スライムで察知した存在は、結局そのまま消えた。
足立によってTVの世界の中に入れられた者がいたのかという考えもあったのだが、やはりシャドウだったのだろう。
あそこまですぐに消えるという事は、TVの中の世界に入れられた者ではない筈だ。
……もしかしたら、足立だった可能性も否定は出来なかったが。
とはいえ、今のこの状況を思えばそれも恐らくは違うと、そう思うのだが。
足立が現在TVの中の世界についてどれだけ理解しているのかは分からない。
それでも俺達よりもずっと長い間TVの中の世界にいる以上、この世界特有の法則とか、そういうのがあれば、足立もそれを十分に理解していてもおかしくはなかった。
実際にジュネスに姿を現している辺り、俺達よりも先を行ってるのは間違いないと思う。
まぁ、人というのは水や食料が必要だ。
足立にしてみれば、それを入手する意味で必死になり、それでどうにかジュネスと繋がっているTVを見つけた……という可能性も否定は出来なかったのだが。
とにかくシャドウと思しき存在を逃がしてしまったのだから、これ以上ここにいても意味はない。
このままもっと広範囲をスライムで探索する事も出来るが……天城屋旅館に戻るのがあまり遅くなると、美鶴に心配を掛けてしまいそうだし。
そんな訳で、俺はスライムを空間倉庫に収納して、天城屋旅館に戻るのだった。
「アクセル、何か試すといった事だったが、どうだった?」
「失敗して成功したといったところか」
「……どういう意味だ?」
俺の言葉の意味を理解出来なかったらしく、美鶴は訝しげな視線を向けてくる。
ただ、ここでその詳細について言うのは……少し離れた場所で堂島が顔はこっちに向けていないが、こちらの存在を確実に意識してるのを考えると、そのままにする訳にもいかないだろう。
「ちょっと出ないか?」
「ふむ、では行こうか。私とアクセルは少し出てくる。何か緊急の連絡がある時は外にいる」
後半をシャドウワーカーの面々に言うと、俺と美鶴は大広間を出る。
念の為に大広間から少し離れると、美鶴は早速俺に何があったのかを聞いてくる。
「それで、アクセル。一体何を試したのだ?」
「試した事は簡単だ。俺の使うスライムがTVの中に入れるかどうかを試してみたんだが……駄目だった。映像スクリーンを貫くといった形になった」
「ふむ、それが失敗か。では成功とは?」
「TVの中の世界でスライムを出してみたら、無事に出す事が出来た。能力的にも現実世界で使うのと同じように出来た」
「ほう。それはTVの中の世界を探索する時には大分助かるな」
「ああ。ちなみに俺達の部屋から見える山の中で試したんだが、やっぱり天城屋旅館から離れた場所から試しても、TVの中の世界はあの公園に出た。……もしかしたら、本当にもしかしたらの話だが、同じ公園に見えても実は違う場所という可能性もあるけど」
「その可能性はあるが、それでもやはり少ないと思う。そう考えると、やはりTVのある場所ではなく、TVによって同じ場所に繋がっているのは間違いないな」
「だと思う。それでTVの中の世界でスライムを使って、公園の周囲に存在する濃霧を探索してみたんだが……何かがいたのは間違いない」
「シャドウではないのか?」
TVの中の世界にシャドウがいるというのは、既に刈り取る者によって確定している。
だからこそ、美鶴は俺が……正確にはスライムが見つけたのはシャドウだったのではないかと、そう思っているのだろう。
「かもしれない。だが、もしかしたら足立がTVの中に入れた存在かもしれない。……あるいは、万が一だが足立だった可能性もある」
「……なるほど。どれも可能性は低いが、ないとは言い切れないか」
「足立は行き当たりばったりで行動するしな」
幾ら性的な意味で身体を求めて断られたからといって、普通なら早紀を警察署でTVの中に入れようなどとは考えないだろう。
しかも取調室にあったTVはかなり小さめで、早紀が女で細身だからといって中に入れられるかどうか微妙なところだ。
実際、俺が影のゲートで取調室に姿を現した時、まだ早紀はTVに顔を突っ込んだ状態だったし。
それにもし俺がいなくても、早紀が取調室にいたのは堂島を始めとして何人もが知っていた筈だ。
