足立の足取りが掴めた堂島は、当然のように稲羽署に連絡を入れる。
稲羽署の者達にしてみれば、足立は自分達の恥とも呼ぶべき存在だ。
そうである以上、可能なら自分達で対処をしたい。
俺達……というかシャドウワーカーに足立の身柄を抑えられるのは、くれぐれも遠慮したいという思いがあったのだろう。
とはいえ……
「それは当然だと思うけどな」
天城屋旅館の中でも、自販機のある場所……具体的には、温泉から上がった後で俺がウーロン茶とかを購入する休憩所で、堂島に向かってそう言う。
堂島が稲羽署に足立の件を連絡し、ジュネスに結構な人を派遣したのはいい。
だが、堂島が希望したジュネスにあるTVを全て一ヶ所に集めるというのは、色々と話し合った結果却下されてしまったらしい。
正直なところ、それは無理もないと思う。
ジュネスには一体どれだけのTVがあるのか。
それこそ10台、20台といった数では収まらないだろう。
何しろジュネスの中には家電を売っている場所もあるのだから。
他にも食料品を売ってる場所にはCMを流しているTVとかもある。……もっともCMを流しているTVはかなり小型なので、とてもではないが足立がそこから出てくる事は出来ない。
ただし、それは身体全体での話となる。
例えば手だけをTVから出して、TVの周辺にある食べ物を盗んでTVの中の世界にそのまま戻るといった真似も……出来ない訳ではない。
それこそ食料品を盗む程度ではなく、何らかの手段……それこそ本当にもしかしたらだが、TVの中にある世界がタルタロスと同じように武器があるのなら、場合によっては拳銃とかそういうのがあるかもしれない。
それを手に入れた足立が、自棄になってTVから手だけを出して乱射する。
もしくは、ペルソナ能力に覚醒してTVの中から現実世界に向かって魔法とかを使う。
足立がペルソナ使いとして覚醒する可能性は、実のところかなり高いと思っている。
もっともこれは、この世界に原作が存在すると仮定した上での話だが。
足立は恐らく中ボス……いや、場合によっては小ボスか? 原作ではそんな感じだったのだろう。
女子高生を性的な意味で襲うような奴だし、まさかラスボスという事はない思う。……というか、そう思いたい。
ともあれ、シャドウのいるTVのある世界でボスとして出てくる以上、ペルソナを使うのはほぼ間違いない。
そんな訳で、足立がペルソナに覚醒してその能力でTVの中から一方的に攻撃出来るのは危険すぎる。
その辺りについて説明すると、堂島は自販機で買った缶コーヒーを飲む。
まるでそうしないと、自分の中にある苛立ちを叫んでしまうかのように。
「そして……これは最悪に近い予想だが、それよりも更に1歩進んで、より最悪に近付く事がある」
「まだ何かあるってのか?」
「ある。まぁ、これはもし上手くいけば、足立を捕らえるなり、倒すなり出来るかもしれないけど」
「……何がある?」
「単純な話だ。美鶴がペルソナを使ってシャドウワーカーの1人を処刑した光景を堂島も見ているだろう?」
「ああ、それは……おい、待て。それはもしかして……」
堂島は俺の言葉を聞いて納得したように頷こうとして、すぐに俺の言葉の本当の意味を理解した表情を厳しくする。
「ペルソナも……そうだな、堂島に分かりやすく言えば、戦えば戦うだけ強くなっている。いわゆるレベルが上がるって奴だな。美鶴のアルテミシアがあそこまで強力なのは、以前TVの中の世界のような場所で大量のシャドウと戦ってレベルが上がったからだ。もし足立がTVの中の世界で自分のペルソナのレベル上げをして、その力を現実世界で使ったら……どうなると思う?」
レベルとかゲーム風の説明をしたが、堂島はその辺についてはあまり詳しくないらしい。
最初少し戸惑った様子だったが、それでも戦えば強くなるというのは分かりやすかったらしく、すぐに納得する。
そして納得すると同時に、その表情は厳しいものになった。
「足立がペルソナだったか。あれを使ってこっちの世界で暴れるってのか?」
「あくまでもその可能性があるってだけだけどな」
現実世界でペルソナを使えるというのが、どれだけ危険なのか。
それは考えるまでもなく明らかだろう。
何しろこのペルソナ世界では表に出てこない、魔法とかを使えるのだから。
