シャドウによる影響で足立がTVに入る能力を手に入れたという予想は、堂島にとってはあまり好ましいものではかったらしい。
とはいえ、それでも一番それらしい……つまり堂島を納得させるのに十分な理由だったのは間違いない。
もっともこれはあくまでも現時点でそうではないかと予想したもので、実際にはそんな予想と全く違う可能性も否定は出来なかったのだが。
「シャドウか」
「まぁ、その件についてはあくまでもそういう可能性が高いとだけ予想しておいてくれ。実際に試してみたら、実は全く違うという事になった可能性もない訳じゃないし。……さて、少し話は逸れたが、元々は俺がTVの中の世界に入って中の様子を見てくるという事だったな」
正確には俺の場合はTVではなく映像スクリーンの中の世界なのだが、その辺については面倒なので纏めておく。
「ああ、そうだったな。……アクセルには言うまでもないと思うが、くれぐれも気を付けてくれ。危険だと思ったらすぐに戻ってくるように。幾らアクセルが強くても、TVの中の世界が具体的にどのようになってるのかは分からんからな」
美鶴の言葉に頷くが……
「ちょっと待って欲しい。そのTVの中の世界に俺も行く事は出来るか?」
「堂島?」
まさか堂島がそんな事を言うとは思っていなかった……いや、そうでもないか?
堂島と足立の関係を考えれば、堂島がそのような事を口にするにはそうおかしな話でもなかったのかもしれない。
だからといって、それを受け入れるかどうかはまた別の話だが。
「止めておけ」
堂島にそう言ったのは、俺……ではなく美鶴。
そんな美鶴の言葉に、堂島は納得出来ないような表情を浮かべるものの、改めて何かを言うよりも前に美鶴は召喚器を取り出す。
拳銃の形をした召喚器を出した美鶴は、それを使うでもなく口を開く。
「シャドウを相手にするには、最低でもペルソナを使う必要がある。勿論、アクセルのようにペルソナを使わなくても倒せる者もいるが……アクセルを基準にするのは間違っているしな」
「おい」
美鶴の口から出た言葉に思わず突っ込む。
だが、突っ込まれた美鶴は、髪を掻き上げながら口を開く。
「アクセルが普通の人間……一般人と同じだと思うのか?」
「それは……」
そう言われると、俺も即座に否定は出来ない。
そもそも俺は混沌精霊で、正確には人間ですらないのだから。
「アクセルが納得したところで……堂島は刑事として鍛えているから、普通の人を相手にするにはいいのかもしれない。それこそ街中にいる不良やチンピラ、ヤクザ……そういう者達を相手にするのなら、それこそ柔道とか剣道で鍛えている者が多い刑事は最適だろう。だが、アクセルが……そして私達が相手にするのはシャドウだ。人外の存在と言うべきシャドウは、そもそも外見からして人と違う」
美鶴の言葉は正しいが、実際にはシャドウというのは人の一部だったりするんだよな。
影時間の時はそうだった。
もっとも、この稲羽市に出現するだろうシャドウも同じく人の一部とは限らないが。
ただ、シャドウである以上はやっぱり似たような存在になるのではないかと思うのは当然だろう。
「そんな文字通りの意味で人外の存在に遭遇したら、堂島はどうする? 刑事である以上、拳銃は持ってるのかもしれんが、弾数はそう多くないだろう?」
美鶴の言葉に、堂島は反論出来ない。
早紀がそんな堂島を心配そうに見ているが、こちらも実際に何かを言う様子はない。
堂島が好きな早紀にしてみれば、TVの中というどんな危険が待っているのかも分からない場所には、堂島に行って欲しくないのだろう。
「納得して貰えたようで何よりだ。……では、アクセル」
美鶴の言葉に頷き、映像スクリーンを空中に呼び出す。
堂島が驚きの表情を浮かべているのを見ると、一応といったように声を掛ける。
「もしTVの中の世界がそこまで危険な場所ではなかった場合、堂島を連れて中に入る事もあるかもしれない。だからあまり気を落とすな」
「本当か?」
「あくまでもTVの中の世界がそこまで危険ではなかったらだがな。それに堂島を連れていくにも、ある程度自分の身を守る力は必要だ。拳銃が強力な武器なのは間違いないが、美鶴が言うように弾数の問題もある。だから、もし本当に堂島がTVの中の世界に行きたいのなら、拳銃以外で弾数とかを心配しなくてもいいような武器を用意しておいた方がいい」
一応銃火器という事なら空間倉庫の中に大量に入っているんだが、それを堂島に使わせるにも色々と問題があるしな。
警察なら、警棒とか持ってそうだけど……警棒だとシャドウを相手にするにはちょっとな。
それこそ日本刀とかそういうのがあればいいんだが。
まさか、この稲羽市で日本刀を売ってるような店とかはないだろうし。
まぁ、刑事の堂島が銃刀法違反をするかとか、そういう問題もあるが。
何しろ堂島はかなり頑固な性格をしている。
TVの中に行くとはいえ、その辺の規則を破るかどうかは微妙なところだろう。
「そんな訳で、この先どうなるのかは分からない。本気でそのつもりがあるのなら、しっかりと準備をしておくんだな」
いっそエヴァに訓練をさせて、気や魔力でも使いこなせるようにしてみるのも面白いかもしれないが……そうなると、シャドウミラーの秘密を色々と話す必要があるか。
うん、やっぱりその案は却下だな。
「分かった。考えておこう」
ん? 俺が予想していたよりもあっさりと堂島が頷いたな。
何かあるのか?
