ジュネスでの買い物を終えると、俺は天城屋旅館に戻る……前に、商店街を見て回る事にする。
コニシ酒店がどうなってるのか、ちょっと気になったというのもあるし。
ジュネスのフードコートで聞いた話によると、足立の件は大々的に広まっていないらしい。
……まぁ、一般常識しか知らないような者達が、TVの中に入れる能力があるとか聞かされて、それを素直に信じる事は出来ないだろうし。
だとすれば、TVに出入り出来る能力云々は秘密にして、単純に暴行犯だという事実で足立の行方を追えばいいのかもしれないが……今のところ、そういう風にはなっていない。
稲羽署の上層部の判断なのか、警視庁の判断なのか、シャドウワーカーからの要望なのか。
その辺りは俺には分からないが、そのお陰で稲羽市がそこまで大きな騒動になっていないのも、また事実。
……もっとも、足立の件を抜きにしても山野真由美の死体が見つかった件で普通ではない状態になってるのは間違いないが。
そんな中で、いきなりコニシ酒店は臨時休業となり、小西一家もいなくなっているのだ。
商店街で大きな騒動になっている可能性は十分にあった。
もしくはそこまでではなくても、噂話になってるとか。
……ちなみに今更の話だけど、コニシ酒店で定期的に酒を届けているとか、そういう常連客はどうなったんだろうな。
早紀の両親がそういう相手に電話をする余裕とかはなかったし。
東京から電話をしたとか?
もっとも、早紀の一家は足立から守る為に東京まで避難したのだ。
自分達が現在どこにいるのかといった事を話すのは少し問題だろう。
せめてもの救いは、足立が使えるTVの中に出入り出来る能力は、あくまでも稲羽市限定という事か。
とはいえ、それはあくまでもTVの中に出入り出来る能力の話であって、足立がTVから出て普通に東京に向かうといった事は……いや、無理か。
そもそも小西一家がどこにいるのかというのも、今の状況では足立には分からないだろうし。
もしそれが分かっても、それこそわざわざTVという安全な場所から出て、東京に向かうかという問題がある。
足立が現在稲羽市で捕まっていないのは、あくまでもTVの中に出入り出来るからだ。
それが出来なくなれば、それこそいつ捕まるのか分からないし、それに抵抗しようとしても1人の人間でしかない。
「小西さん、どこに行ったのかしらね?」
「急だったものね。……でもほら、小西さんのところの娘さん。山野アナの死体を発見でしょう? だとすれば、その件で何かあったのかも」
「それしか考えられないかしら。でも、そういうものなの?」
「さぁ、どうかしら。けど、小西さんのところの娘さんはジュネスでバイトをしてたのよ? そのせいで、小西さんのご両親は商店街で肩身が狭かったみたい」
「そうなの? でも、その気持ちは分かるわ。この商店街より、ジュネスの方が大きいし、商品も豊富だもの。それに女の子なら、ジュネスのような場所でバイトをしてみたいと思っても仕方がないんじゃない?」
「そうね。家の手伝いをして貰えるお小遣いと、ジュネスのバイト代。どっちがいいのかは……考えるまでもないものね」
コニシ酒店の近くでそんな立ち話……井戸端会議? をしている2人の女。
その会話内容は混沌精霊として人並み外れた五感を持つ俺の耳にしっかりと入ってきた。
まさか自分達の会話が聞かれてるとは思っていないのか、かなり好き勝手言ってるな。
とはいえ、実際その会話内容が間違っているかと言われれば、そういう訳でもない。
早紀がジュネスでバイトをしていたのとか。
それでコニシ酒店が商店街で肩身の狭い思いをしていたのも、多分間違ってはいないだろう。
そんな風に考えながら、商店街の中を歩く。
他にも何人か立ち話をしている者達がいて、そのような者達からの話を聞きながら進み、やがて天城屋旅館に到着する。
昨日までは天城屋旅館の前には警察官がいたのだが、その姿も今は消えている。
これによって、天城屋旅館は完全に平常運転に戻ったのだろう。
もっとも、シャドウワーカーがいる以上は本当の意味で平常運転という訳ではないのだが。
「お帰りなさいませ」
建物の中に入った俺を、天城屋旅館の従業員がそう言って頭を下げてくる。
老舗の旅館の従業員としては、俺を含めてシャドウワーカーに対して色々と思うところがあるのは間違いない。
