「んん……んー……ああ」
目を覚ました時、最初自分がどこにいるのか分からなかった。
それでも起きて部屋の中を見て……そして隣に寝ている美鶴を見れば、ここがどこかを理解出来る。
ちなみに美鶴は俺の隣に眠っているが、見慣れた裸という訳ではない。
浴衣を着て寝ている。
当然だろう。昨夜はそういう行為をしていないのだから。
個人的にはしたかったのだが、美鶴にしてみれば今はもう卒業旅行から仕事で天城屋旅館にいる事になっているだけに、そういうことをするつもりはなかったのだろう。
仕事もそうだが、同じ屋根の下にシャドウワーカーの面々がいるのも影響してるのかもしれないが。
「ん……? アクセル?」
「おう、美鶴も起きたみたいだな。おはよう」
「おはよう……ふふ……」
俺の言葉に返しながらも、幸せそうな笑みを浮かべる美鶴。
あ、これは完全に起きてはいないな。
まだ少し寝惚けている時の美鶴だ。
普段は凜々しい……それこそ年下どころか年上の女にまでモテるような――勿論その美貌は男も釘付けにするが――美鶴だったが、寝起きで寝惚けている時はこういう表情も浮かべる。
こういう美鶴の姿を見る事が出来るのは、俺やその恋人達だけの特権だな。
そんな風に思いつつ、俺はこっちに向かって伸ばされた美鶴の手を握る。
その感触に笑みを浮かべていた美鶴だったが……やがて数分も経過すると、美鶴のその顔が赤く染まっていく。
寝惚けていたのが我に返ったのだろう。
そのような状況であっても、美鶴が手を放す事がないのは……うん、普段の美鶴とは違って可愛らしいな。
「おはよう」
先程と同じくもう一度朝の挨拶をする。
すると美鶴は、布団の中に入りながら……
「おはよう」
小さな、だがしっかりと聞こえてくる声で挨拶をするのだった。
「さて、朝食はしっかりと食べたな? 今日から本格的にシャドウ……いや、足立の捜索やマヨナカテレビについて調査をする。また、他にもこの稲羽市には私と同じようなペルソナ使いがいる可能性があるから、その捜索もして貰う」
大広間に美鶴の声が周囲に響く。
その言葉に、シャドウワーカーの面々、それと早紀は真剣な表情で頷く。
ちなみに堂島はまだ来ていない。
……今更だけど、堂島が俺達との折衝役というか、連絡役というか、そういうのに選ばれたのって、やっぱりコンビを組んでいた足立が今回の騒動の裏にいたからだよな。
その為、ある意味左遷的な。
シャドウワーカーは桐条グループの直轄組織である以上、左遷的な意味はあまりないように思えるが。
あ、でも以前まだ足立が正体を現してなかった時、美鶴を迎えに来たのも堂島だったよな。
その時は足立がいなくて1人だけだったが。
そう考えると、別に足立の件がなくても堂島が俺達と一緒に行動する役を任されたのかもしれないが。
「また、近いうちにアクセルの仲間がこちらに合流するという話だ。そうなれば戦力も強化されて、もしシャドウと遭遇しても対処するのは難しくないだろう。他のシャドウの件で出払っているチームがこちらに合流するのもそう遠くないとは思う。その為、今の私達に出来る事は少しでも多くの情報を集めておくことだ。では、解散!」
美鶴の言葉に従い、シャドウワーカーの面々は仕事を始める。
それを見ていた俺だったが、今日は一体どうするべきかと迷う。
一応シャドウワーカーの協力者という立場になってはいるものの、だからといって俺がすぐに何かやるべき事がある訳でもない。
これでシャドウとかが現れたとかなら、実際に戦闘要員として戦う事も出来るのだろうが。
だとすると、今のこの状況で俺が出来るのは……あ、やるべき事があったな。
皆が仕事を始め、シャドウワーカーの半数程は情報収集の為に大大広間から……いや、天城屋旅館から出ていく。
早紀もその手伝いをしていた。
ちなみにその早紀がどこか嬉しそうなのは、もう少しで堂島が来るから……というのもあるが、昨日稲羽市から東京に避難した家族から連絡があったかららしい。
今朝、それこそ家族からの電話で目が覚めたとか。
家族が無事に避難出来て、安心を確保したのが早紀にとっては嬉しかったのだろう。
ジュネスでバイトしている件で家族の関係が微妙な早紀だったが、その辺は家族に危険が迫っているという事で、解決したらしい。