もしかしたら、どこかに日本刀とまでは言わないが、何らかの武器を売ってるような店があったりして。
まぁ、そういう店があったら、後でちょっと覗いてみるのもいいかもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺は空中に浮かぶ。
『ええっ!?』
瞬間、周囲から……それこそ堂島と早紀以外にシャドウワーカーの面々からも驚きの声が上がる。
驚いていないのは美鶴だけだ。
ああ、そう言えば俺が空を飛べるというのは知らなかったか?
堂島と早紀は影のゲートを見たのだから、空くらい飛べてもおかしくはないと……ちょっと無理か?
その辺の説明については美鶴がしてくれるだろうと判断し、空中に浮かんだままの映像スクリーンに向かう。
映像スクリーンは空中に浮かんでいるので、腕だけを突っ込ませるならともかく、身体全体で入るとなると俺は飛ぶ必要があった。
あるいは飛ぶのではなく跳ぶ……ジャンプして映像スクリーンの中に入ってもいいのだが、そうなると映像スクリーンの向こう側がどういう感じになっているのか分からない以上、最悪シャドウが待ち構えている可能性もある。
足立が待ち構えている可能性は……
「ちょっと待った。堂島、足立は拳銃を持ってるのか?」
映像スクリーンに入ろうとした直前で動きを止め、堂島に尋ねる。
俺が空を飛んだ光景に驚いていた堂島だったが、首を横に振る。
「いや、拳銃の携帯許可は出ていなかったから、拳銃は持っていない」
「あー……そうか」
少し意外だったな。
刑事は常に拳銃を持っているのだとばかり思っていた。
あ、でも刑事じゃなくて警察官……いわゆる、制服を着ている警察官は基本的に拳銃を持ち歩いている筈だよな?
刑事は拳銃を持ってなくて、警察官は拳銃を持つ……TVドラマとかそういうのの影響でおかしいと思うのか?
