喫茶店でゆかりと話をしていると、不意に通信機に連絡が入る。
喫茶店の中なので、映像スクリーンを出したりせず普通の携帯の要領で通信に出ると……
『アクセルか。堂島が戻ってきたぞ。そろそろ戻って来い』
「堂島が? もう戻って来たのか。早いな」
『それなりに時間が経っている以上は早いとは言えないと思うがな』
「何?」
美鶴の言葉に時間を確認してみると、既に午後4時を回っている……というか、午後5時近い。
確かに俺がゆかりと喫茶店に入ってからそれなりに時間が経っているのは間違いなかった。
最初に頼んだBLTサンド以外にも、ナポリタンやフレンチトースト、エビピラフ、イチゴパフェ、ケーキセットの器がテーブルの上にある。
ちなみゆかりが食べたのはケーキセットだけで、それ以外は全部俺だ。
この喫茶店、ゆかりがいい店だと大学で知り合った友人から聞いたという話だったが、当たりだったな。
どの料理も美味い。
勿論、四葉が作る料理とかには劣るが、それは比べる方が間違っているだろう。
客観的に見た場合、この喫茶店の料理は間違いなく平均点以上なのだから。
「悪い、ゆかりと話していて時間を忘れてた。じゃあ、すぐにそっちに戻るから」
『急げよ』
そう言い、通信が切れる。
「そんな訳で、悪いけどそろそろお開きだ」
「仕方ないわね。美鶴さんも待ってるし、いつまでも私がアクセルを独り占めする訳にもいかないもの。けど、また時間が出来たら会いに来てよね。約束よ」
ゆかりの言葉に、俺は当然のように頷くのだった。
「悪いな、待たせたか?」
天城屋旅館にある大広間に戻ってくると、そこには既に堂島の姿があった。
他にも美鶴と小西が……そして日中は外で情報収集をしていたシャドウワーカーの面々も多くが戻ってきている。
とはいえ、今の時間を考えればそんなにおかしくはないのか?
けど、5時くらいとなると仕事帰りとかも多くなるし、情報収集という意味では寧ろ日中よりも向いてると思うが。
「戻ってきたか。電話をしてからまだそんなに時間は経っていないのだ。時間については気にするな。……さて、そんな訳で全員揃ったし、まずは堂島の家に行くか」
構わないな?
そんな視線を美鶴が堂島に向ける。
堂島は当然といった様子で美鶴の言葉に頷く。
堂島にしてみれば、今回の件……堂島の甥の鳴上悠という人物がペルソナ使いではないと、そう示すいい機会だと思っているのだろう。
もっとも、見てもすぐに相手がペルソナ使いだと認識は出来ないが。
それこそ探知能力に特化したペルソナでもあれば、もしかしたら分かるかもしれないが。
ただ、今の状況では美鶴のペルソナのアルテミシアでもそういう事は出来ない。
とはいえ、ペルソナ使いだと絶対に認識出来ないとも限らないのだが。
とにかく今は、実際に会ってみるのが最優先だ。
「小西の方も問題はないな?」
「はい。堂島さん……いえ、警察の方からもう連絡は行ってる筈なので。一応今日は店も臨時の休業にしたみたいです」
美鶴の言葉にそう返す小西。
普通に考えれば、自分の娘が警察署で刑事に襲われたのだ。……それも性的な意味ではなく、殺意的な意味で。
そうである以上、悠長に店を開く事は出来ないだろう。
「親御さんはお前を心配してるんだ」
「……堂島さん……」
小西は堂島の言葉に、そう声を返す。
あるいはこのまま放っておけば、もしかしたら小西と堂島の間で恋愛的な意味での進展があった可能性もある。
だが、ここでいつまでもそのような事をしていても、話は進まないと判断したのだろう。
美鶴が小さく咳払いをする。
「コホン。……すまないが、ここは仕事場だ。そういう真似をするのは遠慮して欲しい。それに、今はまず堂島の家に行くのが先決だろう」
「あ……」
美鶴の言葉で我に返ったのか、小西は慌てたように周囲を見回す。
そうして自分が注目の的になっているのに気が付くと、顔を赤くして俯く。
堂島とのやり取りで、周囲の状況についてはすっかり忘れていたのだろう。
……何人かのシャドウワーカーの男、その中にはアルテミシアに吹き飛ばされた男もいたが、そんな小西の様子を見て残念そうにしていたが。
シャドウワーカーに所属するのは、20代の者も多い。
そういう者達にしてみれば、30歳から40歳くらいに見える堂島を小西が意識してるというのは納得出来ないし、残念なのだろう。