あるいは、もしかしたらこのペルソナ世界もネギま世界と同じく、魔法は存在するが表に出ていないだけなのかもしれない。
そんな可能性は十分にあったが、それでも今のところ表に出ていない以上、その魔法についてどうこうといったことは考えられないだろう。
だとすれば、足立が出た場合はどうなるか。
……稲羽署の中の精鋭がいれば、拳銃とか狙撃銃とかを使って足立を殺す事も出来るかもしれない。
そういう意味では絶好のチャンスなのは間違いないのだが……当然ながら、元刑事だった足立もその辺の事情については知っていてもおかしくない。
そう考えると、ペルソナがテトラカーンという物理攻撃を1度だけだが絶対に防ぐ魔法を習得するとか、似たようなスキルや魔法を習得するまで表に出てこない可能性は十分にあったが。
とにかく、足立が表に出てくるのかどうかは微妙なところではあるものの、もし出て来たらチャンスなのは間違いない。
警察が足立に対処は出来なくても、俺や美鶴がいる。
それでも手が足りないようなら刈り取る者や狛治を召喚し、山の中とかならグリを召喚してもいい。
もしくは、レモンが言っていた実働班からの応援とか。
そういう面々がいれば、こっちにとってもより有利になるだろう。
とはいえ、足立も俺がいきなり稲羽署の取調室に姿を現した事は理解しているだろうし、そうなれば俺が普通の存在ではないというのも知っているだろう。
ペルソナ能力に覚醒すれば、俺もまたペルソナ能力を持つと誤解してもおかしくはない。
……あ、でも足立は召喚器がないんだよな。
それでもペルソナ能力に覚醒した場合、召喚器なしでもペルソナを使えるという事になるのか?
「だとすれば……菜々子をどこかに保護しないといけないかもしれんな」
「今までは聞くのも遠慮していたが、足立はお前の娘についても知ってるのか?」
「ああ。足立は何度か俺の家に来ているからな。……菜々子の奴もそれなりに懐いていた。もし足立が現れれば、一緒についていってもおかしくはない」
これが高校生……いや、中学生くらいなら、堂島から足立に会ってもついていくなと言われればそれを聞く事も出来るだろう。
だが、菜々子はまだ小学生、それもまだ1年生だ。
以前にも家に来ていて、仲の良かった足立が姿を現して笑みを浮かべて近付いてきたら、どうなるか。
それこそあっさりと誘拐されてもおかしくはない。
「いっそ、天城屋旅館に連れて来たらどうだ? 幸いってのはどうかと思うが、堂島の家に行った時、早紀にかなり懐いていただろう? なら、ここにいてもいいと思うが」
堂島は仕事で忙しいので、菜々子は父親と一緒にいられない。
甥の鳴上はいるので、完全に1人という訳ではないんだが。
ただ、この天城屋旅館で暮らせば堂島と一緒にいられる時間も長くなるし、同性の早紀も面倒を見てくれる。
そういう意味では、堂島がしっかりと仕事をする上で菜々子や鳴上を連れて天城屋旅館で暮らすのは悪くないと思うんだが。
「そう出来ればいいのかもしれんが、生憎と俺の給料は安くてな。とてもではないが、菜々子や悠をこんな立派な旅館に泊めてやれるだけの余裕はないんだよ」
刑事の給料がどのくらいなのかは分からないが、刑事も扱い的には国家公務員で、給料が安いとは思えないんだが。
いやまぁ、それでも刑事の給料で天城屋旅館に……それも足立の件が解決するまで泊まり続けるといった訳にはいかないか。
俺達は普通に泊まっているが、この天城屋旅館は全国的に有名な老舗旅館だ。
社長とか政治家とか医者といった金持ちが泊まる事が多い旅館だけに、公務員であっても一介の刑事が長期間泊まり続けるのは無理があるか。
一応堂島も貯金とかはあるだろうが、それだって出来れば使いたくないだろうし。
「俺から美鶴に話を通してもいいが?」
その言葉に、堂島は手に持っていた缶コーヒーを飲もうとした手を止める。
そして数秒。
俺の真意を確認するように、視線をこっちに向けてくる。
「何でわざわざそんな真似をしてくれる? 俺にそんな事をしても、お前には別に利益はないだろうに」
「そうでもないぞ。お前が娘の件を気にしなくてもよくなれば、仕事に集中出来る筈だ」
そう言うが、実際にはそれは表向きの理由でしかない。
堂島もそのことに気が付いてはいるのか、俺に向かって訝しげな視線を向けたままだ。