だが、こうして俺に向かって頭を下げて挨拶をしてくる様子からは、とてもではないが何か思うところがあるようには思えない。
それこそ、もしかしたら何も思ってないのか? と考えてしまう。
「ああ、ただいま」
従業員に短く挨拶をして、俺は大広間に向かう。
以前なら大広間にむかう途中で他の客に遭遇したりといった事もあったのだが、足止めされていた客はもう大部分……あるいは全員が帰ったのだろう。
廊下を歩いていて、そのような相手と遭遇はしなかった。
……まぁ、俺達を苛めるように言った奴と桐条グループの間に立つのを希望するような者はまずいないだろうし、帰れるのならさっさと帰りたいと思うのは当然だろう。
そんな訳で、半月……いや、もう10日くらいか? そのくらいから始まるゴールデンウィークまでは、基本的に天城屋旅館が貸し切りに近い形になるかもしれない。
実際にはゴールデンウィーク前という事で混雑する前に天城屋旅館に泊まってゆっくりしたいと考えるような奴もいるかもしれないが。
それこそ年末年始、もしくは8月のお盆に実家に帰る時、高速道路で渋滞になるのが嫌で早めに実家に帰り、遅めに現在住んでいる家に帰る……といったように。
そういう時期と比べれば、ゴールデンウィークの休みを早めに有休で取るようにして、天城屋旅館に泊まりにくるというのはそんなにおかしな話ではないと思う。
そうなると、まだ大広間を使えないという事で不満を抱く者もいるかもしれないな。
天城屋旅館の事情も考えると、やっぱり他の場所にシャドウワーカーの拠点を作った方がいいと思うんだが。
もっとも、温泉であったり美味い料理であったりというのを経験してしまうと、その辺で建物を借りて事務所に……といった事は難しいか。
人というのは一度贅沢を知れば、以前の生活に戻るのは難しいしな。
かといって、他の場所でも天城屋旅館のような老舗旅館を拠点とするのは……一応桐条グループの力があれば不可能ではないだろうが、だからといって意味もなく無駄な金を使うのはどうかと思う。
シャドウワーカーの者達の士気を高めるという名目があれば、ある程度はどうにかなるかもしれないが。
とはいえ、それを美鶴が承認するかどうかは別の話だが。
そんな事を考えながら廊下を歩いていると、やがて大広間に……ん? 何か騒がしいな。
疑問を抱きつつ、襖を開けて大広間に中に入る。
するとそこでは、堂島がシャドウワーカーの1人に詰め寄っているところだった。
「本当か!? 本当に足立を見つけたのか!?」
「あ、あくまでもそれらしい人ですって。それにこれは昨日のジュネスの映像ですから、今はもうジュネスに行っても意味はありませんよ!」
なるほど。その会話で一体何があったのかを理解する。
どうやら足立が昨日ジュネスにいたのだろう。
TVの中の世界で、何とかジュネスに繋がるTVを見つけたといったところか。
もしくは稲羽署のTVから何とか出て、こっそりと抜け出した? いや、さすがにこっちはないな。
「落ち着いて下さい、堂島さん」
シャドウワーカーの男に言い募っていた堂島だったが、早紀の言葉で我に返る。
「すまん」
そう謝罪の言葉を口にし、男から離れる。
とはいえ、それでもまだ完全に落ち着いた訳ではないらしく、苛立たしげに頭を掻いていた。
「アクセル、丁度いいところに戻ってきたな」
一連の行動を黙って見ていた美鶴だったが、騒動が収まったと判断するとそう声を掛けてくる。
今まで実際に俺の事に気が付いていなかった……という訳ではなく、俺の名前を出す事で堂島を落ち着かせようとしたのだろう。
「取りあえず言われた物は購入してきたぞ」
そう言い、空間倉庫から買ってきた諸々を取り出す。
ついでにフードコートで購入した、1個1000円のホットドッグもそれぞれに渡す。
「え? あ、これ……アクセルさん、いいんですか!?」
ジュネスでバイトしていただけあって、早紀はこのホットドッグについても知っていたのだろう。
驚きの表情でそう言ってくる。
「ああ、構わない。堂島も食え。足立のことはそれからでもいいと思うぞ」
早紀の言葉に、堂島もこのホットドッグがその辺で売ってるようなものとは違うと判断したのだろう。
俺から受け取ったホットドッグを食べ……
「これは……」
その美味さに、驚きの言葉を漏らす。
それはシャドウワーカーの面々も同じだった。