つまりTVの中に入れたとしても、誤魔化せるかと言われれば……正直微妙だろう。
また、足立がそういう感じで犯行を重ねているのなら、もしかしたら山野真由美にも身体を要求して、それを断られてTVの中に入れたのかもしれないな。
山野真由美は髪の短い活動的な感じで、ニュースキャスタをやってるだけあって顔立ちも整っている。
足立にしてみれば、欲情してもおかしくはない。
警察という立場を利用して無理矢理言い寄ったのか、もしくは普通にナンパをしたのか。
その辺は分からないが、それで断られて逆上してTVの中に入れたのだろう。
これはあくまでも想像でしかないが、恐らくはそう間違っていないという確信が俺の中にはあった。
もっとも、物的証拠がない以上はどうしようもないのだが。
「それでいながら、鋭いところもあるのは間違いない。……何より、やはりTVの中の世界に出入りしているのが大きいな。警察とはいえ、一般人が追うような事が出来ないのだから」
「現実世界にいる時に捕らえる事が出来れば、後はそう問題ないんだけどな。TVのない部屋に隔離しておけばいいんだし」
もっともTVのある部屋であっても、足立の身体が入らないような小型のTVとか、TVの中の世界に入るにはTVの画面に触れないといけないので、それが出来ないように強化ガラスとやアクリル板で覆ったりすれば大丈夫なのかもしれないが。
「向こうもそれが分かっているだろうから、相応の対応をすると思うぞ」
美鶴が言うように、足立はTVに出入り出来る事が自分が捕まらない最善の方法だと知っているだろう。
そうである以上、そう簡単にTVから出てくるような事はない筈だ。
もっともTVから出て来なくても、俺や美鶴、あるいはシャドウミラーからの援軍がTVの中の世界で動くので、その時に足立を捕まえられる可能性は十分にあるのだが。
「足立を捕らえるには、美鶴やシャドウワーカーが頑張る必要があるな」
もし本当に……どのような被害を出してでも足立を捕まえたいのいなら、それこそ手段はある。
とはいえ、桐条グループの力でもそう簡単に出来る事ではないのだが。
まずこの稲羽市にいる者達を全員どこかに一時的に避難させる。
食料や飲み物になりそうな物とかは全て持ち出した上で。
電気、ガス、水道の類も全て止める。
勿論電気を止めても、TVの中の世界は普通に出入り出来るものの、ジュネスに姿を現した足立の様子から見れば、TVの中の世界に食料はないと思ってもいい。
その上で稲羽市にも食料が全くなければ、そして水も飲む事が出来なければ、足立は稲羽市から出る必要がある。
あるいは捕まるのが嫌で餓死するかもしれないが、足立を殺せるという意味ではそれは決して悪くない。
あるいは食料を求めて稲羽市から出てくれば、足立はTVに入れる能力を使える訳でも何でもない普通の人間だ。
捕らえるのは容易いだろう。
……もっとも、稲羽市には山もあれば川もある。
足立にその辺の知識があれば、川の水を濾過して飲んだり、動物や魚を食料とする事も出来るだろうが……どうだろうな。
左遷されて稲羽市に来たというのが本当なら、それは難しいと思う。
キャンプを趣味にしてるとか、そういうのがあれば話は別だったが。
「頑張らせて貰おう。……ただ、シャドウや足立を見つける以外にも、どうにかしてペルソナ使いを確保したい。アクセルが言う運命から考えると、この稲羽市にもペルソナ使いがいるのだろう?」
運命? と一瞬疑問に思ったが、すぐに思い出す。
そう言えば堂島に甥の鳴上がペルソナ使いかもしれないと言った時、その説明の理由として運命と口にしたんだったか。
まぁ、原作がどうとか説明出来ない以上、運命というのはそんなに悪い説明ではなかったと思うが。
ともあれそんな理由で、タイミング的にペルソナ使いの可能性が高い鳴上と美鶴を会わせてみたのだが、生憎と美鶴の感覚では鳴上はペルソナ使いではなかったらしい。
とはいえ、今でも俺は鳴上が稲羽市にやって来たタイミング的に、怪しいとは思っているのだが。
ともあれ、今は鳴上はペルソナ使いではない。
そうなると一体誰がペルソナ使いかという事になる。
ここまで大規模な騒動がありながら、実は原作がないという事はないと思うし、ペルソナ使いがいるのは間違いないと思うんだが。
