転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3602話

「では、この稲羽市で明日から本格的に動く事になると思うが、その為の英気を養ってくれ。……乾杯!」

『乾杯!』

 

 美鶴の言葉に、大広間にいる者達が全員コップを掲げ、近くにいる者達とコップをぶつけ合ってから飲む。

 俺もまた、美鶴や早紀とコップを軽くぶつけてから、ウーロン茶を飲む。

 現在大広間には稲羽市にやって来たシャドウワーカーが全員集まっている。

 俺と美鶴、早紀の姿もそこにはあった。

 堂島は菜々子の世話があったりするので、もう自分の家に戻っているが。

 こうして大広間で宴会を行っているのは、明日からの仕事の為に少しでも士気を上げる為だろう。

 とはいえ、今はこうして雨が降っており、このまま日付が変わるまで雨が降り続けた場合、マヨナカテレビを見られる……かもしれない。

 雨が止めば意味はないのだが。

 とにかくそんな訳で、マヨナカテレビを見るかもしれない以上は酒は禁止にされたらしい。

 俺にとっては、美鶴のこの判断は非常に助かるものだったが。

 何しろ俺が酒を飲んだら……うん、考えないようにしよう。

 早紀は勿論、シャドウワーカーの中にいる女達もどうなるか分からない。

 それどころか、天城屋旅館が……いや、下手をすれば稲羽市そのものがどうなるか分からないのだから。

 だからこそ、美鶴のこの判断は最善のものだった。

 

「うわっ、美味しい!」

 

 そんな声が聞こえてくる。

 料理は1人ずつの小さな鴨鍋……鴨鍋? 合鴨の場合でも鴨鍋と呼んでいいのかどうかは、ちょっと分からないが、とにかく鴨鍋がある。

 美鶴から聞かされた、無農薬栽培している水田で合鴨を放して飼育したもの。

 ただし今が4月であるのを考えると……どうなんだろうな。

 基本的に春に稲を植えるという形になり。秋になって米の収穫が終わったら合鴨を肉とするのが普通らしい。

 だとすれば、この鍋に使われている合鴨の肉は去年の合鴨を解体して冷凍してあった奴か、あるいは去年の米の収穫が終わっても合鴨をすぐに絞めないで飼育を続けていて、昨日か今日か分からないが解体したとか?

 いや、ないな。

 鍋の肉を一口食べて、そう判断する。

 あくまでも俺が知ってるのは合鴨ではなく鶏に関しての話だが、若くない……いわゆる老鶏と呼ばれる鶏は肉が硬い。

 出汁を取るには若鶏よりも向いているのだが、こうして肉を食べるという意味では、食べられない訳ではないが、かなり硬いのだ。

 だが、この合鴨の肉は柔らかい。

 

「うん、これは美味いな。肉も柔らかくて、肉に火を通しすぎていないから肉汁も逃げていない」

 

 幾ら柔らかい肉であっても、長時間火を通し続ければどうしても硬くなる。

 そこから更に煮込み続ければ、口の中で崩れるくらいに柔らかくなったりするのだが……個人的には、そういうのよりも適度に火を通して噛み応えのある肉の方が好みだ。

 

「うわ、本当だ……」

 

 しみじみといった様子で早紀が呟く声が聞こえてくる。

 早紀にしてみれば、天城屋旅館は近くにある旅館だが、だからこそ泊まったことはなかったのだろう。

 

「合鴨の肉も美味いが、このつみれもかなりのものだ。細かい仕事がされているな」

 

 美鶴は合鴨の肉よりも、一緒の鍋に入っていたつみれの方が美味いと思ったらしい。

 そんな美鶴の言葉に、俺もつみれに箸を伸ばし……

 

「確かにこれは……」

 

 つみれというのはそれなりに食感のあるもの……言い換えれば噛み応えがある食材という認識が俺の中にはあった。

 だが、このつみれは違う。

 柔らかい……非常に柔らかい食感で、それこそ歯を使わなくても食べられるのではないかと思えるような、そんなつみれ。

 あれだ。普通のハンバーグと比べて豆腐ハンバーグはかなり柔らかいが、それをもっと極端にしたような感じ。

 一体どうやってここまで柔らかくしてるんだろうな。

 正直なところ分からない。

 四葉がこのつみれを食べれば、その辺も分かるのかもしれないが。

 

「他の料理も美味しいですよ。この魚の塩焼きなんか、皮がパリっとして、中の身は柔らかくて」

 