実際には、堂島の甥……鳴上がまだこの事件の主人公であるという可能性を捨てきれないからというのが大きい。
一応美鶴に確認して貰ったし、その時はペルソナ使いではないと判断された。
そういう意味では、俺も別に美鶴の言葉を全く信用していない訳ではない。
だが、だからといって鳴上が絶対にこの事件の主人公ではないとも限らなかった。
つまり、あの時はまだペルソナ使いとして覚醒していなかったが、いずれペルソナ使いとして覚醒するかもしれないと、そう思ったのだ。
何しろ鳴上の転校してきた時期が、あまりにも稲羽市で起きた事件とタイミングが合いすぎているし。
その辺がどうにも引っ掛かっていた。
勿論、実際には全てが偶然だという可能性もない訳ではないのだが。
ともあれ、俺の勘――念動力ではなく――では、まだ鳴上が完全に白と決まった訳ではない。
そうである以上、出来れば近くにおいて様子を見たいと思うのは当然だろう。
とはいえ、X世界の時に比べれば大分マシなのは事実だが。
X世界の時は、ガロードとジャミルのどっちが主人公かなかなか判明しなかったし。
最終的にはティファとの関係でガロードが主人公だと判断し、ジャミルはX世界で俺達が関わった事件の前作の主人公なのだと判断したが、それが事実かどうかは生憎と分からない。
そう言えば俺がいわゆる原作知識をなくしたのも、ニュクスとの戦いの時だったな。
そう考えると感慨深いものがあるような、ないような。
「嘘ではないが本当でもないといったところか」
堂島は俺の様子を見てそう言う。
実際、その言葉は決して間違いという訳でもない。
表向きの理由も、決して嘘という訳ではないのだから。
話していないのは……そうだな、早紀の恋を少し応援してやろうという気持ちもない訳ではなかった。
菜々子と早紀の関係が深まれば、自然と堂島と早紀の関係も深まるだろうし。
これについては決して本人に言えるような事ではないが。
「俺がどういう理由でこの提案をしたのかはともかく、この提案に乗れば菜々子の安全が完璧になる……とまではいかないが、家にいる時よりも安全になるのは間違いないだろう?」
そう言うと、堂島も反論は出来ない。
実際、可能性は非常に低いものの、堂島の家に足立が姿を現してもおかしくはない。
その時、自分の子供を守るかどうか。
それは堂島の判断次第だ。
それに……こう言うのもなんだが、菜々子は早紀だけではなくシャドウワーカーの面々にも可愛がられそうな気がするんだよな。
菜々子の愛らしさを考えると、それによってシャドウワーカーの士気も上がりそうな気がする。
唯一の難点としては、鳴上だが……まぁ、その辺は何とかなるだろう。
雪子と年齢も一緒らしいし、もしかしたら知り合いだった場合……いや、以前高校生達が天城越えがどうとか言っていたのを思えば、そう簡単に仲良くはなれないか。
「分かった、じゃあ頼む。これが賄賂とかそういうのにならないといいんだがな」
最終的に、堂島は俺の提案を受け入れた。
「賄賂にはならないと思うが……けど、そうだな。その辺が心配なら美鶴を通して前もって稲羽署や警視庁に話を通した方がいいか。後は県警もか」
後々面倒臭い事にならないようにする為には、前もって手を打って置くのがいい。
これで堂島が普通の……原作とかにあまり関係のない人物なら、そこまではしないのだが。
鳴上の件がある以上は、打てる手は打っておいた方がいい。
「すまないな」
「気にするな。堂島は稲羽署との連絡役なんだ。お前が過労や心労で倒れたりした場合、新たに派遣されてくる奴がどうしようもない奴だったら面白くないし」
これは堂島一家が天城屋旅館に避難してくる理由を言った時とは違い、本心だけの言葉だ。
稲羽署から派遣されてきた堂島は、頑固な性格をしているものの、自分の目で見ればそれを信じる事は出来る。
だが、堂島の代わりに来た奴が同じようにペルソナとかシャドウとかTVの中の世界とかにきちんと対応出来るかと言われれば、正直なところ微妙だろう。
何だかんだと、柔軟性が高くないとシャドウワーカーと一緒に行動するのは無理なのだから。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820