美鶴に妙なちょっかいを出さないよな……いや、出さないか。
もし美鶴に妙なちょっかいを出そうものなら、間違いなく処刑が待ってるし。
そうなった時の処刑は、アルテミシアを堂島や小西に見せた時のような軽い処刑ではなく、ブフ系の魔法を使われてもおかしくはない。
美鶴のその辺の潔癖さ……潔癖さ? うーん、美鶴を潔癖と表現してもいいのかどうか。
何しろ夜には複数人での行為を楽しんでいるし。
まぁ、自分が許した相手ではない限り肌を許さないという意味では潔癖なのかもしれないが。
そんな訳で、潔癖と言えば潔癖な美鶴の性格はシャドウワーカーの者達なら全員が分かっているので、そういう意味では安心だろう。
「とにかく行くとするか。いつまでもここにいるのは、小西にとっても嬉しい事じゃないだろうし」
そんな風に言い、堂島の車で堂島の家に向かうのだった。
ちなみに一応車に乗る前に美鶴やシャドウワーカーの面々には、東京で映像スクリーンを展開してみたものの、その中に入るようなことは出来なかったというのは説明しておいた。
「お父さん、お帰り! えっと……あれ?」
少し古めの家……味がある家というのが正しいのかどうかは分からないが、とにかくそのような家の中に入ると、子供が俺達を出迎える。
年齢としては、まだ10歳にもなっていないようなくらいか?
堂島が帰ってきたのを見て嬉しそうにしていたものの、俺と美鶴、小西がいるのを見て不思議そうな表情を浮かべる。
「ただいま、菜々子。もっとも、またすぐに出掛けるけどな。この人達は父さんの友達だ。それで……悠の奴はどうした?」
そう言う堂島だったが、堂島の娘……いや、それだと言いにくいし、堂島と呼ぶのは親の方の堂島とどっちか判断出来ないから、菜々子でいいか。
「お兄ちゃん? お兄ちゃんは……」
菜々子と呼ばれた子供が何かを言おうとするが、その前に2階に続く階段から1人の男が姿を現す。
高校生くらいの年齢の男。
「おかえりなさい、おじさん。その人達は?」
菜々子と同じような反応を示す男。
いや、高校生くらいの男という事を考えれば、恐らくこの男が……
「悠、いたか。この人達は俺の知り合いだ。これからこの子の家に行くんだが、その前にちょっと家に寄っただけだ」
「家に寄るって、何で? おじさんの性格から考えると、仕事の途中で家に寄ったりとかはしないと思うけど」
鳴上の言葉に堂島は少し困った様子をする。
お前がペルソナ使いかどうかを確認する為に寄った……などとは、普通は言えないだろう。
鳴上の言葉に何かを言おうとする堂島だったが、その前に美鶴が1歩前に出る。
「君が鳴上悠か。堂島刑事から話を聞いて、少し会いたいと思ったのだ。それでタイミングもよかったのでこうしてお邪魔させて貰ったんだ」
「え? 俺に、ですか?」
突然の美鶴の言葉に戸惑った様子を見せる鳴上。
無理もないか。
鳴上にしてみれば、まさかわざわざ自分に会いに来る相手がいるとは思ってもいなかったのだろう。
ましてや、その相手が美鶴のような美人だ。
調子に乗りやすい性格をした者であれば、それこそ有頂天になって騒ぎ出してもおかしくはない。
美鶴はそれ程の美貌の持ち主なのだから。
「桐条美鶴だ」
そう言い、握手を求めるように手を伸ばす美鶴。
鳴上はそんな美鶴の手を戸惑いながらも握り返す。
この様子を見る限りでは、鳴上は美鶴の名前を聞いても桐条グループの令嬢だとは分かっていないらしい。
当然か。
桐条という名字はそれなりに珍しいかもしれないが、だからといって日本に1つだけの名字という訳でもない。
たまたま桐条グループと同じ名字を持っているとはいえ、普通に考えればそれだけで別人ではないかと思ってもおかしくはない。
「鳴上悠です」
美鶴にそう自己紹介をする鳴上。
美鶴は鳴上の言葉に頷くと、握手を止める。
そうしたやり取りをしている横では、小西が菜々子と挨拶を交わしていた。
「へぇ、じゃあ菜々子ちゃんは小学校1年生なんだ。学校は楽しい?」
「えっと、うん。楽しいよ」
「そうよね、小学校の時って何だか妙に学校が楽しく感じられるのよ。私も楽しかった覚えがあるわ」
「お姉ちゃんも?」
「ええ、そうよ。友達と遊んだりするのが好きだったわ」
「そうなんだ。私もね、お友達と一緒に遊ぶのは好きだよ」
こっちの方はこっちの方で、俺が予想していたよりも随分と上手くやっているらしい。