 そう言ったのは、ヤマメの塩焼きを食べている男。

 それが美味いのは、俺にも分かる。

 だが、俺と美鶴は既に天城屋旅館に数泊しており、同じような塩焼きを何度か食べている。

 これが秋の鮎……いわゆる落ち鮎とかだと、もっと美味いと思うんだが。

 落ち鮎というのは、簡単に言えば卵を持った鮎だ。

 そう簡単に入手出来る食材ではないが、食べると美味いんだよな。

 あるいは食べると美味いから、そう簡単に出回らないのか。

 もしくは卵を持った鮎を食べるんだから、資源保護的な意味であまり獲らないのかもしれないな。

 どのみち今は落ち鮎を食べることが出来ないんだから、考えても仕方がないか。

 秋になるまで足立やマヨナカテレビの件で稲羽市にいれば、落ち鮎を食べる機会もあるかもしれないが。

 いや、その前に夏の鮎か。

 ……それ以前に、出来るだけ早く足立やマヨナカテレビの件を解決するのが最善なのは間違いないが。

 

「山菜の炊き込みご飯も美味しい」

 

 聞こえてきたその声に、俺も気になって山菜の炊き込みご飯を食べる。

 それは確かに美味かった。

 以前、俺が採ってきた山菜で色々と料理を作って貰った事があったが、あの時よりも料理の味は上だと思う。

 これは俺の採った山菜と、本職が採った山菜の質の違いか。

 もしくは料理人が片手間で作った昼食と、本気で作った夕食の違いか?

 間違いなく、以前よりも美味い。

 

「そうか? 私はアクセルが採ってきた山菜を使った料理の方が美味いと思ったが」

 

 美鶴の言葉は嬉しいが、それは多分恋人の俺が採ってきたからというのが大きいんだろう。

 

「美鶴さん、ありがとうございます! 明日から頑張りますね!」

 

 シャドウワーカーの一人が美鶴に向かってそう言う。

 美鶴はその言葉に対して呆れの表情を浮かべる。

 

「出来れば今日から頑張って欲しかったのだがな。……それと、皆に報告しておく事がある。数日中に援軍が来るから、そのつもりでいて欲しい。ああ、一応言っておくけど援軍はシャドウワーカーの者ではなく、アクセルの仲間だ」

 

 ここでシャドウミラーという単語を口にしなかったのは、早紀がいるからだろう。

 今回の件に思い切り巻き込まれた早紀だったが、本人は別にシャドウワーカーに所属している訳ではない。

 それだけに、シャドウミラーについて美鶴も口に出すことはなかったのだろう。

 そもそも早紀がここにいるのは、足立から守って貰うというのもあるのだろうが、本人にしてみれば一番重要なのは堂島の側にいられるという事だろうし。

 正直なところ、この2人の関係が上手くいくとは到底思えないんだが。

 何より年齢差が大きい。

 一応来年には早紀も高校を卒業するので、堂島と付き合っても問題はないんだが……だからといって、堂島が早紀の気持ちを受け入れるとは思えない。

 もっともそれはあくまでも俺の予想だし、ぶっちゃけ俺が恋愛関係に強くないというのは、自分でも十分に理解出来ている。

 そうである以上、俺の予想が外れる可能性は十分にあったのだが。

 とはいえ、20歳以上年の差があるとなると……うん。

 世の中には50歳以上の年齢差がある夫婦とかいるが、それは非常に稀な例だ。

 これで堂島がどこかの大会社の社長か何かで、早紀を愛人として囲うというのなら分からないでもないが、堂島は刑事だし、何よりも生真面目な性格なんだよな。

 その辺は早紀に頑張れと言うしかない。

 実際にどうなる……結ばれるにしても、フラれるにしても、結局のところ本人が納得出来ていれば十分だろうし。

 

「その、アクセルさん。どういう人が来るんですか? 聞いた話によると、アクセルさんの仲間は色々と特殊な人が多いとか何とか」

 

 シャドウワーカーの1人が、恐る恐るといった様子で尋ねてくる。

 シャドウワーカーの面々は一応シャドウミラーについても知っているので、それこそ中には角が生えてる奴がいたりするのも知ってるのだろう。……具体的には狛治とか。

 

「悪いが、誰が来るのかは俺も聞いていない。向こうの方である程度調整して、それから決めるらしい」

「それは……出来ればいい人が来て欲しいですけど」

 

 いい人というのが、どういう意味でのいい人かというのは不明だ。

 性格的にいい人なのか、いい性格の人なのか。

 これだけでも、表現が少し違うだけで意味そのものが大きく変わるし。

 

「取りあえず腕がいい奴なのだけは保証するよ」

 

 これはお世辞でも何でもなく、純然たる事実だ。

 レモンが言うには実働班から派遣する人を選ぶという話だったし。

 だとすれば、技量という意味では保証出来る。

 基本的にPTとかの機動兵器の操縦がメインの実働班だが、生身での戦いについてもエヴァからしっかりと仕込まれているし。

 ……いっそエヴァが来てもいいんだけどな。

 生身での戦力として考えれば、一級品だし。

 それこそタルタロスのような場所……恐らくはTVの中にある場所での戦いで刈り取る者の仲間とかが出て来ても、エヴァなら普通に渡り合える……どころか、勝利出来るだろうし。

 とはいえ、エヴァが来るのは難しい……いや、そうでもないか?