「美鶴、俺は今日特にやるべきことがないから、TV……正確には映像スクリーンだが、その中に入って色々と調べてきたいと思うんだが、どうだ?」
「なるほど。アクセルなら何があっても……それこそシャドウが出ても対処出来るか」
「いざとなったら、召喚魔法で仲間を呼んだりも出来るしな」
TVの中がどのようになっているのかは、正直なところ分からない。
だが、狛治や刈り取る者を召喚すれば戦力的に問題はないだろうし、広い場所ならグリも召喚出来るだろう。
グリだけが特別というか、あまり出番がないのは……契約した俺が言うのもなんだけど、やっぱりグリが大きいからだよな。
それに比べると狛治は人と大きさは違わないし、刈り取る者は人よりも少し大きめだが、言ってみればそれだけだ。
「分かった。それでいい。ただ……初めて映像スクリーンの中に入るのだ。私達だけではなく、堂島がいる中で入った方がいいだろう」
「堂島の? 俺は別に構わないけど。ただ、そうなるともう少し待つ必要があるな」
「そのくらいの時間は別に問題ないだろう? その待ち時間と、堂島の前で映像スクリーンの中に入る事の、どちらが重要かを考えれば」
そう美鶴に言われると、俺もどうしても今すぐに映像スクリーンの中に行きたい訳でもないので頷く。
「分かった。なら堂島が来るまではゆっくりさせて貰うよ。特にやるべきこともないし」
「そうしてくれ。アクセルが変にちょっかいを出すと、それはそれで面倒なことになりそうだ」
いや、それはどういう意味だ?
そう突っ込みたかったが、突っ込んだら突っ込んだで実例と共に色々と言われそうだったので黙っておく。
「ちょっと温泉にでも入ってくる。折角だし、朝風呂と洒落込ませて貰うよ」
「む……」
俺の言葉に美鶴が少し羨ましそうな視線を向けてくる。
美鶴にしてみれば、自分も温泉に入りたいと思ったのだろう。
一応、美鶴は起きてからすぐ温泉に入った筈だったが、天城屋旅館の温泉はかなり良質な温泉水だ。
入れるのなら何度でも入りたいといったところか。
夜の行為がなくても、起きてすぐ温泉に入るというのは……まぁ、一種の習慣に近いのかもしれないな。
美鶴がホワイトスターにある俺の家に来た時は、決まって翌日には温泉に入って夜の行為の残滓を落とし、魔法球でゆっくりと体力を回復させる必要があったし。
それをこの場で言ったりはしないが。
「あまり長湯はするなよ。いつ堂島が来るのか分からないんだからな」
そう言う美鶴に手を振り、俺は温泉に向かうのだった。
何だ?
温泉に入った俺は既に数人温泉に入っていた者達から微妙な視線を向けられる。
この前のように、俺が美鶴と……桐条グループと親しいからお近づきになろうとか、そういうのとは全く関係のない視線。
寧ろ呆れや軽蔑……悪意とまではいかないが、それに近い色の視線を向けられていた。
当然だが、そんな視線を向けられている俺に近付いてくる者はいない。
とはいえ、何でこんな風になったのかは少し気になる。
これが俺だけの問題なら、そこまで気にしなくてもいいだろう。
しかし、現在の俺はシャドウワーカーや早紀、堂島といった面々と行動を共にしている。
つまり、現在俺に向けられているこの視線が、俺以外の者達に向けられる可能性もあるという事だ。
これで視線だけならともかく、悪意ある言葉を投げ掛けられるような事があったら……そういうのに慣れてない早紀なんかは、かなりのショックを受けるだろう。
特に早紀は昨日、足立にTVの中に入れられそうになったばかり。つまり殺されそうになったばかりなのだから。
とはいえ、この状況で俺が聞いても他に人がいる以上は説明したりしないだろう。
だとすれば……そう考え、俺は風呂から上がった40代程の男を追う。
もっとも、温泉に入っていた者達には俺が男を追ったのではなく、普通に上がったと思うように行動していたが。
「おい」
「っ!?」
声を掛けられた男は、俺の言葉に一瞬驚いた様子を見せる。
だが、声を掛けてきたのが俺だと知ると、呆れたように口を開く。
「悪いが、私は君と話している暇はないんだ」
「そっちにはないかもしれないが、こっちにはあるんだよ」
「……わ、分かった」
俺と話したくないといった様子の男だったが、目に力を込めて睨むとすぐにそう言う。
