は4月13日なので、既に大学では授業が始まっているのか? それともオリエンテーションとかそういうのをやってるのか。
ともあれ、ゆかりの通っている大学に向かう……よりも前に、東京で映像スクリーンの中に入れるかどうかを試しておこう。
とはいえ、ここは東京。
世界でも有数の大都市だ。
そんな場所だけに、人のいない場所というのは少ないし、そういう場所があっても防犯カメラとかが設置されていたりする。
とはいえ……東京の中にも探せば人のいない公園とかあったりする。
それこそ、ここのどこが東京だ!? と驚くような田舎の光景もあったりするのだ。
そんな自然豊かな公園まで再度影のゲートで移動し、通信機の映像スクリーンを空中に出す。
映像スクリーンが現れても、それを見て驚きの声を上げる者はいない。
いやまぁ、誰もいないのは気配で察して理解していたので、問題はないと思ったが。
それでも一応、本当に一応確認してみる必要があった。
誰もいないのを本当に確認すると、手に魔力を集めてそっと伸ばす。
伸ばされた手は特に抵抗もないまま映像スクリーンに触れ……そのまま貫く。
稲羽市で試した時は、手は映像スクリーンの中に入っており、その裏側に突き抜ける事はなかった。
しかし今は、映像スクリーンを貫いて裏側に姿を見せている。
その様子を見れば、俺と美鶴の予想……つまりTVの中に入れるのは稲羽市だけというのは当たっていたのだろう。
もっとも、これはあくまでも大雑把な判断だ。
もし本当にその辺について調べるのなら、それこそ東京から稲羽市までの間で距離が近くなるたびに調べていく必要があるのだが。
とはいえ、恐らくはやっぱり稲羽市だけの話になると思うのだが。
ともあれ実験は終了した。
そうである以上、これ以上はここにいる必要はないか。
周辺には動物とか鳥とかそういうのはいるけど、人は誰もいない。
そういう意味だと、ここは色々と実験をやるのに向いている場所ではあるんだよな。
「何かやる時は、またここに来るか? ……いや、稲羽市にいる現状では、別にわざわざここに来る必要はないか」
呟きながら、天城屋旅館から見える山を思い出す。
刈り取る者を召喚した時もそうだったが、山の中なら基本的に人に見られるような事はない。
いやまぁ、山菜採りとかそういう人が偶然……という事はあるので、絶対にとは言わないが。
気配を察知すればそういう相手は見つけられるので、稲羽市にいる俺がわざわざ東京までやって来なくても、その辺は問題ない。
そんな訳で、何となくここに来たが……再びここにやって来る事は、絶対にないとは言わないが、可能性は低いだろう。
そう判断すると、俺は影のゲートに身体を沈めるのだった。
「ねえ、お兄さん。格好いいわね。ちょっと暇? 暇なら少し私達と話さない?」
ゆかりが通っている大学の敷地内にあるベンチに座っていると、不意にそう声を掛けられる。
声のした方に視線を向けると、そこには2人の女。
どちらもそれなりに顔立ちが整っており、合コンとかがあれば男が放っておくような事はないだろう。
それだけに、自分の美しさには自信があるのだろう。
俺を誘うという形を取ってはいるが、それが断られるとは全く思っていない様子だった。
とはいえ、実際にゆかりを待っている間、暇なのは間違いない。
少し話をするくらいなら構わない……そう言おうとしたが、そう言おうとしたのを途中で止める。
何故なら、丁度このタイミングで建物から出て来たゆかりの姿を見つけたからだ。
「悪いな、時間があったら話してもいいと思ったんだけど……どうやら待ち合わせの相手が来てしまったらしい」
そう言うと、2人の女は俺の視線を追う。
その先には俺の方に向かってくるゆかりの姿。
ただし、その表情には呆れの色が強い。
そんなゆかりが2人の女に視線を向けると、2人の女は慌てた様子で去っていく。
「あ、あははは。何だ、待ち合わせの相手がいたの。じゃあ、しょうがないわね」
走りはしていないものの、早足でその場を立ち去る2人の女。
無理もないか。
あの2人もそれなりに美人だったが、今のゆかりは俺が言うのもなんだが、かなりの美人と呼ぶに相応しい。
さっきの2人がクラスでトップクラスの美人だとしたら、ゆかりは学校で1番の美人といったところか。
もっとも、実際には月光館学園には美鶴がいたので、その時は美鶴の方が美人という意味では上だったが。
ただし、ゆかりの場合は美人な上に付き合いやすい気軽さがあるので、そっち方面では美鶴を上回っていたが。
そんなゆかりの姿に、あの2人は勝てないと考えて立ち去ったのだろう。
下手にゆかりに絡んだりしないのは、双方にとって幸運だった。
「アクセル、待たせたみたいね。気が付けば口説いてるんだから。……いえ、口説かれてるのかしら?」
「口説くも何も、ちょっと話をしていただけだよ」
「そう? 私から見たらあの2人は完全にアクセルを狙っていたように見えたけど。まぁ、それはいいとして。どこか喫茶店にでも行く? 向こうでの話を聞きたいし」
「一応、美鶴から知らされてるんだろう?」
ゆかりはシャドウワーカーに協力する事も多い。
その辺は美鶴と一緒に俺の恋人になってるからというのもあるのだろうが。
また、今回の一件でも最初からそれなりに関わっている以上、美鶴とは連絡を取り合っていた筈だった。
「そうだけど、それでもアクセルから直接聞きたいの」
そう言われれば、鼈に俺にも断る理由などない。
ゆかりが大学で知り合った友人から聞いたという喫茶店に向かう。
「この喫茶店、紅茶が美味しいのは勿論だけど、BLTサンドが美味しいらしいのよ」
「喫茶店らしい……のか?」
BLTサンド。
それはベーコン、レタス、トマトのサンドイッチの略称だ。
もっとも、実際にはそれ以外にもチーズや卵といった食材が入っていたり、他にも幾つかの具材が入っていたりするのだが。
「喫茶店らしいんじゃない? 私は喫茶店のBLTサンドって聞いただけで、何か美味しそうな気がするけど」
「そうだな。喫茶店らしいと言えばらしいな。……それで稲羽市の件だが」
BLTサンドを食べつつ、稲羽市での話をする。
そんな中で特にゆかりが不満そうだったのは……
「何それ。じゃあ、その小西って子に言い寄ってそれでフラれたからってTVの中に入れようとしたの? 最っ低」
足立と小西の一件を話すと、ゆかりはそう言う。
人によっては、ゆかりのような美人から蔑まれた目でそんな事を言われるのはご褒美だと言いそうだが……その視線の鋭さを思えば、とてもではないがそんな風には思えなかった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820