 現在のエヴァは、鬼滅世界で旅行三昧を楽しんでいる。

 日本文化、それも最近のではなく伝統的な文化を好むエヴァにしてみれば、ペルソナ世界の東京とかはわざわざ来たいとは思わないだろう。

 だが、この稲羽市はどうだ?

 稲羽市そのものは典型的な田舎だが、この天城屋旅館は老舗旅館として全国的に有名だ。

 エヴァにとっても、天城屋旅館は楽しめる場所ではないのか。

 ……一瞬そう思ったが、やっぱり鬼滅世界には負けそうだよな。

 ホワイトスターと繋がっている世界は多数あるが、そんな中でも過去の日本に行けるのは鬼滅世界だけだし。

 あるいはこの先、もっと別の……それこそ江戸時代とかが原作の世界に行くとかいう事があれば、それはそれでエヴァも喜ぶかもしれないが。

 後は……江戸時代は江戸時代でも、新撰組とかが出てくる幕末とか。

 ただしそういう世界に行っても、エヴァは嬉しいかもしれないがシャドウミラーという国にとってはあまりメリットがないんだよな。

 基本的にシャドウミラーが他の世界……原作のある世界に関与するのは、未知の技術の収集が目的だ。

 そんな中で江戸時代や幕末となると……技術らしい技術は基本的にないだろう。

 だとすると、人材か?

 実際、新撰組を始めとして幕末ともなれば結構な人材が存在するだろうし。

 だがそういう人物は基本的に意思が強い。

 シャドウミラーに来ないかと勧誘しても、そう簡単に受け入れるとは思えなかった。

 また、幕末でこそ新撰組とかは剣客集団として有名だったが、だからといってシャドウミラーでやっていけるのかというのもあるし。

 

「なぁ、新撰組がいきなりこの世界にやって来て、普通に暮らせると思うか?」

「……アクセル? もしかして酔ってるのか? いや、アクセルが酔ったらこの程度じゃない。だとすれば一体何が? もしかして、シャドウや足立の何らかの攻撃?」

「悪かった。今のはただ思いついた事を口にしただけだ。落ち着け」

 

 不意に出た俺の言葉に、美鶴が半ば混乱した様子を見せるのを見てそう言う。

 

「本当だな? アクセルが酒を飲むと、とんでもない事になるのだから。絶対に酒を飲むような真似はするなよ?」

 

 改めてそう言ってくる美鶴だったが、俺としてはその言葉に反論は出来ない。

 今まで俺が酒を飲んで一体どのような騒動を起こしてきたのかを考えれば、それは当然だろう。

 

「分かってる。俺には酒を飲む気はないから、気にしないでくれ。……それより、食事が終わったら今日はマヨナカテレビを試すから、全員ここに残るように言ってくれよ」

「……マヨナカテレビに全員?」

 

 俺の言葉に反応したのは早紀。

 いや、早紀が反応する事そのものはおかしな話ではない。

 何しろマヨナカテレビの噂は八十神高等学校の学生が話していたのを聞いて判明したのだから。

 そして早紀も八十神高等学校の生徒である以上、マヨナカテレビについて詳しくてもおかしくはない。

 

「どうした?」

 

 不思議そうな早紀の様子に、美鶴も気になったのだろう。

 そう尋ねる。

 俺と美鶴の視線を受けた早紀は、少し戸惑ったように口を開く。

 

「その、私が知っているマヨナカテレビの噂って、雨の降っている夜12時に……1人でTVを見るというものなんですけど」

「え? そうなのか?」

 

 早紀の言葉にそう尋ねる。

 だが、早紀は俺のその問いに当然といった様子で頷く。

 

「はい、私が知ってる限りだと」

「……だとすれば、もしかして以前マヨナカテレビを見ようとした時に、微妙に何かが映ったように見えたのは、どうだったんだ?」

 

 数日前にマヨナカテレビを見ようとした時は、俺だけではなかった。

 だが、映像スクリーンにはしっかりとではないが、それでも何かが映っているように思えた。

 それが一体何だったのか。

 あるいは普通のTVではなく映像スクリーンだからそうなったのか、あるいは俺が持つ魔力の影響なのか。

 ともあれ、ここでマヨナカテレビを見ようとしている以上、日付が変わる頃にははっきりとする筈だった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1820
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