天城屋旅館に泊まっているだけあって、会社の社長とかそういう立場の者なのかもしれないが、数え切れない修羅場を潜り抜けてきた俺に視線を向けられ、素直に従う事にしたらしい。
いっそ鬼眼でも使おうかと思ったが、それはそれで騒動になりそうだし。
鬼眼で与える状態異常は完全にランダムだ。
それこそ持ち主の俺でも自分で選んだりは出来ない。
睡眠程度ならともかく、石化とかそういうのを与えたら洒落にならない。
これが明確な敵ならともかく、この男からはちょっと情報を聞きたいだけだしな。
そうして着替えてから、俺は男を連れて自販機のある場所に向かう。
一応情報料という事で、自販機で売っていたウーロン茶を男に渡す。
金持ちだろう男に自販機のウーロン茶で情報料になるのかという思いがない訳でもないが、それは別に構わないだろう。
「それで? 温泉に入っていた連中が俺に向けていた視線の理由は?」
「簡単な事だよ。君達は大広間を借り切っているだろう? 現在この旅館に泊まっている中でも影響力の強い者が昨日大広間を使おうとして断られて、不機嫌になったらしい」
「それは……また……」
あまりにも予想外の理由に唖然とする。
まさかそんな理由で、と。
とはいえ、影響力のある人物という事は権力にしろ、財力にしろ、相応に持っている筈だ。
つまり、自分の思い通りに物事が進むのが当然といった様子なのだろう。
その権力にしろ、財力にしろ、親から引き継いだのか、それとも自分で手に入れたのかは分からないが。
「俺の後ろには桐条グループがいるのは知らないのか?」
幾らその影響力のある人物が権力や財力を持っていても、桐条グループを敵に回したいとは思わない筈だ。
もしそのようなことになれば、それこそ勝ち目はないのだから。
……あるいは桐条グループを敵に回しても問題がないような力の持ち主なのか。
そう男に尋ねると、男は首を横に振る。
「それなりの規模の会社を持ってるが、それでも桐条グループには到底及ばない。だから、桐条グループではなく君を狙い撃ちにしたんだろう」
「……馬鹿か?」
思わずそう呟いてしまった俺は、決して悪くないだろう。
当然だ。
自分が大広間を使おうとして最初に俺達が借りていたから気に入らず、嫌がらせをしてきたいうのだから。
それも桐条グループの令嬢である美鶴ではなく、俺だけを狙って。
もしかしたら俺以外にも早紀やシャドウワーカーの方にも嫌がらせをするようにしてるのかもしれないが。
ただ、美鶴も馬鹿じゃない。
……いや、馬鹿じゃないどころか、かなり有能な人物だ。
もし自分以外の者に誰かが嫌がらせをしているのを察知出来ない筈もない。
そして嫌がらせの事を知れば、即座に解決する為に乗り出すだろう。
嫌がらせを受けていれば、この稲羽市で起きている事件を解決するのは難しくなるのだから。
「それで、お前達は自分達が桐条グループを敵に回してもいいと思った訳か」
「そんな事はない!」
即座に、それこそ一瞬の躊躇もなく男は俺の言葉を否定する。
嫌がらせをするように言われたとはいえ、それでも本当の意味で桐条グループを敵に回すつもりはないのだろう。
この男が言うように、嫌がらせを命じた男は桐条グループよりも明らかに格下の存在だ。
そうである以上、桐条グループに目を付けられたら自分がどうなるのか……それは十分に理解しているのだろう。
なら、何でその命令に大人しく従ったのかという問題があるが。
「そんな事はない。だから、実際に君に直接嫌がらせをする者はいなかっただろう?」
「それは……まぁ、そうだな」
嫌な目で見られたりはしたが、直接何かをされた訳ではない。
人によっては、そういう視線で見られる事そのものが我慢出来ないという者もいるだろうが、俺の場合はそこまで気にはならない。
……美鶴を始めとした恋人達と一緒に街中を歩いていれば、嫉妬の視線が向けられる事も珍しくもないのだから。
それもただの嫉妬の視線ではなく、非常に強烈な嫉妬の視線。
そのような視線を向けられ慣れている俺にしてみれば、ただ見ているだけで実際に手を出してくる奴がいないというのは、特に気にするような事ではなかった。
そんな風に思いつつ、俺は男からもう少し事情を聞くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820