小西にしてみれば、将を射んと欲すればまず馬を射よの気持ちから、堂島の娘の菜々子と良好な関係を築きたいと思っているのだろう。
あるいはそういうのとは全く関係なく、菜々子が可愛いと思ったのか。
……何となく後者な気がするな。
正確には最初は企み半分だったが、直接菜々子に会って可愛いと思うようになったといった感じか。
菜々子の方も小西に懐いている様子を見せる。
「それで、悠は学校の方はどうだ?」
「うん、何人か友達が出来たよ。花村とか」
「え? ちょっと、もしかしてそれって花村陽介?」
菜々子と話していた小西が、堂島と悠の会話を聞いてそう口を挟んでくる。
鳴上は小西のその言葉に少し驚いた様子を見せて口を開く。
「ええ、そうですけど……」
「あ、自己紹介するね。私は小西早紀。花ちゃん……花村陽介の友達よ。ジュネスでバイトをしててね」
花ちゃん……その花村陽介というのがどういう相手なのかは分からないが、名前からして男だろう。
花ちゃんという呼び名は決して嬉しくないと思うんだが。
いやまぁ、その辺については俺がどうこうと言っても意味はないと思うけど。
「そうですか。花村が……」
「花ちゃんはちょっとウザいと思う時もあるかもしれないけど、その時はちゃんとそう言ってあげてね」
「あはは。分かりました」
そうして数分会話をすると、不意に堂島が口を開く。
「おっと、いつまでもここで話している訳にもいかねえか。……悪いな、悠。今日はちょっと遅れるかもしれない」
そう言い、堂島は俺達を促して家の外に出る。
玄関の扉を閉めて、車に向かう。
そこまでは誰も口を開かず、もう5時すぎで薄暗い中で皆が車に乗り……
「どうだった?」
全員が車に乗ったところで、堂島が口を開く。
それが誰に対する言葉なのかは、明らかだ。
俺でも小西でもなく……
「正直なところ分からん。ただ、何となく……本当に何となくではあるが、恐らく鳴上悠はペルソナ使いではないと思う。特に何か証拠があっての事ではないがな」
「そうか」
はぁ、と大きく息を吐く堂島。
堂島にしてみれば、自分の甥がペルソナ使いと堂島にとっては理解出来ない存在ではなかった事が嬉しいのだろう。
堂島にしてみれば、そんな風に思うのは当然の事なのかもしれないが。
俺にとっても鳴上がペルソナ使いではないというのはちょっと予想外だった。
稲羽市に来たタイミングから考えて、恐らく鳴上がこの事件の原作の主人公で間違いないと思っていただけに。
「アクセルの言う運命とやらも、どうやらあいつを選ばなかったみたいだな」
「どうやらそうらしい」
堂島の言葉にそう返すも、それでも何となく……本当に何となくだが、俺は鳴上がこの世界の原作と関係がないとは思えなかった。
そう思った根拠の1つに、小西の存在がある。
いや、正確には小西の知り合いだという花村。
その花村と鳴上は友人らしい。
転校してきて数日程度で鳴上が花村と……場合によっては山野真由美に続く殺人事件の被害者となっていた小西と友人?
普通に考えれば、やはり鳴上が怪しい――犯人的な意味ではなく、主人公的な意味で――のは間違いない。
とはいえ、美鶴の様子を見る限りでは鳴上はペルソナ使いではないっぽい。
そうなると考えられる可能性としては、鳴上はまだペルソナに目覚めてないとか?
実際、ニュクスの一件でも主人公だった有里は月光館学園に転校してきてから数日はペルソナに目覚めてなかったらしいし。
だとすれば、まだ鳴上が主人公という可能性は否定しきれない……と思う。
とはいえ、それはあくまでも仮定の話でしかないが。
実は全く関係ない場所に主人公が存在する可能性も完全には否定出来ない。
「じゃあ、コニシ酒店に向かうぞ。そこで小西の家族に話をする必要がある。一応稲羽署から連絡は行ってると思うが」
「……うん」
堂島の言葉に、小西が短く頷く。
家族との間に色々と問題があるって話だったしな。
とはいえ、一応ある程度は解決したらしいが。
これから行くコニシ酒店で一体どういう会話がされるのか。
もっとも、基本的に説明をするのは刑事の堂島と、向こうで桐条グループが匿う関係から美鶴だけなのだが。
そういう風に思いながら、俺は堂島が運転する車の中で外の景色を眺めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820