それぞれにはホットドッグを食べては、美味いと口にしている。
さすがに美鶴はこういう美味い料理にも慣れているのか、そこまで驚きを露わにはしていなかったものの、それでも口元には笑みが浮かんでいる。
「刑事なんだから、あんパンの方がよかったのかもしれないけどな。……もしくはドーナツか?」
日本の刑事ドラマでお馴染みの食べ物は、あんパンと牛乳だろう。
だが外国の刑事ドラマや映画とかだと、お馴染みの食べ物はドーナツなんだよな。
いやまぁ、ドーナツが悪いって訳じゃないし、俺も好きな食べ物だが。
「ドラマじゃないんだがな」
あんパンという言葉に、堂島は呆れたように言う。
ホットドッグの美味さからか、そこには先程よりも大分落ち着いた様子を見せている。
早紀に声を掛けられた時も落ち着いてはいたのだが、今はそれよりも更に落ち着いている。
「それにしても美味いな。これはどこで買ってきたんだ?」
「え? 堂島さん、知らないんですか? これ、ジュネスのフードコートで売ってるんですよ。1個1000円っていう高いホットドッグなんですけど」
「……ジュネスで? しかも1個1000円だと? いや、だが実際にこの美味さを考えると……」
早紀の言葉に、堂島は自分の持ってる半分程に減ったホットドッグに視線を向ける。
堂島、見るからに美味い料理を食べる為に大金を支払ったりはしなさそうだしな。
いやまぁ、1000円を大金と呼ぶかどうかは微妙なところだが。
1食1000円と考えれば、少し高い食事といった感じだろうし。
とはいえ、このホットドッグだけで食事として満足出来るかと言われれば……男は大抵が否と答えるだろう。
小食なら分からないが。
このホットドッグだけで食事とするのなら、3個……出来れば4個くらいは欲しいところだ。
とはいえ、これはあくまでも一般的な成人の男ならの話だ。
俺なら、それこそ食べた瞬間に魔力に変換されて吸収されるので、文字通りの意味で無限に食べられるが。
まぁ、混沌精霊が腹一杯になるまでとか、そういう事は普通なら考えないか。
「菜々子がジュネスに遊びに行きたいって言ってたな。足立の件が終わったら、このホットドッグを食べさせてやるか」
「あ、じゃあ私も一緒に行っていいですか? 菜々子ちゃんと遊びたいと思っていましたし。それに私はジュネスでバイトをしてたので、もしかしたら少しおまけしてくれるかもしれませんよ?」
随分と攻めるな。
早紀にとっては、堂島とデート出来るかもしれないからこそ、必死なのだろう。
もっとも、見た感じ堂島は早紀を女としては見ていない。……年齢差を考えると当然かもしれないが。
とにかくそんな訳で、早紀はまず堂島に自分を女として認識して貰う必要がある。
とはいえ、早紀はそれなりに女らしい身体をしているし、何かの切っ掛けがあれば、もしかするかもしれないが。
「そうだな。菜々子には寂しい思いをさせているしな。……それより、足立の件だ」
これまでの会話、それに早紀が菜々子の名前を出したのも影響したのか、堂島はかなり落ち着いた様子をシャドウワーカーの1人に向ける。
その視線を向けられた男は、俺が大広間に入ってきた時に堂島に迫られていた男だ。
だが、こちらも多少時間が経過したのが影響し、もしくは堂島が落ち着いたからこそかは分からないが、落ち着いた様子で口を開く。
「ジュネスに残っていた映像からすると、どうやら食料や飲み物を盗んでますね」
「食料や飲み物? ……TVの向こう側の世界には食べ物がないのか?」
公園とかが普通にあったくらいだし、食料とかが普通にあってもおかしくないと思えたんだが。
とはいえ、下手な食料だと腐ったりするのか。
TVの中の世界がいつ出来たのか、そして現実世界と同じ法則が働くのか。
その辺については、正直なところまだ分からない。
ただ、TVの中の世界の公園を見たところ、恐らくこちらの世界とそう違いはないと思えたが。
とはいえ、そうなるとTVの中の世界が出来た時期によっては、一斉に食料が腐ってもおかしくはない。
その辺については、俺が考えても仕方がないか。
取りあえず足立の様子を見る限りではTVの中の世界で食糧を手に入れる事は出来ないと予想が出来たのは大きい。
そして、足立の手掛かりを得たのも。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820