そして原作という存在について知っている者の知識となるが、影時間の件で主人公の有里が高校生だった事を考えると、この世界の原作は学生を主人公としている可能性が高い。
もっとも、世の中には続編では前作と全く違う主人公になっていたり……というのはそんなに珍しい話ではないので、実は堂島がペルソナ使いとして覚醒してもおかしくはないんだが……ただ、堂島が主人公のゲームなり漫画なりアニメなりが、そんなに人気が出るとは思えないんだよな。
そう考えると、やっぱり鳴上ではなくても学生が主人公……ペルソナ使いの可能性が高いと思う。
「雪子がペルソナ使いだったりしないか? 全国的に有名な老舗旅館の若女将がペルソナ使い……ありそうじゃないか?」
桐条グループの令嬢の美鶴がペルソナ使いであるのと少し似てるような気もするし。
もっとも天城屋旅館の娘と桐条グループの娘では規模が違いすぎる。
それに美鶴がペルソナを使えたのは、小さい頃からペルソナやシャドウ……そしてタルタロスに関わっていたからというのが大きい。
「可能性としては十分にあるな。ただ、昨日少し話す機会があったが、その時は特に何も異常は感じなかったな」
美鶴と雪子が話していたのか。
一体何を話していたんだろうな。
性格がかなり違うので、相性的には……あるいは磁石のN極とS極のような感じで問題がなかったりするのか?
女同士の会話だし、無理に聞こうとしない方がいいのかもしれないけど。
「まだペルソナ使いになっていないだけなのか、本当にペルソナ使いとは無関係なのか」
何となく前者のような気がするな。
理由としては、老舗旅館のお嬢様で本人は美人で本人を口説くのは天城越えと呼ばれる程に難しい。
ここまで特徴的な以上、この事件の原作のメインキャラ……もしくはヒロインであってもおかしくはない。
「その辺りについては、もう少し様子を見た方がいいだろう。もし彼女がペルソナ使いであったら、彼女の近くには他にもペルソナ使いがいる可能性が高い」
「けど……美鶴達の場合は色々と違ったんじゃないか?」
美鶴がペルソナ使いだったのは間違いないが、他の面々は別に美鶴の近くにいた訳ではなく、桐条グループの力で見つけ出した存在だ。
月光館学園での事を思えば、雪子がペルソナ使いならその近くに他のペルソナ使いもいるというのは疑問だ。
とはいえ、この事件が影時間の一件の続編だとはいえ、月光館学園の時と同じような事になるとは限らない。
それこそ場合によっては、もっと他の要素があってもおかしくはない。
……具体的にそれが何かと言われれば、それもすぐに答える事は出来なかったが。
「到着だな」
大広間の前に戻ると、取りあえずスライムのように秘密にしてる件については中で言わないようにと視線でお互いに確認し、襖を開ける。
そうして襖を開けると、そこには……
「だから、足立の性格を考えるとまたジュネスに現れるとは限らないだろ?」
「けど、TVのある場所で食料とかが豊富にある場所って、そんなにないでしょ? 食堂とかそういう場所は……あるけど、TVとかはそこまで大きくないみたいだし」
「そもそもジュネスに出てくるとしても、出て来たところで捕まれば……」
「この馬鹿! ジュネスにTVが幾つあると思ってるのよ!」
何だかシャドウワーカーの面々がそれぞれ言い争っていた。
……それでいながら、ジュネスを始めとして他に防犯カメラの映像を確認して足立がいないかどうかを調べたり、書類仕事を片付けたり、コンピュータで何らかの作業をしていたりする。
普通、こういう……ながら作業? をしながらだと、それぞれの作業の効率が落ちるのだが、さすが美鶴が選んだ人材だけあって、議論をしながらでも作業の効率は落ちていない。
あるいは落ちてるのかもしれないが、それでも普通以上の作業スピードなのは間違いない。
こうして考えると、やっぱりシャドウワーカーって凄いんだよな。
もっとも、凄いとはいえ、それはあくまでも一般人レベル。
忙しさという点ではシャドウワーカーの遙か先を行くシャドウミラーの政治班には到底及ばなかったが。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820