「なら安心だな」
もっとも、混沌精霊の俺にただの拳銃では意味がないのだが。
魔法的な弾丸……ネギま世界の龍宮が使うような銃弾とかなら、俺にダメージを与える事も出来るんだが。
でもシャドウとかに関係しているという事は、足立もペルソナ使いとして覚醒している可能性は高いのか。
そう考えると、もし足立が拳銃を持っていたら注意した方がいいかもしれないな。
もっとも拳銃は持っていないという事なので、心配する必要はないが。
危険となる可能性としては……TVの中がタルタロスのようなダンジョンになっていた場合か。
より正確には、そのダンジョンの中に宝箱があった場合。
タルタロスでもそうだったが、宝箱の中には武器が入っているのも珍しくない。
その武器の中に拳銃がある可能性も十分にあった。
もっとも、タルタロスは月光館学園が影時間になってその姿になるのだが。
つまりタルタロスの中にある装備品とかはともかく、現金とかは月光館学園の……止めておこう。
この件については影時間に関わった時にも色々と考えたものの、結局何も分からなかったのだから。
そうである以上、深く考えても意味はない。
TVの中の世界は……宝箱があるかどうかは分からないが、その辺は実際に入ってみないと分からないか。
個人的には、もしTVの中の世界がタルタロスと同じだった場合、出来れば消したくはない。
タルタロスの中ではマジックアイテムとか普通に入手出来たし、シャドウを倒して訓練も出来た。
そのような場所があるのなら、出来れば確保したい。
それこそ可能なら、TVの中の世界をホワイトスターに移したいくらいだ。
もっともTVの中にそういう場所があるのかどうかは、それこそ実際に入ってみないと分からないのだが。
「さて、じゃあ今度こそ……行くぞ」
そう言い、俺は身体に魔力を纏わせつつ映像スクリーンに向かって手を伸ばす。
空を飛んでいるので、体勢的に無理はない。
一瞬の抵抗の後、俺の姿は映像スクリーンの中に消えていくのだった。
「お?」
映像スクリーンの中の世界に入ったものの、俺のいる場所は空中だった。
もし普通に飛び込んだとしたら、そのまま落ちていただろう。
とはいえ……
「ここは……公園、か?」
3m程の高さから地上に降りると、俺がいたのは公園だった。
ただし普通の公園という訳ではなく、周囲には霧が広がっている。
公園の中の様子はしっかりと見る事が出来るが、その外は霧に覆われて見る事が出来ない。
一体何がどうなってこのような状況になっているのかは分からないが、とにかくここがTVの中の世界なのだろう。
「シャドウは……いない。足立も同じくいないな」
公園の中を見てみるものの、そこには誰の姿もない。
それなりに広い公園の中にいるのは、俺だけだ。
もしかしたらタルタロスのようにシャドウがいるのかと思っていたし、あるいは足立が待ち受けているのかもと思ってもいたのだが、どっちも外れらしい。
とはいえ、悪い事だけではない。
ここは公園で、どこか建物の中という訳ではない。
つまり、いざとなればグリを召喚出来るのだ。
「まぁ、今はグリの前に……」
ここは恐らくシャドウのいる世界である以上、専門家に聞くのが手っ取り早い。
そう判断すると、俺は自分の影を軽く数度蹴る。
すると影の中から刈り取る者が姿を現す。
うん、相変わらず……いや、ここがTVの中の世界だからか、いつもより迫力があるな。
俺の影から出て来た刈り取る者は、珍しく周囲を見回していた。
恐らくここがTVの中の世界だと理解しているのだろう。
……そう言えば今更、本当に今更の話だが、刈り取る者は俺の影の中にいる時に外の様子を理解出来ているのか?
そう思ったが、TVの中にこうしてやって来た事が理解出来ていない様子だったのを思えば、恐らく理解は出来ていないのだろう。
「この空間の中にシャドウはいるか?」
そう尋ねると、刈り取る者は周囲を見ていた視線を俺の方に向けて頷く。
やっぱりか。
そうだろうと予想はしていたが、どうやらやっぱりここにシャドウがいるらしい。
いるとは思っていたものの、そのような確信は持っていなかった。
だがこうして刈り取る者が頷いた事により、この世界にシャドウがいるのは確定した。
「そうなると、やっぱりここがタルタロスと同じような場所という事で間違いないのか。……問題なのは、この霧だよな」
公園の中くらいなら、ある程度見て取れる。
だが、その外となると俺でも見るのは不可能だ。
混沌精霊として人間とは比べものにならないくらいに鋭い五感を持っている俺でさえこれなのだ。
もし美鶴が来ても、この公園の外で行動するのは難しいだろう。
「刈り取る者、シャドウがどこにいるのか分かるか?」
そう尋ねると、刈り取る者は空中を浮かんで移動する。
そんな刈り取る者を追うが……
「待て」
そう言うと、刈り取る者の動きが止まる。
公園から出ようとしたのがその理由だ。
刈り取る者は振り向き、俺に視線を向けてくる。
「この公園からは出るな。何があるのか分からないからな」
本来ならもっと積極的に公園の外に出てもいいのかもしれない。
だが、今日ここにやって来たのは、あくまでもこのTVの中の世界がどういう風になっているのかを確認する為だ。
公園の外を探索してみたい気持ちもあったが、この霧の中で探索が成功するとは思えない。
もしこのまま霧の外に出たら道に迷って一体どこに出る事やら。
……最悪、他のTVから出るといったような事にもなりかねなかった。
そうなったらそうなったで対処すればいいのだが、今はまずTVの中がこのような世界になっていると、そう美鶴達に知らせる必要があった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820